上 下
50 / 69
後編 あの人と会ってから

【50話】元夫の行く末 前編

しおりを挟む
知り合いから…電話が鳴った。

元夫と連絡が着いたのかも?と思いながら…

電話に出た。


「もしもし」

「ゆうこさん、元夫が亡くなった…」

「え?」

「面倒見てくれていた女の人がいたんだけど…

その人も連絡が付かなかったらしくて大家さんに鍵を開けて貰って…

入ったら亡くなってたらしい。今、警察とか来てるらしい…」

「この後で、警察に移動されると思う」

「なんか、もう誰もいないし…どうでもいいって言ってたらしいよ」


「分かりました。とりあえず、長男に連絡してみます」

そう言って電話を切った。


すぐ長男に電話をした。

「お父さんが亡くなったらしい」

長男もびっくりして…

「マジで…」

「夜には警察署に遺体が行くかも?」

と言うと…

「電話してみる、何署?」

と言われて、私は動揺していたのか…

違う警察署を教えていた…

その後、長男から電話があって

「母さん、違った…どこかな?」

「そうか…じゃここじゃない?」と違う警察署を教えた。

「分かった電話してみる」


その後…長男から

「ここで合ってた、明日行くと言ったから…

母さんも一緒に行ってくれる?」

「分かった、行くよ」と返事をした。


間に合わなかった…

やっぱり、出来事を変えようとしてはいけないのかな…


あの人にも伝えると

「そうか…二男を会わせようとしてたのにね…

残念だったね…」と驚いていた。


翌日、長男と警察署に行った。

受付で事情を話すと2階に案内された。

そこに入った瞬間…

沢山の刑事さんが一斉にこっちを向いて

じろっと睨んで見て来る…

独特の雰囲気だ…

対応してくれた刑事さんが

「すみません。ここしか空いてないんで…」

と取調室に案内した。

そこで、詳細を聞いた。

元夫は…

お風呂の中で扉に目張りをして

練炭自殺をしていた…

「亡くなったのは推定ですが24日ごろです」

と言われ…驚いた。

やっぱり、1日早くなっている…

私が知り合いに電話したから?

間に合わなかったのに…それもダメなのか…


「写真で元夫だと確認して欲しいのですが…死後数日経っているので…

お母さんは見ないほうがいいかもしれない。長男さんが確認されますか?」

長男はすぐ「僕が見ます」と言った。

その時期は、例年より厚い日が多かったから…

傷みがひどかったのかも…


長男は戻ってきて

「父さんだった…」と言った。

刑事さんも戻って来て

「確認が取れたので取り合えず手続きをします。

遺体の引き取りは、どうされますか?」

私は

「私と離婚した後に結婚した人がいると思うのですが

その方が引き取りをする可能性は無いのですか?」

と聞いたが…

「その方とも離婚されてますし…その方と連絡が取れないんですよ」

と言った。

「じゃ、こちらでも元夫の兄に連絡をしてみます」

と返事をして帰った…


その日に、元夫の兄に電話をしてみた…

「お久しぶりです。ゆうこです」

兄も驚いて

「どうしたの?」

「実は、弟さんが亡くなって・・・」

と事情を話した。

「ごめんけど…うちは何もしてあげられない」

と言われたので…

「じゃ、長男と相談してみます」と電話を切った。


長男にそう言われたことを話して

「あんたは、どうしたい?」と聞いてみた。

すると長男は

「このまま、放っておいたら無縁仏になるんでしょ?

それは可哀想だから…自分が送ってあげたい」

と言った。

「分かった…なら、母さんがお金を出すよ」


私は、1度目の人生でもそうしたのだけど…

今回も、その気持ちは変わらなかった。

元夫が、あまりに可哀想で…


でも、葬式をしても誰も来ないかもしれない…

あの人の、お父さんと同じように直葬にしよう。

そう決めて…直葬をしてくれる葬儀屋さんに向かった…
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

夫の不貞現場を目撃してしまいました

秋月乃衣
恋愛
伯爵夫人ミレーユは、夫との間に子供が授からないまま、閨を共にしなくなって一年。 何故か夫から閨を拒否されてしまっているが、理由が分からない。 そんな時に夜会中の庭園で、夫と未亡人のマデリーンが、情事に耽っている場面を目撃してしまう。 なろう様でも掲載しております。

愛されていないのですね、ではさようなら。

杉本凪咲
恋愛
夫から告げられた冷徹な言葉。 「お前へ愛は存在しない。さっさと消えろ」 私はその言葉を受け入れると夫の元を去り……

挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました

結城芙由奈 
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】 今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。 「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」 そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。 そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。 けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。 その真意を知った時、私は―。 ※暫く鬱展開が続きます ※他サイトでも投稿中

公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-

猫まんじゅう
恋愛
 そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。  無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。  筈だったのです······が? ◆◇◆  「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」  拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?  「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」  溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない? ◆◇◆ 安心保障のR15設定。 描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。 ゆるゆる設定のコメディ要素あり。 つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。 ※妊娠に関する内容を含みます。 【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】 こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)

お飾り王妃の死後~王の後悔~

ましゅぺちーの
恋愛
ウィルベルト王国の王レオンと王妃フランチェスカは白い結婚である。 王が愛するのは愛妾であるフレイアただ一人。 ウィルベルト王国では周知の事実だった。 しかしある日王妃フランチェスカが自ら命を絶ってしまう。 最後に王宛てに残された手紙を読み王は後悔に苛まれる。 小説家になろう様にも投稿しています。

御機嫌ようそしてさようなら  ~王太子妃の選んだ最悪の結末

Hinaki
恋愛
令嬢の名はエリザベス。 生まれた瞬間より両親達が創る公爵邸と言う名の箱庭の中で生きていた。 全てがその箱庭の中でなされ、そして彼女は箱庭より外へは出される事はなかった。 ただ一つ月に一度彼女を訪ねる5歳年上の少年を除いては……。 時は流れエリザベスが15歳の乙女へと成長し未来の王太子妃として半年後の結婚を控えたある日に彼女を包み込んでいた世界は崩壊していく。 ゆるふわ設定の短編です。 完結済みなので予約投稿しています。

【完】あの、……どなたでしょうか?

桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー  爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」 見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は……… 「あの、……どなたのことでしょうか?」 まさかの意味不明発言!! 今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!! 結末やいかに!! ******************* 執筆終了済みです。

処理中です...