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後編 あの人と会ってから

【39話】新聞の記事と新しい挑戦

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あの人と別れる少し前に、長男が会社で上司と

喧嘩をして会社から帰ってしまい

それから会社に行かなくなった…

私はそれを、お嫁さんに聞いて…

長男の家に行ってみたが、私の話を聞こうとしない。

上司の人から、私の家に電話が掛かってきて

「辞めるのは、もったいない。

部署替えも考えているから、

一度、話に来て欲しいと伝えて下さい」

と言われた。

それを長男に言ったが、聞く耳を持たなかった。

お嫁さんが、会社の先輩に連絡をしてくれて

先輩が長男に話をしてくれ…長男は、やっと話す気になった。

上司の人が話し合いの場を設けてくれて、部署替えをして

会社に戻ることになったが…

もし、辞めてしまったら

住んでいるのは会社の社宅だし…

私は、一緒に住むしかないと考えていた。

一緒に住んだら、生活保護は貰えなくなるとして…

母子家庭の手当はどうなるのかと思って役所に聞いたら

世帯が違えば貰えると言われた。

その時に、ついでに貸付の事を聞いてみた。

車の免許を取るのに貸し付けは出来るのかと…

条件によれば貸して貰えるとのこと…


私は、あの人と別れてから、それを思い出した。

18歳になった時に、父が「お金をだしてやるから免許取りに行け」と言ってくれたけど、元夫から「危ないから止めた方がいい」と言われ、取りに行くのを断念した…

でも、免許が取れたら自分で二男を遊びに連れて行く事が出来る…

暇になったし…

あの人の事を考えない時間が欲しいな…

お金も貸付けして貰えそうだし…

挑戦してみよう…と

自動車学校に行くことにした。


夕方、自動車学校に行く為に、パートの時間を1時間減らして貰った。

自動車学校に託児所がある所を探したが

どこも託児所は早く閉まってしまう。

問い合わせをした自動車学校の人が

家に来てくれ、事情を話すと

二男は小学校3年生だし、事務所で預かってくれると言ってくれた。

それから、私の自動車学校生活が始まった。

6月1日に入校。

パートが終わったらすぐ家に帰って

送迎バスに乗って行く。

乗車するのは1時間だけと決めていた。

学科が3時間ある時は

お弁当を持って行き、二男は事務所で食べた。

宿題を持って行き

事務員さんと一緒にやっていた。

たまに、校長先生も見てくれた。

一番最初に乗車した時に

39歳で初めて自動車学校に通い始めた私に

若い先生が

「なんで今だったんですか?」と聞いた…


私は仕事柄、新聞のローカル欄をよく見ている。

ある日、いつも通り新聞をみていると

見たことがある名前を見つけた。

それは、大型トラックが正面衝突して

運転手が亡くなったという内容だった。

それは、あの人と出会う前に付き合っていた

彼の名前だったのだ…

1度目の人生では、驚いた。

でも今回は知っていた…

だから、別れたあの時に

「これからも運転気を付けてね」

と心でつぶやいたのに…

あの時に、私は知っていたけれど

彼に言うわけにはいかなかった。

彼は運転中によく電話をしていたから

よそ見してたのかな…

人の命というのは、本当に何処でどうなるか

分からない…


二男は木曜日にスイミングに行っていたので

それ以外は自動車学校に通った。


その間、お酒を飲んで

あの人に電話をしてしまったこともあったけど

あの人は電話に出なかった。

一度、二男から「どうして戦争はおこるの?」

と質問されて困った私は、

あの人にメールをしてしまった…

その時、あの人はメールを返してくれた…


でも、それ以上は何もなく時が流れた。

自動車学校では、みんなによくして貰って

若い男の子の友達もできた。

仮免許の学科も実地もすんなり受かった。

補習の負担なしのコースにしたけど

1回の補修だけで、見極めまで行った。

学科も1回で受かり、卒業試験も受かった。


私は、ちょうど2か月で卒業することが出来た…
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