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番外編 響さん、責任取って 4
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響さんに肩に手を回され、駐車場から早歩きでマンションに向かう。
エレベーターに乗るとすぐに唇を奪われた。
「んんっ、ちょっ、響さっ……ダメだよ」
キスを交わしたまま響さんの新居がある三階のボタンをなんとか押す。
「も、響さんっ……!」
二人だけのエレベーター内に湿った音と荒い息づかいが響いた。
乱暴にドアを開け玄関に入るや否やすぐにまた唇が重なった。
「や、ダメ、せめて部屋の中に……」
玄関のドアに背中を付けたまま、激しいキスを交わす。
「んあっ……」
こんなところで。
ダメなのに。
もう、立っているのもつらい。
私は響さんの腕にすがりついた。
「あ……はぁっ……」
響さんの柔らかな唇が私を追い詰める。
……気持ちいいっ……。
「あっ……ん……」
「声……我慢して」
響さんは執拗に私を責めたてながらそんなことを言う。
「響さんの……んっ、意地悪……あ、や、待って……!」
「ごめん、でも……あんなに嬉しいことばかり言われて待てるわけがない。俺がこんな風になるまで喜ばせた君が悪い」
「そ、そんなぁ……」
結局、響さんの気がすむまで唇をむさぼられてしまった……。
「ごめん」
響さんに抱きしめられたままそう謝られる。
「もうっ、ちょっとは落ち着きました……?」
「いや、まだ……全然」
響さんは靴を脱ぐと私の手を引いた。
「部屋に行こう」
「ちょっ、響さん、そんなに焦らなくても」
「焦らずにはいられないんだよ。大人の余裕なんて全然ない。可愛い俺の伊織を誰かに取られやしまいかっていつも心配してる。……伊織は綺麗だし、すごく気が付くいい女だから」
「響さん……」
響さんは乱暴に寝室のドアを開ける。
私たちはもつれるようにベッドに倒れ込んだ。
響さんは私に覆いかぶさると私の両手を掴んで見おろしてくる。
「元カレから貰ったものを今でも大事に使ってるって言ってただろ。……その元カレにすら嫉妬してる」
「元カレって……大学の時の話ですよ」
私、社会人になってからは片想いばかりしてた。
佐藤先生にだって告白しないまま失恋しちゃったし。
響さんが心配するようなことはないよ。
「昨日だって俺と話してるのに君はテレビに夢中だし」
き、きのうのあれは響さんがあんまりかっこよくて目をそらしただけ……。
響さんの綺麗な顔が近づいて唇が耳に触れる。
「俺が夕べのみ込んだ言葉を言うよ。伊織……好きだ、だから今は……俺の事だけみてて」
私の事、こんなに想ってくれているなんて……。
嬉しい。
その気持ちにちゃんと応えたい。
響さんの唇は私の耳にキスの雨を降らせる。
「んあっ、ちょ、ちょっと待って!」
私は腕に力を込めて、起き上がろうとするけど響さんには叶わない。
「あの……あのね、私」
「嫌だ、聞きたくない」
「ちょっと待ってってば!!」
私の剣幕に押されたのか響さんは腕を緩めてくれた。
私は体を起こすとベッドの上で正座する。
響さんも起き上がるとあぐらをかいた。
「ねえ、響さん……私、ちゃんと響さんの事が好きだよ。今日だって、自分でもびっくりする位、響さんの事しか見えてなかった。さっき車の中でちゃんと言ったつもりだったけど足りなかった? 私ね、響さんの事……愛してる。義務や同情で一緒にいるんじゃない……響さんに恋……してるんだよ」
「伊織……」
私は響さんをそっと抱きしめた。
大事な恋を失った過去を持つ響さんは、きっと私以上にこの恋に戸惑ってる。
響さんはフーッと大きく息を吐きだした。
「……恋愛なんて久しぶりすぎて、まるで幼い初恋みたいに君にドキドキしてる。若い君に飽きられちゃいけないって、俺も必死なんだ」
いつも情熱的に私を求めてくれる響さん。
「情けないな、もう、中学生みたいなこういう衝動からは卒業したと思っていたんだけど」
大人なのに……なんてかわいいの。
私たちは見つめあい、ゆっくりと口づけを交わした。
「なあ、伊織……早く俺の部屋に越して来てよ……」
キスの合間に響さんはそんなことを言う。
「そうしたら、君と離れなくてすむ」
「私は……今日みたいなデートも楽しかったけど、もう少しだけ家デートを楽しみたいんです。だって……いずれは一緒に住むんだし」
そうしたらもう、一生離れないんだから……。
響さんの腕に力がこもって次第にキスが激しくなる。
「ふっ……は……はぁっ……」
「伊織、今夜は帰す気ないけど……いいよね?」
私は何度もうなずいた。
う、うん。
帰る気なんて……ないよ。
私だって今夜は響さんと一緒に過ごしたい……。
そして、これからもずっと……。
さっき、車の中で『責任を取って』って言ったけどあれは間違いだ。
私だってこの恋の責任を取る。
ちゃんと、響さんと幸せになる。
そう……決めたから。
エレベーターに乗るとすぐに唇を奪われた。
「んんっ、ちょっ、響さっ……ダメだよ」
キスを交わしたまま響さんの新居がある三階のボタンをなんとか押す。
「も、響さんっ……!」
二人だけのエレベーター内に湿った音と荒い息づかいが響いた。
乱暴にドアを開け玄関に入るや否やすぐにまた唇が重なった。
「や、ダメ、せめて部屋の中に……」
玄関のドアに背中を付けたまま、激しいキスを交わす。
「んあっ……」
こんなところで。
ダメなのに。
もう、立っているのもつらい。
私は響さんの腕にすがりついた。
「あ……はぁっ……」
響さんの柔らかな唇が私を追い詰める。
……気持ちいいっ……。
「あっ……ん……」
「声……我慢して」
響さんは執拗に私を責めたてながらそんなことを言う。
「響さんの……んっ、意地悪……あ、や、待って……!」
「ごめん、でも……あんなに嬉しいことばかり言われて待てるわけがない。俺がこんな風になるまで喜ばせた君が悪い」
「そ、そんなぁ……」
結局、響さんの気がすむまで唇をむさぼられてしまった……。
「ごめん」
響さんに抱きしめられたままそう謝られる。
「もうっ、ちょっとは落ち着きました……?」
「いや、まだ……全然」
響さんは靴を脱ぐと私の手を引いた。
「部屋に行こう」
「ちょっ、響さん、そんなに焦らなくても」
「焦らずにはいられないんだよ。大人の余裕なんて全然ない。可愛い俺の伊織を誰かに取られやしまいかっていつも心配してる。……伊織は綺麗だし、すごく気が付くいい女だから」
「響さん……」
響さんは乱暴に寝室のドアを開ける。
私たちはもつれるようにベッドに倒れ込んだ。
響さんは私に覆いかぶさると私の両手を掴んで見おろしてくる。
「元カレから貰ったものを今でも大事に使ってるって言ってただろ。……その元カレにすら嫉妬してる」
「元カレって……大学の時の話ですよ」
私、社会人になってからは片想いばかりしてた。
佐藤先生にだって告白しないまま失恋しちゃったし。
響さんが心配するようなことはないよ。
「昨日だって俺と話してるのに君はテレビに夢中だし」
き、きのうのあれは響さんがあんまりかっこよくて目をそらしただけ……。
響さんの綺麗な顔が近づいて唇が耳に触れる。
「俺が夕べのみ込んだ言葉を言うよ。伊織……好きだ、だから今は……俺の事だけみてて」
私の事、こんなに想ってくれているなんて……。
嬉しい。
その気持ちにちゃんと応えたい。
響さんの唇は私の耳にキスの雨を降らせる。
「んあっ、ちょ、ちょっと待って!」
私は腕に力を込めて、起き上がろうとするけど響さんには叶わない。
「あの……あのね、私」
「嫌だ、聞きたくない」
「ちょっと待ってってば!!」
私の剣幕に押されたのか響さんは腕を緩めてくれた。
私は体を起こすとベッドの上で正座する。
響さんも起き上がるとあぐらをかいた。
「ねえ、響さん……私、ちゃんと響さんの事が好きだよ。今日だって、自分でもびっくりする位、響さんの事しか見えてなかった。さっき車の中でちゃんと言ったつもりだったけど足りなかった? 私ね、響さんの事……愛してる。義務や同情で一緒にいるんじゃない……響さんに恋……してるんだよ」
「伊織……」
私は響さんをそっと抱きしめた。
大事な恋を失った過去を持つ響さんは、きっと私以上にこの恋に戸惑ってる。
響さんはフーッと大きく息を吐きだした。
「……恋愛なんて久しぶりすぎて、まるで幼い初恋みたいに君にドキドキしてる。若い君に飽きられちゃいけないって、俺も必死なんだ」
いつも情熱的に私を求めてくれる響さん。
「情けないな、もう、中学生みたいなこういう衝動からは卒業したと思っていたんだけど」
大人なのに……なんてかわいいの。
私たちは見つめあい、ゆっくりと口づけを交わした。
「なあ、伊織……早く俺の部屋に越して来てよ……」
キスの合間に響さんはそんなことを言う。
「そうしたら、君と離れなくてすむ」
「私は……今日みたいなデートも楽しかったけど、もう少しだけ家デートを楽しみたいんです。だって……いずれは一緒に住むんだし」
そうしたらもう、一生離れないんだから……。
響さんの腕に力がこもって次第にキスが激しくなる。
「ふっ……は……はぁっ……」
「伊織、今夜は帰す気ないけど……いいよね?」
私は何度もうなずいた。
う、うん。
帰る気なんて……ないよ。
私だって今夜は響さんと一緒に過ごしたい……。
そして、これからもずっと……。
さっき、車の中で『責任を取って』って言ったけどあれは間違いだ。
私だってこの恋の責任を取る。
ちゃんと、響さんと幸せになる。
そう……決めたから。
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