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1章
6話 私、同僚の男の人を自宅に誘ってしまったよ!
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「落ち着いた?」
「はい……ごめんなさい」
ちいちゃんは――馴れ馴れしいけど名前をこれしか知らないから心の中では勝手にちいちゃんって呼ばせてもらおう――ちいちゃんは佐藤先生から離れると抱っこ紐の中で眠っている赤ちゃんの顔を私たちに見せてくれた。
ちっちゃーい、かわいい……。
「お子さん、何ヶ月なんですか? お名前は?」
私は矢継ぎ早に質問した。
だって、かわいすぎる!
「この子は蓮です。今、六ヶ月です……」
「蓮君……いいお名前ですね。あの佐藤先生、ここは寒いです。どこかに移動しませんか?」
寒いのは私の酔いが醒めてきたからだけではないはずだ。
「そうだね……。でもどうしよう? こんな時間に赤ちゃん連れで入れるお店はないよ……?」
もうずいぶん遅い時間だもんね。
「じゃあ、私の家に来ませんか? ここからすぐなので」
「いいんですか?……もうすぐこの子のミルクの時間で……どうしようかと思っていたから助かります」
ちいちゃんに嬉しそうに言われて私はまんざらでもない。
えへへ、かわいい蓮君を家にご招待できるなんてこちらこそ光栄です。
私、赤ちゃんが大好きなのだ。あとで抱っこさせてもらえないかな~?
「じゃ、こっちです」
自宅に向かって歩いていると、
「葵先生、いいの?」
佐藤先生に小声で尋ねられた。
あ、しまった、佐藤先生の存在をすっかり忘れていた。
私、同僚の男の人を自宅に誘ってしまったよ!
私のマンションにはすぐに着いた。
赤ちゃん連れのちいちゃんにはすぐに家にあがって貰ったけど佐藤先生は玄関の前で少しだけお待ちいただいた。
そりゃそうよ、まさか今日男性をお持ち帰……イヤお連れするとは思わないじゃない? とりあえず少しだけ片づける時間を下さい!
「広いね……」
佐藤先生はリビングのソファーに座ってそうつぶやいた。
私は一人暮らしにしては広めの1LDKに住んでいる。大学生の時、四年間ロフト付きのアパートに住んでいたら荷物が思っていた以上に増えていて予定していたワンルームマンションでは収まりそうになかったのだ。
広めのマンションにしたおかげで何とか押し入れやクローゼットに荷物はおさまった。その分家賃はお高めで支払いが大変だけど……。
「あ、お布団予備があるから敷きますね。蓮君を寝かせてあげてください。この間のゴールデンウィークに母が寝ただけなので綺麗だと思います……」
私はリビングの隣の和室に布団を敷いた。
私は畳に布団派なのです。
先月は母と布団を並べて寝ました。
「ありがとうございます……葵先生」
ちいちゃんにお礼を言われて私は笑顔を返した。
ちいちゃんは今、隣の和室で蓮君にミルクを飲ませている。
私はリビングで佐藤先生とコーヒータイムだ。私はコーヒーが大好きで豆はいつも近所のコーヒー専門店で買っている。どうせ飲むなら美味しいコーヒーが飲みたいのだ。
職場ではインスタントも飲むけどね。
「はー、温まるー」
あとでちいちゃんにもいれてあげよう。
「葵先生、ごめんね。突然おしかけて」
「いいですよ、お気になさらず。ところで……蓮君って佐藤先生のお子さんですか?」
先生は驚いてコーヒーを吹き出しそうになった。
ちょっと、気を付けてくださいね。
ラグにシミが付きます。
って、悪いのは私か。
佐藤先生が蓮君のお父さんでないことはいくら鈍感な私でも雰囲気で分かる。
でも、ちいちゃんと佐藤先生ってどういう関係なんだろう?
ちいちゃん、かなり若いよね。
まだ二十歳前後だと思う。まさか元教え子?
先生は今年三十歳になるからその可能性もあるか……?
うーん……。
私がうなっていると先生は爆弾を投下した。
「ちいちゃんは学生時代にお付き合いしていた人の妹です……」
学生時代にオツキアイって……彼女か! つまり元カノか!
ちいちゃんは佐藤先生の元カノの妹さんだった。
「蓮……寝ました」
和室からちいちゃんが出てきたのでラグの上のクッションをすすめた。
ソファーは佐藤先生が座っているから、ちいちゃんは私と仲良くラグに座りましょうね。
「ちいちゃん、コーヒー飲みますか?」
「ありがとうございます」
「あ、座っててください、すぐに持ってきますから」
ちいちゃんはきっといい子だ。座ったばかりなのにすぐに立ち上がって手伝おうとしてくれた。
そんないい子がなんでこんな時間に、それも飲み屋街に赤ちゃん連れでいたんだろう?
私はちいちゃんにマグカップを渡すと佐藤先生をチラッと見た。
佐藤先生は頷いて口を開いた。
「ちいちゃん……久しぶりだね、八……いや九年ぶりかな?」
ちいちゃんはコクンとうなずく。
そっか、学生時代の元カノって事はそんなに前の知り合いなのね。先生すぐに思い出せないワケだ……。
その頃、ちいちゃんはまだ小学生だったんじゃないの?
そう考えると、逆にすごいよ。女の子は変わるのに良く分かったな。
「お姉さんに似てきたね」
それかー!
先生が当時付き合っていたころの元カノと同じぐらいの年齢に成長したから分かったってことね。納得。
ちいちゃんは今はちょっとやつれていて化粧っ気もないから気が付かなかったけど、結構整った顔立ちをしている。
イケメンの佐藤先生だもん。元カノも綺麗な人に違いない。
「ちいちゃん……何から聞けばいいのかな?……今はどこに住んでいるの? 結婚したのかな?」
佐藤先生の質問は地雷だったようでちいちゃんは泣き出してしまった。
「はい……ごめんなさい」
ちいちゃんは――馴れ馴れしいけど名前をこれしか知らないから心の中では勝手にちいちゃんって呼ばせてもらおう――ちいちゃんは佐藤先生から離れると抱っこ紐の中で眠っている赤ちゃんの顔を私たちに見せてくれた。
ちっちゃーい、かわいい……。
「お子さん、何ヶ月なんですか? お名前は?」
私は矢継ぎ早に質問した。
だって、かわいすぎる!
「この子は蓮です。今、六ヶ月です……」
「蓮君……いいお名前ですね。あの佐藤先生、ここは寒いです。どこかに移動しませんか?」
寒いのは私の酔いが醒めてきたからだけではないはずだ。
「そうだね……。でもどうしよう? こんな時間に赤ちゃん連れで入れるお店はないよ……?」
もうずいぶん遅い時間だもんね。
「じゃあ、私の家に来ませんか? ここからすぐなので」
「いいんですか?……もうすぐこの子のミルクの時間で……どうしようかと思っていたから助かります」
ちいちゃんに嬉しそうに言われて私はまんざらでもない。
えへへ、かわいい蓮君を家にご招待できるなんてこちらこそ光栄です。
私、赤ちゃんが大好きなのだ。あとで抱っこさせてもらえないかな~?
「じゃ、こっちです」
自宅に向かって歩いていると、
「葵先生、いいの?」
佐藤先生に小声で尋ねられた。
あ、しまった、佐藤先生の存在をすっかり忘れていた。
私、同僚の男の人を自宅に誘ってしまったよ!
私のマンションにはすぐに着いた。
赤ちゃん連れのちいちゃんにはすぐに家にあがって貰ったけど佐藤先生は玄関の前で少しだけお待ちいただいた。
そりゃそうよ、まさか今日男性をお持ち帰……イヤお連れするとは思わないじゃない? とりあえず少しだけ片づける時間を下さい!
「広いね……」
佐藤先生はリビングのソファーに座ってそうつぶやいた。
私は一人暮らしにしては広めの1LDKに住んでいる。大学生の時、四年間ロフト付きのアパートに住んでいたら荷物が思っていた以上に増えていて予定していたワンルームマンションでは収まりそうになかったのだ。
広めのマンションにしたおかげで何とか押し入れやクローゼットに荷物はおさまった。その分家賃はお高めで支払いが大変だけど……。
「あ、お布団予備があるから敷きますね。蓮君を寝かせてあげてください。この間のゴールデンウィークに母が寝ただけなので綺麗だと思います……」
私はリビングの隣の和室に布団を敷いた。
私は畳に布団派なのです。
先月は母と布団を並べて寝ました。
「ありがとうございます……葵先生」
ちいちゃんにお礼を言われて私は笑顔を返した。
ちいちゃんは今、隣の和室で蓮君にミルクを飲ませている。
私はリビングで佐藤先生とコーヒータイムだ。私はコーヒーが大好きで豆はいつも近所のコーヒー専門店で買っている。どうせ飲むなら美味しいコーヒーが飲みたいのだ。
職場ではインスタントも飲むけどね。
「はー、温まるー」
あとでちいちゃんにもいれてあげよう。
「葵先生、ごめんね。突然おしかけて」
「いいですよ、お気になさらず。ところで……蓮君って佐藤先生のお子さんですか?」
先生は驚いてコーヒーを吹き出しそうになった。
ちょっと、気を付けてくださいね。
ラグにシミが付きます。
って、悪いのは私か。
佐藤先生が蓮君のお父さんでないことはいくら鈍感な私でも雰囲気で分かる。
でも、ちいちゃんと佐藤先生ってどういう関係なんだろう?
ちいちゃん、かなり若いよね。
まだ二十歳前後だと思う。まさか元教え子?
先生は今年三十歳になるからその可能性もあるか……?
うーん……。
私がうなっていると先生は爆弾を投下した。
「ちいちゃんは学生時代にお付き合いしていた人の妹です……」
学生時代にオツキアイって……彼女か! つまり元カノか!
ちいちゃんは佐藤先生の元カノの妹さんだった。
「蓮……寝ました」
和室からちいちゃんが出てきたのでラグの上のクッションをすすめた。
ソファーは佐藤先生が座っているから、ちいちゃんは私と仲良くラグに座りましょうね。
「ちいちゃん、コーヒー飲みますか?」
「ありがとうございます」
「あ、座っててください、すぐに持ってきますから」
ちいちゃんはきっといい子だ。座ったばかりなのにすぐに立ち上がって手伝おうとしてくれた。
そんないい子がなんでこんな時間に、それも飲み屋街に赤ちゃん連れでいたんだろう?
私はちいちゃんにマグカップを渡すと佐藤先生をチラッと見た。
佐藤先生は頷いて口を開いた。
「ちいちゃん……久しぶりだね、八……いや九年ぶりかな?」
ちいちゃんはコクンとうなずく。
そっか、学生時代の元カノって事はそんなに前の知り合いなのね。先生すぐに思い出せないワケだ……。
その頃、ちいちゃんはまだ小学生だったんじゃないの?
そう考えると、逆にすごいよ。女の子は変わるのに良く分かったな。
「お姉さんに似てきたね」
それかー!
先生が当時付き合っていたころの元カノと同じぐらいの年齢に成長したから分かったってことね。納得。
ちいちゃんは今はちょっとやつれていて化粧っ気もないから気が付かなかったけど、結構整った顔立ちをしている。
イケメンの佐藤先生だもん。元カノも綺麗な人に違いない。
「ちいちゃん……何から聞けばいいのかな?……今はどこに住んでいるの? 結婚したのかな?」
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