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19話 私を捨てた母
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ミルクを飲んでオムツを替えてもらった蓮はすっかりご機嫌だ。
短い手足を一生懸命バタバタ動かして凄くかわいいの!
嬉しい時は全力で喜ぶんだね!
「では、蓮さんの調子がいいうちにこの家の中を案内したいのですが……よろしいですか?」
先生の家は、私の新しい職場という事になる。
そして、先生は私の雇用主だ。
「はい、よろしくお願いします」
気持ちをお仕事モードに切り替えて、私は蓮を抱いたまま立ち上がった。
「では、まず玄関から……」
冬馬先生の家はかなりゆったりとしたつくりの2LDKだ。
玄関から入って廊下の右側に洗面所とトイレがあり、左側の洋室は寝室だった。
七、八畳はありそうな広めの室内には、デスクとベッドの他に大きなスチールの書棚が二つも並んでいて、棚には法律関係の分厚い本やファイルがぎっしり詰め込まれている。
「この部屋は掃除しなくて結構ですので……あ、そうそう掃除道具はここにあるものを使ってくださいね」
玄関から続く廊下には造り付けの物置があって、掃除機やフロアモップなどの掃除用品が全て納められていた。
どうやら以前働いていたハウスキーパーさんはかなり有能な人だったらしい。
物置の中は綺麗に整理整頓されていた。
お風呂とトイレを確認してからリビングに移動する。
リビングに面したカウンターキッチンにはスチームオーブンなど料理をするのに必要な家電が全て揃っていた。
お鍋や包丁の数も一人暮らしとは思えない程充実している。
正直、今まで料理していた眞島家のキッチンより断然すごい……。
「はぁ……弁護士さんってお金持ちなんですねぇ……」
私はついそう呟いた。
いや、うちの父も弁護士だけどさ、先生の若さでこの生活って……!
多分、あのまま実家で女子大生をしていたら分からなかった。
駆け落ちしたからこそ分かる。
生活するってお金がかかるんだってこと。
この部屋は……正直すごいよ。
家具も家電も一流品ばかり。
なんだか圧倒されてしまった。
「あのね、千尋さん……私なんてまだ新人に毛が生えたようなものですよ……」
先生は、はぁっと大きくため息をついた。
「でも、先生。この家も、車も……」
きっとびっくりするほどのお値段だよね?
「どちらも私のものではありません。元々は私の……母のものです」
先生は苦々しげに言った。
母?
「母って……先生のお母さん!?」
先生の家は複雑で後妻さんとは上手くいっていないって聞いていたけど。
「そう、母です。私を……捨てたほうのね」
先生が吐き捨てるようにそう言ったから、私はもう何も聞けなくなってしまった。
私を捨てたって……。
どういう事なんだろう?
とりあえずこの家は先生の産みのお母さんの物だってことなのかな……?
私、子供の頃から先生が好きなのに先生の家の事を全然知らない。
子供心に聞いちゃいけないって思ってた。
でも……偽装とは言え、今私は先生の婚約者なんだから先生の事ちゃんと知るべきだよね。
私……無関心すぎた。
そんなことに今更気が付くなんて。
先生の事、もっと知りたいよ。
幼いころから先生がしてくれたように……私だって先生を支えたいんだから。
「ああ、すみません。余計なことを言いましたね。どうぞ気になさらないで下さい……そうだ、せっかくキッチンに来たのでコーヒーでも淹れましょうか? とりあえずティータイムにしましょう」
先生はそう言って電気ケトルに水をそそいだ。
「ほら、千尋さんクッキーがお好きでしょう? 貰いものですが美味しそうですよ」
先生は明るい口調で言うけれど……余計に痛々しい。
「ホント、美味しそうですね」
私にとっては、クールで完璧な先生も……私と同じように親の事で傷ついたり悩んだりした事があるのかも知れない。
私より大人の先生だって、誰かの子供なんだもの。
そう気が付くと、これまで以上に先生の事を愛おしく思う。
私が勝手に遠く感じていた先生との距離が、少しだけ近づいた気がした。
先生はコーヒーカップとクッキーを盛りつけたお皿を乗せたトレイをダイニングテーブルへ置いた。
私も先生に続いてリビングに移動する。
先生の広い背中がどことなく寂しげだ。
私は左腕で蓮を抱っこしたまま先生のシャツの背を右手で軽くつまんだ。
「……千尋さん?」
先生は振り返らずに尋ねる。
「……先生、少しだけ、こうしていてもいいですか?」
私はおでこをコテンと先生の背中にあてた。
腕の中の蓮は私と先生に挟まれたものの大人しくしている。
先生の背中……大きくて温かい。
好きだ。
先生が愛しい。
気を抜くとそう口にしてしまいそうで怖い。
先生の背中に心の中でだけ告げるよ。
先生が……好き。
先生が勧めてくれたクッキーは本当に美味しかった。
バターの味が濃厚で口の中でホロリと溶ける。
私、子供の頃からクッキーが大好物なのだ。
先生はそれを覚えていてくれたんだね。
嬉しいな。
ついつい顔がほころんでしまう。
そんな私の顔を蓮が膝の上から見上げている。
蓮も食べられたら良かったのに。
「このクッキー本当に美味しいですね。どこのお店のですか?」
「先月、駅前にオープンしたお店のものです。ちなみにここのプリンは絶品です。きっと千尋さんお好きですよ」
ぜ、絶品のプリンだって!?
私、プリンも大好物なのだ!
うううっ、食べてみたい!
大体、先生はスイーツ好きなのに全然太らないんだから、ホント恨めしい。
じゃなかった、羨ましい。
しまった、つい本音が出ちゃってた?
私なんて、蓮を産んでから体重が減らなくて困ってるっていうのにさ……。
「今度はプリンを買ってきますね。そしたらまたこうして一緒にお茶してくれますか?」
先生のその提案は悪魔の誘惑だけど……絶品のプリンは是非食べてみたい!
私は口いっぱいにクッキーを頬張っていたのでコクコクとうなずく。
先生は、
「今から楽しみです」
とにっこり微笑んだ。
先生、私も楽しみです。
「ああ、そうだ、今日千尋さんに来ていただいた本当の目的を忘れていました」
先生はそう言って立ち上がる。
へ? 本当の目的って、家の中の案内じゃないの?
「ほら、千尋さん、これですよ」
先生はそう言ってソファーの横に置いたままのビジネスバッグから二枚の紙を持ってきた。
これは……?
「内容を確認して、よろしければサインをして下さいね」
ダイニングテーブルに並ぶ二枚の紙。
私のすぐ横に立ったまま、先生は黒い万年筆を紙の上に置いた。
内容を確認してって言われても……。
一応目を通してみたけど……先生、もう少し平易な文で書いてくれないかな?
大体、甲とか乙とか回りくどすぎる!
私に分かるように説明してほしい。
この『雇用契約書』と『偽装婚約契約書』に書かれていることを。
困り切って見上げた私の表情があんまりおかしかったのか先生はプッと吹き出した。
しょうがないじゃん、先生と違って契約書なんて見慣れてないんだもん!
先生は、くくくっと笑いながら目に涙を浮かべている。
えー、そんなに私、情けない顔してる?
「先生……そんなに笑わなくても……!」
「すみません、あんまり千尋さんの困り顔がかわいくってつい……」
あ! また私の事をか、かわいいだなんて……!
もう、そんな言葉でごまかされないんだからね。
「こちらの『雇用契約書』はハウスキーパーのお仕事について、主に家の中の掃除、洗濯、食事の用意、買い物等を頼みたいという事と……私の家で見聞きしたことを漏らさない、つまり守秘義務を守って欲しいという事が書いてあります。あとは雇用形態についてですね、休日や給料についてはここに」
先生は綺麗な長い指で書類を指すと簡潔に説明してくれた。
ふんふん、なるほど。
さすが冬馬先生、分かりやすい。
「そしてこちらの『偽装婚約契約書』ですが……第一条は契約中はお互いに婚約者としてふるまう、という確認ですね。第二条は秘密の保持について、お互いの家族にはこの婚約が偽装であることは秘密にするという事、それから第三条、甲及び乙の同意があればこの偽装婚約は解消することができる……つまり双方が合意したらこの婚約は解消できるという事です。……ご納得いただけましたか?」
「は、はい」
「他に何か追加しておきたいことはありませんか?」
他に……?
あ、それなら!
「先生! 第四条、過度なスキンシップは禁止する! っていうのはどうですか?」
先生に触れられるたびにドキドキしちゃうんだもん。
心臓に悪いんだよ。
私の提案に先生は心底嫌そうな表情で首を振った。
「それはムリです」
「ムリって……どうして?」
「千尋さんに触れたいからに決まっているじゃありませんか」
「なぜ?」
「何故って……」
先生は右手をすっと伸ばすと私の顎に触れた。
かすかに触れた指先は頬を通り過ぎて耳をなぞる。
「んんっ、先生っ……?」
なぜ……?
先生の顔が近づいて唇が耳に触れる。
「千尋さん、気持ちよければ別にどうでもいい事でしょう? 私がそう言えば……あなたは安心するのでしょうね?」
短い手足を一生懸命バタバタ動かして凄くかわいいの!
嬉しい時は全力で喜ぶんだね!
「では、蓮さんの調子がいいうちにこの家の中を案内したいのですが……よろしいですか?」
先生の家は、私の新しい職場という事になる。
そして、先生は私の雇用主だ。
「はい、よろしくお願いします」
気持ちをお仕事モードに切り替えて、私は蓮を抱いたまま立ち上がった。
「では、まず玄関から……」
冬馬先生の家はかなりゆったりとしたつくりの2LDKだ。
玄関から入って廊下の右側に洗面所とトイレがあり、左側の洋室は寝室だった。
七、八畳はありそうな広めの室内には、デスクとベッドの他に大きなスチールの書棚が二つも並んでいて、棚には法律関係の分厚い本やファイルがぎっしり詰め込まれている。
「この部屋は掃除しなくて結構ですので……あ、そうそう掃除道具はここにあるものを使ってくださいね」
玄関から続く廊下には造り付けの物置があって、掃除機やフロアモップなどの掃除用品が全て納められていた。
どうやら以前働いていたハウスキーパーさんはかなり有能な人だったらしい。
物置の中は綺麗に整理整頓されていた。
お風呂とトイレを確認してからリビングに移動する。
リビングに面したカウンターキッチンにはスチームオーブンなど料理をするのに必要な家電が全て揃っていた。
お鍋や包丁の数も一人暮らしとは思えない程充実している。
正直、今まで料理していた眞島家のキッチンより断然すごい……。
「はぁ……弁護士さんってお金持ちなんですねぇ……」
私はついそう呟いた。
いや、うちの父も弁護士だけどさ、先生の若さでこの生活って……!
多分、あのまま実家で女子大生をしていたら分からなかった。
駆け落ちしたからこそ分かる。
生活するってお金がかかるんだってこと。
この部屋は……正直すごいよ。
家具も家電も一流品ばかり。
なんだか圧倒されてしまった。
「あのね、千尋さん……私なんてまだ新人に毛が生えたようなものですよ……」
先生は、はぁっと大きくため息をついた。
「でも、先生。この家も、車も……」
きっとびっくりするほどのお値段だよね?
「どちらも私のものではありません。元々は私の……母のものです」
先生は苦々しげに言った。
母?
「母って……先生のお母さん!?」
先生の家は複雑で後妻さんとは上手くいっていないって聞いていたけど。
「そう、母です。私を……捨てたほうのね」
先生が吐き捨てるようにそう言ったから、私はもう何も聞けなくなってしまった。
私を捨てたって……。
どういう事なんだろう?
とりあえずこの家は先生の産みのお母さんの物だってことなのかな……?
私、子供の頃から先生が好きなのに先生の家の事を全然知らない。
子供心に聞いちゃいけないって思ってた。
でも……偽装とは言え、今私は先生の婚約者なんだから先生の事ちゃんと知るべきだよね。
私……無関心すぎた。
そんなことに今更気が付くなんて。
先生の事、もっと知りたいよ。
幼いころから先生がしてくれたように……私だって先生を支えたいんだから。
「ああ、すみません。余計なことを言いましたね。どうぞ気になさらないで下さい……そうだ、せっかくキッチンに来たのでコーヒーでも淹れましょうか? とりあえずティータイムにしましょう」
先生はそう言って電気ケトルに水をそそいだ。
「ほら、千尋さんクッキーがお好きでしょう? 貰いものですが美味しそうですよ」
先生は明るい口調で言うけれど……余計に痛々しい。
「ホント、美味しそうですね」
私にとっては、クールで完璧な先生も……私と同じように親の事で傷ついたり悩んだりした事があるのかも知れない。
私より大人の先生だって、誰かの子供なんだもの。
そう気が付くと、これまで以上に先生の事を愛おしく思う。
私が勝手に遠く感じていた先生との距離が、少しだけ近づいた気がした。
先生はコーヒーカップとクッキーを盛りつけたお皿を乗せたトレイをダイニングテーブルへ置いた。
私も先生に続いてリビングに移動する。
先生の広い背中がどことなく寂しげだ。
私は左腕で蓮を抱っこしたまま先生のシャツの背を右手で軽くつまんだ。
「……千尋さん?」
先生は振り返らずに尋ねる。
「……先生、少しだけ、こうしていてもいいですか?」
私はおでこをコテンと先生の背中にあてた。
腕の中の蓮は私と先生に挟まれたものの大人しくしている。
先生の背中……大きくて温かい。
好きだ。
先生が愛しい。
気を抜くとそう口にしてしまいそうで怖い。
先生の背中に心の中でだけ告げるよ。
先生が……好き。
先生が勧めてくれたクッキーは本当に美味しかった。
バターの味が濃厚で口の中でホロリと溶ける。
私、子供の頃からクッキーが大好物なのだ。
先生はそれを覚えていてくれたんだね。
嬉しいな。
ついつい顔がほころんでしまう。
そんな私の顔を蓮が膝の上から見上げている。
蓮も食べられたら良かったのに。
「このクッキー本当に美味しいですね。どこのお店のですか?」
「先月、駅前にオープンしたお店のものです。ちなみにここのプリンは絶品です。きっと千尋さんお好きですよ」
ぜ、絶品のプリンだって!?
私、プリンも大好物なのだ!
うううっ、食べてみたい!
大体、先生はスイーツ好きなのに全然太らないんだから、ホント恨めしい。
じゃなかった、羨ましい。
しまった、つい本音が出ちゃってた?
私なんて、蓮を産んでから体重が減らなくて困ってるっていうのにさ……。
「今度はプリンを買ってきますね。そしたらまたこうして一緒にお茶してくれますか?」
先生のその提案は悪魔の誘惑だけど……絶品のプリンは是非食べてみたい!
私は口いっぱいにクッキーを頬張っていたのでコクコクとうなずく。
先生は、
「今から楽しみです」
とにっこり微笑んだ。
先生、私も楽しみです。
「ああ、そうだ、今日千尋さんに来ていただいた本当の目的を忘れていました」
先生はそう言って立ち上がる。
へ? 本当の目的って、家の中の案内じゃないの?
「ほら、千尋さん、これですよ」
先生はそう言ってソファーの横に置いたままのビジネスバッグから二枚の紙を持ってきた。
これは……?
「内容を確認して、よろしければサインをして下さいね」
ダイニングテーブルに並ぶ二枚の紙。
私のすぐ横に立ったまま、先生は黒い万年筆を紙の上に置いた。
内容を確認してって言われても……。
一応目を通してみたけど……先生、もう少し平易な文で書いてくれないかな?
大体、甲とか乙とか回りくどすぎる!
私に分かるように説明してほしい。
この『雇用契約書』と『偽装婚約契約書』に書かれていることを。
困り切って見上げた私の表情があんまりおかしかったのか先生はプッと吹き出した。
しょうがないじゃん、先生と違って契約書なんて見慣れてないんだもん!
先生は、くくくっと笑いながら目に涙を浮かべている。
えー、そんなに私、情けない顔してる?
「先生……そんなに笑わなくても……!」
「すみません、あんまり千尋さんの困り顔がかわいくってつい……」
あ! また私の事をか、かわいいだなんて……!
もう、そんな言葉でごまかされないんだからね。
「こちらの『雇用契約書』はハウスキーパーのお仕事について、主に家の中の掃除、洗濯、食事の用意、買い物等を頼みたいという事と……私の家で見聞きしたことを漏らさない、つまり守秘義務を守って欲しいという事が書いてあります。あとは雇用形態についてですね、休日や給料についてはここに」
先生は綺麗な長い指で書類を指すと簡潔に説明してくれた。
ふんふん、なるほど。
さすが冬馬先生、分かりやすい。
「そしてこちらの『偽装婚約契約書』ですが……第一条は契約中はお互いに婚約者としてふるまう、という確認ですね。第二条は秘密の保持について、お互いの家族にはこの婚約が偽装であることは秘密にするという事、それから第三条、甲及び乙の同意があればこの偽装婚約は解消することができる……つまり双方が合意したらこの婚約は解消できるという事です。……ご納得いただけましたか?」
「は、はい」
「他に何か追加しておきたいことはありませんか?」
他に……?
あ、それなら!
「先生! 第四条、過度なスキンシップは禁止する! っていうのはどうですか?」
先生に触れられるたびにドキドキしちゃうんだもん。
心臓に悪いんだよ。
私の提案に先生は心底嫌そうな表情で首を振った。
「それはムリです」
「ムリって……どうして?」
「千尋さんに触れたいからに決まっているじゃありませんか」
「なぜ?」
「何故って……」
先生は右手をすっと伸ばすと私の顎に触れた。
かすかに触れた指先は頬を通り過ぎて耳をなぞる。
「んんっ、先生っ……?」
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