1 / 15
1章
1話 いい話、ないの?
しおりを挟む
「んぁー、寝すぎたー」
私はベッドの上で体を起こすと大きく伸びをした。枕元の目覚まし時計の針は十二時をまわっている。ベージュの遮光カーテンの隙間からは冬らしい白い光が漏れていた。私はカーテンを開けようと立ち上がる。
「寒っ」
部屋はかなり冷えていて急いでカーディガンを羽織る。
「あ、カレンダー去年のままじゃん」
もう年が明けたというのに壁にかかったカレンダーは十二月どころかまだ十一月のまま……。え、だらしがないって……? 確かにいい年をした大人として恥ずかしいと思う。でも、言い訳をさせてもらうと十二月は本当に忙しかったのだ。
ほら師走っていうじゃない。あれ、ホント。本当に先生は走り回るものなのだよ。……ま、十二月に限らないけど。
仕事柄四月はじまりのカレンダーを買っておいて良かった。十一月と十二月のページを破ると正月らしい華やかなフラワーアレンジメントの写真が現れ、私の部屋にもやっと新年が訪れた。
ちなみに十二月の写真はクリスマスの花のアレンジだった。クリスマスのページを飛ばす人生って……。なにも聞かないで欲しい。
窓の外には青空が広がっている。冬のこのちょっと薄いブルーが好きだ。冷たい空気を思いっきり体に取り込むと気持ちがきりっと引き締まる。
「いい天気だなー」
ふふっ、なんかこんなに晴れていると気分もあがるよね。新しい年が来たんだ。去年の事は忘れよう。今日から三日まで仕事はお休み。……三日に行こうかどうかちょっと迷っている予定が入っているのが引っかかるけど、うん、まだ時間あるし……。正直、引きこもろうって決めたら休みの間はゆっくり家で過ごしたいタイプなんだけどな……。まいいや、とりあえずキッチンに行って水でも飲むか。
私は自室を出て降りなれた階段をトントンと下った。
「ふんふんふ~ん」
よくわからない鼻歌を口ずさみながらキッチンへ。
「ごきげんだな」
ん?
突然リビングから聞こえた低い声に私は驚いて振り返った。
「おはようリカ、っても、もう昼だけど」
誰もいないと思っていたリビングのコタツにいとこの遼太が座っていた。
「へ? リョータ……? オハヨ……え? えぇぇえええ?」
びっくりしすぎて心臓が止まるかと思った。なんで遼太がうちのリビングのこたつでみかん食べてるのー!
「伯父さんと伯母さんと宗像大社に初詣に行くっていうからお袋を送って来た。三人はもうとっくに出かけたぞ」
たしかに夕べ母から叔母さん――母の妹で遼太のお母さんね――と初詣に行くって聞いてたけど……。
「寒ぃだろ?とりあえず突っ立ってないでこたつに入れよ」
「う、うん……」
遼太はみかんを食べる手をとめてこたつの上のお盆に伏せてあった湯呑を一つひっくり返すと慣れた手つきで保温ポットのお湯を急須に注いだ。
私は差し出された湯呑を受け取りながら礼を言う。
「あ、ありがと……」
あいかわらずマメだ。正直遼太はそこいらの女の子より気が利く。
自分ちなのに客にお茶を入れてもらうって、どんだけダメ女なのよ、わたし。ううう。
「ぷっ、あはは」
恨めしそうな私の視線には気づかず、遼太はいかにもお正月! といったお笑い番組を見て笑い声をあげた。
うーん……この状況、起き抜けでまだよく理解できていないんだけど……。
遼太、久しぶりに会うな。元々イケメンだったけど会わないうちにさらにかっこよくなっている気がする。肩幅も広くなってなんかすっかり大人の男の人だ。
そりゃあ、そうよね。同い年の私だって大学出て働き始めてもう四年になる。……うちのリビングに父親以外の大人の男性がいるのって違和感がすごい。知らない人みたいだ……いや、でも遼太だよ。子供の時から知ってるじゃん。意識するのは変だよね。……う……ん、みかんでも食べるか?
「あ、年賀状……」
何となく落ち着かず視線をさまよわせているとみかんが盛られたかごの横にゴムでまとめられた年賀状があるのに気が付いた。
「はい」
遼太が手渡してくれる。
軽く確認するとすべて私あてのものの様だ。例年通り父が仕訳けてくれたらしい。まずは名前を確認しながら三つの山に分けていく。
「これ、どういう基準?」
「え、ああ、この山は友達とか親戚、これは同僚とかそういう仕事関係者、でこっちが児童だね」
「へーぇ、ね、ちょっと見てもいい?」
「え?いいよ……いいけどちょっと恥ずかしいな」
私は今度はゆっくり一枚ずつ年賀状に目を通して、済んだものから遼太に渡していった。
「小学生はかわいいな、この子たち何年生?」
「五年生……かわいいよ~!私にとってこの学年は特別なんだ」
子供たちの年賀状は家族写真がプリントされたものが多くて見ていて楽しい。親子ってやっぱり似ているんだよね~。みんないつもよりちょっとよそ行きな丁寧な文字で『今井先生、今年もよろしくおねがいします』って書いてあったりしてそれもかわいい。
「私ね、大学卒業して最初に担任したのがこの学年だったの。当時はまだ二年生でね。……正直三月まで女子大生だった私が四月には二年三組のクラス担任として家庭訪問したりするわけ。もう、ホント毎日毎日いっぱいいっぱいでさ。運動会や、音楽発表会とか初めての事だらけでもう大変だった」
「確かに、学校の先生って特殊だよな。入社直後から独り立ちって普通の企業じゃありえない話だろ?」
「初任だから一応指導教員はつくんだよ。ま、私も大変だったけど……子供たちも大変だったと思う。学校行事とか私より子供たちの方が詳しいからホント助けられたし、当時は上手くクラス運営できなくて申し訳ないな、って気持ちが強かったかな」
「そっか……」
私は年賀状を置くとひとくちお茶を飲んだ。
「温まる。……そのあと四年生、三年生の担任をして今年ついに五年生を持たせて貰えたの。五年生は算数も難しいし自然教室もあって大変な学年なんだけど私は初任の時に受け持ったこの子達ともういちど向き合いたいってずっと思ってたから任せてもらえて嬉しかったんだ。絶対今度は六年生に持ち上がってこの学年を卒業させたいって頑張ってる」
「リカ、ちゃんと先生してるじゃん」
「そりゃ、まあね。そーゆーリョータは役所の仕事どうなのよ?」
「俺? ま、俺もなんとかやってるよ。今年後輩もできて今はそいつの指導もしてる」
「へーすごいじゃん」
「まあな」
なんか不思議……遼太とこんな話をする時が来るなんて。あの時は考えられなかった。それなりに時間がたってお互いに大人になったってことなのかな?
私は年賀状の続きを手に取って、固まってしまう。
佐藤俊哉先生……丁寧で几帳面そうな字で『三日楽しみにしています』と添えられている。
佐藤先生は今年度、私が勤める小学校に移動してきた。三歳年上の二十九歳で真面目でいい先生だ。誠実な対応で保護者からも人気があり子供たちの心もギュッとつかんでいる。本当にいい人だ。……いい人過ぎて困っている。昨年末『正月休みに映画を見に行きませんか』と誘われて断ることが出来ず、ついに約束してしまった。これまで何度も断ってきて、さすがにもう断りづらい。はぁ……。
遼太は私からその年賀状を受け取ると顔をあげずに言った。
「いい話ないの?」
「え?」
「結婚とか」
「ないよ、ないない」
「……つまんないの」
ヤバイ、どうしよう、急に胸がドキドキしてきた。
「そ、そーゆーリョータは?」
「俺? そんな話があったら一月一日にお前とこたつでみかんなんて食ってないでしょ?」
「そ、そーだよね」
私、今あからさまにホッとした顔しなかったよね。うまく平静を保てたよね。
ヤバイ。
ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ! 今かなりヤバイ話の流れだった!
今、一瞬ですごい沢山の事を考えた! 何だろう、たまにこういう時がある。頭が急にフル回転しだすんだ。
『もしかしたら遼太が急に現れたのは自身の結婚の報告なんじゃないか?』ってマジで焦った。私が焦るのも変だけど、そういう日がいつか来ることも覚悟はしていたつもりだったけど……。
はぁー、ホッとした。そっか……遼太、今フリーなんだ、ってホッとしている自分に腹が立つ! ダメじゃん、私! 全然吹っ切れてない!
高三のあの冬からずいぶんたった。このまま暮らしていれば私は遼太の親戚という立場でずっと彼と関わることが出来る。いつか、彼が結婚して子供が出来たりしても見守っていける。その権利だけは失いたくない。決定的な終わりを迎えるのだけは嫌だ。
それなりに仕事にも慣れて大人になったつもりでいた。でも私は今も臆病なまま。
こんなこと、年明け早々気が付きたくなかったよ……。
私はベッドの上で体を起こすと大きく伸びをした。枕元の目覚まし時計の針は十二時をまわっている。ベージュの遮光カーテンの隙間からは冬らしい白い光が漏れていた。私はカーテンを開けようと立ち上がる。
「寒っ」
部屋はかなり冷えていて急いでカーディガンを羽織る。
「あ、カレンダー去年のままじゃん」
もう年が明けたというのに壁にかかったカレンダーは十二月どころかまだ十一月のまま……。え、だらしがないって……? 確かにいい年をした大人として恥ずかしいと思う。でも、言い訳をさせてもらうと十二月は本当に忙しかったのだ。
ほら師走っていうじゃない。あれ、ホント。本当に先生は走り回るものなのだよ。……ま、十二月に限らないけど。
仕事柄四月はじまりのカレンダーを買っておいて良かった。十一月と十二月のページを破ると正月らしい華やかなフラワーアレンジメントの写真が現れ、私の部屋にもやっと新年が訪れた。
ちなみに十二月の写真はクリスマスの花のアレンジだった。クリスマスのページを飛ばす人生って……。なにも聞かないで欲しい。
窓の外には青空が広がっている。冬のこのちょっと薄いブルーが好きだ。冷たい空気を思いっきり体に取り込むと気持ちがきりっと引き締まる。
「いい天気だなー」
ふふっ、なんかこんなに晴れていると気分もあがるよね。新しい年が来たんだ。去年の事は忘れよう。今日から三日まで仕事はお休み。……三日に行こうかどうかちょっと迷っている予定が入っているのが引っかかるけど、うん、まだ時間あるし……。正直、引きこもろうって決めたら休みの間はゆっくり家で過ごしたいタイプなんだけどな……。まいいや、とりあえずキッチンに行って水でも飲むか。
私は自室を出て降りなれた階段をトントンと下った。
「ふんふんふ~ん」
よくわからない鼻歌を口ずさみながらキッチンへ。
「ごきげんだな」
ん?
突然リビングから聞こえた低い声に私は驚いて振り返った。
「おはようリカ、っても、もう昼だけど」
誰もいないと思っていたリビングのコタツにいとこの遼太が座っていた。
「へ? リョータ……? オハヨ……え? えぇぇえええ?」
びっくりしすぎて心臓が止まるかと思った。なんで遼太がうちのリビングのこたつでみかん食べてるのー!
「伯父さんと伯母さんと宗像大社に初詣に行くっていうからお袋を送って来た。三人はもうとっくに出かけたぞ」
たしかに夕べ母から叔母さん――母の妹で遼太のお母さんね――と初詣に行くって聞いてたけど……。
「寒ぃだろ?とりあえず突っ立ってないでこたつに入れよ」
「う、うん……」
遼太はみかんを食べる手をとめてこたつの上のお盆に伏せてあった湯呑を一つひっくり返すと慣れた手つきで保温ポットのお湯を急須に注いだ。
私は差し出された湯呑を受け取りながら礼を言う。
「あ、ありがと……」
あいかわらずマメだ。正直遼太はそこいらの女の子より気が利く。
自分ちなのに客にお茶を入れてもらうって、どんだけダメ女なのよ、わたし。ううう。
「ぷっ、あはは」
恨めしそうな私の視線には気づかず、遼太はいかにもお正月! といったお笑い番組を見て笑い声をあげた。
うーん……この状況、起き抜けでまだよく理解できていないんだけど……。
遼太、久しぶりに会うな。元々イケメンだったけど会わないうちにさらにかっこよくなっている気がする。肩幅も広くなってなんかすっかり大人の男の人だ。
そりゃあ、そうよね。同い年の私だって大学出て働き始めてもう四年になる。……うちのリビングに父親以外の大人の男性がいるのって違和感がすごい。知らない人みたいだ……いや、でも遼太だよ。子供の時から知ってるじゃん。意識するのは変だよね。……う……ん、みかんでも食べるか?
「あ、年賀状……」
何となく落ち着かず視線をさまよわせているとみかんが盛られたかごの横にゴムでまとめられた年賀状があるのに気が付いた。
「はい」
遼太が手渡してくれる。
軽く確認するとすべて私あてのものの様だ。例年通り父が仕訳けてくれたらしい。まずは名前を確認しながら三つの山に分けていく。
「これ、どういう基準?」
「え、ああ、この山は友達とか親戚、これは同僚とかそういう仕事関係者、でこっちが児童だね」
「へーぇ、ね、ちょっと見てもいい?」
「え?いいよ……いいけどちょっと恥ずかしいな」
私は今度はゆっくり一枚ずつ年賀状に目を通して、済んだものから遼太に渡していった。
「小学生はかわいいな、この子たち何年生?」
「五年生……かわいいよ~!私にとってこの学年は特別なんだ」
子供たちの年賀状は家族写真がプリントされたものが多くて見ていて楽しい。親子ってやっぱり似ているんだよね~。みんないつもよりちょっとよそ行きな丁寧な文字で『今井先生、今年もよろしくおねがいします』って書いてあったりしてそれもかわいい。
「私ね、大学卒業して最初に担任したのがこの学年だったの。当時はまだ二年生でね。……正直三月まで女子大生だった私が四月には二年三組のクラス担任として家庭訪問したりするわけ。もう、ホント毎日毎日いっぱいいっぱいでさ。運動会や、音楽発表会とか初めての事だらけでもう大変だった」
「確かに、学校の先生って特殊だよな。入社直後から独り立ちって普通の企業じゃありえない話だろ?」
「初任だから一応指導教員はつくんだよ。ま、私も大変だったけど……子供たちも大変だったと思う。学校行事とか私より子供たちの方が詳しいからホント助けられたし、当時は上手くクラス運営できなくて申し訳ないな、って気持ちが強かったかな」
「そっか……」
私は年賀状を置くとひとくちお茶を飲んだ。
「温まる。……そのあと四年生、三年生の担任をして今年ついに五年生を持たせて貰えたの。五年生は算数も難しいし自然教室もあって大変な学年なんだけど私は初任の時に受け持ったこの子達ともういちど向き合いたいってずっと思ってたから任せてもらえて嬉しかったんだ。絶対今度は六年生に持ち上がってこの学年を卒業させたいって頑張ってる」
「リカ、ちゃんと先生してるじゃん」
「そりゃ、まあね。そーゆーリョータは役所の仕事どうなのよ?」
「俺? ま、俺もなんとかやってるよ。今年後輩もできて今はそいつの指導もしてる」
「へーすごいじゃん」
「まあな」
なんか不思議……遼太とこんな話をする時が来るなんて。あの時は考えられなかった。それなりに時間がたってお互いに大人になったってことなのかな?
私は年賀状の続きを手に取って、固まってしまう。
佐藤俊哉先生……丁寧で几帳面そうな字で『三日楽しみにしています』と添えられている。
佐藤先生は今年度、私が勤める小学校に移動してきた。三歳年上の二十九歳で真面目でいい先生だ。誠実な対応で保護者からも人気があり子供たちの心もギュッとつかんでいる。本当にいい人だ。……いい人過ぎて困っている。昨年末『正月休みに映画を見に行きませんか』と誘われて断ることが出来ず、ついに約束してしまった。これまで何度も断ってきて、さすがにもう断りづらい。はぁ……。
遼太は私からその年賀状を受け取ると顔をあげずに言った。
「いい話ないの?」
「え?」
「結婚とか」
「ないよ、ないない」
「……つまんないの」
ヤバイ、どうしよう、急に胸がドキドキしてきた。
「そ、そーゆーリョータは?」
「俺? そんな話があったら一月一日にお前とこたつでみかんなんて食ってないでしょ?」
「そ、そーだよね」
私、今あからさまにホッとした顔しなかったよね。うまく平静を保てたよね。
ヤバイ。
ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ! 今かなりヤバイ話の流れだった!
今、一瞬ですごい沢山の事を考えた! 何だろう、たまにこういう時がある。頭が急にフル回転しだすんだ。
『もしかしたら遼太が急に現れたのは自身の結婚の報告なんじゃないか?』ってマジで焦った。私が焦るのも変だけど、そういう日がいつか来ることも覚悟はしていたつもりだったけど……。
はぁー、ホッとした。そっか……遼太、今フリーなんだ、ってホッとしている自分に腹が立つ! ダメじゃん、私! 全然吹っ切れてない!
高三のあの冬からずいぶんたった。このまま暮らしていれば私は遼太の親戚という立場でずっと彼と関わることが出来る。いつか、彼が結婚して子供が出来たりしても見守っていける。その権利だけは失いたくない。決定的な終わりを迎えるのだけは嫌だ。
それなりに仕事にも慣れて大人になったつもりでいた。でも私は今も臆病なまま。
こんなこと、年明け早々気が付きたくなかったよ……。
0
お気に入りに追加
160
あなたにおすすめの小説

〖完結〗幼馴染みの王女様の方が大切な婚約者は要らない。愛してる? もう興味ありません。
藍川みいな
恋愛
婚約者のカイン様は、婚約者の私よりも幼馴染みのクリスティ王女殿下ばかりを優先する。
何度も約束を破られ、彼と過ごせる時間は全くなかった。約束を破る理由はいつだって、「クリスティが……」だ。
同じ学園に通っているのに、私はまるで他人のよう。毎日毎日、二人の仲のいい姿を見せられ、苦しんでいることさえ彼は気付かない。
もうやめる。
カイン様との婚約は解消する。
でもなぜか、別れを告げたのに彼が付きまとってくる。
愛してる? 私はもう、あなたに興味はありません!
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
沢山の感想ありがとうございます。返信出来ず、申し訳ありません。

【完結】お姉様の婚約者
七瀬菜々
恋愛
姉が失踪した。それは結婚式当日の朝のことだった。
残された私は家族のため、ひいては祖国のため、姉の婚約者と結婚した。
サイズの合わない純白のドレスを身に纏い、すまないと啜り泣く父に手を引かれ、困惑と同情と侮蔑の視線が交差するバージンロードを歩き、彼の手を取る。
誰が見ても哀れで、惨めで、不幸な結婚。
けれど私の心は晴れやかだった。
だって、ずっと片思いを続けていた人の隣に立てるのだから。
ーーーーーそう、だから私は、誰がなんと言おうと、シアワセだ。

初耳なのですが…、本当ですか?
あおくん
恋愛
侯爵令嬢の次女として、父親の仕事を手伝ったり、邸の管理をしたりと忙しくしているアニーに公爵家から婚約の申し込みが来た!
でも実際に公爵家に訪れると、異世界から来たという少女が婚約者の隣に立っていて…。

【完結】私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね
江崎美彩
恋愛
王太子殿下の婚約者候補を探すために開かれていると噂されるお茶会に招待された、伯爵令嬢のミンディ・ハーミング。
幼馴染のブライアンが好きなのに、当のブライアンは「ミンディみたいなじゃじゃ馬がお茶会に出ても恥をかくだけだ」なんて揶揄うばかり。
「私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね! 王太子殿下に見染められても知らないんだから!」
ミンディはブライアンに告げ、お茶会に向かう……
〜登場人物〜
ミンディ・ハーミング
元気が取り柄の伯爵令嬢。
幼馴染のブライアンに揶揄われてばかりだが、ブライアンが自分にだけ向けるクシャクシャな笑顔が大好き。
ブライアン・ケイリー
ミンディの幼馴染の伯爵家嫡男。
天邪鬼な性格で、ミンディの事を揶揄ってばかりいる。
ベリンダ・ケイリー
ブライアンの年子の妹。
ミンディとブライアンの良き理解者。
王太子殿下
婚約者が決まらない事に対して色々な噂を立てられている。
『小説家になろう』にも投稿しています
【完結】捨ててください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
ずっと貴方の側にいた。
でも、あの人と再会してから貴方は私ではなく、あの人を見つめるようになった。
分かっている。
貴方は私の事を愛していない。
私は貴方の側にいるだけで良かったのに。
貴方が、あの人の側へ行きたいと悩んでいる事が私に伝わってくる。
もういいの。
ありがとう貴方。
もう私の事は、、、
捨ててください。
続編投稿しました。
初回完結6月25日
第2回目完結7月18日

顔も知らない旦那さま
ゆうゆう
恋愛
領地で大災害が起きて没落寸前まで追い込まれた伯爵家は一人娘の私を大金持ちの商人に嫁がせる事で存続をはかった。
しかし、嫁いで2年旦那の顔さえ見たことがない
私の結婚相手は一体どんな人?

【完結】元お義父様が謝りに来ました。 「婚約破棄にした息子を許して欲しい」って…。
BBやっこ
恋愛
婚約はお父様の親友同士の約束だった。
だから、生まれた時から婚約者だったし。成長を共にしたようなもの。仲もほどほどに良かった。そんな私達も学園に入学して、色んな人と交流する中。彼は変わったわ。
女学生と腕を組んでいたという、噂とか。婚約破棄、婚約者はにないと言っている。噂よね?
けど、噂が本当ではなくても、真にうけて行動する人もいる。やり方は選べた筈なのに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる