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2024年9月

9月28日

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午前中だけ仕事に行ってきた。
長男は次女を守るために早くから起きて、お義母さんを見張っていた。
お義母さんの前ではいつもやんちゃさはなく、借りてきた猫のようにおとなしい。
食事中も立ったり座ったりもなく、食べこぼしも少なく、長男の本気を見た気がする。
俺や妻のように普段から長男の近くにいる人は「充」か「充くん」と呼ぶが、お義母さんは「充宏」と呼ぶので慣れないせいかドキドキしているようだった。
それと、普段は双子のこともあり後回しにされる事が多いがお義母さんは長男を優先的に構うのでいつもと違う雰囲気に圧倒されている様子だった。
俺も妻も双子がぐずったらすぐに静かにさせようと慌てるが、お義母さんはそんなことはなく、誰が騒いでいようと長男に何事もなく話しかけていた。
俺には真似できないなと考えていたのが伝わっていたのか、長男がいなくなった隙にあの子には暇な時間を与えなければ問題ないのよと笑っていた。
その豪快な笑い方に、どことなく妻に似ているがなにか違うんだよなと感じた。
妻も歳を取ったらこうなるのだろうか。
妻が子供の頃に家の前に児童館があり時々手伝っていたと話していたので、問題児の扱いに慣れているのかと聞くとお義兄さんも騒がしタイプだったそう。
「もちろん長男ほどではないのよ。」との説明はあった。
お義母さんから見ても長男は騒がしいのだろう。
俺が知っている限りはそんな素振りもなく、兄妹で少しそそっかしところはあるが知的な感じがしたので驚いた。

仕事から帰ると長男が玄関で俺を待ち構えていた。
どうやらお義母さんの相手をするのが疲れたようだった。
俺がシャワーを浴びているときも洗面所で車のおもちゃで遊んでいた。
昼食後は子供部屋で遊ぼうと誘われて2階で過ごした。
長男が寝てしまったので、リビングに下りると長男のおもちゃが出しっぱなしだった。
その後長男が慌てて起きてきて俺を見てあからさまにホッとしたのが分かった。
おもちゃ箱から何かを探していたが、ブロックがないと言いにきたので、さっきおもちゃ箱に入れたことを伝えたがなかったらしい。
俺もおもちゃ箱を探したがなかった。
もしかしたらと思い、冷凍庫を開けるとまた冷凍されていた。
俺が片付けてからは次男はずっと妻に話しかけていたので、おそらくやったのは次女だろう。
もしかしたら、俺がおもちゃを片付けながら「片付けてほしいなぁ、しまえばいいのに。」と呟いたのを聞いていたのだろうか。
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