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2024年4月

4月2日 1/2

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昨日東と会った時に乗田さんの奥様とのことを話すと、早瀬さんを連れて行けと言われた。
嫌じゃなければと早瀬さんに声をかけると、気になってたからいいよとあっさりと了承してもらえた。
約束の時間を少し過ぎた頃に着くと、玄関を開けて出迎えてくれた。
リビングに通され、カタログや写真を見せると食い入るように見ていた。
引き戸を見ていたので、開き戸から替えるとなると大規模な工事になるかもしれないというと、やっとこちらを見た。
「私ったらコーヒーも出さずに」と慌てて、キッチンにパタパタと足音をたてて向かった。
その足音に妻を思い出した。
朝あったばかりなのに、なんでこんな事を思ったのだろうと思っていると、早瀬さんから予算先に聞いたほうがいいのではと提言された。
戻って来た奥様に早瀬さんが、「奥さんは下の名前何っておっしゃるんですか?書類とかは全部旦那さんの名前だったから気になっちゃって」と軽く聞いた。
智子さん、55歳。
私とそんなに変わらないのねとの早瀬さんの言葉から、色々と話が弾んでいた。
今回の依頼の部屋は智子さんがリビングとして使っている部屋だったらしい。
他人の家のリビングは多少なりとも居心地が悪いものだが、通されたリビングはそれが無く、まるで客室に通された気分だったのはそれが理由だったのかもしれない。
「主人といる時はここにいるんだけど、普段は2階の部屋にいるの。ここは自分のものがない気がして。」と少し寂しそうに話していた。
飾られてあった絵画や花瓶、棚の中の物に至るまで、嫁いで来る前から元々あったものだと。
ここよりも上の部屋で話しを聞かせて欲しいと言うと、少し笑ってどうぞと上の部屋に通された。
よくある何となく自分の落ち着ける場所ではないと感じる空間だった。
寝具類はなかったが、古い子供が描いた絵や産まれたばかりの子供を抱く女性の写真とローテーブル、読みかけの本が置いてあった。
窓にはレースのカーテンのみがあり、「主人が寝た後はここで少しゆっくりしていたんだけど、明かりをつけると外から見えるから困ってて」と早くなんとかしたいようだった。
窓を開けて確認したが、交換だけならうちの会社でもできるが、外壁も経年劣化しているので工務店に仕事を頼まないといけないと思うと説明した。
予算を聞くと工事をすると収まらなさそうだった。
工事の見積もりは、うちで出来ないので開き戸を勧めると、「開き戸も最初からだったから、自分を変えたくて」と、自分のリビングを作りたいようだった。
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