ねこさんは、トレジャーハンター！？

202 深い森の中にて……

　新緑が太陽を遮り、日差しは柔らかく森の中にこぼれ落ちていた。

「うーん、空気がおいしいのね！」

　すう、と思い切り新鮮な空気を肺に流し込めば、なんだか力がみなぎってくるようだ。

『……それはそうと、ご主人。あの説明だけで本当に良かったのか？』

　にゃんどらを出発して、すでに１時間が経過していた。

　潜竜木採集のための情報を、老猫から聞いてはいたが……。


「潜竜木は、村からかなり南下した地点にある、巨木の群生地にあるらしいんじゃが……その群生地の詳しい場所も、今となっては……」


　つまり、ほぼノーヒント状態と言うわけだ。

「南の方なのね！　それだけわかれば十分なのねー！！」

　だが、ねこさんはこう言って、村を飛び出したのである。


「う～ん……こっち……と見せかけて、こっちなのね！」

　ずびし！　と、南っぽい？　方向を指さすと、お気楽に歩を進める。

『……』

　ネコサンの表情が、徐々に険しくなっていた。

　無理もない。はたから見れば、ただ闇雲に森の中を徘徊しているのと変わらないのだから。

（いや、ご主人の強運ならば！？）

　それでも、SSSスリーエスランクの実力を信じるロボ猫……。

「ふんにゃらぺ～♪」

（……ぐ、耐えろ、ワタシ）

　無計画な探索と変に耳に残るフレーズに、牙を食いしばり我慢する。

「ぴょっぷふふ～ん♪」

（あーっ！　やっぱ無理！！　その妙な鼻歌は、やめろおっ！？）

　が、耐えられなかったようだ。

　ネコサンは声にこそ出さなかったが、主人の背中に抗議の視線をぶつけていた。

「お！　前方に、でっかい木がいっぱいあるのね！　ネコサン、ここが──ひっ！？」

『……あ』

　タイミング悪く振り返ったねこさんの視界に、ロボ悪鬼が飛び込んできた……。