ねこさんは、トレジャーハンター!?

豆井悠

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174 お腹の中の邂逅

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「むう……なにやら見覚えのあるダンジョンなのねー」

 宝箱のトラップで、どこかへ飛ばされたねこさん。どうやらどこかのダンジョン内にいるようだ。

「この下り階段……嫌な予感しかしないのね……」

 今にもまたたびの香りが漂ってきそうな階段に、顔をしかめた。

 ずどーん、ずどーん!

 唐突に、あの足音が響いてくる。そう、忘れもしない地響きを伴って。

「やっぱりここは……ダンジョンまたたび……なのねー」

 ぬ、とまたたびゴーレムが階下から顔を出した。その巨大な目が、赤々と光っている。

「……」

 全身から嫌な汗が噴き出す。トラウマが蘇り、体が動かなかった。

 ぐおおおぉおおぉおおっ!!

「っ!?」

 おぞましい咆哮に、縮み上がる……と、その時。

「悪い冗談は……やめてよ……」

 不意に背後から悲痛なつぶやきが聞こえ、絶望で崩れ落ちるような誰かの気配を感じた。

 そろり、と振り返るとそこには……うずくまりながらすすり泣くキジメロの姿があった。

「キジメロさん……?」

「え……」

 ゆっくりと顔を上げた彼女の視線とねこさんの視線が絡み合う。

「ねこさん……どうして?」

「ねこさんにもわからないのね……」

 本来いるはずがない場面に突如現れたねこさん。その事で、キジメロが冷静さを取り戻していく。

「あたしは魔法生物に、食べられたんだ……今見せられたのは、過去のトラウマ……たぶん、精神攻撃系の奴なんだ」

「む……という事は、ねこさん、それのお腹の中に飛ばされていたのね?」

「たぶん……」

 キジメロが、こくりと頷いた。

「ふーむ、その魔法生物の攻撃で、ダンジョンまたたびの光景が見えた……と?」

「え!? ねこさんは、ダンジョンまたたびに行ったことがあるの?」

「少し前にいったのねー! でも、こてんぱんだったのね……」

 複雑な笑みを浮かべるねこさんに、彼女は何だかほっとしていた。
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