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168 第一関門の戦い(キジメロ編)

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「さあ~、スタートの合図と共に飛び出したキジメロ様が、第一関門となる大部屋に飛び込みましたー!」

『無限に湧き出てくるモンスターを処理しつつ、出口を目指すというなかなかハードな障害ですが、SSダブルエスランク冒険者の腕前は如何に?』

 大型モニターに映し出された選手の真剣な姿に、司会者たちのテンションも徐々に上がってきていた。

「解説のキジトラマスター……えーい、長いのでキジマスさん、この障害を乗り越えるポイントはどこにあるのでしょうか?」

 その問いに、腕組みで画面を睨みつけていたキジトラが、ゆっくりと口を開く。

「そうですね……まず、注目すべきはキジメロちゃんの愛らしさです!」

「は、はあ……それは認めますが……」

「そして、次に注目すべきはキジメロちゃんの可憐な所です!」

『……』

「そしてとにかく……うおーっ! キジメロちゃーんっ!!」

(おまえんとこのギルマス、大丈夫なのかよ?)

(ダメだわ……わかんだろ?)

 キジマス大暴走の後ろで行われた受付嬢たちのひそひそ話は、とても外には出せないような口の悪さだった……。

『この部屋のポイントは、弱いモンスターが大量に押し寄せてくるのを、全て撃破するのか、無視して突っ切るのか、という所にあります』

 見かねたネコサンが、さらりとポイントを解説した。

「なるほどー! とても分かりやすい解説、ありがとうございまーす♡」

 懲りずにシロにゃんが、渾身のウインクをかます!

『ふん!』

 だが、猫パンチ一閃、それをいとも簡単に叩き落した!

「そんなー……酷いですー……」

 ぷしゅー、と、しぼんでいく白猫の背後で、凄まじい歓声が沸き起った。

『あーっと、キジメロ選手が剣を抜き放ちました!』

「! という事は、全てを叩きのめしていくのでしょうかー!?」

 即座に復活したシロにゃんの絶叫が響く。

 と、同時に、大画面の中のキジメロが躍動した。

 目にもとまらぬとはまさにこの事。大量発生したスライムたちの核を、一瞬でことごとく切り裂いたのだ。

 ぶしゃー! と、スライムシャワーが飛び散る中、きちん☆ と刃を鞘に納めた彼女が、カメラ目線で流し目を一つ。

「ぎゃあああっ! キジメロちゃーんんんっ!」

 解説者席の親バカがここで卒倒し、担架で運び出されていった……。
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