ねこさんは、トレジャーハンター!?

豆井悠

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166 選手入場!

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「それでは選手の入場でーす!」

 シロにゃんの可愛らしい声が、マイクを通して響き渡った。

「まずは前回勝利を収めた冒険者ギルドから参りましょう!」

 選手入場を前に、ダンジョン内が静まりかえっていく。

「ギルドマスターの愛娘にして、我がギルド不動のエース! 前回もトレハンギルドをコテンパンにのしてしまったスーパービューティフルキャット!! SSダブルエスランク冒険者、キージーメーローっ!!」

 絶壁の上に彼女が現れた。途端に地鳴りのような歓声が沸き起こる。

「うふふ……今日は楽しめそうね……とうっ!」

 たーん、と地面を蹴り、宙に躍り出たキジメロが、くるくると回転しながら落ちてくる。

 その華麗な様に、冒険者ギルドの面々からは歓声を通り越して奇声が上がっていた。

 そして……くるくるくる……からのしたたっ! と見事に着地をかました。

「「「お゛お゛お゛っ!!」」」

 野太い感嘆の声が、彼女を包み込む。

「きゃー! キジメロ様ーっ!!」

 シロにゃんも大興奮だ。

「あー、はいはい、皆さんご静粛にお願いします。続いてはトレジャーハンターギルドの選手入場です」

 みけ美のどこか冷めたような声が響……かない。完全にお祭り状態の冒険者ギルド関係者の歓声に、かき消されていたのだ。

「……」

 だが彼女も一流の受付嬢である。

 こんな事くらいでは怒らない……こともなかった……。

『あー! うっせーんだよ!!』

 マイクをどこかから取り出した拡声器に持ち替え、渾身の絶叫である。

「「「ひっ!?」」」

 その場にいた猫たちは、数十センチほど飛び上がった。

『今からSSSスリーエスランクトレジャーハンターが登場すんの! 少し黙っとけ!!』

 みけ美の凄みのある声にだけでなく、SSSランクという言葉に、冒険者ギルドの面々が息をのんでいた。

『それでは登場していただきましょう。我がギルドが誇る超スーパーハイパーエキセントリックトレジャーハンター……ねこさんっ!!』

「「「……え?」」」

 違った意味で静まりかえる両ギルド陣営。

『……あれ?』

 何やら沸き起こった異変に小首を傾げるみけ美。

「……え、エキセントリック……なのねー……」

 褒め言葉のような……そうでないような……。

 絶壁の上から、出るに出られないねこさんだった……。
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