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143 かりかりタウン大花火大会

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 子猫たちの夏休みもあと一週間ほどになったこの日、かりかりタウン大花火大会が開催される!

 会場の河川敷へ続く道路には様々な露店が並び、否が応でも盛り上がってくる。

 そんな猫まみれな道を、ねこさんたちも歩いていた。

『しかし、ものすごい混雑だな‥‥‥』

(ほんとよねえ‥‥‥これならアパートから見てた方がよかったんじゃない?)

 迷子にならないようにねこさんの右肩につかまっているロボと、丁寧に両手で持たれているオーブが顔をしかめていた。

『あっ! 姐さん、あそこにかき氷売ってやすぜ!!』

 何故か再び呼び出されたぶちが、ねこさんの左肩につかまりながら前方を指さす。

(え!? ほ、本当だ! ねこさん、早くあそこへ行ってよ!)

「なのねー」

 リースに急かされて、ねこさんは猫混みを縫うように進んだ。

『おい、リース。お金は持っているのか? ご主人に負担はーー』

「今日はいいのね」

『そういうことなら‥‥‥』

 にこやかに言うご主人に、ネコサンは口をつぐんだ。

(わーいわーい! ねこさんの太っ腹! ひゃっほーい!!)

 無邪気に喜ぶリース。祭りのような雰囲気もあいまって、ねこさんはとても気分がよかった。


「すいません! いちごのかき氷を二つ下さい、なのねー!」

「はいよ!」

(あ、あと、メロンとブルーハワワとあずきみるくと‥‥‥とにかく全部の味を一つずつ下さい!)

「はいよっ! って、ええっ!?」

 氷を削ろうとしていた店員のおっちゃん猫が、固まった。

「お、お客さん‥‥‥氷だからって冷やかしは感心しないねえー」

 はっはっは、と笑って流そうとするおっちゃん。

「いちごが二つだね?」

 そして、念を押すようにねこさんを睨む。

「ひゃ、ひゃいなのねー」

(えー、ちょっとーー)

『リース‥‥‥』

(ひっ!?)

 地の底から響いてくるようなネコサンの声に、オーブから小さく悲鳴が漏れた。

(そ、それでいいです)

『‥‥‥何か色々とすいやせん』

 きっかけを作ったぶちが、責任を感じたのか小声で謝罪していた。
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