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128 猛暑日の一幕

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「あ、ああ‥‥‥あちゅいのねー‥‥‥」

 六畳間の柱に掛けてある温度計を見る。

 三十九度‥‥‥。

『ご主人、クーラーを使え』

 熱がこもりまくっているのか、ゆらゆらとその周りに陽炎を生じさせているネコサン。

(そうねー、熱さを感じないはずの私でさえ、何だか熱っぽいわ‥‥‥)

 実際、オーブを触るとかなり熱を持っていた。

「そ、そうはいっても、ねこさん色々あってお金があんまりないのねー」

 畳の上にぽたぽたと汗が落ち、小さな水たまりが完成しようとしていた。

『わかった。光熱費はワタシが‥‥‥がーがーぴぃー!?』

 突然しゅううう、と煙をあげてネコサンが沈黙した。

(ちゃ、チャト!?)

「どうしちゃったのねー?」

 心配そうに二人が声をかける。

 その刹那。

『ぴゃぴゃぴゃぴゃぴゃー! むうにょぺーん!?』

 ぐわば、とロボの口が開いた。

「(‥‥‥え?)」

 すっかり尋常でない瞳が、ねこさんを捉える。

 ネコサンの口からにょきにょきと砲身が伸びる。

『ファイアー!?』

 どごーん! と間髪入れずに豪快な砲撃音が響き渡った。

「ひっ!?」

 ぶわわわーっ! と熱風がねこさんを襲う。おひげがすっかり後方に持って行かれ、その頬にぴったりと貼り付いていた。

(ほっ、空砲だったのね‥‥‥)

 そのまま固まったネコサンを見て、リースは胸をなでおろした。

(熱暴走でもしちゃったのかしら?)

 その横で、立ち尽くす一つの影が‥‥‥!

「‥‥‥めっちゃ、あちゅいのね‥‥‥」

 ぶわ、と全身から汗が噴き出すねこさんだった‥‥‥。
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