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109 猫たらしなねこさん?

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「はあ‥‥‥ただいま、なのねー」

 ねこさんは部屋に入るなり、大きなため息をかました。

『どうした、ご主人? 散歩はつまらなかったか?』

 きょとんとしたネコサンが、すいー、と寄ってきた。

「いや、気分転換にはなったのね‥‥‥途中までは‥‥‥」

『そうか。何があったか‥‥‥む、ご主人‥‥‥女難の相が出ているぞ‥‥‥!』

 どこかげっそりとしたねこさんの顔を見て、ロボが驚愕したような声を上げた。

「え!? わ、わかるのねー。やっぱりネコサンはすごいのねー」

『ああ、ご主人が纏うオーラ、特に顔近辺がとんでもない事になっている‥‥‥』

 えー、と玄関にそのまま崩れ落ちるねこさん。

(まあ、女難の相自体はずーっと出ていたのだがな‥‥‥今日は特にヒドイ‥‥‥)

 これを言わないのは、ネコサンの優しさみたいなものだろうか?

「散歩中にチンチラさんに会ったのね」

『ナースのか?』

 こくりと頷いたねこさんが続ける。

「その後三毛猫姉妹がやってきて‥‥‥」

 ああ~! とネコサンが頭を押さえた。

 みけ子の事は、ねこさんから聞いて知っている。みけ美は実際に見て、どんな性格なのかは大体わかっていた。

(あの姉妹、悪気はないのだろうが、ご主人の事をおもちゃくらいにしか思っていない気がするのは、ワタシだけか?)

「ん? どうしたのねー、ネコサン?」

『あ、いや、何でもない。そんな事より早く中に入れ。すぐにお茶を淹れる』

「お! ありがとなのねー」

 ゆっくりと立ち上ったねこさんが、体についた砂をぱぱっと払う。さっきまでの落ち込みが嘘のように微笑んでいた。

(もしかしたらご主人には異性‥‥‥いや、同性もか? とにかく猫を惹きつける魅力があるのかもな‥‥‥)

 その子猫のような屈託のない笑顔に、ネコサンはそう思うのだった。
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