ねこさんは、トレジャーハンター!?

豆井悠

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105 反省と今後のこと

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『ご主人、今回の事はすまなかった』

 退院した日の夕飯後の事である。ネコサンはまず頭を下げて謝罪した。

「いいのねー、ねこさんも少し甘く見ていたから、自分のせいなのね」

 極太注射を喰らった右尻が痛むのか、若干左尻に体重をかけながらねこさんは笑った。

『かたじけない‥‥‥それから』

 ぺっ、と聖剣にゃんこの棒を忌々しそうに吐き出す。

『少し説明してもらおうか?』

 畳の上に転がって、猫の前足のような刀身をくい、くいっ! としているそれを睨んだ。

『にゃー、にゃー‥‥‥』

 その取ってつけたような鳴き声に、ロボの視線が鋭さを増していく。

『はあ‥‥‥わかりましたよ。とりあえずねこさん、すいませんでした』

 ふわふわと宙に浮いた聖剣が、頭を下げた、ように見えた。

『私としても、ちょっと想定外でして‥‥‥』

『なにがだ?』

 ネコサンの問いに、肩をすくめたようなにゃんこの棒が話を続ける。

『ダンジョンまたたびに封印されている私の片割れはご存じですね?』

 ああ、とネコサンがうなずく。

『封印される前は、とても素直でいいヤツだったんですが‥‥‥まさかあそこまでひねくれてしまうとは‥‥‥』

 はあ、と大きなため息が六畳間に響いた。

『という事は、あのゴーレムは‥‥‥』

『はい、恐らく片割れの仕業でしょうね。長い間封印されている事への怒りとか、持て余した時間をぶつけて改造したのでしょう』

『それなら合点がいくな‥‥‥ワタシのデータベースにあるまたたびゴーレムとは、別物だったからな‥‥‥』

 無機物たちのため息が、情けなくユニゾンしていた。

『とりあえず対策や準備に時間をもらう。それが終わるまでは、ご主人には普段通りに過ごしてもらうが、いいな?』

『ええ、それでお願いします。私もねこさんに何かあったら、再び暗い闇の中ですから‥‥‥』

『では、具体的な話だが‥‥‥』

『はい。ですがそれは‥‥‥』


 本人を無視して、今後の事が次々と決まっていった。

 取り残されたねこさんは、何だか話について行けず暇を持て余す。

 そして何を思ったのか、気持ち持ち上げていた右尻を畳におろして体重をかけてみる。

「ぎゃああああぁあぁあー!?」

『『うるさい!』』

 のたうち回りながら右尻をさするねこさんに、お叱りの声が飛んだ‥‥‥。
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