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89 スノーシャーク・ブリザード

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 宙を舞った巨体がそのまま豪快に雪原に落ちた。

 どーん! と雪柱が吹き上がり、ねこさんたちの視界が遮られる。

『あまい、見えているぞ! ご主人、前方から三体突っ込んでくる!!』

 ネコサンの声をかき消すかのように、ずわ、と白い煙幕を突き破り、スノーシャーク三体が姿を現した。

「問題ないのねー!」

 大きな口を開き、その鋭い牙を見せつけながら迫るモンスターたちを、ねこさんは軽やかなステップでことごとくかわす。

「お駄賃なのねー!」

 そしてすれ違いざまに次々と真・ねこすいでなで斬りにした。

 ど、どど、どだーん!

 妖刀を顔の前で構えて決めポーズをとるねこさんの後方で、三つの轟音が響き雪煙が立ち込めた。


「で、次はどなた?」


 細い目がきらりと輝き、鋭さを増していく。物凄いプレッシャーが、雪原を満たした。

 スノーシャークたちは動きを止め、雪中で息を潜めているようだ。


 今、雪原は、しーん、というオノマトペ以外しっくりこない程、静まりかえっていた。


「さあ、さあさあさあ!」

 追い打ちをかけるようなねこさんの声が響く。と、奴らはすごすごと姿を隠したまま逃げだした。

「完勝、なのねー」

『よくやった、ご主人』

 二人はふふん、とニヒルっぽく微笑んでいた。



『あ、ご主人、ひれは丁寧に切り取っておけ』

「ひれ?」

『そうだ』

 獲物をアイテムボックスに入れようとしたねこさんに、ロボが注文した。

『ワタシが加工して、乾燥ふかひれを作る』

「おお、乾燥ふかひれ‥‥‥とは?」

 高級食材には縁のないねこさんに、相棒は苦笑した。
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