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88 迫りくる白い影

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「ひ、ひどい目にあったのね‥‥‥」

 ロボに掘り起こされたねこさんが、雪まみれで呆然としている。

『初めての場所なんだから、気をつけろ!』

 ネコサンは、がぱ、と開けた口から熱風を吐き出し、付着した雪を飛ばしつつご主人を温めた。

「わ、わかったのね‥‥‥」


 ぶお~! 雪原のぴんと張りつめた静寂を打ち破り、即席ドライヤーの音が、響いていた‥‥‥。


「ネコサン、ありがとなのねー!」

 幾分落ち着いてきたねこさんは立ち上がると、きっちりと頭を下げた。

『よし、ではーーっ!』

 ネコサンの耳、高性能センサーが何者かの接近を捉えた。

 すぐさま両目から赤い索敵レーザーが、真っ白な雪原に放たれる。

『ご主人、来るぞ!』

「おっけーなのねー!」

 ロボの口に手を突っ込むと、真・ねこすいを引っ張りだす。

 それと同時に、雪原から大きな背びれが出現した。

「な、なんて数なのねー」

 雪をかきわけて猛スピードで接近するそれは、ざっと見ても十はくだらなかった。

『前、五メートル!』

 ネコサンのエマージェンシーと同時に、くすんだ白い巨体が宙を舞った。


【スノーシャーク】

 雪原に生息する獰猛なギャングだ。


 空中で弓なりになるそいつに鋭い視線を叩きつけると、ねこすいを握る手に力を込めるねこさんだった。
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