86 / 218
84 商魂! アメショーファミリー
しおりを挟む
防寒着を揃えてあめりかん二号店を出ると、ちょうどお昼を告げる鐘が鳴った。
「け、結構気絶してたのね‥‥‥」
『そうだぞ、ご主人。はじめての街だからって浮かれすぎだ』
「くっ‥‥‥なのねー」
相棒にたしなめられたねこさんは、ぐうの音も出なかった。
「と、とりあえず拠点にする宿屋を探すのねー」
だがすぐに切り替えると、きょろきょろと辺りを窺う。
「お、宿屋発見!」
なんと、偶然にもあめりかん二号店のすぐ隣が宿屋だった!
「えーと、一泊二食付きで三千五百えん‥‥‥安いのね!」
表に出ている看板を見て、ねこさんは歓喜のステップを刻む。
『いや、まだ泊まれるかわからないだろう?』
冷静に水を差すネコサン、ごもっともである。
「そ、そうなのねー。早く確認するのねー」
こじゃれたドアをそっと開けて中を見る。
「いらっしゃいませー! 宿屋あめりかんへようこそ!」
快活な声が、ねこさんを出迎えた。
「ん? あめりかん?」
一瞬小首を傾げたが、小さい事は気にしないねこさんは、すぐに確認を開始した。
「あ、あのう、今日から長期宿泊できますか、なのねー?」
「はい、大丈夫ですよ!」
ゆっくりとカウンターへ向かいながら確認完了。
「では、こちらに諸々ご記入ください!」
す、と宿泊者名簿とボールペンが置かれた。
「はーい」
元気に右手を挙げ、さらさらと記入していく。
「あれ? ねこさん‥‥‥?」
書き上がった名簿を見て、アメリカンショートヘアの女将さんが疑問符を浮かべた。
「な、なんでしょうか、女将さん?」
「えー、わたしまだ若いんですから、女将さんなんてやめて下さいよー」
ばしんばしん! とお客さんを叩く女将さん。
「い、痛いのねー!?」
「ああっ!? すす、すいませんでした」
彼女はカウンターに額をぶつけながら謝罪した。が、すぐにがばっ! と頭を上げる。
「ときに、あなたは、かりかりタウンのねこさんですか?」
「そ、そうなのねー」
本日二度目の確認に、ねこさんは眉根を寄せる。
「やっぱり! お兄ちゃんがお世話になってます! わたしはアメショーの妹のアメリアです!」
(なんですとー!)
ねこさんは飛び上がりそうなくらい驚愕していた。
(アメショーファミリー、結構手広く商売してるのね‥‥‥)
そして、ちょっぴり下世話な思考が脳裏をよぎったのだった‥‥‥。
「け、結構気絶してたのね‥‥‥」
『そうだぞ、ご主人。はじめての街だからって浮かれすぎだ』
「くっ‥‥‥なのねー」
相棒にたしなめられたねこさんは、ぐうの音も出なかった。
「と、とりあえず拠点にする宿屋を探すのねー」
だがすぐに切り替えると、きょろきょろと辺りを窺う。
「お、宿屋発見!」
なんと、偶然にもあめりかん二号店のすぐ隣が宿屋だった!
「えーと、一泊二食付きで三千五百えん‥‥‥安いのね!」
表に出ている看板を見て、ねこさんは歓喜のステップを刻む。
『いや、まだ泊まれるかわからないだろう?』
冷静に水を差すネコサン、ごもっともである。
「そ、そうなのねー。早く確認するのねー」
こじゃれたドアをそっと開けて中を見る。
「いらっしゃいませー! 宿屋あめりかんへようこそ!」
快活な声が、ねこさんを出迎えた。
「ん? あめりかん?」
一瞬小首を傾げたが、小さい事は気にしないねこさんは、すぐに確認を開始した。
「あ、あのう、今日から長期宿泊できますか、なのねー?」
「はい、大丈夫ですよ!」
ゆっくりとカウンターへ向かいながら確認完了。
「では、こちらに諸々ご記入ください!」
す、と宿泊者名簿とボールペンが置かれた。
「はーい」
元気に右手を挙げ、さらさらと記入していく。
「あれ? ねこさん‥‥‥?」
書き上がった名簿を見て、アメリカンショートヘアの女将さんが疑問符を浮かべた。
「な、なんでしょうか、女将さん?」
「えー、わたしまだ若いんですから、女将さんなんてやめて下さいよー」
ばしんばしん! とお客さんを叩く女将さん。
「い、痛いのねー!?」
「ああっ!? すす、すいませんでした」
彼女はカウンターに額をぶつけながら謝罪した。が、すぐにがばっ! と頭を上げる。
「ときに、あなたは、かりかりタウンのねこさんですか?」
「そ、そうなのねー」
本日二度目の確認に、ねこさんは眉根を寄せる。
「やっぱり! お兄ちゃんがお世話になってます! わたしはアメショーの妹のアメリアです!」
(なんですとー!)
ねこさんは飛び上がりそうなくらい驚愕していた。
(アメショーファミリー、結構手広く商売してるのね‥‥‥)
そして、ちょっぴり下世話な思考が脳裏をよぎったのだった‥‥‥。
0
お気に入りに追加
51
あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ハズレ召喚として追放されたボクは、拡大縮小カメラアプリで異世界無双
さこゼロ
ファンタジー
突然、異世界に転生召喚された4人の少年少女たち。儀式を行った者たちに言われるがまま、手に持っていたスマホのアプリを起動させる。
ある者は聖騎士の剣と盾、
ある者は聖女のローブ、
それぞれのスマホからアイテムが出現する。
そんな中、ひとりの少年のスマホには、画面にカメラアプリが起動しただけ。
ハズレ者として追放されたこの少年は、これからどうなるのでしょうか…
if分岐の続編として、
「帰還した勇者を護るため、今度は私が転移します!」を公開しています(^^)
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる