上 下
77 / 218

75 悪魔の孫の手

しおりを挟む
 ゲームのやりすぎで怒られて、午前中いっぱい正座させられたねこさんたちは、無事びりびりと両足をしびれさせていた。

「はい、みなさん。立って下さい」

 にこやかに微笑むみけ美がいた。

「「「‥‥‥」」」

 ねこさんはじめギルドの面々は、苦悶の表情に脂汗を貼り付け押し黙っている。

「あ~れ~? 聞こえないんですか?」

「「「‥‥‥ひゃい」」」

 目は笑っていない笑顔に、皆声を震わせて足を崩した。

「「「~~~っあふあへああぁあぁふぉ!?」」」

 当然電撃が両足を駆け抜けた。

 声にならない悲鳴を上げて、ごろごろとのたうち回る面々を静かに見つめるみけ美。

「なかなかの発電量ですねっ!」

 鬼が微笑んでいた。

「さて、追い発電といきましょう!!」

 みけ美はどこから持ってきたのか、孫の手を高らかに掲げた。

「まずは‥‥‥ギルマス!」

「ひ、ひぃいいぃいっ!?」

 ギロリと睨まれたギルマスが、でっぷりとした腹を引きずるように匍匐前進で逃げ惑う。

「ほーらほらほらー!」

「あ、ひゃ、おおふ、はひょーん!?」

 容赦なく孫の手が両足の肉球を襲った!

「みみみ、みけ美くん? もうしないから‥‥‥ゆゆ、許して‥‥‥あふん」

 執拗な攻めに両足をぴーん、と伸ばしたギルマスが、ここで事切れた。

「次は‥‥‥」

 子猫の手をかたどった孫の手を振りかざし、悪魔が振り返った。

「「「ひ、ひぃいいっ!?」」」

 蜘蛛の子を散らすように、だがのそのそと逃げ惑うギルドメンバーが次々と襲われ、そこここで断末魔があがった。

「最後は‥‥‥ねこさん」

「な、なのねー!?」

 ずりずりと両手を使って後ろへ後ろへと逃げる。

 が。

「うおりゃーっ!」

「~~~~~~~っ!?」

 何故だがことさら念入りに責め立てられたねこさんは、悲鳴も上げられずに全身を硬直させ、そのまま気絶したのだった‥‥‥!

「はい、今日はここまで! 次はないからそのつもりでキリキリ働きなさい!!」

 だが、みけ美のお言葉は、誰にも届いていなかった‥‥‥。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

転生幼女の怠惰なため息

(◉ɷ◉ )〈ぬこ〉
ファンタジー
ひとり残業中のアラフォー、清水 紗代(しみず さよ)。異世界の神のゴタゴタに巻き込まれ、アッという間に死亡…( ºωº )チーン… 紗世を幼い頃から見守ってきた座敷わらしズがガチギレ⁉💢 座敷わらしズが異世界の神を脅し…ε=o(´ロ`||)ゴホゴホッ説得して異世界での幼女生活スタートっ!! もう何番煎じかわからない異世界幼女転生のご都合主義なお話です。 全くの初心者となりますので、よろしくお願いします。 作者は極度のとうふメンタルとなっております…

30年待たされた異世界転移

明之 想
ファンタジー
 気づけば異世界にいた10歳のぼく。 「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」  こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。  右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。  でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。  あの日見た夢の続きを信じて。  ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!  くじけそうになっても努力を続け。  そうして、30年が経過。  ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。  しかも、20歳も若返った姿で。  異世界と日本の2つの世界で、  20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。

欠損奴隷を治して高値で売りつけよう!破滅フラグしかない悪役奴隷商人は、死にたくないので回復魔法を修行します

月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
主人公が転生したのは、ゲームに出てくる噛ませ犬の悪役奴隷商人だった!このままだと破滅フラグしかないから、奴隷に反乱されて八つ裂きにされてしまう! そうだ!子供の今から回復魔法を練習して極めておけば、自分がやられたとき自分で治せるのでは?しかも奴隷にも媚びを売れるから一石二鳥だね! なんか自分が助かるために奴隷治してるだけで感謝されるんだけどなんで!? 欠損奴隷を安く買って高値で売りつけてたらむしろ感謝されるんだけどどういうことなんだろうか!? え!?主人公は光の勇者!?あ、俺が先に治癒魔法で回復しておきました!いや、スマン。 ※この作品は現実の奴隷制を肯定する意図はありません なろう日間週間月間1位 カクヨムブクマ14000 カクヨム週間3位 他サイトにも掲載

家庭菜園物語

コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。 その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。 異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

異世界で買った奴隷が強すぎるので説明求む!

夜間救急事務受付
ファンタジー
仕事中、気がつくと知らない世界にいた 佐藤 惣一郎(サトウ ソウイチロウ) 安く買った、視力の悪い奴隷の少女に、瓶の底の様な分厚いメガネを与えると めちゃめちゃ強かった! 気軽に読めるので、暇つぶしに是非! 涙あり、笑いあり シリアスなおとぼけ冒険譚! 異世界ラブ冒険ファンタジー!

神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。

猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。 そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。 あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは? そこで彼は思った――もっと欲しい! 欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。 神様とゲームをすることになった悠斗はその結果―― ※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。

処理中です...