ねこさんは、トレジャーハンター!?

豆井悠

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70 ドラゴンスレイヤーねこさん!?

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『ご主人っ!?』

 ネコサンの悲鳴にも似た叫び声が響く。

 サンドブレスは勢いを増し、吐き続けられている。これではねこさんは、助からないだろう‥‥‥。

 したたたたーっ!

『!』

 ネコサンの耳に、聞き覚えのある足音が刺さった。

 どこだ?

 瞬時に視線をその方向へ飛ばした。

「な、なのねーっ!」

 いた! ねこさんは必死の形相で壁を走り、アースドラゴンの真横を駆け抜けている!

 ドラゴンはぎょろりと目玉で獲物を追ったが、ブレスを吐いているためか、顔を動かさない。いや、動かせないのだろう。ヘタに動かせばブレスで壁を破壊して、このフロアごと崩壊しかねない。

 すたたん!

 まんまとドラゴンの背後を取ったねこさん。壁に突っ込んでいったのは、計算だったのか?

「いくのねー」

 ざん、と床を蹴り、アースドラゴンに迫る。

 ぶおおぉん!

 その目の前を、巨大な丸太のような尻尾が唸りを上げて通り過ぎていった。

「や、やばかったのねー‥‥‥」

 青い顔をしたねこさんは、すぐに追撃が来ることを予想して一旦後ろに飛んだ。

 ぶおおおぉんっ!

 予想通り尻尾が威力を増して戻ってきた。

「ここ!」

 それが通り過ぎた刹那、ねこさんは尻尾の付け根に潜り込み、ぷすり、とねこすいを突き立てた。

『ぐぎゃああぁああっ!?』

 アースドラゴンの苦悶の咆哮が上がる。

「さあねこすい、思う存分生命力を吸ってあげるのねー」

 ぺかー、と輝きだす妖刀は、ドラゴンの力強い生命力に歓喜しているようだった。

『ぐ、ぐ、ぐぉぉぉ‥‥‥』

 ほんの二分足らずで、アースドラゴンの干物の完成である。

「ふー、何とかなったのねー‥‥‥」

 安堵の息を漏らすねこさん。と、ねこすいが、かかっ! と激しく瞬いた。

『やったな、ご主人。ねこすいが進化したぞ!』

 しゅうううぅ‥‥‥ぅ。発光の終わった妖刀が、煙を上げていた。

【おめでとうございます! 『ねこすい』は『真・ねこすい ver.DKドラゴンキラー』に進化しました! 各ステータスが+1000されました! ユニークパッシブとしてドラゴン特効が付与されました! これにより、ドラゴン族に対して+30000%のダメージ増加となりました!】

 ネコサンの口から出てきたネコサンではない声に、ねこさんは固まっていた。

 ネコサンとは、ダンジョンキーパーとはいったい‥‥‥。
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