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53 賄賂、成功なるか!?

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 ギルマス室に、緊張が走る。

 椅子にどっかりと座り、目の前に立つ者を睨みつけている恰幅の良い白猫。ギルマスだ。

 その前に立ち、平然と睨み返しているトレジャーハンター。ねこさんだ。

 部屋の温度が、二、三度上昇した、そう感じられる睨み合いに、みけ美は気が気でない。

「で、ねこさん。悪魔はどうしたんだい?」

「見逃したのねー」

 ギルマスが、だーん! と机を叩いたかと思うと、その上の何かをぶん投げた!

「‥‥‥」

 平然として、ぴくりとも動かないねこさんの顔わずか数センチ横を、唸りを上げて通り過ぎるブラウン管テレビ。

 それが後方のドアに激突すると、どがしゃーん! と派手な音を響かせてスクラップになり果てた。

「見逃した、だと? いくらねこさんでも、そいつは受け入れられねえなあ」

 ああん? と凄みを増す。

「悪魔は、ねこさんの友達なのねー」

 細い目が、大きく見開かれた。

「友達は、売れないのねっ!」

 す、と歩を進める。

「‥‥‥」

 その物凄いプレッシャーに、ギルマスの額から汗が流れた。

「これが‥‥‥」

 ずわ、と振りかぶるねこさん。ひ、とギルマスの顔が、恐怖に歪む。

「ねこさんたちの答えなのねー!」

 ぎゅぎゅ、と目を閉じるギルマスとみけ美。

 だが、ことり、と机に何かが置かれただけだった。

「どうぞ、なのねー」

 恐る恐る目を開けると‥‥‥。

「こ、これは何だい、ねこさん?」

 四十センチ四方の白い塊を見て、ギルマス。

「悪魔からの賄賂、ビールサーバー、なのねー」

 賄賂って言っちゃったよ‥‥‥。そう顔が言っているギルドの二人。その顔に、ん? と疑問の色が浮かんだ。

「ねね、ねこさん? 今なんと?」

「もも、もう一度おねがいします」

「ビールサーバー、なのねー」

「「えー!?」」

 ギルマス室に絶叫が響いた。
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