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51 かつぶし山の悪魔

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『かつぶし山ダンジョン周辺における被害等報告書』

 タイトルを一目見て、ねこさんは青ざめた。

 その顔色をギルマスは見逃さない。

「流石ねこさん。もう状況は把握済みか」

「な、なんのことなのねー?」

 一応すっとぼけておく。

「何って、かつぶし山の悪魔の事だよ。その反応は、知ってるって事だろう?」

 凄まじいプレッシャーに、ねこさんのしっぽが、ぴーん! と伸びた。

「ま、とりあえずこの報告書を読んでくれ」

 こくりと頷き、報告書を手に取る。若干湿った肉球で、ぺら、とページをめくった。





(や、やばいのね‥‥‥黒ぶち。ねこさんたちが行く前に、こんな悪行三昧だったとは‥‥‥)

 額から噴き出す汗を拭こうともせずに、報告書を机に戻した。

「どうだい? ひでえ話だろ?」

「そ、そうなのねー」

「本来ならこの手の話は冒険者ギルドに任せるんだが‥‥‥うちの連中の被害が多すぎる。しかもトレジャーハンターの名折れみてえな話ばっかりだ」

 ギルマスの口から、ぎりり、と音が漏れた。

「なんで古代のアーティファクトをこんな値段で売ってると思うんだ? 馬鹿か? 馬鹿なのかうちの連中は?」

 だーん、と机が殴られ、その音に背中の毛が逆立ってしまうねこさん。

「はあああ‥‥‥ねこさん。これを見てくれ」

 極大なため息をついたギルマスが、ひょいひょいと何かを机に並べていく。

「こ、これは‥‥‥」

 絶句するねこさんを尻目に、あっという間に机がガラクタで占拠された。

 ペットボトルのフタ、ぼろぼろのぬいぐるみ、空き缶に空き瓶‥‥‥なんと、ある意味古代のアーティファクトとも言えるブラウン管テレビまであった。

「全部かつぶし山の悪魔から買ったものだ‥‥‥」

 黒ぶちも悪いけど、ここの人たち大丈夫? なのねー‥‥‥。

 ねこさんは心でそう言って、苦笑を浮かべた。

「頼むねこさん! 悪魔をとっ捕まえてきてくれ!」

 返答に困ったねこさんは、ただただ苦笑していた。
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