ねこさんは、トレジャーハンター！？

25 風船配り美少女☆みけ子たん、爆誕！？

　どぎついピンクの髪を振り乱し、そいつはやってきた‥‥‥！

　弾ける笑顔にどこかうつろな瞳。手足をはやした巨大生首が、走る‥‥‥！？

　既に集まっていたお客さんたちはみな、息をのんだ。

「は、はーい？　風船配り美少女☆みけ子たんですよー‥‥‥？」

　そこはかとなく漂う大根臭‥‥‥立て板に水、とは程遠い棒読みのセリフが、その恐怖をさらに煽った。

「ふ、風船どうぞー風船どうぞー風船どうぞー風船どうぞー風船どうぞー‥‥‥」

　壊れたレコードのように繰り返す無間地獄‥‥‥子供はもちろん、大人ですら、泣きだしそうだ‥‥‥。

「わーい！　おねえちゃん、ふうせんちょうだ‥‥‥」

　みけ子の後ろから、純真無垢な子猫が元気いっぱいに声をかけた。

「はーい？　風船どうぞー！？」

　だが、くるり、と振り返ったそれを見て‥‥‥。

「ひっ！？　う、うう、うわーん！」

　当然、ぎゃん泣きである。

　その子猫のお母さんの顔が、鬼瓦に変わる。

「責任者はどこかしら？」

　そしてクロ主任、ちょっとこい！　であった。

　モンスターを野に放った責任を取るために、クロ主任は、あと何回頭を下げればよいのだろうか‥‥‥？



　戦い終えて、お通夜状態の事務所。

「み、みけ子くん‥‥‥すまなかったね‥‥‥完全に私のミスだ‥‥‥」

　みっちりとお説教を喰らったクロ主任がうなだれる。

「い、いえ。断らなかったわたしがいけないんです‥‥‥すいませんでした」

　みけ子もしょんぼりと謝罪した。

「おもしろかったのねー！　今度はねこさんもアレを着てみようかなー？」

　何もわかっていない暴れん坊？　がいた！

「「‥‥‥」」

　反省組二人は無言でねこさんの着ぐるみの頭だけをぐりん、と百八十度ひねった。

「わ、わー！　なんにも見えないのねー！？」

　両腕を前に突き出し、よたよたするねこさんを無視して、二人は続けた。

「みけ子くんには、ねこさんをサポートするMCみたいなポジションをやってもらいたいんだけど、どうかな？」

「はい！　そっちの方がいいみたいでっす！」

「そうかい？　じゃあ、明日からお願いね」

「はいっ！」


　こうして、みけ子お姉さんが誕生したのであった‥‥‥！