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兄さんの護衛騎士は恥ずかしがり屋!
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よよよ、良かった!!
取り敢えず、女の子ってばれなかった!!
黒宮っていうところがどこかよくわからないけど、とにかくドリモア女王の近くにいることは避けられたのだから、一応セーフだよね??
緊張してカクカクしながら歩いちゃったけど、とりあえずは無事に謁見を済ませることができた。
早々に謁見の間から辞すると、レンタールの待つ客間に戻ろうとしたのに、回廊へと出ると緊張が解けてヘナヘナと座り込んでしまった。
「う、嘘!
……立てない!!」
案内の女官は年配の女性で、とても私を支えて帰るなんて無理そう。
かといってこのままへたり込んでいるわけにもいかないし、一体どうしたら……。
不安で泣きそうになっていたら、急に私の体がふわりと浮いた。
「へっ……!?
きゃへ??」
「あ………」
いわゆるお姫様抱っこ。
あ、でも今私王子様だから、王子さま抱っこ??
……うん、パニックになって変なこと考えちゃった。
一体誰がと思って見上げると、見覚えのある顔。
「あ、あれれ??
ユーノス??」
ユーノスはコルガ伯爵の三番目の息子で、十六歳の頃から護衛騎士として兄さんに仕えている、凄腕の剣術と優れた人格でその名を知られた、王家を守る近衛隊の一員だ。
一体どうしてここに?
って考えたけど、よく考えたら今私、ガルディア兄さんだった!!
うっかり気付いてなかったけど、ちゃんと護衛してくれたんだなー。
「殿下、しばらくご辛抱を……」
ユーノスは先導する女官の後に続いて、私を抱えたまま回廊を歩き出した。
ここから部屋までだいぶ歩くんだよね。
大きい国の宮殿は、豪華なだけじゃなくてすべてが大きい。
端から端まで歩くのに日が暮れちゃうくらいだよ?
それなのに、ユーノスに担がれながら歩く私って!!
「ご、ごめん!!
ユーノス!!
ほっとしたら足に力が入らなくて……重いよね?」
するとユーノスはくすっと小さい笑い声を漏らして「……いいえ? 全く重くはありません。……むしろ痩せすぎではないかと心配になります」と微笑んだ。
あー。
それはそうかも。
子供の頃の絶食体験の副作用か、どれほど食べても全然太れないんだよね、私。
おかげで兄さんの影武者をするときにはあちこちに詰め物をしなくちゃならないくらいだもの。
「ですから安心して、身を任せてください」
ユーノスって、ほんとにカッコいいよね。
やさしいし。
ブーデリア王宮の女官たちに、ユーノス人気高かったの分かる。
「ありがと。
よろしくね?」
私は、できるだけユーノスの歩く邪魔にならないように首に腕を巻き付け、体を胸元に寄せて体重を預けた。
「……っ!」
ユーノスの声から、小さい声が漏れる。
「あ……! 痛かった?」
私は抱っこされたまま、ユーノスを見上げた。
「……いっ……、いいえ!
むしろ……あの、いえ。
……少し驚いてしまいました。
……失礼しました」
そう言ってユーノスは再び歩き出した。
無理してないか心配したけど、ユーノスの歩みはすごく安定していて、全く不安がなかった。
それにしても、私を軽々と持ち上げるなんて、近衛騎士の人ってすごい力持ち。
あ、でもユーノスが特別なのかな?
頬に触れるユーノスの胸は硬くて盛り上がっている。
それに、抱っこしている両腕も太くてカチカチ。
こんなに立派な体になるなんて、きっと頑張って訓練してるんだろうな。
私も深窓の令嬢よりもご飯のために運動している方だと思うけど、それでも痩せているせいか全然筋肉がつかない。
こんなもりもりの筋肉になるなんて、ものすごくつらい訓練を積んでくれてるのが分かる。
それで私たちを守ってくれてるんだから、本当にありがたい。
私は手を伸ばしてユーノスの腕にそっと触れた。
……すごい。
すっごく硬くて……太い腕。
「……殿下?」
「あ、ごめん、ユーノス。
ユーノスの……すごく硬くて……太いね……。
見てたら我慢できなくて……思わず触っちゃった……。
……ダメ、だったかな??」
私がユーノスを見上げながらそういうと、ユーノスがひゅっと息を飲むのが分かった。
「……い……いいえ……。
駄目、ではありませんが……」
ユーノスは困ったように眉をハの字形にした。
ダメじゃないけど、嫌だったのかな?
ユーノスのこと、困らせちゃった?
私は少しうるっとなってしまって、口をつぐんだ。
「……その……すこし恥ずかしいので……部屋の中でなら……かまいません」
ユーノスは小さい声で、呟いた。
あ、そーなんだ!
ユーノス、褒められるの、苦手だったんだ!
確かにユーノスの顔、すっごく顔が赤くなってるから、悪いことしたなって反省した。
でも腕とかすごい筋肉でかっこいいから、お部屋に帰ったら触らせてもらおうっと!!
「……ぅん。
じゃあ、後で、ね?」
私がそういうと、ユーノスはもっと赤くなっていた。
本当にすごい恥ずかしがり屋さんだと思った。
意外だなあ……。
王宮で剣術大会があるときも全然表情が変わらないから、そんなに恥ずかしがり屋さんだったとは思わなかった!!
そんな話をしていたら、前を歩いている女官さんが何故だか振り向いて、とても残念そうな顔で私を見つめていた。
……レンタールにもそんな顔されたことないから!!
女官さん酷い!!
取り敢えず、女の子ってばれなかった!!
黒宮っていうところがどこかよくわからないけど、とにかくドリモア女王の近くにいることは避けられたのだから、一応セーフだよね??
緊張してカクカクしながら歩いちゃったけど、とりあえずは無事に謁見を済ませることができた。
早々に謁見の間から辞すると、レンタールの待つ客間に戻ろうとしたのに、回廊へと出ると緊張が解けてヘナヘナと座り込んでしまった。
「う、嘘!
……立てない!!」
案内の女官は年配の女性で、とても私を支えて帰るなんて無理そう。
かといってこのままへたり込んでいるわけにもいかないし、一体どうしたら……。
不安で泣きそうになっていたら、急に私の体がふわりと浮いた。
「へっ……!?
きゃへ??」
「あ………」
いわゆるお姫様抱っこ。
あ、でも今私王子様だから、王子さま抱っこ??
……うん、パニックになって変なこと考えちゃった。
一体誰がと思って見上げると、見覚えのある顔。
「あ、あれれ??
ユーノス??」
ユーノスはコルガ伯爵の三番目の息子で、十六歳の頃から護衛騎士として兄さんに仕えている、凄腕の剣術と優れた人格でその名を知られた、王家を守る近衛隊の一員だ。
一体どうしてここに?
って考えたけど、よく考えたら今私、ガルディア兄さんだった!!
うっかり気付いてなかったけど、ちゃんと護衛してくれたんだなー。
「殿下、しばらくご辛抱を……」
ユーノスは先導する女官の後に続いて、私を抱えたまま回廊を歩き出した。
ここから部屋までだいぶ歩くんだよね。
大きい国の宮殿は、豪華なだけじゃなくてすべてが大きい。
端から端まで歩くのに日が暮れちゃうくらいだよ?
それなのに、ユーノスに担がれながら歩く私って!!
「ご、ごめん!!
ユーノス!!
ほっとしたら足に力が入らなくて……重いよね?」
するとユーノスはくすっと小さい笑い声を漏らして「……いいえ? 全く重くはありません。……むしろ痩せすぎではないかと心配になります」と微笑んだ。
あー。
それはそうかも。
子供の頃の絶食体験の副作用か、どれほど食べても全然太れないんだよね、私。
おかげで兄さんの影武者をするときにはあちこちに詰め物をしなくちゃならないくらいだもの。
「ですから安心して、身を任せてください」
ユーノスって、ほんとにカッコいいよね。
やさしいし。
ブーデリア王宮の女官たちに、ユーノス人気高かったの分かる。
「ありがと。
よろしくね?」
私は、できるだけユーノスの歩く邪魔にならないように首に腕を巻き付け、体を胸元に寄せて体重を預けた。
「……っ!」
ユーノスの声から、小さい声が漏れる。
「あ……! 痛かった?」
私は抱っこされたまま、ユーノスを見上げた。
「……いっ……、いいえ!
むしろ……あの、いえ。
……少し驚いてしまいました。
……失礼しました」
そう言ってユーノスは再び歩き出した。
無理してないか心配したけど、ユーノスの歩みはすごく安定していて、全く不安がなかった。
それにしても、私を軽々と持ち上げるなんて、近衛騎士の人ってすごい力持ち。
あ、でもユーノスが特別なのかな?
頬に触れるユーノスの胸は硬くて盛り上がっている。
それに、抱っこしている両腕も太くてカチカチ。
こんなに立派な体になるなんて、きっと頑張って訓練してるんだろうな。
私も深窓の令嬢よりもご飯のために運動している方だと思うけど、それでも痩せているせいか全然筋肉がつかない。
こんなもりもりの筋肉になるなんて、ものすごくつらい訓練を積んでくれてるのが分かる。
それで私たちを守ってくれてるんだから、本当にありがたい。
私は手を伸ばしてユーノスの腕にそっと触れた。
……すごい。
すっごく硬くて……太い腕。
「……殿下?」
「あ、ごめん、ユーノス。
ユーノスの……すごく硬くて……太いね……。
見てたら我慢できなくて……思わず触っちゃった……。
……ダメ、だったかな??」
私がユーノスを見上げながらそういうと、ユーノスがひゅっと息を飲むのが分かった。
「……い……いいえ……。
駄目、ではありませんが……」
ユーノスは困ったように眉をハの字形にした。
ダメじゃないけど、嫌だったのかな?
ユーノスのこと、困らせちゃった?
私は少しうるっとなってしまって、口をつぐんだ。
「……その……すこし恥ずかしいので……部屋の中でなら……かまいません」
ユーノスは小さい声で、呟いた。
あ、そーなんだ!
ユーノス、褒められるの、苦手だったんだ!
確かにユーノスの顔、すっごく顔が赤くなってるから、悪いことしたなって反省した。
でも腕とかすごい筋肉でかっこいいから、お部屋に帰ったら触らせてもらおうっと!!
「……ぅん。
じゃあ、後で、ね?」
私がそういうと、ユーノスはもっと赤くなっていた。
本当にすごい恥ずかしがり屋さんだと思った。
意外だなあ……。
王宮で剣術大会があるときも全然表情が変わらないから、そんなに恥ずかしがり屋さんだったとは思わなかった!!
そんな話をしていたら、前を歩いている女官さんが何故だか振り向いて、とても残念そうな顔で私を見つめていた。
……レンタールにもそんな顔されたことないから!!
女官さん酷い!!
応援ありがとうございます!
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