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第8章 結婚式
204【結婚式1 式の前】
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【side アレン】
色々準備を進めていると、あっという間に結婚式当日となる。
「いよいよ結婚式か……本当にあっという間だったな……」
「お義兄ちゃん緊張してる? ……です?」
新郎用の控室でバミューダ君が聞いてきた。なぜかユリは新婦用の控室に行っているので、この場は俺とバミューダ君しかいない。
「少しね……いや、かなりかな。お客さん、めちゃくちゃ多いから」
式場が大きくなったため、予定していた以上の人数に招待状を出したのだが、その中にはかなり関わりの薄い貴族等も含まれている。そのため、大半は欠席するだろうと思っていたのだが、予想に反して、招待した人全員が出席の返事を返してきた。おかげでこの大きい式場が満員になる予定だ。緊張するのも、仕方ないだろう。
「お義兄ちゃんなら大丈夫……です。王様たちの前でもしっかりしてた……です」
「え? あー、うん。あの時はね」
一瞬バミューダ君が言っているのが、いつの事だかわからなかったが、すぐに、モーリス王太子の王太子就任の儀式の事だと理解する。
「……正直、あの時より緊張する」
「え、えっと……ファイト! ……です!」
必死に励ましてくれるバミューダ君のおかげで、少し心が軽くなった気がした。
「ま、なるようになるか」
「うん……です」
頑張って笑みを浮かべると、バミューダ君も笑い返してくれる。一方その頃……。
【side クリス】
「クリス―! クリス可愛い! 可愛いよぉー!」
「さすがは、わたくし達の妹ね! 純白のドレスがとても似合っているわ! お母様、ちゃんと撮っていますか!?」
「もちろんよ! 後で編集して永久保管するんですもの! それにラミールにも『ビートルカメラ』を買い与えておきました。これで私達が手を離せない時もちゃんと撮っておけます。抜ぬかりはないわ!」
「「さすがお母様!」」
新婦用の控室で、わたくしのお母様とお姉様達が興奮している。
「お母様……お姉様達も……少し落ち着いて下さい。まだ式は始まっていないのですよ? 今からそんな興奮されていては、疲れてしまいます」
「「「無理! こんなに可愛いクリスを前にして落ち着いてなんていられない!」」」
「えぇ……」
なんとかなだめようとしましたが、3人から声を揃えて無理と言われてしまい、わたくしは何も言えなくなってしまう。
「でもほんと、似合っているねー。うん、さすがお兄ちゃん! いいドレスを選んだよ」
興奮している3人の後ろでユリちゃんがしみじみと言いました。どうやらアレンが選んだわたくしのドレスに問題が無いか、確認に来てくれたようです。しかし……。
(ユリちゃんがわたくしに合うドレスを3つ選んでからアレンに選ばせてくださったのに……ふふふ。本当に優しい義妹ですね)
アレンの服を選ぶセンスが壊滅的な事を、わたくしは知っています。そんなアレンも好きですが、さすがに変なドレスを着て結婚式に臨むのは少しだけ抵抗がありました。とはいえ、アレンの意見を聞かずにドレスを選ぶような事は、わたくしには出来ません。なので、ユリちゃんが誰も恥をかかないように上手く立ち回ってくださった事には、心から感謝しております。
「クリス。もう入ってもいいかい?」
扉の外から、お父様が声をかけてこられました。わたくしが色々準備しておりましたので、席を外してくださっていたのです。
「大丈夫ですよ。もう準備は終わりました」
わたくしがそう返事をすると、お父様も控室に入ってこられました。入れ替わりでユリちゃんが出て行かれたのは、わたくし達が家族だけになれるよう気を使ってくれたのでしょう。本当に優しい義妹です。
「おお! 可愛い……いや、美しくなったね。お前が、そういう顔で結婚式に望めて、本当に良かったよ。アレン殿には感謝しないとな」
「お父様……」
お父様が愛おしそうにわたくしを見つめてくださいます。わたくしもサーシス元伯爵に狙われていた頃は、自分の結婚式でこのような気持ちになるとは思ってもいませんでした。今のわたくしがあるのは、アレンのおかげと言っても過言ではないでしょう。
「いいか、クリス。分かっているとは思うが、我々はアレン殿に返し切れないほどの恩がある。アレン殿に危機が迫った時は、我々はブリスタ子爵家の総力をもって、アレン殿を助けるつもりだ。そして、お前はクランフォード家の一員となるわけだが、お前が私達の家族であることに変わりはない。つまり、お前もアレン殿も、我々にとって大事な存在で、お前達が何か困った時には、いつでも我々を頼って良いという事のだ。その事をよく覚えておきなさい」
「はい。お父様」
お父様の言葉にお母様とお姉様達も頷いており、わたくし達に危機が迫れば、絶対に助けるという意思を感じます。本当にわたくしは家族に恵まれました。
「うむ! さて、そろそろ式が始まる時間だ。準備はいいか?」
「はい!」
「よし。マリア、私の最後の晴れ舞台だ。しっかり撮っておいてくれよ」
「もちろんよ。任せて頂戴!」
お父様の言う晴れ舞台とは、教会でわたくしをエスコートする事です。先に入場したアレンの元まで、わたくしをエスコートして下さいます。お姉様達をエスコートされる時は、『父親としての最後の晴れ舞台』とおっしゃっていましたが、末っ子であるわたくしのエスコートは、『本当に最後の晴れ舞台』となるのでしょう。お父様の眼にはすでに涙が浮かんでおります。
「それじゃ、行こうか。クリス」
「はい。お父様」
わたくしはお父様の涙には気付かないふりをして、お父様と一緒に教会に向かいました。
色々準備を進めていると、あっという間に結婚式当日となる。
「いよいよ結婚式か……本当にあっという間だったな……」
「お義兄ちゃん緊張してる? ……です?」
新郎用の控室でバミューダ君が聞いてきた。なぜかユリは新婦用の控室に行っているので、この場は俺とバミューダ君しかいない。
「少しね……いや、かなりかな。お客さん、めちゃくちゃ多いから」
式場が大きくなったため、予定していた以上の人数に招待状を出したのだが、その中にはかなり関わりの薄い貴族等も含まれている。そのため、大半は欠席するだろうと思っていたのだが、予想に反して、招待した人全員が出席の返事を返してきた。おかげでこの大きい式場が満員になる予定だ。緊張するのも、仕方ないだろう。
「お義兄ちゃんなら大丈夫……です。王様たちの前でもしっかりしてた……です」
「え? あー、うん。あの時はね」
一瞬バミューダ君が言っているのが、いつの事だかわからなかったが、すぐに、モーリス王太子の王太子就任の儀式の事だと理解する。
「……正直、あの時より緊張する」
「え、えっと……ファイト! ……です!」
必死に励ましてくれるバミューダ君のおかげで、少し心が軽くなった気がした。
「ま、なるようになるか」
「うん……です」
頑張って笑みを浮かべると、バミューダ君も笑い返してくれる。一方その頃……。
【side クリス】
「クリス―! クリス可愛い! 可愛いよぉー!」
「さすがは、わたくし達の妹ね! 純白のドレスがとても似合っているわ! お母様、ちゃんと撮っていますか!?」
「もちろんよ! 後で編集して永久保管するんですもの! それにラミールにも『ビートルカメラ』を買い与えておきました。これで私達が手を離せない時もちゃんと撮っておけます。抜ぬかりはないわ!」
「「さすがお母様!」」
新婦用の控室で、わたくしのお母様とお姉様達が興奮している。
「お母様……お姉様達も……少し落ち着いて下さい。まだ式は始まっていないのですよ? 今からそんな興奮されていては、疲れてしまいます」
「「「無理! こんなに可愛いクリスを前にして落ち着いてなんていられない!」」」
「えぇ……」
なんとかなだめようとしましたが、3人から声を揃えて無理と言われてしまい、わたくしは何も言えなくなってしまう。
「でもほんと、似合っているねー。うん、さすがお兄ちゃん! いいドレスを選んだよ」
興奮している3人の後ろでユリちゃんがしみじみと言いました。どうやらアレンが選んだわたくしのドレスに問題が無いか、確認に来てくれたようです。しかし……。
(ユリちゃんがわたくしに合うドレスを3つ選んでからアレンに選ばせてくださったのに……ふふふ。本当に優しい義妹ですね)
アレンの服を選ぶセンスが壊滅的な事を、わたくしは知っています。そんなアレンも好きですが、さすがに変なドレスを着て結婚式に臨むのは少しだけ抵抗がありました。とはいえ、アレンの意見を聞かずにドレスを選ぶような事は、わたくしには出来ません。なので、ユリちゃんが誰も恥をかかないように上手く立ち回ってくださった事には、心から感謝しております。
「クリス。もう入ってもいいかい?」
扉の外から、お父様が声をかけてこられました。わたくしが色々準備しておりましたので、席を外してくださっていたのです。
「大丈夫ですよ。もう準備は終わりました」
わたくしがそう返事をすると、お父様も控室に入ってこられました。入れ替わりでユリちゃんが出て行かれたのは、わたくし達が家族だけになれるよう気を使ってくれたのでしょう。本当に優しい義妹です。
「おお! 可愛い……いや、美しくなったね。お前が、そういう顔で結婚式に望めて、本当に良かったよ。アレン殿には感謝しないとな」
「お父様……」
お父様が愛おしそうにわたくしを見つめてくださいます。わたくしもサーシス元伯爵に狙われていた頃は、自分の結婚式でこのような気持ちになるとは思ってもいませんでした。今のわたくしがあるのは、アレンのおかげと言っても過言ではないでしょう。
「いいか、クリス。分かっているとは思うが、我々はアレン殿に返し切れないほどの恩がある。アレン殿に危機が迫った時は、我々はブリスタ子爵家の総力をもって、アレン殿を助けるつもりだ。そして、お前はクランフォード家の一員となるわけだが、お前が私達の家族であることに変わりはない。つまり、お前もアレン殿も、我々にとって大事な存在で、お前達が何か困った時には、いつでも我々を頼って良いという事のだ。その事をよく覚えておきなさい」
「はい。お父様」
お父様の言葉にお母様とお姉様達も頷いており、わたくし達に危機が迫れば、絶対に助けるという意思を感じます。本当にわたくしは家族に恵まれました。
「うむ! さて、そろそろ式が始まる時間だ。準備はいいか?」
「はい!」
「よし。マリア、私の最後の晴れ舞台だ。しっかり撮っておいてくれよ」
「もちろんよ。任せて頂戴!」
お父様の言う晴れ舞台とは、教会でわたくしをエスコートする事です。先に入場したアレンの元まで、わたくしをエスコートして下さいます。お姉様達をエスコートされる時は、『父親としての最後の晴れ舞台』とおっしゃっていましたが、末っ子であるわたくしのエスコートは、『本当に最後の晴れ舞台』となるのでしょう。お父様の眼にはすでに涙が浮かんでおります。
「それじゃ、行こうか。クリス」
「はい。お父様」
わたくしはお父様の涙には気付かないふりをして、お父様と一緒に教会に向かいました。
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