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第7.1章 王子達 (全話に残酷な描写、女性軽視な表現が含まれております。ご注意ください)
203【王子達8 予想外】
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【side モーリス王子】
アレンのおかげでカミール兄上が更生したところを、皆に見せることが出来た。これにより、またしても俺の株があがるだろう。
別室でカミール兄上をアレンが尋問した後、俺もカミール兄上と話をして、今後は俺の言う事を聞く事を約束させる。よほどアレンの拷問が堪えたのか、カミール兄上は無条件に従ってくれた。
(カミール兄上用の女性も用意していたんだけど無駄になっちゃったな。まぁいいや。ハーレム要員はいくらいても困らないからな)
『ざまぁ』は出来たし、『ハーレム』の準備も出来た。もうすぐ、俺が待ち望んだ生活が始まるのだ。その日、俺は最高の気分で眠りについた。
翌日、俺は昨日ダンスを踊った女性達の中から特に気に入った数人の女性の家に『娘を側室に向かい入れたい』という打診を送る。いきなり何十人も側室を向かい入れても身体が持たないので、最初は少なめにしたのだが……。
「あれ?」
帰って来た返事は、『ありがたいお話ですが、うちの娘は、身体が丈夫でないため、側室にはふさわしくないと思われます』、『誠に申し訳ありません。実は昨日、娘が重い病気を患っている事が判明し、側室になるのは難しいです』『誠に光栄なお話し、ありがとうございます。しかし、非常に残念ながら、娘は昨日、結納を済ませてしまい、今から側室になる事は出来ない状況でございます』等、全て断りの連絡だった。
(そんな……そんなが偶然あるのか? 皆、急に側室になれない事情が出来たなんて……いやしかし、パーティーでの感触は悪くなかったはず……偶然だ。偶然に決まっている!)
仕方なく、パーティーでそこそこ気に入った女性達の家に、打診を送りなおす。しかし……。
「なぜだ! なぜ断る!!!」
帰って来た返事はどれも断りの連絡だった。その後、多くの家に打診を送り続けたが、皆、断りの返事を送って来る。このころになると、公務は全て婚約者に任せて、俺は側室探しに躍起になるが、俺の望む返事を返してくれる家は無かった。
■ ■ ■
(クソ、アレンめ! 俺が側室探しに難航していると知っていながら結婚式の招待状を送って来るとは……当てつけか? 俺への当てつけなのか? 他人の結婚式で側室探しするわけにもいかないし、俺はソルシャの隣でお前を祝福するしかないというのに!)
俺の一番の支援者であるアレンが、俺に結婚式の招待状を送らないという事はあり得ないのだが、それでも、今このタイミングでアレンとクリスの結婚を祝うというのは俺にとって屈辱だった。
(アレンがいなければ、クリスは俺の物になっていたはずだったのに……くそが! なんでアレンばっかり!)
クリスへの未練は断ち切ったつもりになっていたが、自分の隣にヒロインがいない状態で、アレンとクリスが幸せそうにしているのを見ると、どうしても、嫉妬の感情が芽生えてします。
それにアレンには、母上やミッシェルが自分の娘を嫁がせようとしていると聞いた。『なぜ、ハーレムを望んでいないはずのアレンにばかり』という気持ちを抑える事が出来ない。
(くそっ! くそっ! くそがぁ!)
そんな俺をソルシャが、『以前、俺が兄上達を見ていた眼』と同じ眼で見ている事に、俺が気付く事はなかった。
【side アレン】
「良かったのですか? モーリス王太子に結婚式のわたくし達の招待状をお送りして。大分荒れていると聞いていますが……」
結婚式の準備を進めていた俺にクリスが聞いた。
「正直呼びたくないけど呼ばないわけにいかないからね。まぁ、流石のモーリス王太子も、結婚式で変な事はしないと思うよ」
「それもそうですね。……あ、床に敷く絨毯とテーブルクロスの色はどうしますか?」
「青で!」
「……あの、わたくしの色を選んで頂けるのは嬉しいのですが、会場が真っ青になってしまいますよ?」
「うっ……」
「テーブルクロスは薄い水色にして、絨毯は白にしましょう。わたくしのドレスが青なので、その方が、色が生えますから。その代わり、飾りやお花は青にしましょう」
「そ、そうだね」
準備を始める前に、ユリから『お兄ちゃんに任せておくとめちゃくちゃな会場になっちゃうからね! ちゃんと自分の意見を言わないとダメだよ、お義姉ちゃん!』と言われていたクリスが上手にフォローしてくれるため、会場の準備は問題なく進んで行く。
ちなみにユリは式場に飾るプレートの作成を担当してくれており、今この場にはいない。『結婚式場の準備はお兄ちゃん達でやらなきゃ!』との事だ。
「会場はこんな感じかな。思った以上に大掛かりになっちゃった……」
「ふふふ。今やアレンは、モーリス王太子の懐刀ですからね。これくらい当然ですよ」
最初、俺達は身内だけの結婚式を行う予定だった。だが、王妃様がそれに待ったをかけたのである。曰く、『貴方達の結婚式をこじんまりとしたものにするわけにはいかないわ! この国一番の教会と式場を用意するからちょっと待ってなさい!』とのことだった。
「だからってここまでしなくても……」
「ふふふ。仕方ないですよ。シャル様の事を考えたら……」
「――っ!」
そう、実は王妃様がこの国一番の式場を用意した理由は、俺がモーリス王太子の懐刀だから、という物ではない。本当に理由はシャル王女のためだ。
「シャル様がアレンと結婚する事になった時、アレンとわたくしの結婚式以上の結婚式を挙げるわけにはいきませんからね」
「や、やっぱりそういう理由だよね……」
「当然です。ニーニャ様の事もありますし、そろそろ覚悟を決めた方が良いかもしれませんよ?」
「うぅぅ……」
最近、シャル王女やニーニャさんからのアピールが激しくなってきた。
(なんで!? 俺、カミール王子やサーカイル王子にとんでもない仕打ちしたよね? 皆がドン引きするような仕打ちしたよね? なんで引かないの!?)
更生後のカミール王子を、皆の前で『転移』して呼び戻したのは、モーリス王太子と俺の評判を落とす目的があったのだ。結果、モーリス王太子の評判を落とす事には成功したのだが、俺の評判についてはほとんど変化が無い。
「ぅぅ…………こんな俺のどこがいいんだ?」
「ふふ。わたくしはそんなアレンが好きですよ?」
「ふぐっ! そ、それは……俺だって……」
「それとも、アレンはわたくしと立派な結婚式を挙げるのはお嫌ですか?」
「そ、そんなことは……」
「でしたら、あまり深く考えないで幸運だと思いましょう。なかなかありませんよ? 商人と子爵令嬢がこのような場で結婚式を挙げる、というのは」
「……そう、だね。うん! そうするよ!」
俺だって、クリスとこんな会場で結婚式を挙げられること自体は嬉しいのだ。予定外ではあるものの、準備だって楽しいし、皆が色々準備してくれるのも嬉しい。だったら、色々考えるのは後にして、今はこの幸運を喜ぶべきだろう。
「ありがとね。クリス」
「ふふ。どういたしまして」
そう気づかせてくれたクリスにお礼を言ってから、俺達は結婚式の準備を進めて行った。
アレンのおかげでカミール兄上が更生したところを、皆に見せることが出来た。これにより、またしても俺の株があがるだろう。
別室でカミール兄上をアレンが尋問した後、俺もカミール兄上と話をして、今後は俺の言う事を聞く事を約束させる。よほどアレンの拷問が堪えたのか、カミール兄上は無条件に従ってくれた。
(カミール兄上用の女性も用意していたんだけど無駄になっちゃったな。まぁいいや。ハーレム要員はいくらいても困らないからな)
『ざまぁ』は出来たし、『ハーレム』の準備も出来た。もうすぐ、俺が待ち望んだ生活が始まるのだ。その日、俺は最高の気分で眠りについた。
翌日、俺は昨日ダンスを踊った女性達の中から特に気に入った数人の女性の家に『娘を側室に向かい入れたい』という打診を送る。いきなり何十人も側室を向かい入れても身体が持たないので、最初は少なめにしたのだが……。
「あれ?」
帰って来た返事は、『ありがたいお話ですが、うちの娘は、身体が丈夫でないため、側室にはふさわしくないと思われます』、『誠に申し訳ありません。実は昨日、娘が重い病気を患っている事が判明し、側室になるのは難しいです』『誠に光栄なお話し、ありがとうございます。しかし、非常に残念ながら、娘は昨日、結納を済ませてしまい、今から側室になる事は出来ない状況でございます』等、全て断りの連絡だった。
(そんな……そんなが偶然あるのか? 皆、急に側室になれない事情が出来たなんて……いやしかし、パーティーでの感触は悪くなかったはず……偶然だ。偶然に決まっている!)
仕方なく、パーティーでそこそこ気に入った女性達の家に、打診を送りなおす。しかし……。
「なぜだ! なぜ断る!!!」
帰って来た返事はどれも断りの連絡だった。その後、多くの家に打診を送り続けたが、皆、断りの返事を送って来る。このころになると、公務は全て婚約者に任せて、俺は側室探しに躍起になるが、俺の望む返事を返してくれる家は無かった。
■ ■ ■
(クソ、アレンめ! 俺が側室探しに難航していると知っていながら結婚式の招待状を送って来るとは……当てつけか? 俺への当てつけなのか? 他人の結婚式で側室探しするわけにもいかないし、俺はソルシャの隣でお前を祝福するしかないというのに!)
俺の一番の支援者であるアレンが、俺に結婚式の招待状を送らないという事はあり得ないのだが、それでも、今このタイミングでアレンとクリスの結婚を祝うというのは俺にとって屈辱だった。
(アレンがいなければ、クリスは俺の物になっていたはずだったのに……くそが! なんでアレンばっかり!)
クリスへの未練は断ち切ったつもりになっていたが、自分の隣にヒロインがいない状態で、アレンとクリスが幸せそうにしているのを見ると、どうしても、嫉妬の感情が芽生えてします。
それにアレンには、母上やミッシェルが自分の娘を嫁がせようとしていると聞いた。『なぜ、ハーレムを望んでいないはずのアレンにばかり』という気持ちを抑える事が出来ない。
(くそっ! くそっ! くそがぁ!)
そんな俺をソルシャが、『以前、俺が兄上達を見ていた眼』と同じ眼で見ている事に、俺が気付く事はなかった。
【side アレン】
「良かったのですか? モーリス王太子に結婚式のわたくし達の招待状をお送りして。大分荒れていると聞いていますが……」
結婚式の準備を進めていた俺にクリスが聞いた。
「正直呼びたくないけど呼ばないわけにいかないからね。まぁ、流石のモーリス王太子も、結婚式で変な事はしないと思うよ」
「それもそうですね。……あ、床に敷く絨毯とテーブルクロスの色はどうしますか?」
「青で!」
「……あの、わたくしの色を選んで頂けるのは嬉しいのですが、会場が真っ青になってしまいますよ?」
「うっ……」
「テーブルクロスは薄い水色にして、絨毯は白にしましょう。わたくしのドレスが青なので、その方が、色が生えますから。その代わり、飾りやお花は青にしましょう」
「そ、そうだね」
準備を始める前に、ユリから『お兄ちゃんに任せておくとめちゃくちゃな会場になっちゃうからね! ちゃんと自分の意見を言わないとダメだよ、お義姉ちゃん!』と言われていたクリスが上手にフォローしてくれるため、会場の準備は問題なく進んで行く。
ちなみにユリは式場に飾るプレートの作成を担当してくれており、今この場にはいない。『結婚式場の準備はお兄ちゃん達でやらなきゃ!』との事だ。
「会場はこんな感じかな。思った以上に大掛かりになっちゃった……」
「ふふふ。今やアレンは、モーリス王太子の懐刀ですからね。これくらい当然ですよ」
最初、俺達は身内だけの結婚式を行う予定だった。だが、王妃様がそれに待ったをかけたのである。曰く、『貴方達の結婚式をこじんまりとしたものにするわけにはいかないわ! この国一番の教会と式場を用意するからちょっと待ってなさい!』とのことだった。
「だからってここまでしなくても……」
「ふふふ。仕方ないですよ。シャル様の事を考えたら……」
「――っ!」
そう、実は王妃様がこの国一番の式場を用意した理由は、俺がモーリス王太子の懐刀だから、という物ではない。本当に理由はシャル王女のためだ。
「シャル様がアレンと結婚する事になった時、アレンとわたくしの結婚式以上の結婚式を挙げるわけにはいきませんからね」
「や、やっぱりそういう理由だよね……」
「当然です。ニーニャ様の事もありますし、そろそろ覚悟を決めた方が良いかもしれませんよ?」
「うぅぅ……」
最近、シャル王女やニーニャさんからのアピールが激しくなってきた。
(なんで!? 俺、カミール王子やサーカイル王子にとんでもない仕打ちしたよね? 皆がドン引きするような仕打ちしたよね? なんで引かないの!?)
更生後のカミール王子を、皆の前で『転移』して呼び戻したのは、モーリス王太子と俺の評判を落とす目的があったのだ。結果、モーリス王太子の評判を落とす事には成功したのだが、俺の評判についてはほとんど変化が無い。
「ぅぅ…………こんな俺のどこがいいんだ?」
「ふふ。わたくしはそんなアレンが好きですよ?」
「ふぐっ! そ、それは……俺だって……」
「それとも、アレンはわたくしと立派な結婚式を挙げるのはお嫌ですか?」
「そ、そんなことは……」
「でしたら、あまり深く考えないで幸運だと思いましょう。なかなかありませんよ? 商人と子爵令嬢がこのような場で結婚式を挙げる、というのは」
「……そう、だね。うん! そうするよ!」
俺だって、クリスとこんな会場で結婚式を挙げられること自体は嬉しいのだ。予定外ではあるものの、準備だって楽しいし、皆が色々準備してくれるのも嬉しい。だったら、色々考えるのは後にして、今はこの幸運を喜ぶべきだろう。
「ありがとね。クリス」
「ふふ。どういたしまして」
そう気づかせてくれたクリスにお礼を言ってから、俺達は結婚式の準備を進めて行った。
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