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第5章 転換期
135【魔道具開発5 『創作』の欠点】
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「あ、マークさん。お兄ちゃんも。遅いよー」
「ごめんごめん、お待たせ!」
「いやぁ、お待たせしてしまって申し訳ありません。アレンさんが改良された魔道具が素晴らしい出来だったので、思わず見入ってしまいました」
「なるほど……つまり、お兄ちゃんのせいってわけですね」
「そういう事になりますね」
「なんで!?」
ユリとマークさんが華麗な連携プレイで攻めてくる。
(息ぴったりすぎない!? よほど馬が合ったのかな? なんか2人共楽しそう……)
2人の息の合い具合に若干嫉妬してしまう。
「さ、冗談はさておき、昼食にしましょう。ユリさんが素敵な昼食を用意してくださったんですよ」
「ここの所メン料理ばかり食べてたからね。今日はがっつり、肉メニューにしてみたの!」
ユリの言う通り、テーブルの上には数々の肉料理が置かれている。並べられた料理は心なしか、いつも以上に美味しそうに見えた。
(確かに久しぶりの麺が嬉しくてメン屋にばっか行ってたからな。がっつり系は嬉しいかも!)
「いいね! 美味しそう。食べて良い?」
「いいよー。マークさんもどうぞ」
「ありがとうございます。では、遠慮なく」
「「頂きます!」」
俺はさっそく肉料理にがっつく。
「んー! 美味しい!」
「これは! 本当に美味しいですね。ユリさんは魔法だけでなく、料理の才能もあるんですね」
「ありがとうございます。これに関してはお母さんのおかげです」
「ああ、イリスさんの。確かに彼女の料理も美味しかったですね。ですが、この料理もそれに負けず劣らず美味しいですよ」
「わぁ、ありがとうございます!」
何かと母さんを目標にしているユリにとって、マークさんの言葉は最高の誉め言葉だろう。本当に嬉しそうにしている。
「それじゃあ、明日もお昼は私が作りますね! 色々お世話になっているお礼です!」
「お礼なんて……私が好きでやっているだけなので気にしないでください。ですが、美味しいお昼を頂けるのは嬉しいので、ぜひお願いします」
「任せてください!」
そんな風にお昼の楽しい時間は過ぎて行ったのだが、途中で肝心なことを聞き忘れていることに気付いた。
「マークさん、先ほどおっしゃっていた『創作』の欠点についてですが……」
「ああ! すみません。料理が美味しすぎて忘れていました。――こほん。さて、アレンさんは『創作』の欠点について何かお気づきではありませんか?」
マークさんが料理を食べる手を止めて俺に向き直る。
「欠点……他の属性の魔法使いがいないと強力な魔道具が作れない点ですか?」
今、俺の実験室には、他の属性の魔法使いの協力が無いと改良出来ない魔道具がいくつかある。改良案はあるのだが、今の俺では実行することが出来ないのだ。
「まさしく。例えば一番簡単な『灯り』の魔道具。『創作』だけでも部屋を見渡せるぐらいの明るさの魔道具は作れるでしょう。ですが、『属性』を修めた魔法使いに協力してもらえば、街中を明るく照らす魔道具を作る事が出来るでしょう。この差が如実に表れる場面があります。どの場面だか、分かりますか?」
「えっと……すみません。わか――」
「――戦い……ですか?」
答えが分からなかった俺の代わりにユリが答えた。
「ご名答です。戦いにおいて『創作』は、単体では最弱と言えるでしょう。どのように工夫しても他の属性の下位互換にしかなりません。単体では役に立たない。その代わり、皆の協力が得られれば最高の力を発揮する。それが『創作』です。ゆえに、『創作』魔法使いは、あらかじめ戦いに備えておく必要があるのです」
確かに戦いにおいて何も備えていなかったら、俺は何もできずにやられてしまうだろう。
「備え……」
「ええ。言い換えれば、他の属性の魔法使い達の力を借りて強力な武器の魔道具を『創作』しておく必要があります」
強力な武器の魔道具と聞いて思い浮かんだ魔道具がある。マークさんの失敗作の中にあった銃だ。あれを改良して、前世の銃と同じくらいの威力を出せるようにすれば、護身用としては十分な武器になるだろう。
(銃……知識チートの定番だな。作り方もだいたい分かるし改良については問題ないだろう。問題は……俺に銃が使いこなせるかだな)
銃は強力な武器だが、武器である以上、誰を傷つけるかは使い手にかかっている。使い手の腕が悪ければ味方を傷つけてしまう可能性もあるのだ。そして残念なことに俺は銃を撃った経験が無い。
(ラノベだと、知識チートで銃を作った連中って当たり前みたいに100発100中させてるけど、現実はそんなに甘くない……俺が銃を使ったら、いつか絶対誤射する。何とかしないとな)
「分かりました。護身用の強力な武器の魔道具を用意します。ユリも協力してね」
「もちろん! でも、ごめん。今読んでる魔導書、まだ半分以上残ってるんだ。このペースだと読み終わるのに1週間くらいかかるかも……」
「いや、ユリさん。以前も言いましたが、通常、魔導書を読み切るには数週間から1ヶ月程度かかります。1週間で読み切るというのはとんでもない偉業だという事を忘れないでください」
「でも、お兄ちゃんは1日で2冊読みました」
「……アレンさんは偉業を通り越して、異常なのだと思ってください」
(本人を前にしてひどい言い草だな!? まぁ、知識チートだから異常って言われてもしょうがないけど……)
「大丈夫だよ。家に戻るまでまだ5ヶ月近くあるんだ。無理しないペースで修めてくれたら十分だよ」
(今の失敗作を改良すれば、銃の練習くらいできるだろうしね)
「うん! じゃあ、2ヶ月で全部の属性を修められるように頑張る!」
「……私ですら3ヶ月かかったんですけどね。いえ、目標を高く持つのは良い事です。ですが、無理していると思ったら止めますからね?」
「はい! 無理しない範囲で頑張ります!」
「ええ。そうしてください」
マークさんから『創作』の欠点を聞いた俺は、次にやることを決めたのだった。
「ごめんごめん、お待たせ!」
「いやぁ、お待たせしてしまって申し訳ありません。アレンさんが改良された魔道具が素晴らしい出来だったので、思わず見入ってしまいました」
「なるほど……つまり、お兄ちゃんのせいってわけですね」
「そういう事になりますね」
「なんで!?」
ユリとマークさんが華麗な連携プレイで攻めてくる。
(息ぴったりすぎない!? よほど馬が合ったのかな? なんか2人共楽しそう……)
2人の息の合い具合に若干嫉妬してしまう。
「さ、冗談はさておき、昼食にしましょう。ユリさんが素敵な昼食を用意してくださったんですよ」
「ここの所メン料理ばかり食べてたからね。今日はがっつり、肉メニューにしてみたの!」
ユリの言う通り、テーブルの上には数々の肉料理が置かれている。並べられた料理は心なしか、いつも以上に美味しそうに見えた。
(確かに久しぶりの麺が嬉しくてメン屋にばっか行ってたからな。がっつり系は嬉しいかも!)
「いいね! 美味しそう。食べて良い?」
「いいよー。マークさんもどうぞ」
「ありがとうございます。では、遠慮なく」
「「頂きます!」」
俺はさっそく肉料理にがっつく。
「んー! 美味しい!」
「これは! 本当に美味しいですね。ユリさんは魔法だけでなく、料理の才能もあるんですね」
「ありがとうございます。これに関してはお母さんのおかげです」
「ああ、イリスさんの。確かに彼女の料理も美味しかったですね。ですが、この料理もそれに負けず劣らず美味しいですよ」
「わぁ、ありがとうございます!」
何かと母さんを目標にしているユリにとって、マークさんの言葉は最高の誉め言葉だろう。本当に嬉しそうにしている。
「それじゃあ、明日もお昼は私が作りますね! 色々お世話になっているお礼です!」
「お礼なんて……私が好きでやっているだけなので気にしないでください。ですが、美味しいお昼を頂けるのは嬉しいので、ぜひお願いします」
「任せてください!」
そんな風にお昼の楽しい時間は過ぎて行ったのだが、途中で肝心なことを聞き忘れていることに気付いた。
「マークさん、先ほどおっしゃっていた『創作』の欠点についてですが……」
「ああ! すみません。料理が美味しすぎて忘れていました。――こほん。さて、アレンさんは『創作』の欠点について何かお気づきではありませんか?」
マークさんが料理を食べる手を止めて俺に向き直る。
「欠点……他の属性の魔法使いがいないと強力な魔道具が作れない点ですか?」
今、俺の実験室には、他の属性の魔法使いの協力が無いと改良出来ない魔道具がいくつかある。改良案はあるのだが、今の俺では実行することが出来ないのだ。
「まさしく。例えば一番簡単な『灯り』の魔道具。『創作』だけでも部屋を見渡せるぐらいの明るさの魔道具は作れるでしょう。ですが、『属性』を修めた魔法使いに協力してもらえば、街中を明るく照らす魔道具を作る事が出来るでしょう。この差が如実に表れる場面があります。どの場面だか、分かりますか?」
「えっと……すみません。わか――」
「――戦い……ですか?」
答えが分からなかった俺の代わりにユリが答えた。
「ご名答です。戦いにおいて『創作』は、単体では最弱と言えるでしょう。どのように工夫しても他の属性の下位互換にしかなりません。単体では役に立たない。その代わり、皆の協力が得られれば最高の力を発揮する。それが『創作』です。ゆえに、『創作』魔法使いは、あらかじめ戦いに備えておく必要があるのです」
確かに戦いにおいて何も備えていなかったら、俺は何もできずにやられてしまうだろう。
「備え……」
「ええ。言い換えれば、他の属性の魔法使い達の力を借りて強力な武器の魔道具を『創作』しておく必要があります」
強力な武器の魔道具と聞いて思い浮かんだ魔道具がある。マークさんの失敗作の中にあった銃だ。あれを改良して、前世の銃と同じくらいの威力を出せるようにすれば、護身用としては十分な武器になるだろう。
(銃……知識チートの定番だな。作り方もだいたい分かるし改良については問題ないだろう。問題は……俺に銃が使いこなせるかだな)
銃は強力な武器だが、武器である以上、誰を傷つけるかは使い手にかかっている。使い手の腕が悪ければ味方を傷つけてしまう可能性もあるのだ。そして残念なことに俺は銃を撃った経験が無い。
(ラノベだと、知識チートで銃を作った連中って当たり前みたいに100発100中させてるけど、現実はそんなに甘くない……俺が銃を使ったら、いつか絶対誤射する。何とかしないとな)
「分かりました。護身用の強力な武器の魔道具を用意します。ユリも協力してね」
「もちろん! でも、ごめん。今読んでる魔導書、まだ半分以上残ってるんだ。このペースだと読み終わるのに1週間くらいかかるかも……」
「いや、ユリさん。以前も言いましたが、通常、魔導書を読み切るには数週間から1ヶ月程度かかります。1週間で読み切るというのはとんでもない偉業だという事を忘れないでください」
「でも、お兄ちゃんは1日で2冊読みました」
「……アレンさんは偉業を通り越して、異常なのだと思ってください」
(本人を前にしてひどい言い草だな!? まぁ、知識チートだから異常って言われてもしょうがないけど……)
「大丈夫だよ。家に戻るまでまだ5ヶ月近くあるんだ。無理しないペースで修めてくれたら十分だよ」
(今の失敗作を改良すれば、銃の練習くらいできるだろうしね)
「うん! じゃあ、2ヶ月で全部の属性を修められるように頑張る!」
「……私ですら3ヶ月かかったんですけどね。いえ、目標を高く持つのは良い事です。ですが、無理していると思ったら止めますからね?」
「はい! 無理しない範囲で頑張ります!」
「ええ。そうしてください」
マークさんから『創作』の欠点を聞いた俺は、次にやることを決めたのだった。
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