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結 2/3
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【side ミナ】
考えがまとまらないまま、ロロの後を導かれるまま歩いていく。
「あぁ、愛しのジェシーよ。どうか俺の求婚を受け入れて欲しい」
「まぁ、カール様。なんて光栄なお言葉でしょう。とても嬉しく思いますわ」
気が付くと、広場の最前列に来ていた。目の前では、カールが美女に愛の言葉を告げており、美女もまんざらでもない顔をしている。
(あの人がジェシーか……確かにすごい美女ね……ロロもああいう人が好きなのかな……うぅ……)
カールに愛の言葉を告げられている女性は、確かにスタイルが抜群で、見目も綺麗なため、男だったら、私よりジェシーを選びたくなる気持ちは分からなくもない。ただ、カールがジェシーに何を言っても、何とも思わないが、ロロがジェシーみたいな人を好きかもしれないと考えると、なぜか胸が痛くなった。
(って、私何を考えてるの!? 違う違う! そうじゃない! 別に私とロロは恋人でもなんでもないんだから!!)
ロロに手を繋がれておかしくなっているようだ。なぜか痛む胸を無視して、私は目の前で繰り広げられる公開プロポーズに意識を戻す。
(ロロが私を連れて来たという事は、きっと何か意味があるはず。………………多分)
「おお! そう言ってくれるか! ありがとう! 必ず幸せにすると誓う! さぁ、ジェシーよ。私と共に新しい人生の一歩を歩みだそうぞ!」
カールの言葉が、いよいよ芝居じみて来た。おそらく話す事が無くなってきたのだろう。というのも、さんざんプロポーズされているジェシーが一向に『プロポーズを受け入れる言葉』を言わないのだ。
「さ、さぁ、ジェシーよ。俺と――」
「その前に、私からカール様にサプライズプレゼントがございます」
「――結婚……え、あ、ぷ、プレゼント?」
再三にわたるプロポーズの言葉をぶった切って、ジェシーがカールに告げる。
「ええ。とびっきりのサプライズプレゼントです。手紙にも書きましたでしょう?」
「あ、ああ! そうだったな! なんだ? そのサプライズプレゼントというのは?」
「ふふふ。どうぞ、後ろを向いて下さいませ」
「? 後ろ? ――っ!」
「このっ! バカ息子がーー!!!」
「――へぶっ!!!」
カールの後ろから突撃してきた男性が、罵声を浴びせると同時に、その勢いのままカールの顔面に己のこぶしをめり込ませた。その衝撃でカールは吹っ飛び、頭から壁に叩きつけられる。
(あれは……)
「お、おや、じ……」
口内を切ったのか、カールが口から血を流しながら突撃してきた男性を見て呟く。そう、突撃してきたのは、カールのお父様であるライアンス伯爵だった。
「貴様は……貴様はなんて事をしでかしたのだ!!!」
ライアンス伯爵は倒れていたカールの胸倉をつかんで無理やり立たせる。
「お、おやじ……ぐ、ぐるじぃ」
「ミナ嬢との婚約を解消するだけならまだいい! だが……浮気した挙句婚約破棄だと!? 何を考えている!? しかも商会を2つも奪い取るなど……この地の民を敵にするつもりか!?」
「ぞ、ぞんな……おやじのいうどおりぢゃんど慰謝料もばらって……」
「何が『わしの言う通り』だ!? お前が慰謝料として支払ったその金は、長年、お前なんかの婚約者を務めてくれたミナ嬢への謝礼金だ! 慰謝料として支払えなどと言った覚えはない!!」
「ぞ、ぞんな……」
(ああ、あのお金はそういう……)
婚約破棄した日、カールから一括で支払われた慰謝料の出所について、ずっと疑問に思っていたのだがそういう事であるのならば納得だ。
(ライアンス伯爵がカールの慰謝料を肩代わりするわけないとは思ったけど、謝礼金として渡してくださろうとしていたのか……という事は……)
「貴様の慰謝料をわしが払っていては周りに示しがつかん! ミナ嬢に迷惑をかけるわけにはいかないから、一旦わしが立て替えておいてやるが、慰謝料はお前の借金とする! 良いな!?」
(あ、やっぱり……)
ライアンス伯爵は優しい人ではあるが、悪人には容赦がない。それは身内であっても同様だ。不義を働いたカールをこのまま許すわけがないのだ。
「ぞ、ぞんな……」
「はぁ……兄は立派に育ったというのに、どうして貴様は……はぁ、もういい。どうせ貴様はすぐに借金奴隷となるだろう。存分に悔い改めるがいいさ」
「――!? ま、まっでぐれ、おやじ! 貴族ば借金奴隷にならないばず……」
「は? 貴様、そこの女と結婚するのであろう? 当然我が家の籍からは抜くぞ。もはや貴様は貴族ではない」
「――え? え?」
「……貴様、そんなことも分かっていなかったのか? 貴族にとって、『親が決めた相手との結婚は義務』だ。それなのに、勝手に適当な女と婚約を結ぼうとする者を貴族籍として残しておけるはずがないだろう。しかもそれをこれだけ堂々と行ったのだ。もはや、後戻りは出来んぞ」
「なっ! ぞ、ぞんな!?」
ライアンス伯爵のいう事はもっともだ。これだけの人数の前でこんな事をしでかしたのだ。カールの行いはすぐに広まるだろう。そんなカールの籍をライアンス伯爵家に残してけば、ライアンス伯爵家は『貴族としての義務を軽んじる家』となってしまう。ゆえに、今回の騒ぎは、『カールが家を捨ててまで、愛する者と一緒になる事を望んだ』事にしなければならない。
「ぞんな……ぞんなごどっで……」
「……お話し中に申し訳ありません。発言をお許しいただけますでしょうか?」
カールが絶望に打ちひしがれる中、ジェシーが発言の許可を求めた。
考えがまとまらないまま、ロロの後を導かれるまま歩いていく。
「あぁ、愛しのジェシーよ。どうか俺の求婚を受け入れて欲しい」
「まぁ、カール様。なんて光栄なお言葉でしょう。とても嬉しく思いますわ」
気が付くと、広場の最前列に来ていた。目の前では、カールが美女に愛の言葉を告げており、美女もまんざらでもない顔をしている。
(あの人がジェシーか……確かにすごい美女ね……ロロもああいう人が好きなのかな……うぅ……)
カールに愛の言葉を告げられている女性は、確かにスタイルが抜群で、見目も綺麗なため、男だったら、私よりジェシーを選びたくなる気持ちは分からなくもない。ただ、カールがジェシーに何を言っても、何とも思わないが、ロロがジェシーみたいな人を好きかもしれないと考えると、なぜか胸が痛くなった。
(って、私何を考えてるの!? 違う違う! そうじゃない! 別に私とロロは恋人でもなんでもないんだから!!)
ロロに手を繋がれておかしくなっているようだ。なぜか痛む胸を無視して、私は目の前で繰り広げられる公開プロポーズに意識を戻す。
(ロロが私を連れて来たという事は、きっと何か意味があるはず。………………多分)
「おお! そう言ってくれるか! ありがとう! 必ず幸せにすると誓う! さぁ、ジェシーよ。私と共に新しい人生の一歩を歩みだそうぞ!」
カールの言葉が、いよいよ芝居じみて来た。おそらく話す事が無くなってきたのだろう。というのも、さんざんプロポーズされているジェシーが一向に『プロポーズを受け入れる言葉』を言わないのだ。
「さ、さぁ、ジェシーよ。俺と――」
「その前に、私からカール様にサプライズプレゼントがございます」
「――結婚……え、あ、ぷ、プレゼント?」
再三にわたるプロポーズの言葉をぶった切って、ジェシーがカールに告げる。
「ええ。とびっきりのサプライズプレゼントです。手紙にも書きましたでしょう?」
「あ、ああ! そうだったな! なんだ? そのサプライズプレゼントというのは?」
「ふふふ。どうぞ、後ろを向いて下さいませ」
「? 後ろ? ――っ!」
「このっ! バカ息子がーー!!!」
「――へぶっ!!!」
カールの後ろから突撃してきた男性が、罵声を浴びせると同時に、その勢いのままカールの顔面に己のこぶしをめり込ませた。その衝撃でカールは吹っ飛び、頭から壁に叩きつけられる。
(あれは……)
「お、おや、じ……」
口内を切ったのか、カールが口から血を流しながら突撃してきた男性を見て呟く。そう、突撃してきたのは、カールのお父様であるライアンス伯爵だった。
「貴様は……貴様はなんて事をしでかしたのだ!!!」
ライアンス伯爵は倒れていたカールの胸倉をつかんで無理やり立たせる。
「お、おやじ……ぐ、ぐるじぃ」
「ミナ嬢との婚約を解消するだけならまだいい! だが……浮気した挙句婚約破棄だと!? 何を考えている!? しかも商会を2つも奪い取るなど……この地の民を敵にするつもりか!?」
「ぞ、ぞんな……おやじのいうどおりぢゃんど慰謝料もばらって……」
「何が『わしの言う通り』だ!? お前が慰謝料として支払ったその金は、長年、お前なんかの婚約者を務めてくれたミナ嬢への謝礼金だ! 慰謝料として支払えなどと言った覚えはない!!」
「ぞ、ぞんな……」
(ああ、あのお金はそういう……)
婚約破棄した日、カールから一括で支払われた慰謝料の出所について、ずっと疑問に思っていたのだがそういう事であるのならば納得だ。
(ライアンス伯爵がカールの慰謝料を肩代わりするわけないとは思ったけど、謝礼金として渡してくださろうとしていたのか……という事は……)
「貴様の慰謝料をわしが払っていては周りに示しがつかん! ミナ嬢に迷惑をかけるわけにはいかないから、一旦わしが立て替えておいてやるが、慰謝料はお前の借金とする! 良いな!?」
(あ、やっぱり……)
ライアンス伯爵は優しい人ではあるが、悪人には容赦がない。それは身内であっても同様だ。不義を働いたカールをこのまま許すわけがないのだ。
「ぞ、ぞんな……」
「はぁ……兄は立派に育ったというのに、どうして貴様は……はぁ、もういい。どうせ貴様はすぐに借金奴隷となるだろう。存分に悔い改めるがいいさ」
「――!? ま、まっでぐれ、おやじ! 貴族ば借金奴隷にならないばず……」
「は? 貴様、そこの女と結婚するのであろう? 当然我が家の籍からは抜くぞ。もはや貴様は貴族ではない」
「――え? え?」
「……貴様、そんなことも分かっていなかったのか? 貴族にとって、『親が決めた相手との結婚は義務』だ。それなのに、勝手に適当な女と婚約を結ぼうとする者を貴族籍として残しておけるはずがないだろう。しかもそれをこれだけ堂々と行ったのだ。もはや、後戻りは出来んぞ」
「なっ! ぞ、ぞんな!?」
ライアンス伯爵のいう事はもっともだ。これだけの人数の前でこんな事をしでかしたのだ。カールの行いはすぐに広まるだろう。そんなカールの籍をライアンス伯爵家に残してけば、ライアンス伯爵家は『貴族としての義務を軽んじる家』となってしまう。ゆえに、今回の騒ぎは、『カールが家を捨ててまで、愛する者と一緒になる事を望んだ』事にしなければならない。
「ぞんな……ぞんなごどっで……」
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