68 / 496
第二章 迷宮都市の救世主たち ~ドキ!? 転生者だらけの迷宮都市では、奴隷ハーレムも最強チート無双も何でもアリの大運動会!? ~
2-23.ダンジョンキーパー、レイフィアス・ケラー(5)「蜘蛛ですが、何か?」
しおりを挟む【四日目】
バクリ、とその大きな口を開けて食らいつく。
僕は召喚獣との視界共有で見たその光景に悲鳴を上げそうになった。
ガンボン! バカ! 何やってんだよ!?
無理なんかしないで、引き返せば良かったんだ!
相手はどう見ても水場に強い水棲の魔物。水の近くで戦うより、おびき寄せて罠にはめる方が勝率は高いのに!
まだ、まだ間に合うはず。
右側に見える「味方ステータス」のパネルからは、ガンボンの状態は「死亡」とも「戦闘不能」とも出ていない。
それどころか……んん?
あれ?
「重傷」とも「軽傷」とも出ていない……ぞ?
出てるのは「疲労」のみ……?
位置を変えて、双頭のオオサンショウウオの口元を見てみる。
開いてる。
ガッパァァァ、と、全力全開で開いている。
そしてその開いた大口の中、手にしていた大きな棍棒をつっかいぼうにして、その口を閉じさせずに耐えているガンボンが居る。
棍棒の長さは目算で1メートルちょい。
小さく体を丸めるようにしても体勢はキツい。
水上に浮かんでじたばたと暴れまわる双頭オオサンショウウオは、そのままの勢いでザパンと沈む。
丸呑みにされるのは防いだモノの、そこから動けない現状は、逆に言えば完全にくわえ込まれ身動きとれないのと同じだ。
このまま水中で泳ぎ回られていれば、すぐに溺れてしまう。
僕は慌てて大蜘蛛へと指示をだし、双頭オオサンショウウオの動きを追う。
いや、指示だけでは心許ない。より魔力を消費し、自分自身の本体が無防備になると言うマイナス面はあるが、【憑依】を使って大蜘蛛と意識を完全に同調させる。
僕の意識、精神が一瞬ふわっと身体を抜け出たような感覚を覚えると、気が付けば僕は完全に大蜘蛛に乗り移り支配していた。
自らのそれまでの肉体と異なる、八脚の節足動物に感じるぞわぞわした違和感に生理的嫌悪感を覚えるが、その怖気を振り切って素早く移動。
八つの目で見る風景はそのままでは僕の脳では処理できなかっただろうけれども、魔術による使い魔、召喚獣への【憑依】は、適宜情報を最適化してくれる上、長所は魔術的な補正で残してくれる。
だから普段なら追えなかっただろう水中での双頭オオサンショウウオの動きも充分に目で追えたが、この大蜘蛛では水中の相手には手も脚も出ない。
水に浮くことは出来るが、それではただ水中の敵に無防備な腹を晒すだけ。
とにかく浮いてきたところを対処するよう、その姿を見逃さずに追い続けるしかない、というところで、いきなり大きな水柱が立ち上がる。
空中に舞うのは双頭オオサンショウウオの巨体。そしてそれを突き上げた巨地豚のタカギ。
恐らく水中深くへと潜水し、そこから底を蹴り下から体当たりをかました……ということなのだろうけど、ちょっとタカギの聖獣化による戦力アップ度合いが半端じゃない。
だってこの間までコイツ、プギプギ言いながら盗み食いするだけのいやしい仔地豚ちゃんだったのよ?
多分今の戦力比較で言うと、タカギ>ガンボン>>>>>>僕、みたいな不等号の並びになるよ!
そんなことを考えつつも、跳ね上げられ空中を舞うその巨体へと、尻を上げて蜘蛛糸を発射して絡め捕る。
……大蜘蛛の肉体に【憑依】してるとは言え、尻の位置に当たる場所から何かを延々発射し続けるこの感覚、何か馴染めそうにないっ!
そのまま、絡め捕り締め上げた双頭オオサンショウウオを、跳ね上げられた軌道に合わせつつ力を加えて、橋の途中にある円柱状の空間へと落とす。
仰向けになりじたばたともがくそいつへと素早く駆け寄る僕とタカギ。
視界に映るその大口には、ガンボンの姿はすでにない。
水中か!? いや、まさか……!?
恐れを振り払いその近くへと行くと、不意に双頭オオサンショウウオが痙攣するかにビクリと跳ね、その仰向けになった腹が引き裂かれた。
突き上げられるのは大きな拳。
手に握った白銀に輝くミスリルダガーは、我が母ナナイのお手製付呪品。
飲み込まれ、しかし腹を割いて現れるガンボンの姿は、血と胃液とその内容物に汚れて非常に汚らしく───そして、ちょっとだけ格好良かった。
◆ ◇ ◆
蜘蛛糸で壁の応急処置をして、ひとまずは水の増加をくい止める。
後できちんと設計しつつ、召喚インプを使いこの区画を整えないと。
ガンボンは未だへばっていて、身体中にへばりついたねとねとねばねばしたモノを一旦水中にザブンと入り洗い流した後、円柱状の島へと上がってからのへーっと仰向けに寝転ぶ。
大蜘蛛のままカササっと近づくと、のへっとしてたガンボンがビクリと跳ね起きる。
あ、この間喰われかけたのでビビってますな?
大蜘蛛は発声器官がないので話せない。なので伝心の耳飾りを使い、
『フハハハハ、ガンボンさん。
ワタクシ、蜘蛛ですが、何か?』
とメッセージを送ると、再び「ひゃうっ!?」っと跳ね飛んだ。
『僕だよ、僕。
今、【憑依】を使って大蜘蛛を直接操ってるんだ。
そうしないとここの召喚獣や従属魔獣には精密な指示が出せないからね。
魔術師の使い魔ほど忠実でも賢くもないから』
まあ使い魔にも色んなタイプ、系統があるんだけど、その辺りは今は割愛。
何にせよこの“生ける石イアン”によって召喚、従属させた魔物は、支配領域内でしか使役出来ないし、元々の性質に反することもあまりしない。
それに説明によれば裏切ったり離反したりもよくあるらしいので、こちらに従うことに利益があるということを常に提示し続けないとならない。
ガンボンは不思議そうな顔をして、まじまじと、しかし近付きすぎない程度の距離を保って大蜘蛛を見ている。
不審と恐れと好奇心? そんな感じだ。
「あ」
その睨み合いの最中、不意にそうガンボンが切り出し、
「ごはん、一応、作った」
と、報告。
『あ、いつも悪いねえ、おまいさん』
等と貧乏長屋コントで返答。
召喚インプに持ってこさせてもしゃもしゃしつつ、改めてパネルを見る。
大蜘蛛さんは一旦大蜘蛛部屋に帰還させ待機状態に。
一仕事終わらせたのでお食事タイムにしておく。そうしないと不機嫌になるしね。
しかし蜘蛛って基本的に獲物の体液を飲むんだよなあ? あの魔造チキン、あんまりエキス無いけど良いのかね?
『あれは魔力の込められた餌であるから、魔獣にとっては魔力吸収効率が良いのだ』
“生ける石イアン”曰く、魔獣というのは普通の動物と異なり、獲物、食料の中の魔力を吸収して生命力に変換出来る。
なので希に魔晶石そのものを食べたりする魔獣もいたりするのだ。
普通の人間やエルフは魔晶石を「食べて」魔力補給をすることはない。食べなくても自分の魔力を通して繋げることで魔晶石の魔力を吸収出来るからね。
ガンボンの作ってくれたシチューもどきをすすりつつ、ダンジョンの状態確認を続ける。
真ん中、地図パネルには破損個所の表示で、そこには召喚インプを派遣。
それと、繋がってしまった広い空間への通路を整備することにする。
向こう側の地底湖の様子等を確認するため、改めてドラゴンフライこと体長30センチ程の大蜻蛉を召喚。
空中を飛べるが攻撃能力はそんなに強くもない酸性の唾を吐きかけるだけ、のほぼ完全偵察用大蜻蛉は、地底湖のある空間の偵察には最適で、指示だけだして放置しておく。
そういえば昔読んだ本で、ドラゴンフライを「ハエやトンボみたいな虫の羽が生えた小さなドラゴン」としてイラスト化してたのあったなー、なんてことを思い出す。僕も最初そう思ってたものね。
手前、先程ガンボンが双頭オオサンショウウオと戦った貯水池部屋には、改めて橋の真ん中の円柱状の足場を広げて、その中央に魔力中継点を設置させた。
魔力中継点とは、高さは僕の身長程の飾り柱で、その頭頂部に“生ける石イアン”、叉は“魔力溜まり”を模したような球体がある。
見た感じ、向こうの世界の前世にあった石灯籠とかにちょっと近いかな?
それは言わば魔力アンテナのようなもので、“生ける石イアン”が魔力での影響力を与えられる範囲である“支配領域”を拡大させる効果がある。
地底湖のある地下洞窟は、ぱっと見でもかなり広い。
この先を“支配区画”化するためには、ここに魔力中継点の設置は必須だろう。
それに魔力中継点は、召喚魔物の出現点としても使えるしね。
地底湖側はこの階層よりやや高い位置にある。
その段差部分を複数の階段で繋ぎ、かつ取水口を設けて小さな滝がこちらの貯水池に注ぎ込むかたちにする。
そこからさらに生活用水の上水道を繋げる。
水の成分はそこそこ綺麗で、煮沸すれば飲料水にも使えそうな程。
それでも一応、炊事場の水魔法で貯水する魔導具は残しておく。
岩壁の向こう側はかなり広い地底湖になっていて、奥に進むと巨大洞窟の広い空間があった。
おかげで大蜻蛉はかなり自由に飛び回れるが、光源に乏しく広くを見渡せない。
いくらか、ヒカリゴケや光水晶等の、魔力を吸収して微かに光る鉱石等があることで全くの暗闇では無いが、その区域の探索にはきちんとした光源は欠かせなさそうだ。
大蜻蛉による探索で、この地底湖を含む広大な地下洞窟には、少なからず生態系があることが分かった。
まず先ほども戦った双頭オオサンショウウオだが、アレは魔獣で、パネルによるとこちらにはかなり敵対的なようだ。
良く似ているモノの、双頭ではなく体格も小さい、ただの真っ白なオオサンショウウオも居たが、こちらは魔獣ではない。
要するにただの巨大生物。
白オオサンショウウオはこちらには敵対的ではなく、そこそこの群を作り生活しているようだ。
その白オオサンショウウオは、小さな蜘蛛やムカデのような虫を食べても居る。
それらのより大きな魔獣化した生き物も居て、僕が今召喚獣として従属させている大蜘蛛並の、子牛からロバほどの体長の魔虫なんかが、逆に白オオサンショウウオをよく食べているようだ。
岩の塊が転がって居るなー、と思うと、急に動き出したりして、よくよく見るとなんとなく人間的なフォルムをした蟹の魔獣だった。
魚系の生物、魔獣も居て、一番厄介そうなのは体長10メートル近くありそうな鰻みたいな魔獣。単純にデカい上に、所謂電気ウナギ的な攻撃をするっぽい。
しかし、蟹とか鰻とか、なんというかこう……そそるよね、うん。
炊事場の横に、大きめの貯蔵庫を作っておくか。
橋の真ん中にある円柱状の島に設置した魔力中継点を中心に、広がった支配領域の半分くらいを地図上で把握できた頃には、地底湖側にも幾つかの区画を建設できた。やはりこの“生ける石イアン”を通じての建設の性能は高い。
まずとにかく速度が早い。
召喚インプ達の数や質も関係するんだけど、加えてそれらの付加スキルがまた大きい。
『経験を積むことで、付加スキルはレベルアップしていくのだ』
「レベルアップねえ……」
召喚インプの場合特に建設作業をさせればさせるほど、経験を積んでより早く、正確で高品質な区画建設が可能になる、とかなんとか。
もちろんソレはあくまでこのダンジョンの区画内でのみ魔力で付与される特殊なスキルなので、召喚インプそのものが変質するわけでは無い。
うーむ、と考えつつも、建設したのは広めの島で、そこの手前側に「ねぐら」と「家畜小屋」を建て、その向こう側には「監視所」指定の区画。
これには一つ試したいことがあってのものだけど、巧く行くかは分からない。
その日はまた、残りのシチューもどきを食べてから諸々を済ませてから寝ることにした。
【五日目】
上手くいきましたよーん!
と、ダンジョンハートの机右パネルを見てガッツポーズ。
「え、何?」
朝ご飯を持ってきてくれたガンボンちゃんが訝しげにこちらを見てるので、解説。
「ふふん、これこれ。見てよ」
指し示すパネルの「従属」のリストに、ずらーり並ぶ新たな名前。
はにゃ? とでも言うようなその顔に、ニヤリと笑みを向けてから、
「地底湖周辺の生物が、僕らのダンジョンの支配下に入ったのさ」
このダンジョンで魔物を支配下にするには二つの方法があり、一つは召喚。
これは召喚それ自体にと、支配の維持、継続に魔力溜まりの魔力を消費する。
もう一つが支配区域内にやってきた魔獣や生物を従属化すること。
これは召喚に比べるとコストが低い。
地底湖側の島に「家畜小屋」を整備したことで、そこで生産された魔造チキンを食べに、この地底洞窟内の生物が幾らかやってきた。
それに対して、僕が寝ている間に魔力中継点から「従属化」の魔法を定期的にかけ続けるよう設定しておいたのだ。
で、起きたら8体の白オオサンショウウオ、5体の岩蟹、そして1体の触手獣、というのが従属魔獣としてリストになっていた。
白オオサンショウウオは本来魔獣では無いはずだが、従属化したことで便宜的に魔獣扱いされたようだ。
元々魔獣だった双頭オオサンショウウオと違い戦力としてはあまり期待出来ないが、地底湖側の入り口にあたる島にたむろしてくれてるだけで防衛力にはなる。
また、従属化はさせられなかったものの島周辺には白オオサンショウウオが魔造チキン目当てに大量にたむろしてる。白オオサンショウウオはそもそもこちらに敵対してないので、色々役には立てられそうだ。
岩蟹、というのは立派な(?)魔獣らしい。
普段は岩に擬態してじっとしてるが、獲物が近付くと起き上がり攻撃する。
全体的にはコロコロと丸い体体型で人のように直立歩行する蟹、というか……蟹怪人? みたいなシルエットにも見える。
攻撃方法はシンプルで、突進して両腕のハサミで捕まえたら、脇腹の脚も使ってガッチリとホールド。
そして胴体の真ん中辺りにある、パッと見人間の顔っぽくも見える場所にある口を開いて……ううわ、怖い。
水棲の魔獣なのに土属性の魔力を持っていて、それにより殻が岩のように硬質化している。防衛戦力としてはかなり期待出来るかもしれない。
……あと、別方面でも期待出来るかも。味とか、味とか。
最後の触手獣、だけど、これが……よく分からない。
タコとヒトデの中間みたいな触手生物で、全長は2メートル半くらいあるのかな?
真ん中に頭部……叉は胴体部のような丸い部分があって、その下が口、というのは実際のタコと変わらないっぽい。
水中ではかなり素早く移動出来、陸上でも足腰の弱った老人並の速度でのろのろ移動出来る。
攻撃は当然その8本の触手で獲物を捕まえ締め上げること。
こちらも元々魔獣なようで、水属性の魔力を有していた。
魔造チキンという餌に釣られてやってきたこれらの生物や魔獣は、元々友好関係にあるわけでもない。
特に岩蟹と触手獣は白オオサンショウウオの捕食者でもあるようで、ちょいちょい周囲でたむろしている白オオサンショウウオを捕まえては食べたりしている。
この三者の食物連鎖ヒエラルキーの中では、やはり白オオサンショウウオが一番下位にあたるっぽい。
おかげで食料不足による離反は無さそうだけど、折角従属化したやつを食べられてはもったいないので、それぞれのねぐらは指定して分けておくこそとにした。
……あんまり効果無さそうだけど。
地下洞窟探索の為の足場を整えたので、少しずつ支配区画を広げていこうと思う。
勿論、この広い洞窟全てを支配区画にしよう……なーんてしてたら、いつまでかかるか分からない。
なので、ドラゴンフライの偵察によって作られた地図を見て、ある程度の間隔毎に今回作ったのと同じような魔力中継点を中心とした区画を飛び石状に作ることを計画した。
これ、ダンジョン造りというより、広大な荒野に宿場町を造って繋げていく……みたいな感じになるなあ。
それらの位置決め、設計、設置の指示だし等で、今日1日は終了した。
【六日目】
『キーパーよ、敵の領域と重なったぞ』
ちまちまと魔力中継点を設置しておく指示をしていたら、“生ける石イアン”がそう警告を発して来た。
「ん? 敵領域?」
『別のダンジョンキーパーの支配領域だ』
別の!?
「どどど、どゆこと?」
『別のダンジョンキーパーの支配領域だ』
「それは聞いたよ!」
“生ける石イアン”は、ときどきこう、変に融通の利かない受け答えをする。まあ所詮は人工知能のような擬似知性なので仕方ない。
パネルを見ると、最も遠い位置に設置した魔力中継点と区画が赤く光り、攻撃を受けているということが分かる。
……うわ、ダメだ消えた!
飛び石状に延ばしてきた魔力中継点は、家畜小屋とねぐらと監視所を平地にまとめただけで、壁も扉も何もない。
ただ周囲の生物、魔獣をおびき寄せて、一定確率で従属化出来るだけだ。
ぶっちゃけてこんな攻防戦をする前提で建ててなかったので、防衛力はそこで従属化出来た魔獣のみとなる。
パネルを見ていると、一つ目の魔力中継点は既に敵の支配下になり、次の魔力中継点へと攻撃の手が伸びている。
魔力中継点の支配権を奪った敵キーパーは、その魔力中継点からも新しい戦力を召喚しているらしく、左側の“敵”パネルはアラート鳴らしっぱなしだ。
「うわわわわ、これ、ちょっと、拙いよ? 拙いよね? ねえ?」
『キーパーよ、攻撃を受けているぞ!』
「分かってるよ!」
右パネル確認。
防衛戦力は各魔力中継点に分散されてる。
召喚含めて現時点で使えるのは、大蜻蛉、大蜘蛛、白オオサンショウウオ、岩蟹、触手獣、白骨兵……。そして、ガンボンとタカギ。
真ん中、地図パネル確認。
8ヶ所造っていた魔力中継点は既に2つ目が落とされかけている。
敵が最初に落とした領域が重なったという辺りは、この広大な地下洞窟の終点に近く、丁度僕のダンジョンと敵のダンジョンは、地底湖のある地下洞窟の両端に位置しているかのような配置のようだ。つまりお互いの領域を地底湖で隔てている。
まるで最初からそう言う形で対峙するよう仕組まれてたかのようだ。
じわじわ、というか、がしがしとこちらの支配区画が削られ、敵の支配下になっていく。
このままじゃジリ貧。早急に手を打たないとここまで攻め込まれる。
送り込まれている魔獣の種類からしても、戦力そのものが決定的に負けているということも無いようにも思えるけど、あちらの方が勢いがある。
ガチガチに守りを固めてから反撃すべきか? 魔力中継点の確保を優先すべきか? いや、それよりも……。
『ガンボン、今、どこ?
ちょっと……拙いことになるかも』
伝心の耳飾りを使い、現在最も頼りになる戦力へと連絡をつける。
そう、聖獣化したタカギ様の出陣を願うのだ。
あともちろん、ガンボンちゃんにもね。
0
お気に入りに追加
44
あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

異世界へ五人の落ち人~聖女候補とされてしまいます~
かずきりり
ファンタジー
望んで異世界へと来たわけではない。
望んで召喚などしたわけでもない。
ただ、落ちただけ。
異世界から落ちて来た落ち人。
それは人知を超えた神力を体内に宿し、神からの「贈り人」とされる。
望まれていないけれど、偶々手に入る力を国は欲する。
だからこそ、より強い力を持つ者に聖女という称号を渡すわけだけれど……
中に男が混じっている!?
帰りたいと、それだけを望む者も居る。
護衛騎士という名の監視もつけられて……
でも、私はもう大切な人は作らない。
どうせ、無くしてしまうのだから。
異世界に落ちた五人。
五人が五人共、色々な思わくもあり……
だけれど、私はただ流れに流され……
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

暗殺者から始まる異世界満喫生活
暇人太一
ファンタジー
異世界に転生したが、欲に目がくらんだ伯爵により嬰児取り違え計画に巻き込まれることに。
流されるままに極貧幽閉生活を過ごし、気づけば暗殺者として優秀な功績を上げていた。
しかし、暗殺者生活は急な終りを迎える。
同僚たちの裏切りによって自分が殺されるはめに。
ところが捨てる神あれば拾う神ありと言うかのように、森で助けてくれた男性の家に迎えられた。
新たな生活は異世界を満喫したい。

気づいたら美少女ゲーの悪役令息に転生していたのでサブヒロインを救うのに人生を賭けることにした
高坂ナツキ
ファンタジー
衝撃を受けた途端、俺は美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生していた!?
これは、自分が制作にかかわっていた美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生した主人公が、報われないサブヒロインを救うために人生を賭ける話。
日常あり、恋愛あり、ダンジョンあり、戦闘あり、料理ありの何でもありの話となっています。

称号は神を土下座させた男。
春志乃
ファンタジー
「真尋くん! その人、そんなんだけど一応神様だよ! 偉い人なんだよ!」
「知るか。俺は常識を持ち合わせないクズにかける慈悲を持ち合わせてない。それにどうやら俺は死んだらしいのだから、刑務所も警察も法も無い。今ここでこいつを殺そうが生かそうが俺の自由だ。あいつが居ないなら地獄に落ちても同じだ。なあ、そうだろう? ティーンクトゥス」
「す、す、す、す、す、すみませんでしたあぁあああああああ!」
これは、馬鹿だけど憎み切れない神様ティーンクトゥスの為に剣と魔法、そして魔獣たちの息づくアーテル王国でチートが過ぎる男子高校生・水無月真尋が無自覚チートの親友・鈴木一路と共に神様の為と言いながら好き勝手に生きていく物語。
主人公は一途に幼馴染(女性)を想い続けます。話はゆっくり進んでいきます。
※教会、神父、などが出てきますが実在するものとは一切関係ありません。
※対応できない可能性がありますので、誤字脱字報告は不要です。
※無断転載は厳に禁じます

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる