遠くて近きルナプレール ~転生獣人と復讐ロードと~

ヘボラヤーナ・キョリンスキー

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第三章 クラス丸ごと異世界転生!? 追放された野獣が進む、復讐の道は怒りのデスロード!

3-246. マジュヌーン(92)混沌の渦 - ポンコツ君とガラクタ君

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「そうですか……ふぅむ」
 そう言ってからやや押し黙るアルアジルは、やはり蜥蜴人シャハーリヤらしい読めない表情で軽くうつむき気味にして小首を傾げる。
 だが、目では読めないその感情も、猫獣人バルーティの鼻からすれば少しばかり匂ってはくる。
 悩ましい、と言う程でもなく、かと言って取るに足らない、でもない。やや小骨がのどの奥に引っかかっているかのさざ波だ。

「“腐れ”の野郎にも確認したから、まー間違いはねーんじゃねーの?」
 腹も膨れて脱いでいた服も乾き着直して、酒で身体も温まったおかげか半分眠そうな声で、毛皮の寝床でゴロリ横になるエリクサール。
 
「何が気になるんだよ?」
「いえ、気になる……と言う程では無いのですが……」
「煮えきらねぇな」
「申し訳ありません。
 ……我々王の影シャーイダールも、その構成員がお互いをきちんと把握していたワケではない、と言う話はしていたと思いますが、ただそれでもある程度は見当をつけていたり、仮面の奥が透けていたりはしたのですがね」
 覆面同士での腹のさぐり合い、てなとこか。
「わたしの想定していた中では、今、クトリアに残っているという王の影シャーイダールが、遺跡遺物担当だった者……と言うのは、やや、意外でして」
 再び、小首を傾げる……と言うより、傍目には異様な角度で首を曲げているかに見えるアルアジル。
「そうなんか? けど、あのクトリアとかってのに残るとしたら、その遺跡遺物目当てってのは、あり得そうな話には思えるけどな。てか、他に貴重なモンなんざ無さそうだろ」
「ええ、まあ。ただ……」
「何だよ?」
「わたし以外の遺跡遺物担当の王の影シャーイダールは、既にこの世に居ない筈なので……」
 ああ、そう言う事か。
 
王の影シャーイダール名乗ってるからって、本物とは限らねーのは何度も経験してるじゃねぇかよ?」
 孤児院院長の老婆、グリロドを殺して密かにその立場を奪っていた老邪術士は、自ら王の影シャーイダールを名乗りつつもその実仮面を手に入れただけの偽物だった。
 同じようなパターンは他でもあり得る。
 
「で、どーすんだよ?」
 そう聞く俺に、アルアジルはやや間を置いてから、
「……まあ、後回しで良いでしょう。居場所が分かって居るなら、いつでもどうとでも対処は出来ますしね」
 と、そう切り捨てる。
 
「結局、仮面集めは今のところ優先度低いのに変わりねぇってことか」
「はい」
 
 王の影シャーイダールの仮面はそれぞれに高性能な魔術装身具で、金に変えるなら家の二軒や三軒、へたすりゃ城一つ買えるくらいはすると言う。だがアルアジルがその王の影シャーイダールの仮面を集めたがってるのはそう言う金銭的価値からじゃあねぇ。
 それぞれに付与された魔術の効果、魔力。それがどうやら欲しいらしい。
 今のところ集まってるのは、偽グリロドの持ってた呪術の仮面、サーフラジルで“赤ら顔”の分離派教団に潜入していたリカトリジオス軍の工作員が持っていた獣人の仮面、そして廃都アンディルに隠れ潜んで食屍鬼グール支配の研究をしていた、まさに本物の“元”王の影シャーイダールの一員の死霊術師が持っていた死霊の仮面。
 全部でいくつの王の影シャーイダールの仮面があるかははっきりしないらしいが、代表的なやつは6つはあると言う。
 まあ、元々古代、神話の魔法遺物の研究を担当していたアルアジルが、そう言う強力な魔装具を欲しがるのは分かるっちゃ分かるし、それが何らかの助けになるだろうと言うのも分かる。とは言え俺からすればそりゃついでの仕事。優先するようなもんじゃあねぇ。
 
「まー、どっちにせよまだまだ旧王都もようやく落ち着き始めたくれぇだしな。三大ファミリーも協定守っちゃあいるけど裏じゃ何やってっか分からねーし、市街地も王の守護者ガーディアン・オブ・キングスとか名乗ってるチンピラが幅きかせてっからウゼーことウゼーこと」
 クトリア近辺から離れてもう三年近く。あの頃は王国軍とやらがそのまま占領下におくのか、ってな勢いだったが、結局はそこまでには至らなかったらしい。
 戦力不足、占領するだけの利益がない、てなのが大きな理由らしいが、解放後に突如として現れた謎の術師、“ジャックの息子”とかってな奴への恐れ、警戒心てのもデカいらしい。
 
 邪術士専横時代の約25年間、全く表に出てこなかったと言うソイツは、王都解放後に強力なドワーフ合金のロボット軍団を率いて王国軍と「和平交渉」をし、魔力溜まりマナプールの利益を共有すると言う取引で旧王都の自治権を保証させ、三大ファミリーとか呼ばれてるギャング軍団に協定を結ばせて支配下にしてかりそめの治安を維持している。
 その辺全部、俺が南のラアルオームに居た頃に起きた出来事なのでまあ伝聞だ。
 だがその“ジャックの息子”ってな支配者の得体の知れなさはアルアジルからしてもかなり厄介で、伝え聞いた「旧王都に王の影シャーイダールを名乗る邪術士が居るらしい」の話を、当初はその“ジャックの息子”のことではないか? との可能性も考えてたらしいが、改めて情報を集めそこは一応無関係らしいとまでは分かった。とは言え、その“ジャックの息子”とやらの正体が何者か、てなのはやっぱり分からねぇし、それがアルアジル的にゃかなり問題だと言う。
 
「同じ王の影シャーイダールと言っても、それぞれの力量にはかなり差があります。総合的な術師としての力量よりも、求められる専門分野において秀でてることが第一条件でしたからね。
 その上で……すでに死んだ、またはその所在の判明している元王の影シャーイダールの中には、我らにとって脅威足りえる者はほぼ居ません。ですが……」
「お前からみても厄介な奴がまだ残ってる……てことか」
「……さて、そうとも言えますが」
「濁すなよ」
 確かにいつも、持って回ったような回りくどい言い方をするアルアジルだが、こんなにストレートに言葉を濁すというのはそうもない。
 
「1人───」
 
 やや間を置いて再び語り出すアルアジル。

「魔導生命の研究を担当していた王の影シャーイダールがおりまして、実のところ最も本性の分からぬ怪しげな者でした。わたしもそうですが、あの者も己の専門分野以外にもかなりの実力があるにも関わらず、それを敢えて隠していたかのようでして……。
 それにまた、ザルコディナス三世崩御後には、ほとんどクトリアには姿を現しておりませんでした」
「そいつが、“ジャックの息子”の正体?」
「可能性は……無くはないですね」
「確信はねぇンだな」
「はい。“ジャックの息子”の正体に関しては、もう一つの方が高いように思っては居ます」
「そりゃ何だ?」
「術師でもヒトでもない」
不死者アンデッドとかか?」
 妙なことを言い出すアルアジルにそう返すと、
「当たらずとも遠からず……ですかね」
 まあ、奴がどんな推理や予想をしてようとあまり俺には関係ねぇ。ただアルアジルはそんなこともあって、クトリア近辺にまでは来ても、王都の内部には警戒してて入ろうとしない。なので、情報収集には俺やエリクサールが行くことになる。エリクサールは幻惑術の達人だし、俺はクトリア近辺じゃ比較的目立たないタイプの獣人の猫獣人バルーティだ。ゴリラ丸出しのムスタや、ダークエルフのフォルトナだと悪目立ちしちまうしな。まあ俺やエリクサールにしても、直接情報を集め回るよりかは、クトリア近辺の“闇の手”の信奉者や協力者から話を聞く、てなことの方が多い。
 
「んで、どーすんのよ? “黄金頭”には仕掛けんの? 仕掛けないの?」
 地下の隠れ家、さらには夜になってきてけっこう薄ら寒い中、毛布にくるまり生あくびしながらエリクサールが聞く。岩蟹とサボテンの実やら何やらとかなり偏ったメニューだが、食事の量は豊富にある。そいつをばかばかと食いまくってたから、なおさら眠くもなっている。
 
 俺自身は、実際“黄金頭”とやらにゃ欠片も興味は無い。積極的にやり合いたいともイヤだとも思ってねぇ。気になるのはただ、「炎を操る2人組の魔人ディモニウム」のことくらいだ。
 
 それに答えるべき立場のアルアジルは、これまたやや不意でもつかれたかに顔を上げ、
「あぁ……そうですね。まぁ、“災厄の美妃”への祈りの中でも、“黄金頭”への討伐の願いは多いですし……今この時期でなら、殺しても殺さなくても、さほど大局には影響はないと言えば無いですが……」
 どうあれ、人一人の命を奪うかどうかの話としちゃあ軽々しい。
 
「“鍵”はじきに完成します。主どのが様子を伺って、やれると言うのならやってしまえば良いのではないかと」
 
 なんとも雑にそうまとめた。
 
 △ ▼ △
 
 レフレクトルはクトリア旧王都とは違って、古代ドワーフ遺跡の上に作られた街じゃ無い。なので、この地下もまた遺跡とかじゃなくただの保存倉庫。元々それなりに大きな商会か何かの地下室で、そこにさらにアルアジル等が修繕や魔法での補強をしてるとかで、完全な廃屋然とした見た目雰囲気よりかは頑丈だ。
 
 このレフレクトルそのものには、あまり価値はないとアルアジルは言う。
 第一にはこの汚染。
 魔力汚染、と言葉にすると簡単だが、それは別にその場所、空間に魔力が多い、と言うだけの意味じゃあねえ。
 確かにこの魔力ってやつそれ自体もヤベェったらヤベェ。エルフやドワーフ、オークなんかに比べて、俺達獣人は生まれつきの魔力耐性ってのは弱い。人間なら更に弱い。だからそういう魔力耐性の弱い種族にとっては、魔力が多く満ちているということはそれだけでも害にはなる。
 だがいわゆる魔力汚染、つまり汚染された魔力っていうのは、それらとはちょっと違うらしい。
 属性や量に限らず、魔力そのものが何やら歪められ禍々しく害の強いものに変質しているんだそうだ。だから、魔力汚染地帯ってのは、本来なら魔力耐性の高いエルフやドワーフにとっても、人間ほどではなくとも害が出やすい。
 
 汚染されたレフレクトルの淀んだ魔力を“災厄の美妃”で全て喰らい尽くすのは可能か、とアルアジルに聞いてみた事がある。
 答えは「おそらくは可能」てなもんだった。
 
「時間がかかるのか?」
「時間もかかりますが、何より……命に関わります」
 まさに文字通りに“命懸け”、てのはこのことか。
「そりゃ、どうしてだ?」
「ある程度の汚染ならば、今、“災厄の美妃”が吸い取り自らの力へと変えてくれます。ただし、あまり効率は良くない」
 効率、ね。食っても栄養になりにくい、毒の多い食材……てことか。魔獣肉とかと同じだな。
「そして効率の悪い魔力は……“災厄の美妃”にとっては、あまり美味とは言えません」
 食い物に例えて考えてたら、そのものズバリ“味”と来たか。
「なかなかの美食家グルメだな」
 半笑いでそう返すと、
「ええ、まさに。純度の低い、汚れの多い魔力は、効率も味も悪く、つまりは“災厄の美妃”としては……あまりお気に召さない」
 お気に召さない、か。
「なので、レフレクトルの魔力汚染そのものを“食い尽くす”ような事をすれば、まず間違いなく“災厄の美妃”はご機嫌を損ねます」
 女をエスコートしておきながら、高級レストラン……とまで行かなくても、糞不味い残飯みてえなもんばっか食わせてりゃ、そういう経験の少ない俺でも分かる“喧嘩の種”だ。
 
「機嫌を損ねて殺されるっ……てか?」
「当たらずとも遠からずです」
「マジで言ってんのか?」
「多すぎる魔力汚染を“喰らう”と、吸い取った魔力の中から汚染と呼ばれる要素だけを吐き出すようになります」
「……つまり、栄養だけ吸収して、毒だけを吐き出す?」
「はい。そしてその吐き出された毒は、“持ち手”たる主さまの体内に残ります」
「おい、待てよ。それじゃあ今まで魔獣だなんだのを殺して吸い取った魔力の中からも……」
「はい。ですが、魔獣の汚染魔力程度なら、時間とともに自然に分解、排出されます。多少は残り蓄積されもするでしょうが、大きな影響はありません。またあなた自身を守る為に周りの魔力汚染を吸い取る場合にも同様です。
 ですが……」
 つまりはそれも、量しだい……てことか。
「分かったよ。ここでも下手にゃうろつかねぇ」
 まあ、過信はするな、ってことだな。
 そう一息ついて軽く酒で口を湿らせる。
「で、もう一コしてた話の方は?」
 そう続きを促すのは、レフレクトルについての“もう一つ”の話。
 
 魔力汚染があるから近寄る者は少ないが、それでも危険を冒してここへとくる者も居ると言う。
 それは何者で、何故か?
 
「少なからず、かつての邪術士の使った魔導具、魔装具が残されています。とは言え……まあそんなに高価、有用なものはもう殆どないでしょう。
 粗方邪術士達が持っていってますし、幾つかは私も回収しました」 
「つまり、今あるのはせいぜい残り物、てことか?」
「だいたいは。中には掘り出し物もあるかもしれませんが、とは言えこの汚染の中危険を犯してまで探そうと言うのは、リスクが高いですね」
魔人ディモニウムも魔術師やエルフほどじゃねぇが魔力耐性はあるんだろ? なら、奴らが何かしら漁っててもおかしかねぇか」
「ええ、ですね」
 
 ハイリスクハイリターンじゃなく、ハイリスクローリターン。だが結局のところ、そのことがまさに、俺たちにとって有利にもなっている。汚染や魔獣、動く死体アンデッドだらけで打ち捨てられた廃墟の街。誰からも省みられないからこそ、利用価値がある。
 
 ▽ ▲ ▽
  
 翌日もまた、午前中は適当な訓練だの狩りだので時間を潰し、昼には地下へ戻って日差しを避けて休む。そして早めに軽い夕飯を食べてから十分な食休みをして、再びレフレクトルの地下室から表へと。
 
 地下通路を抜けて階上へ行くと、うすぼんやりした風景にやや湿った空気。クトリアはその国土の殆どが砂漠や荒れ地で空気も乾いているが、この時期は雨季に近いらしい。
 雨季になると大雨が何回か降る。その大雨は結構な洪水になり易く、下流の地域が水浸しになる。
 レフレクトルはそのため、河口付近だが小高い場所に作られている。港になってる所へは階段と坂道。
 そして河により近いアルゴードの渡し場も、人の利用する建物は坂道のやや高い位置に建てられ、また雨季数ヶ月ほどは地形も変わってしまうこともあるという。
 だがより水の被害が大きいのは河の東側じゃなく西側だそうだ。渡河して反対側には、船着き場はあるにはあるが申し訳程度。河口付近のかなりの地域は湿原地帯のようになっちまう。
 王都解放直後、俺たちの多くが「この世界で前世の記憶を目覚めさせた」時期には、元々アルゴードの渡し場を仕切っていた邪術士達の配下は、命令を受けてティフツデイル王国からの討伐軍への応戦に出ていたか、あるいは逃げ出していたか。逃げ出したうちの一部は船で南下してバールシャム近辺の海賊残党と合流。これまた後を追うように南へと、その仮面を持ち逃げした王の影シャーイダールの部下の1人が孤児院の院長、グリロドを殺して成り代わり、それら悪党どもを纏めて組織化したりもしたワケだが、何にせよその時期には西カロド河の渡し場はほぼフリーな状況で、俺も他の元クラスメイト達も問題無く渡河出来た。
 
 だが今は違う。
 邪術士の配下残党や、山賊野盗、魔人ディモニウムどもの溜まり場だ。
 そこに王国駐屯軍も攻勢を狙っているってな話だから、言わばいつ爆発するとも分からない火薬庫みてぇな場所だな。
 そこへカチコミに行こうってンなら、そりゃこっちも相当な覚悟と気合いが要るだろう。
 “災厄の美妃”の持ち手でもなきゃあな。
 
 “災厄の美妃”にとっちゃ、魔人ディモニウムは恰好の餌だ。アルアジルによりゃあ、魔人ディモニウムってのは魔術師とは違って元々の魔術の素養、素質もたいして無きゃあ、きちんとした修行、訓練もしてないし学んだワケでもない。なので邪術士によって付与された限られた術が使えるだけ。だから、“災厄の美妃”でそいつさえ奪っちまえば後は簡単だ。
 
 だから、正直な話さほどの緊張感もなく、俺はアルゴードの渡し場への侵入しに行っていた。
 
 そのときまでは、だ。
 
 ▽ ▲ ▽
 
「まだこの程度しか……だ、たるん……ぞ、き………!」
 聞こえてくる怒声は、ところどころもはや言葉になっていないほど興奮したもの。
 声自体も嗄れて聞き取りにくいが、それ以上にかなり不安定。
 単純な怒りだけではなく、混乱、恐れ、またそれらの混ざり合った感情は、多分その本人すらそれが何かを分かってはいないだろう。
 
『アイツが“黄金頭”アウレウムだぜ。な? イカれてんだろ?』
 耳元で囁くのはエリクサール。本人はここからさらに離れた丘の上だが、囁き声だけを俺の耳元に幻惑魔法で飛ばして来てる。こうやって遠隔での通信に使うのが本来の用途らしいが、エリクサールは主に遠くにいる奴の耳元で悪口を言ったり、恐ろしげな魔物の声真似で驚かす悪ふざけに使っているらしい。
 
 アルゴードの渡し場はなだらかな下り坂の終点に船着き場があり、左右はちょっとした崖に挟まれた形。レフレクトルからそこへと繋がる一本道を挟むように幾つかの建物があり、ちょっとした集落のようにもなってる。さらには今は、それら幾つかの建物やその残骸を利用してぐるりと柵や見張り塔が建てられ、砦化されてもいる。もちろん、両側の崖の上にも見張り塔はある。ここをがら空きにしてたら、外敵から狙われ放題だからな。
 その真ん中辺り。いわばちょっとした広場のような場所の中央には大きな篝火があり、その前で座らさせられている者が4人。
 やや遠巻きに周りを囲む無数の人影に晒されながら、まるで……いや、まるで……? 違うな、こりゃあまさにそれそのものだ。
 
「貴様等無能が……そう……誰の……!」
 身振り手振りも大げさに、その巨体で歩き回り威圧しながら喚く“黄金頭”アウレウム。
 そいつにくどくどと“説教”され、“反省”させられているのは、恐らくは……十中八九間違いなく、大野、日乃川、そして小森に金田。つまりは俺と同じく修学旅行帰りの飛行機が墜落して、気色悪い爺によってこの世界へと生まれ変わらさせられたクラスメイトであり、魔人ディモニウムとしての新たな生を受けた4人だ。
 この状況……一体どーなッてんだ?
 

 
 
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