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第三章 クラス丸ごと異世界転生!? 追放された野獣が進む、復讐の道は怒りのデスロード!
3-93.クトリア議会議長、レイフィアス・ケラー「最終手段、発動しま~す……」
しおりを挟むお次の相手は魔蠍の群れ。
これまた中型犬から仔牛くらいの大きなサソリの化け物で、巨大なハサミと長い毒針が武器。
毒針のぶんだけでも大カマキリよりかなり手強い。殻の硬さもさらに上で、普通の刀じゃ文字通りに刃が立たないだろう。
水馬ケルっピさんの【水の奔流】で群れの動きをばらけさせるが、たいした効果はありゃしない。大蜘蛛アラリンの魔法の糸でがんじがらめに出来るも数体。
壁を背にした背水の陣ならぬ背壁の陣。一度に多勢に囲まれる最悪の状況を回避しつつ、なるべく遠距離で攻撃を当てる。
行動パターンは安直で、とにかく遮二無二突進してくる魔蠍は、その硬ささえなければ良い射的の的だ。
まずはエヴリンドによる火の魔力を帯びさせた矢で先制。僕とマーランも不得意な攻撃魔法で必死に足止め。なかなか倒れず迫り来る魔蠍を、最後にエヴリンドが山刀で仕留める。
ここでも、攻撃の要がエヴリンド一人と言う編成の偏りが顕になる。うーむ、痛い。
そして最後の一体だ。
一番大きく、アラリンの蜘蛛糸で念入りに縛ってはいたものの、はさみと激しい動きでそれを解いた、青黒い殻のデカい奴。群の中で最も大きく、強力な個体だろう。
おそらく闇の魔力を多めに蓄えているそいつには、こちらの魔法攻撃も効きにくい。
再びアラリンの蜘蛛糸で足止めを試みるがこれはうまくはまらない。
「エヴリンド!?」
マーランとエヴリンドによる【魔法の盾】をすり抜けて、筋肉質な男の腕ぐらいの太さがある毒針がエヴリンドへ迫る。
大蜘蛛アラリンの蜘蛛糸が更なる拘束を狙い糸を放つのと、エヴリンドの山刀が毒針の先を弾いて逸らすのがほぼ同時。
弾きはしたがその勢いに体勢を崩し、エヴリンドは身体の側面を相手に晒してしまう。そこに追撃のハサミが開く。
マズイ! が、エヴリンドをサポートして素早く動ける戦士タイプの者は今ここにいない。
もとより運動神経の鈍い僕が、水馬ケルピーの上からできることと言えば、ただ無様に転がり落ちるだけ……。
……いや待てよ? 転がり落ちる……?
ガキィン!! と、衝撃と高い金属音が響く。もちろん周りと……僕の体にだ。
「レイフ!?」
驚くエヴリンドに、
「み……、左側のハサミ!」
と指差し叫ぶ僕は、砂の敷き詰められた闘技場の床に仰向けに倒れながら、左足の義足を魔蠍の左手のハサミに挟み込まれ引き摺られている。
流石の"エルフの魔鉱"ミスリル製かつ母ナナイの特製付呪品。魔蠍のハサミ程度じゃ傷一つつかない。
ただ僕は持ち上げられちゃってますけどねぇ~~!!
ぶらりんと逆さ吊りになりかけた所、そのハサミの関節をばらり両断するのはエヴリンドの山刀で、もう片方のハサミを衝撃で弾き飛ばされつつも防ぐのはマーランの【魔法の盾】。そして魔蠍の毒針を絡め取るアラリンによる魔法の糸。
そのままエヴリンドは魔蠍の開いた口へと山刀を突き刺し横へ引き裂く。
けれどもその程度の攻撃で倒せるほどやわな相手じゃない。間髪入れず続けざまに山刀の連撃を脳天へと突き立てる。魔蠍の頭部の殻は普通なら文字通りに刃が立たないほどの強度だが、魔法による加護を付与された山刀は普通の剣よりはるかに硬く鋭い。
ざくりざくりと突き刺す毎に、魔蠍は少し跳ねるように痙攣し、次第に動かなくなった。
ふぅ~、なんとか、なんとかケリがついた……。 僕はハサミに挟まれたままの義足を外そうともがき、そこへ立ち上がったエヴリンドがやって来て力任せに引き抜く。
無表情のまま。
……あ~~……、これ、お説教タイムだ。
「…… レイフ」
「あ、はい」
控え室へと戻るや否やの厳しい声。
「……守られるべきものが護衛を助けるために敵に身を晒してどうするッッ!?」
うへぇ~、ごもっともです───がっ!!
「エヴリンド」
僕はエヴリンドに肩を借り立ち上がりつつ、そう言葉を続ける。
「あの場面でエヴリンドが敵の毒針に刺されれば、それを守るためにマーランと僕が回復と防御に魔法を使う事になる。
そうなれば次の魔蠍の攻撃を防ぐのは困難だし、ケルピーも大蜘蛛も魔蠍相手に決定打は持たない。
勝ちを考えるなら、あそこでは第一にエヴリンドを守るべきだった」
このチーム編成では、エヴリンドの攻撃力が要なのは間違いないし、とりあえず僕のミスリル銀製の義足にはピカイチの防御力がある。
それを受け、エヴリンドは一瞬呆れたようにか、あるいは何かを思い出すかに軽く呆けた顔。それから再び眉根を寄せて、
「理屈ばっかり言うな、この……ばか!!」
と一喝。
「理屈じゃありません! それが一番合理的だったからです!」
いくら凄まれてもここは譲りませんよ?
「実戦経験などほとんどないひよっこのくせに、生意気を言うな!」
「そりゃ確かにエヴリンドや母上にはかなわないかもしれませんが、僕だってダンジョンキーパーとして試練をくぐり抜け、あのザルコディナス三世の亡霊とやりあったんですよ!?」
「たかのしれた悪霊退治など何度もやっている」
「ああ~~、言ったね? 言っちゃったね? 知らないでしょ、あの時いなかったじゃん、全然来てなかったじゃん?
それでよくそんなこと言えるね、見てないでしょあのザルコディナス三世のこと!? 知らないでしょ、どん~~~……だけしんどい戦いだったか!?」
僕とエヴリンドとの子供じみた言い争い。
その横から、不意にぷっ、と小さく吹き出す笑い声が聞こえる。
その主はマーラン。
「……何がおかしい……?」
エヴリンドがねめつけるように睨むも、マーランは堪えきれないかにクスクス笑いだし、
「いえ、すいません……。お二人は本当にその……仲が良いんだなと……そう思いまして、ええ」
「え?」
「はァ?」
いや、まあ、「喧嘩するほど仲がいい」なーんて言葉も確かにあるけどさ。今のはそういう流れだった……のか……?
「……仲間を助けたい。
大事な誰かを助ける為に、その身をなげうちたい……。いや、それは意志だとか理屈だとかそういうことではなく、ただそうしてしまうんだ……。
かつての僕にそれができていれば……あるいは……」
マーランはそう続けて小さく漏らす。
それから、今までと少し違う表情をして、今までよりも少しだけ大きな声でこう言った。
「彼を、助けます。
協力……してください」
□ ■ □
第三の敵はオオヤモリ系三種の混成部隊だ。
火焔オオヤモリは火を吐くし、お馴染み金色オオヤモリは呪いを撒き散らし、そしてニューカマー、緑オオヤモリは毒液を飛ばして来る。
それぞれ3体、合計9体だが、数はこの際問題じゃない。火焔オオヤモリの火は【魔法の盾】で十分防げる。金色オオヤモリの呪いは僕らダークエルフにはまるで効かない 。問題は緑オオヤモリの毒液だ。
「来た!!」
直線ではなく放物線を描いて飛んでくる毒液は、液体というよりは泥と痰と糞を混ぜ合わせたような粘つくヘドロ。
これが肌につくと焼けるような痛みと毒による爛れ。そして次第に神経が蝕まれ身体が痺れてくる麻痺毒のような効果もある。ゲームみたいにヒットポイントゲージがどんどん減る、程度のことならある意味楽だ。回復魔法をかけまくればいい。
「痛ッッ!!!」
魔力による火焔オオヤモリの炎なら難なく防げる【魔法の盾】でも、ヘドロのような毒液はその飛沫まで完全に防ぐことはできない。そしてその粘つく毒液がほんのちょっと肌に付くだけで、焼けるような激しい痛みが僕達を襲う。
「盾でも蜘蛛糸でも完全には防げない!」
既に数滴の飛沫を浴び、痛みと毒による麻痺の効果が出始めているマーランがそう叫ぶ。
「ふん! ならどうする!?」
一体の金色オオヤモリの喉元を切り裂きながらエヴリンドがそう聞き返す。
「焼きます!!!」
マーランはそう言うと、すでに術式を構築し発動準備の完了していたであろう呪文を唱える。
熱気と共に地面から立ち上がるのは【炎の壁】。防御系でありながら、同時に触れる敵に対する攻撃にもなると言う高度な呪文。僕らダークエルフの呪術師でもこれを自在に使いこなす術師はそう多くはない。
放たれる毒液はこの【炎の壁】の熱気に触れると、ジュッ、という音と共に蒸発し、汚らしい粉塵のような塊がボロボロと落ちる。
「すみませんがこれを維持するのに精一杯です! 他の攻撃を防ぐのはレイフ、あなたにお任せします!」
苦しげにそう言うマーラン。
「承知!」
とは言え、ケルッピさんの【水の奔流】や、アラリンの蜘蛛糸で何体かを足止めし、その隙にエヴリンドが山刀で切り裂くという基本パターンは変わらない。
オオヤモリは魔蠍や大カマキリとは違い、硬い装甲がないので山刀の刃でも今まで以上によく斬れる。頭を切り落とされてもしばらくバタバタ動き回れるぐらいの生命力はあるが、それでも十分に戦闘不能状態だ。
そのとき、ごわん、と後方にいた一体の火焔オオヤモリが、天井近くの格子に陣取っていた大蜘蛛アラリンに向けて火を放つ。 アラリンは虫だけに当然火にも弱い。その火を防ぐためにケルッピさんが、濃密な霧の塊を火炎へぶつけて相殺。
アラリンとケルッピさんの援護がなくなった タイミングで、別の二体が同時にこちらへと仕掛けてくる。
嘘だろ!? これ連携プレイじゃないの?
オオヤモリ系にこんな知能があるとは聞いてないし、何よりそれぞれ別種に変化した者同士が、お互いの攻撃の特性を踏まえて適材適所に攻めてくるなんて!?
「あの女……」
魔法と剣捌きでその二体をいなし退けつつ、エヴリンドがそう吐き出すように言う。
「え、何?」
「あの女、恐らくウッドエルフの血を引いている」
そう言いながら、僕もエヴリンドも闘技場の外側、格子の向こうの貴賓席に居るリディアをチラリ見上げる。
ああ、そうか! と、 遅まきながらも僕は気づく。
彼女に感じていたある種の親しみやすさや人懐っこさというのは、同じエルフであるウッドエルフの持つ特徴をわずかながらに備えていたからで、また、こうやって闘技場を作れるほどに魔獣を手なずけ支配できるのも、ウッドエルフの得意とする魔法、【獣の支配】の成果でもあるのだろう。
つまり今、リディアはこの群れの中の何体かに対し【獣の支配】を使ってコントロールしている。そう、僕がダンジョンキーパーとしてやっていたように……だ。
となれば……。
僕は数枚の【土の壁】を作り出し、間に合わせの防壁とする 。雑な作りだし、ここの床に敷き詰められている砂をベースにしているからかなり脆い。体当たり一発でも崩れ去るだろう。
そのわずかな時間稼ぎの間に、付呪をされた僕の眼鏡の機能を調整して、他者からの魔力の影響下にある個体を見極める。
「エヴリンド! 奥の火焔、右手後方の緑、左手……金色です!」
指示を受け、エヴリンドは側面の壁を蹴り一気に右へと駆け抜ける。左手に掲げた【魔法の盾】で毒液を少しだけ防ぎつつそのままぶちかまして緑を押し倒すと、喉元から一気に腹まで山刀で切り裂く。
そこから、山刀を一番奥の火焔オオヤモリへと投げつけると見事に命中。投げたと同時にすでに走り出していたエヴリンドはそのまま刺さった山刀の柄を素早く掴むと、えぐるようにして喉元まで。
その位置からは背を向けた状態で、そこから振り向き、エヴリンドへ攻勢を仕掛けようかという姿勢の金色オオヤモリには……おおっと、いつの間にか僕を下ろして、【炎の壁】も【土の壁】も飛び越えていたケルッピさんが猛烈な後ろ蹴り。よろめき倒れこんだところへ止めのを刺すのは当然エヴリンド。
さて、これでおそらくはリディアによる【獣の支配】の影響下にあり、直接複雑な指示を受けて戦っていただろう個体は全部倒した。
残りは五体。そのうち二体はまだ大蜘蛛アラリンの蜘蛛糸からうまく逃れられていない。
こちらへ迫る一体が大きな跳躍と共に僕の間に合わせの土壁を壊し、もう一体の火焔オオヤモリは、【炎の壁】を左へ迂回して越えようとしてくる。
エヴリンドはまだ遠い。ケルッピさんは反転し、土壁を壊した方へと向かい体当たり。半精霊だが馬力もある。オオヤモリ相手ならばそう負けてない。
回り込んできた火焔オオヤモリに上から飛びつくのは大蜘蛛のアラリン。 口から吐く火炎はここなら届かない。そして、本質がハンターであるアラリンの武器は蜘蛛糸だけではない。そう、牙もだ。
毒を持つその牙で、背後から火焔オオヤモリの首筋をガブリと咬む。毒は即効性ではないが、しかし、背に乗られることを嫌がった火焔オオヤモリは、慌てたように反転しながらなんとかアラリンを降り落とそうとしている。
そこに……今現在自由に動けるもう一体の火焔オオヤモリが、大きな跳躍とともにほぼ上空から落下するように飛びかかってくる。
再び、守りに徹するつもりで事前に術式を構築し準備していた間に合わせの【土の壁】。しかしこれは防御というより半分は反撃。飛びかかって来た火焔オオヤモリの下腹部を、地面から立ち上がった【土の壁】がしたたかに打つ。
間に合わせの脆い土の壁ではあるが、この場合火焔オオヤモリの自重と勢いが攻撃力。【土の壁】はそのまま粉砕されるが、火焔オオヤモリも地に這いのたうつ。
そこへ……目に見えない小さな刺客……【透明化】しつつ今までは別の作業をさせていた使い魔、戦闘能力ほぼゼロの熊猫インプだ。
その熊猫インプが何をやるか? 先ほどからこちらが苦戦させられていた緑オオヤモリの毒液を固めた団子を、口の中に放り込んだ。
熊猫インプはいわゆる幻魔と呼ばれる魔法生命体なので、物理的な毒の類は効かないのだ。
腹の痛みに毒団子の追加で、火焔オオヤモリはさらにもんどりをうつ。
「試合終了! 勝者、南ゲート!」
決着の宣言とともに、まだ生きているオオヤモリに網が投げかけられる。
生きてはいるが、それぞれもう戦闘不能状態。判定としちゃあ当然の話か。
□ ■ □
インターバルはあるものの、なんだかんだで立て続けの連戦。精神的にも肉体的にもなかなか疲労が溜まってきてる。
それでも僕らなりの戦術も組み立てられてはきた。
やはりエヴリンドはさすがだ。
お目付け役だの付き合わされてるだけだのと口では色々言っているけれども、あの母ナナイと共に旅をするだけの実力があり、戦士としても護衛としても一流。
マーランは確かにまだ魔術師として未熟なのは否めないが、その場その場の状況に応じての多様な魔術の使い方やその工夫などは歴戦の経験を感じさせる。いくら魔術理論に秀でて、高い魔力適性があっても、実践の場での立ち回り、使い方が上手くなければ、研究者にはなれてもこういう場では頼れない。
僕は…… 今この場においては三体の使い魔を使える召喚術師としての力が一番有用だ。大蜘蛛アラリンも、水馬ケルッピさんも、そして熊猫インプも、それぞれの特技特性を活かして立ち回り、さらには長い間のダンジョンバトルで培われた
信頼関係もあり、こちらの命令がなくとも上手く立ち回ってくれる。
ただ、やっぱりチームとして考えた場合に攻撃の決定打に欠けるというのは否めない。
お次の四番手、最後の敵が何者なのか……。それ如何によっては……奥の手を使う必要がある。あんまり使いたくはないんだけどねぇ……。
さて、それでまあその四戦目になる。
再度降り立つ闘技場は、先ほどの闘いの跡、死体や血や毒液などなど全て片付けられ、観客の数もいつの間にやらかなり増えてる。
実際には夜にならないと本番は始まらないということだったけれども、このエキシビジョンマッチを聞きつけたのかあるいは宣伝したのか、満員とまではいかないが半分以上はすでに埋まっていた。
ゲートが開き、僕ら三人と既に出現させている水馬ケルッピさんが闘技場の南側にて待機。だが、北側ゲートはまだ開かない。
今度の敵はなんなのか。訝しみつつそこを注目していると、周りの観客達のざわめき歓声が次第に静かになっていく。
「クソ野郎ども!!」
突然の大声はリディア。
「すでに知っての通り、今回の特別試合、闘技場の勇士として名乗り出てくれたのはあのクトリア評議会議長であり、闇の森ダークエルフの魔術師、レイフィアス・ケラー!!
連戦にもかかわらず今までの三戦、対オオカマキリ、対魔蠍、そしてさっきのオオヤモリと、全て危なげなく……とは言い難いが全くの完全勝利!
その実力、もはや疑う余地は無しだ!!」
最終戦に向け、また観客の増加に応じてか、まるでアメリカンプロレスのマイクパフォーマンスかという具合に、煽りに煽りまくるリディア。
応じて、一旦は静まっていた観客たちの歓声も、再びヒートアップしていく。
「その強者達に対し、お次はどんな敵をぶつけるべきか!? どんな敵なら相応しい敵だといえるのか!?
そう……こちらもエースを出すしかない!!」
ガゴン……、と北側ゲートの開く音に、薄暗がりから現れる巨体。
ここからでも感じられる、とてつもない獣臭。
次第に闘技場中央、明るい中に現れる巨体の表面には、岩のような硬さを持つと思える鱗。長い爪、鋭い牙、捻れた角のある髑髏のような不吉な顔の形に、筋肉の塊とも言える野太い首、腕、脚……。
そのシルエットは、例えば昔見た恐竜図鑑、またはSF映画の肉食恐竜のそれに近い。二本足で立ち前傾姿勢、長い尻尾。
だがそれ等とは違い野太く強靭な腕は、僕なんか軽く掴みあげて放り投げてしまうことすら出来そうだ。
「死爪竜……」
マーランのその言葉に、僕もエヴリンドも緊張を隠せない。
僕にとっては初お目見え。しかしJBやガンボン等からも話に聞いているこのクトリア近辺に生息する魔獣達の中で最大級の恐ろしい敵。
巨人族に匹敵する巨体と攻撃力。そして硬い鱗と筋肉によろ防御性能と疲れ知らずのタフネスに生命力。何よりも敵と見定めれば執拗に追跡し食い殺そうとする凶暴凶悪なその性質。
今まで以上に狭く見えるこの地下闘技場の中で、僕は決意した。
「最終手段、発動しま~す……」
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