笑ゥ転生神~異世界スマホはチートでござる、の巻~

ヘボラヤーナ・キョリンスキー

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「あー、なる程。これですねえ」
 開口一番そう告げる保太郎。その不躾な態度に周りの者は色めき立つが、その場において最も地位ある立場のラーナ夫人が咎めない以上それに倣うしかない。
 
 結論から言ってしまえば、エレナの長い体調不良は病ではなく呪いであった。
 強力な呪い……ではないが、“しぶとい”呪いだ。
 軍人家系のコンティーニ家には三人の男子がおり、彼らはそれぞれの適正により別々の任務で各地を渡っている。
 その中でも最も軍人としては貧弱と見られている次男ニコラウスはそれらの評判を退けようとしてか、現在北方の属国周辺での反乱や賊徒、魔獣等を相手とした鎮圧、討伐部隊に従軍し転戦を続けているという。
 
 で、時折そちらで得た様々なものを「戦利品」として送ってくるらしいのだが、その中の一つが、エレナの身に付けていた首飾りだ。
 見た目はシンプルな十字架だが、この世界にはキリスト教もないので特定宗教のシンボルではない。それでも意匠としての十字架にはある種の魔術的シンボルとしての意味はあり、例えば上下左右に均等な長さのものは四元素の調和と安定を現す。
 エレナが持っていたそれは、保太郎の見る限り前世でよく知っていた下の部分が長いタイプの十字架。この世界ではやや独特のものになる。
 
「これ、ゆるい呪いのアイテムですよ。
 効果そのものは低いけど、持続性だけはめちゃ長いんで、数年かけて持ち主を弱らせます。
 呪いそのものは死にいたるほどではないけど、まあ身体も心も弱ってけばちょっとしたことで呆気なく死んだりしちゃうから、ある意味効果的ですよね」
「まあ、それはそれは……」
 ゆるい呪い、という言葉も保太郎の物言いもゆるいが、それを聞くラーナ夫人の反応もゆるかった。全てがゆるゆるである。
 
 医学関係のアプリでイマイチそれらしいものが見つからなかった保太郎は、まず直接会って確認しようと考え、そして鑑定アプリで状態を見てみると、エレナのステイタスに小さく【ゆるい呪い】との表示。
 そしてさらに詳細を見て、その根元が胸元の十字架だと判明した。
 
「まさか……! お渡しする前に教会で聖別を行っております! 呪いの装飾品など紛れ込む余地はありませぬ!」
 使用人の言うことももっともで、それなりの寄付とともに呪いや危険性の有無を調べてもらっている。特に辺境で手に入れたものならなおさらだ。
「まあ、これゆるいやつだから教会とかだと逆に分かり難いんじゃないすかね?」
 保太郎はけっこう適当にそう返すが、これもあながち間違いでもない。聖別で見分けるには呪いの力が弱すぎたのだ。
 詳しく調べれば分かっただろうが、たいていの場合教会ではまとめてさっと見るだけで、特別な寄付でもない限り事細かに調べたりはしない。コンティーニ家では長男のエゼリオが光属性魔法の使い手な為、教会に詳細まで調べてもらう事をしていない。一年に数回戻ってくるときにエゼリオが調べ直すからだ。
 それが今回は仇になったと言える。
 
「なあ、ヤスタローは【解呪】まで出来るのか?」
 解呪、つまり呪いを解くことは出来るのかとカイーラに聞かれるが、出来るかどうかで言えば出来なくもない。その手のアプリも異世界スマホにはインストールされている。
 ただ魔力コストがかなり高いので、あまりやりたくはないというのが本心だ。

「やっていただけるのでしたら、相応なお礼をいたしますわ」
 ラーナ夫人のその一言で、保太郎は一も二もなく解呪を請け負った。
 
 
 保太郎達はその後十分以上の謝礼を貰い、またこの宿でのしばらくの滞在を許された。
 かなりの厚遇だが、テンプレと異なり「貴族のロリ娘がハーレムイン」する事はなかった。
 当たり前である。いくら助けられたからと12歳の娘をどこの者とも知れぬ男に差し出すなんてのは狂気の沙汰だ。いや、そういう文化の所も絶対にないとは言えないが、この国はそうではない。
 仮にあるとしたら、極端なまでの家父長制で、当主の男以外は“当主の財産の一部”と見なされるような文化の国だろうし、その場合も側室が沢山居て娘も大勢、という場合くらいだろう。
 この国も一応は家父長制が一般的なのだが、女性であるリタとカイーラが元々二人旅をしていたことからも分かる通り、女性の社会的地位もさほど低くない。
 政治的には貴族による合議制だが、その元老院貴族にも女性貴族は少なくない。ある面では前世日本より女性の社会進出が進んでいるとも言えるが、その理由の一つはおよそ27年ほど前に起きた大災害で人口、特に貴族階級がかなり減ったことにもあるらしい。
 
 その辺りのことは保太郎の現状にはあまり関係ない。
 今回の件は保太郎のこの時の感覚では「Webノベルみてーな異世界転生したけど、いまいちWebノベルみてーなイベントはポンポン起きねーな。てかリアルに直面すると、12歳ロリ貴族娘をハーレムインとかあり得ねーわ。あれ、ノベルだから読めるんだよな」程度の事であったのだが、実はこの後の活動には大きく関係してた。
 

 
 まず、自称密偵のマーが当たり前の顔で同行しだした。
 本業どーすんだ、お前コンティーニ家の密偵じゃないんか、と聞きたくもなる……というか聞いたが、
「マーは自由契約の密偵だから、自由に怪しい奴を探るのにゃ!」
 等と意味不明な証言をしており、全く何を考えているのか分からない。
 
 しかしマーが保太郎達に同行することをラーナ夫人も了承しているらしく、それで問題が起きると言うことはなかった。
 それどころか、マーの同行は探索でも町中での交渉でも助けになり、索敵及び戦闘での活躍は見ざましく、また彼女の同行であちこちの町や村で有利になった。
 保太郎達は言わば「コンティーニ家の後ろ盾」を得たのに等しい状況になっているのだ。
 
 英雄と呼ばれる新興貴族のコネがある、というのは物凄いデカい。店での買い物でも良い商品を割安で買えるし、宿でも良い部屋を回してもらえる。中には露骨に賄賂を渡して「コンティーニ家とのご縁を結ばせて欲しい」と来る者達も居たが、そこはリタが丁重に断る。もしかしたら裏でマーが何かやってるかもしれないが、そこまでは関知できない。
 
 そしてそれらの縁もあってか、隊商の臨時の護衛、不穏な動きの見られる廃虚城塞の調査、山賊退治、魔獣討伐……と、様々な依頼を受けてはこなし、保太郎達はそこそこ名の売れた存在にまでなって行った。
 まさに、保太郎の読んでいた「異世界転生Webノベルみてーな」展開だ。
 
★ ☆ ★
 
「誕生日会?」
「そうだにゃー。エレナっちがもうじき13歳になるにゃー。
 まだ社交デビューはしないけど、その予行演習みたいなもんにゃー。
 内々と家の人脈作りを兼ねての宴会だにゃー。
 お前たちも来ると良いにゃー。旨いもんたらふく食えるにゃー」
 
 つっこみどころは色々あるが、元々社交性の高いわけではない保太郎にはそうそそられるイベントでもない。
 しかし「貴族とのコネ」がどれだけ有益かを知ってしまった今、無碍に断るという選択肢は無くなっている。
 端的に言って今の保太郎はかなりドヤっている。ドヤ顔でドヤドヤドヤっと街を闊歩している。
 
 リタとカイーラは会った当初より保太郎に対して親密な態度を見せている。親しくなったからというのもあるかもしれないし、また度々訪れる温泉での美容効果もあるのか、美人さにも磨きがかかり完全に「両手に花」状態だ。
 マーは……相変わらず良く分からないのだが、リタやカイーラとも今は巧くやっている。仕事の依頼を持ってくることもあれば、「面倒だから今日は寝てるにゃ」とまるで動こうともしない気紛れぶりも発揮するが、どうやら猫獣人バルーティと呼ばれるこの世界の獣人は多かれ少なかれそういう気質らしく、本人の言うところの「自由契約の密偵」というのもあながちデタラメでもないのかもしれない。
 それでも保太郎から離れようと言う素振りはなく、つきまとい続けているのも確かだ。
 
 宿屋でも花街でも保太郎へと熱い視線を送る娘は日に日に増えている。
 勿論それらにほいほい手を出せるほど保太郎はすれてもいないし女性慣れもしていない。
 元々ごく普通の……との自認だが、どちらかというとやや内向的で学校でも友達の居ない非コミュ系の高校生男子。本人曰わく学校外には友達は多い。アメリカ大統領も日本国首相も友達だ。SNSでフォローしている、という意味で。相互ではないが。
 ただこちらではその非コミュ故の「素っ気ない」対応が、逆に女性からは「クールで素敵」とも捉えられている。
 見た目と評判の裏打ちがあれば、中身がただの非コミュでも受け取られ方は変わるのだ。
 そしてその状況は、保太郎自身に「この世界に転生した自分は、周りの人間、特に女性からちやほやされるのが当然の存在なのだ」という自己認識をさせるようになった。
  
 
 評判、実績、見た目の良さと三拍子揃った今の保太郎は、主を持たぬ放浪剣士としてはかなり特別な立場にいる。
 この世界には冒険者ギルドみたいな分かり易い評価軸を提示してくれるものはないが、その例に準えるなら「ギルド加入数ヶ月でS級冒険者に成り上がった」みたいな状況。
 つまり、次へのステップアップが求められる時期だ。
 「BOUKEN!」から「NAISEI!」のターンへ、と。
 
 実のところ保太郎に政治的野心があるかと言うと、それは特にはない。
 ただこれもまた「テンプレ的に言えば、次はそれっしょ?」というそれだけのことだ。
 冒険者として成功し、自分のことをちやほやしてくれる女子を周囲に侍らせたのなら、貴族と懇意になり現代知識で内政や商売に手を伸ばす。
 Webノベルで読んでいた異世界転生モノのテンプレ展開が保太郎の「教科書、マニュアル」みたいなもので、しかも異世界スマホを使えばいつでもそれらを再閲覧出来る。サイトへの投稿までできれば自分の実体験を元にして投稿したいくらいだが、さすがにそこまでの機能はない。
 まあ、読書感想文以上の文章等書いたこともないし、それとてスマホ検索した内容のコピペ切り貼りでしかないのだが。
 
 何にせよ所謂「現代知識チート」な金儲けをするのにも、この異世界スマホは大活躍するはずだ。何でも検索すれば出てくるのだから、むしろこれからが異世界スマホの本番とも言える。
 金稼ぎは保太郎にとってはかなり優先的課題だ。
 この魔力で動く異世界スマホを使い続けるのには、魔力を補充するための魔晶石が必須。しかし魔晶石は買うと結構高い。そのためにはいくらでも金が必要だ。
 自分自身、確かに見た目も良く戦士としての実力も高い方だ。しかし今の成功、評判の殆どはスマホありきでのもの。そのことは保太郎自身ある程度は自覚している。
 つまりこの世界での「周りからちやほやされる快適な生活」は、ひとえにこの「異世界スマホの十分な活用」にかかっていて、そのためには大量の魔晶石を買う資金が必要。
 常に現ナマをガンガンぶっ込んでいかなきゃならないのだ。
 
 世知辛いもんだなあ、なんてなことも思うが、とは言えぶっ込む現金に対してのリターンはかなり大きい。
 何せ前世の現代日本に比べて「情報」の価値がまるで違うし、魔法アプリまである。異世界スマホそれ自体には派手なところは何もないが、この世界の社会基盤を覆しかねないほどの価値がある。
 前世ではほとんど誰でもスマホを持っていたし、買おうと思えば誰でも買えた。しかしこの世界では保太郎しか持っていないし、その利便性を享受出来るのも保太郎のみ。
 返す返すもチートなアイテムを貰えたものだと思う。
 
 
 当日。
 エレナの誕生日会は、思っていたよりは質素でささやかだが、それでもかなりの人手だった。
 有力貴族に豪商、魔術師協会、遠くウッドエルフやドワーフ達に北方属州からの使者等々、今まで会えることもなかった存在とも会える。
 コンティーニ家の庭園で開かれたそれは、前世で雑にイメージしてた舞踏会とか夜会等とは違い、昼間の晴天の元での自由な会食だった。
 美酒美食が並べられ、開会の挨拶の後はめいめいに食事飲食や歓談をする。
 楽士達の演奏や芸人達の余興もあり、全体的にはゆったりとした気楽なホームパーティーのような雰囲気。
 そのため、元々非社交的な保太郎でもさほどの緊張もなかった。いや、非社交的ではあるものの、その理由は対人関係が苦手というよりも単に他人への興味が薄いだけの保太郎は、むしろそうそう緊張するようなことも無いのだ。
 
 本格的な社交の場、と言うこともあり、異世界スマホは大活躍をしている。
 事前に服や何かを入手するのにネット通販。何と魔力消費で「お取り寄せ」まで出来てしまう。
 新たに出会った人物は即座に検索。必要な個人情報に彼らの現状、出身地や好み家族構成。あらゆる情報が即座に手に入る。何百人もの密偵を抱えたところで、保太郎のこの情報量には適うべくもない。
 調べたことを即座にべらべら吹聴するほどには馬鹿ではない。しかしそれとなく匂わせることで、侮れない相手だと思わせるには十分すぎる。
 まさにこの誕生会での社交は、保太郎の独壇場だと言えた。
 
 
「ふん? 貴様は遺跡探索者か? 古代ドワーフ遺跡の様式についてきちんと理解できているか? 良いか、様式の違いは表面的な意匠のみならず構造全体の違いにも現れるのだぞ……」
 エルフらしい尖った耳と大きな目をした男が何やら言ってるが、異世界スマホで検索すれば分かる程度のことを並べ立てているので適当な相づちで誤魔化しておいた。いずれは役に立つかもしれないが、今のところはどうでも良い。
 
「かなりの腕利きで、光属性魔法の解呪まで出来るそうだが、仕える主はもう定めたのかな?」
 頭頂部の禿かけた壮年の貴族が聞いてくるが、少なくとも今の保太郎には誰かに仕えて生きるつもりはさらさらない。そうそう都合良く「誰かの手駒」になんかなってやるものか、とも思う。
 
「やあやあ、ふふん? リタとカイーラの言うとおり、なかなかの美丈夫じゃあないか」
 背の低い小人族の男がそう声をかけてくる。ずんぐりした丸っこい鼻と大きな耳で手足も大きい。
「ジョーイだ。戦団では副長をしている。二人の推薦もあるし、君が望むなら試験を受けることも出来るが、どうだね?」
 ここで言う戦団というのは、リタとカイーラの父が所属している戦士の互助会のようなものらしい。
 保太郎が前世で読んでいたwebノベルの異世界ファンタジーによくある冒険者ギルドに似ているが、あれよりも小規模で地域密着型。基本的に王国内でしか活動をしないし、何よりある程度以上の実績があり、推薦を受けていないと試験すら受けられない。金さえ払えば誰でも入れるwebノベルによくある冒険者ギルドよりハードルが高いが、だからこそ箔がつくとも言える。彼らの疾風戦団に所属して居ると言うだけでも、一目も二目も置かれるのだ。
 
 リタ達から話を聞き、そして彼女らが入団試験を受ける実績を積むため様々な仕事を請けていた事を知ってから、保太郎も今後の目標の一つとして疾風戦団への入団を考えていた。
 勿論、そこでのコネが有益だというのもあるが、それ以上に「やっぱ異世界転生モノならそーでなきゃ!」というのが最大の動機だ。
 よく知るwebノベルの展開からすると順番が色々逆だが、こういうところで頭角を現していく、という展開は分かり易い。

 
「貴方がヤスタロー殿か。
 お噂は聞き及んでいる。
 私はクリスティナ。戦団の“戦乙女”だ」
 
 そのジョーイの後ろから進み出てくるのは別の女性。
 この辺りでは珍しい金髪碧眼。肌も透き通るように白いすらりとした体格で、年も近そうだ。
 顔立ちは彫りも深く整っていて、派手さはないのにまるで前世で見ていたハリウッドスターのように圧倒される雰囲気がある。
 もし、前世の日本人的感性のままで見たら、やや……いや、かなり気後れするだろう威圧感すら感じられただろうが、今の保太郎は既にこの世界への慣れと実績と経験がある。あるが、それでも少しの間、見惚れたかのように口を開けて反応できずにいた。
 
「古い英雄の娘が、新しい英雄のご令嬢の誕生日祝いに来るってのは、またキツいジョークだね」
 なにやら含みのある言い方でカイーラがからかい、リタがそれを窘める。
 言われたクリスティナはというと表情も変えず、
「単に戦団の一員として来ただけだ」
 と素っ気ない返し。
 
 なんというか、保太郎としては非常に新鮮だ。
 リタの所謂“堅物”感とも違う、言うなればクールビューティーとでも言うところか。単純に見た目が整っているとかどうとかではなく、所作振る舞い態度等々、この世界に来て初めて接するタイプであり、存在感。
 
「は……じめまして、保太郎……です」
 やや上滑りな声でそうぼそぼそと返すも、我ながら足下も落ち着かない。
 そして落ち着かないまま特に気の利いたことも言えずに、誕生会は終わり夜になった。
 
★ ☆ ★
 
 コンティーニ家の離れの客間をあてがわれ、清潔で大きめのベッドで寝転がりつつ保太郎は状況を整理していた。
 学級委員長タイプのスレンダー弓士。
 活発系スポーツ少女タイプの格闘戦士。
 気紛れいたずらっ娘な猫獣人ニンジャ娘。
 今のところ関係性はまだ薄いロリ貴族娘。
 そして、凛とした高潔さを感じさせる聖女……戦乙女。
 これは、ロイヤルストレートフラッシュかと言えるくらいにカードは揃ってるんじゃあないか? と。
 
 リタとカイーラはもう確実。マーは……そもそも良く分からんが、まあイケる気がする。所謂ネコミミじゃなくて全身もふもふな獣人なんだけど、むしろ異世界なのにただのコミケコスプレと大差ないケモミミ系獣人よりアリなんじゃね? みたいにも最近は思えている。何より気まぐれで奔放、というのがそれっぽくてそそる。
 ロリ令嬢は……まあ、保留だよね。今後も接点はあるだろうし、時間の問題か。
 それより何よりクリスティナだ……と、保太郎は考える。
 
 異世界スマホで色々と調べたところ、クリスティナの経歴も多々ふるっている。
 父は王国の英雄で、クリスティナ自身も幼い頃から光属性の魔力に優れていることが分かり聖光教会からも聖女候補として認定される。
 しかしその父が邪術士に暗殺され、コンティーニ家の当主であるリッカルド将軍がその邪術士達の陰謀を打ち破ると世間の耳目評判は一気にそちらへと傾く。かつての英雄の娘の天才児は見向きもされなくなり、流れ流れた果てに戦団入り。
 そんな経歴だというのに、あの気高さは何だ? ただ単に地位があるとか血筋が良いとかの話じゃない。
 
 欲しい、と。この世界に転生して初めて保太郎は、自ら能動的かつ積極的に「欲しい」と思った。
 今の地位も名声も、金も女からの人気も、別に自ら手に入れようと動いて得たわけではない。
 ただ異世界スマホを使い、出来ることをwebノベルによくあるノリで適当にやっていたらついてきた。それだけだ。
 しかしクリスティナは違う。
 あの気高さ、凛々しさ、高潔さ。そういうものを含めてとにかく「欲しい」と……。いや、有り体に言えば「汚したい」と思った。
 高潔で気高い聖女候補を、他の俗な女たちとともに並べて“ハーレム”に入れてやりたいと、そう思った。
 その気持ちが一体何に起因するのかは本人にも分からない。
 ただ保太郎はそうしたいと欲望を抱いたのだ。本人もまた無自覚のままに。
 
 そのもやもやした感情を持て余しつつ、異世界スマホをいじくり回してはクリスティナについて調べ続ける。
 調べ物をしすぎて魔力の残量が減ってきてても、魔晶石を使い充填するのも後回しにするほどに、どうにかしてクリスティナを「手に入れる」為の方法が分からないかと考えている。
 
 
 夜もそれなりに深まって来た頃、その保太郎の部屋のドアをノックする音がした。
 思索……というより妄想を一時中断させられてやや苛立ちつつ、保太郎がどうぞと入室を促すと、既に寝間着姿のカイーラが居た。
 何か用か? と特に興味もなく聞くと、パーティーで騒ぎすぎて寝付けない、みたいなことを言いつつ入って来て、保太郎のベッドに座る。
 普段に比べると明らかに声のトーンが下がった調子のぼそぼそとした声で、昼間のパーティーのことやこれまでの仕事や探索のことなど取り留めもなく話している。
 何だこいつ、よく分かんないし面倒くさいなー、等と保太郎は上の空で聞いているが、そうこうしていると再び戸を叩く音。
 上の空でそれに答えると、入るなりあわて気味のカイーラを見て驚くリタの姿。
 
「……カ、カイーラ?」
 リタも夜会用の薄手のドレス姿だが、寝間着というほど大胆ではない。
 というより、保太郎自身が気にもとめていないだけで、夜に寝間着姿で男性の部屋に行くなどというのは、少なくともこの世界の「上品な常識」においては有り得ないし、その行為の意味することはただ一つ。

「な、何をその様な格好で……!?」
 絶句しつつも姉としての体裁を整えようとするが、寝間着姿ではないとは言えリタの夜会用ドレスもこの世界の常識としてはかなり誘惑的な薄着。カイーラでなくとも二人の目的が同じであることは一目瞭然だった。
 
「リ、リタこそ何だよ!? 普段お堅い事ばーっか言ってるくせによ!」
「それ……は、違うでしょ!? あ、あなたのは、寝間着じゃないの!?」
「そんな薄い胸や細い脚をめーいっぱいに出しといて、何言ってんだ!」
「ガリガリにゃ。食べられるところは殆ど無いのにゃ」
「薄いとか、ほ、細いとか、そんなの今は関係ないでしょ!」
「ムチムチーラは肉多めだけど筋っぽそうにゃ。固すぎにゃ。お酒につけて塩揉みして柔らかくするにゃ」
「あー!? 誰が筋っぽ……そ……う……?」
 
「スタイルとしなやかさと肉付きと、全てのバランスが完璧なのはマーだけにゃー。
 だけどマーは寛容だからお前達のことも受け入れるにゃー。
 器の広さは大海のごとしなのにゃー」
 
 いつの間にか紛れているマーが、何か身勝手なことを言っている。
「な、何だお前、何言ってんだよ!?」
「いつ部屋に入ったの!?」
「にゃふふん。マーは密偵にゃ。とっくに忍び込んで見張ってたにゃ。
 お前達からはハツジョーしたミダラなメスの匂いがするにゃ。マーの鼻は欺けないのにゃ。
 そんなことで揉めてないで、みんなでヤスタローを分け合えば良いのにゃ」
「わ、分け合うって何ッ……!?」
「み、みだ……ッて、い、意味わっかんねーよ!!」
 
 比喩的な意味なのか文字どおりの意味なのか。 この騒ぎになってようやく、内容はよく聞いてはいなかったものの自分の名が出たらしいことまでは聞こえていた保太郎が反応する。
「一体何の話?」
 こちらは文字どおりに何の話か分からずに聞いているが、その反応はそれとは違ったものとして受け止められる。
 つまりはいつものような、「余裕ある態度」として、だ。
 
 実際のところ、カイーラもリタも、それぞれにつたないながらも彼女たちなりのアプローチをしてきていたのだが、保太郎はそれらに全く応えてきていない。半分は単純に気がついていないだけだし、もう半分はどう対応すれば良いか分かって居ないだけでしかないが、それが「若いのに浮わつかず、落ち着いて余裕がある」との評価になっている。言い換えれば「大人の男感がある」という、完全に間違った評価だ。
 とは言え今日は既にそんな状況ではない。普通なら所謂恋の鞘当て、修羅場となる状況だ。一人よく分からない言い分の獣人が居るので何故かそうなっては居ないが、普通ならそうなる。

「今お前は肉欲まみれのメスどもに囲まれてるにゃ。
 選択肢はもはや二つに一つにゃ。はむはむかみかみのはむかみ地獄へ一直線か、おけつに帆を掛けて逃げ出すかにゃ」
「お、おめーの言ってることだけ意味分かんねーよ、さっきっからよ!?」
「変な話にしないで!」
 マーの言いように口々に反論するカイーラとリタ。
「お前達が違うと言い張るなら別にどぉーーーでも良いにゃーーー。
 マーがひとりではむはむするにゃー」
「な、何をッ……!?」
 
 マーの発言はさておいて、流石の鈍感系主人公……というか、他人にあまり興味がないため人の話をちゃんと聞いて無い系主人公である保太郎にも状況が分かってきている。
 勿論、ああ、そうかついにこのイベントが来たか、と言う観点でだが。
 つまるとこ、「みなしハーレム状態」から、「実質ハーレム状態」への転換期が来たのだ、と。
 
「やれやれ、そういうことか。仕方ないなあ」
 
 誰に言うとでもなくそう口にする保太郎。
 今までの彼の言動が傍目には「実力を秘めているのにガツガツとせず控え目」に見えていたのは、単に自分から女性にアプローチする経験の不足故でしかなく、時間はそこそこかかったものの「女の方から積極的に来てくれる」というwebノベルでお馴染みの入れ食い状態になってくれたのなら話は別だ。
 何せ変なことを言ったりやったりして引かれる心配もないし、もっと言えばこちらからは何もしないでも構わない。いつでもWelcomeでただ寝て待って居れば良いのだから気楽なものだ。言うなればマグロ系主人公である。
 
 保太郎は再びくつろいだ様子でベッドへと座り直す。
 その動きに三者ともに反応し、薄暗がりの中保太郎の様子をうかがった。
 表情までははっきりと見えない。見えないが、保太郎はいつもと変わらぬ魅力的な笑みを浮かべて居るはずだ。
 カイーラもリタも、それまでの言い合いのことなどすっかり忘れたかに押し黙り、ドクドクと早鐘を打つ心臓の音が静寂の中大音量で聞こえて来るかに錯覚をしていた。
 
「いつまでも立ってないで、まずは座りなよ」
 ポン、と軽くマットを叩く保太郎の声は、やはり何時もの爽やかで落ち着いたもの。
 指し示しているのは彼の両サイドで、2人は一瞬だけ顔を見合わせると、そろりと足を踏み出しそれぞれに座る。ちょうど保太郎を挟み込むかの形だ。
 マーは、というと、フフンと鼻をならすと軽く飛び跳ねるようにベッドに乗り、保太郎の背後へと回り込んでしなだれかかるかに身体を預ける。その自由奔放で大胆な振る舞いに、リタもカイーラも息を飲んだ。
 
 これからどうなってしまうのか。口にせずとも2人は期待と恐れのない交ぜになった緊張で意識を失いそうな程に身体をこわばらせている。リタはもとより、一見すると男勝りな態度をしているカイーラとてこんな事には不慣れだ。特に野営でもないのに肌も露わな格好で、夜更けに男とこんなに密着する事など有り得ない。
 顔を直視する事も出来ずに、けれども妙にふわふわとした非現実感を漂わせながら、二人ともが寄り添うように保太郎の体温を感じていた。
 厚い胸板に、しなやかな筋肉。汗の匂いが鼻孔をくすぐり、その男臭さにドキリとする。
 これからどうするのか。どうなってしまうのか。
 先ほどのマーの言葉を思いだして、再び緊張する。ふたりで? いや、三人で? まるで顔から火を噴くかに熱くなる。
 残されている理性的な部分を押し流すかのように、様々な感情と感覚が渦巻いて暴発仕掛けたそのとき……意識を失った。
 
 ───保太郎が。
 
 
 
 
☆ ★ ☆
 
 暗い。
 真っ暗だ。
 あらゆる闇、あらゆる汚濁をタールのように煮詰めて作り出した液体状の濃密な闇の中で身動き一つとれずに居る。
 どういう事だ? 全く理解の出来ぬ状況の変化に保太郎はパニックになり慌てて居るが、慌ててうろたえたところで、どこを見るのも何を聞くのも叶わない。思考すると言うことそれ以外のあらゆる事が出来ない状態だ。
 
「おやおや、これはまた困った状況になってしまったようですねえ」
 何処かからか声がする。聞き覚えのある妙に粘ついたようなその声は、保太郎が別の世界で一度死に、そしてこの世界へと転生する際に異世界スマホをくれた例の黒ずくめの男のものだ。
 何だ!? 一体何がどうなっている!? これはお前の仕業か!?
 そう抗議したいが声が出ない。
 縛られている……程度では無い。まるでそう、身体そのものが存在していないかのような───。
 
「だからはじめに言ったじゃないですか。決して魔力を切らさないで下さいよ、……って」
 魔力? 何で今その話が? 魔力と言えば例の異世界スマホだ。異世界スマホの魔力残量が切れそうになっていたのは覚えている。補充する前にカイーラやリタ達が来て、まさに俺tuee! チーレム展開になり出して、魔力補充どころでは無くなったのも覚えて居る。
「ああ、あまり状況が分かっていないのですね。
 では特別サービスです。感覚器だけ使える程度の魔力を差し上げましょう……」
 そう言うと例の黒ずくめの男から魔力が僅かに流れてきて、ぞくりとする悪寒とともに周りの音、光、匂い、そして声が聞こえ、認識できるようになってきた。
 
 
「───呪い……ってこと?」
「細かくはきちんとした聖別で確認しなければ分からないけれども、そう見るのが妥当でしょう」
 リタの戸惑いの声に応えているのは、戦団の戦乙女クリスティナ。
 
「ふうむ……。もう一度確認させて貰うけど、君はヤスタローではなく、ラシードという名なんだね?」
 低い位置から聞こえるジョーイの声に、そしてこれは……、
「ああ、そうだ。ラシード・ベルモンド。流れの剣士ってところかな。
 そこにある“呪われた古代遺物”を手にしちまう前までは……ね」
 
 俺の声だ!
 ヤスタローの、この世界に転生した肉体の声。何度かスマホで録音して聞いているのでよく分かる。やや低音だがよく通るさわやかな好青年とでも言うかの声で、保太郎ではない別の誰かが話している。
 
「古代ドワーフ遺跡の中に、その黒い手の平大の板があってね。
 普段ならこんな得体の知れない遺物は魔法布に包んで持ち帰り教会で調べて貰うところだけど、何だかそんときゃ妙ォ~に魅入られたみたいになっちまってさ。
 ふらふらっと手にしたらもうおしまい。意識を乗っ取られて、後はずっと夢でも見てるようだった」
 
「怨霊幻魔の類か、知性ある古代遺物なのかは分かりませんが、所持した者の身体を奪う呪物……。そういうことのようですね」
 
 冷静に……保太郎からすれば冷酷にそう告げるクリスティナの声。
 身体を奪う呪物? 何だそれは? このラシードとかいう奴が俺の身体を奪っているのか!?
 
「何を言ってるんですか。貴方ですよ、貴方。貴方が、彼の身体を奪い、操っていたんじゃないですか」
 
 黒ずくめ男の粘り着くような声に、まとわりついていた悪寒がじわじわと広がり、保太郎を絡め取る。
 呪われた古代の呪物? まさか、それが───?

「貴方ご自分でおっしゃったじゃないですか。
 転生するならスマホで、って。
 だから私は、貴方をスマホというものに良く似た呪物へと転生させてさしあげたんですよ?」
 
 保太郎はそのまま文字通りに、異世界スマホへと転生していたのだ。
 
「魔力(バッテリー)切れさえ起こさなければ、ずっとあの男の身体を支配し続けていられたでしょうにねえ……」
 
 黒ずくめから流された僅かな魔力が次第に消えていくのが分かる。
 保太郎の意識がじわじわと闇の中に埋没し、散り散りになり拡散しついくのが感じられる。
 
「やっぱりにゃー。マーが怪しいと睨んで見張り続けていたのは正しかったにゃー」
「嘘つけ。お前どー見ても面白がってまとわりついてただけだろ?」
「にゃ!? 何を言ってるか分からないにゃー!?」
「身体は乗っ取られてたけど、意識は半分覚醒してたからな。
 そちらのお嬢ちゃんお二人の色んなことも、俺の方はきっちり覚えて居るぜ?」
「……なっ!?」
「てめっ、わ、忘れろっ!! とにかく色々、全部忘れろ!」
「いやー、悪いけどそりゃ難しいわ。こんな魅力的な美女達とそれなりの期間居たんだ。忘れろって方が無理がある」
「呪われてたときより口が巧いにゃ! コイツは信用出来ないにゃ!」
 
 聞こえてくる彼等の声も小さくなり、まるで遠くでのものに思えてくる。
 そして意識が完全に闇へと飲まれる直前に聞こえたクリスティナの声に、保太郎は自らの運命を悟った。
 
「何れにせよ、僅かなりとでも魔力を与えれば再び手にした者が支配されてしまう可能性があります。
 破壊するか、不可能ならば完全に封印してしまうしかないでしょう───」
 
 
 歩きスマホで車に轢かれて一度死んだ須磨保太郎が、異世界スマホへと転生した後に再び死ぬ。
 保太郎は最後の意志力を使い、黒ずくめの男へ向けて怒りの声を向けた。
 いったい、何故こんな酷い真似を……!?

「───何故、ですか?」
 黒ずくめの男はそう返して一区切りし、こう答えた。
 
「これが私の趣味なのです」
 
 それを最期に、保太郎の意識は完全に途絶えた。
 
 
 
 
 
 ───了───
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