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序章 深淵の底で
ep5
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あれから3年。スーヴィエラは感謝の気持ちを込めた手紙をポストに投函し、ふぅと息を吐き出した。
秋口の良く晴れた空の下、まだ日が昇ったばかりの敷地内を大きな旅行鞄一つに荷物をまとめて歩いていた彼女はお世話になったイシュカ別邸へ深々と頭を下げる。
まだ使用人もあまり活動を開始していない時刻であり、見送りもない。それでも、彼女は構わなかった。
リアラに言えば優しいリアラのことで泣き出してしまうであろうことはなんとなく彼女にもわかっていたので、スーヴィエラは敢えて何も言わずに出ていくつもりだった。
そして、歩き出した彼女が向かったのは列車の駅。
ただし、列車と言っても地下鉄や新幹線と言ったレベルのものではない。
未だ産業革命前期ともいえる技術レベルのこの時代。列車に乗って次の街までかなりの時間がかかる代物だった。
まあ、歩いたり馬に乗って走ったりするよりはマシな代物ではあるのだが。
彼女が握りしめているチケットはかつて、ヴィンセントが一応、親に義務は果たしているとアピールするために新婚旅行用に買ってくれた列車チケット。
行先はスーヴィエラが生まれ育った町パルより北にあり、ただ、ヴィンセントの暮らしている家がある最北の街べラルドから見れば南西にある商業都市のクア=ドルガへとむかうチケットだ。
だが、その旅行予定当日にべラルド近郊に魔物の襲撃事件が発生し、その事件対応で結局流れてしまったためにチケットを使うことはなかった。
期限などは特に書かれていないため、彼女はそれを使って列車に乗り、その街へと向かった。チケットに食事券もついており、そして、彼女が案内されたのも最高級のスイートルーム。
つまりはかなり豪華なチケットだった。
クア=ドルガへの片道切符は誰からも何も追及されることなく無事にクア=ドルガにたどり着いたわけだが、彼女はげっそりとしていた。
「…うっぷ…」
そう、乗り物酔いである。
豪華すぎる料理にトイレで何度も戻しながら3回に分けて完食したのはよかったが、揺れが高カロリー(とはいっても、普通の人にはそこまで高くないカロリーの料理)と相まって吐き気を催し、ずっと戦ってきたのだ。
それを三日三晩繰り返し、列車を降りた頃にはヘロヘロだった。
駅舎で落ち着くまでベンチに腰掛けてからゆっくりと立ち上がった彼女はさっそく住み込みで働くことの出来る場所を探し、行動を開始――――
――――したのはよかったが、仕事先が飛び込みで受け入れてくれる場所などほとんどないわけで。
今日から働きたいと言われて『うん、いいよ』となる店は商業都市であるクア=ドルガでもなかなか見つからずに夕方ごろ、途方に暮れながらベンチに腰かけていることとなった。
(甘いというのはわかっているけど…商業都市で労働力が余り気味だなんて聞いてない…)
商業都市と言うことで労働先を求め、出稼ぎでこの街を訪れる人も急増し、首都以上の賑わいを見せているクア=ドルガだが、新しく仕事場を生み出す起業家が不足しており労働力も余り気味だった。
まあ、力仕事ならば需要もあっただろうが、スーヴィエラのようにいかにもか弱い、華奢でスタミナもなさそうな部類の人間にはなかなか飛び込みの仕事のようなものがないわけで。
ベンチで腰かけていると、仕事終わりの時間なのか飲み屋の方へ流れていく人も多くなってきた。
(やっぱり、べラルドとは違う)
パルではほとんど屋敷を出ることがなかったので、故郷と言っても潮の香りさえどこか遠いものだったが、べラルドはヴィンセントがそこまで厳しくなかったのでリアラや護衛と一緒に出掛けてくることもできた。
だが、べラルドは嗅ぎ慣れた潮の香りがない内陸の街であった。
それに対してクア=ドルガは港町であり、落ち着く半面、嫌な思い出も何となく胸をよぎる。
思考の海に沈んでいて警戒心が薄れていたのだろう。
「お嬢ちゃん、一人かい?」
いつの間にか屈強な男が目の前にいて、顔をグイッと近づけ酒臭い息を彼女に吐きかけていた。
「ッ…!?」
屈強な男のほかにもう一人、背が低い爺さんも一緒だったが、その爺さんも赤ら顔であり完全に酔っているようだった。
後ろに飛びのこうとして背もたれが邪魔をする。
できる限り後ろに体をそらしながら男と距離を取ろうとした。
「お嬢ちゃん、どうだい? おれらと飲まないかい?」
「け、結構です…」
スーヴィエラは委縮しながらそう言うと、腕を掴まれた。非力な彼女では押しても引いても離れそうにない。
「やめてください」
絞り出すようにそう言うと、男と爺さんがヘラヘラと笑う。
「可愛いお嬢ちゃん、ほれ、ワシらと一杯ひっかけるだけでいいんだ」
「そうそう。そのあとにちょっと遊ばせてくれるだけでいい」
スーヴィエラが恐怖で目を見開いた直後、声が投げかけられた。
「お嬢さん。少し左に飛びのけるかい?」
慌てて彼女が左に飛びのき、その体当たりでつかまれた左手が解けてベンチに倒れこんだ彼女は屈強な男が何も言わないので恐るおそる目を開けた。
すると、屈強な男の眼前に夕日を受けて夕日色に輝く鋭い剣が突きつけられていた。
「嫌がるレディに無理強いする輩は大嫌いなんだよ。治安レベルを下げるなら街から出ていけ」
爺さんが這う這うの体で逃げ出すが、剣を突き付けられた方は動けないらしく、ガクガクと震えていた。
「…じょ、冗談だよ」
「冗談に聞こえなかったんだが弁明するのか?」
「す、すみませんでした!」
男はあっさりとそう言い、脱兎のごとく逃げ出す。それを見送ったスーヴィエラはゆっくりと起き上がり、杖状の鞘に剣を戻した人物を振り返った。
「助けていただき、ありがとうございます」
すると、その男が小さく微笑んだ。
「偶然通りかかっただけではあるが、なにもされていないかな?」
「はい」
「それはよかった。私でよければ家まで送らせるが?」
「ありがとうございます。でも、…出稼ぎにきたばかりでおうちはないんです。それに、お仕事も決まっていないので路上生活に…」
すると彼は眉尻を下げた。
「それはいけない。若い娘さんが夜に一人、街をぶらついていたら格好の獲物だよ」
「…それは…」
先ほどのことを思い出してシュンと項垂れたスーヴィエラはその男性がしゃがみ込んで視線を合わせてきたので驚いて目を見開いた。
その若い背の高い男は銀髪に薄氷色の瞳を持つ綺麗な顔をした人で、そして、纏っているスーツはかなり仕立てのよさそうな代物で上位階級であると推測できた。
そんな人が目線を合わせるようなことをしてきたので彼女はとても驚いていた。
「ちょうどよかった」
「へ?」
「うちの子供たちの面倒を見てくれるシッターを探していたんだ。ロクな女性がいなくて困っていたんだが、もしよければ協力してくれないだろうか? もちろん、保証はしっかりとする」
「…あの、私でいいのですか? 私があなたの子を狙う人間じゃないとどうして言い切れます…?」
「勘、かな。まあ、信頼できないっていうのもわかるけど、こちら側としては割と人を見る目を養ってきたつもりだよ。――なんて」
悪戯っぽく笑ったその男は立ち上がると彼女に手を差し伸べた。
「私はシリウス。シリウス・ローティクト・ルルカディアだ」
スーヴィエラは慌てて立ち上がると、遠慮がちにその手に軽く触れる。
「す、スーヴィエラ・ルクフォードといいます。あの、よろしく、お願いします…」
「ああ、よろしく」
シリウスはそう言うと、優しく怖がらない程度に彼女の手を握り、エスコートをして黒い烏の紋章が付いている馬車の方へと連れて行った。
一瞬、驚いた顔をした老齢の執事へと声をかける。
「爺や、シッターにスカウトしたスーヴィエラさんだ」
老齢の執事が緩やかにお辞儀をした。
「どうぞよろしくお願いいたします、スーヴィエラさん」
「こちらこそよろしくお願いします」
スーヴィエラが慌てて頭を下げると、先に馬車へと乗り込んだシリウスに再び手を差し出された。
「さあ、どうぞ、お嬢さん」
「ありがとうございます」
馬車へ二人を乗せたあと、御者台に執事長が腰かけて馬を走らせ始めた。
スーヴィエラは馬車に揺られながら流れていく夕立に沈む街を眺めていた。
秋口の良く晴れた空の下、まだ日が昇ったばかりの敷地内を大きな旅行鞄一つに荷物をまとめて歩いていた彼女はお世話になったイシュカ別邸へ深々と頭を下げる。
まだ使用人もあまり活動を開始していない時刻であり、見送りもない。それでも、彼女は構わなかった。
リアラに言えば優しいリアラのことで泣き出してしまうであろうことはなんとなく彼女にもわかっていたので、スーヴィエラは敢えて何も言わずに出ていくつもりだった。
そして、歩き出した彼女が向かったのは列車の駅。
ただし、列車と言っても地下鉄や新幹線と言ったレベルのものではない。
未だ産業革命前期ともいえる技術レベルのこの時代。列車に乗って次の街までかなりの時間がかかる代物だった。
まあ、歩いたり馬に乗って走ったりするよりはマシな代物ではあるのだが。
彼女が握りしめているチケットはかつて、ヴィンセントが一応、親に義務は果たしているとアピールするために新婚旅行用に買ってくれた列車チケット。
行先はスーヴィエラが生まれ育った町パルより北にあり、ただ、ヴィンセントの暮らしている家がある最北の街べラルドから見れば南西にある商業都市のクア=ドルガへとむかうチケットだ。
だが、その旅行予定当日にべラルド近郊に魔物の襲撃事件が発生し、その事件対応で結局流れてしまったためにチケットを使うことはなかった。
期限などは特に書かれていないため、彼女はそれを使って列車に乗り、その街へと向かった。チケットに食事券もついており、そして、彼女が案内されたのも最高級のスイートルーム。
つまりはかなり豪華なチケットだった。
クア=ドルガへの片道切符は誰からも何も追及されることなく無事にクア=ドルガにたどり着いたわけだが、彼女はげっそりとしていた。
「…うっぷ…」
そう、乗り物酔いである。
豪華すぎる料理にトイレで何度も戻しながら3回に分けて完食したのはよかったが、揺れが高カロリー(とはいっても、普通の人にはそこまで高くないカロリーの料理)と相まって吐き気を催し、ずっと戦ってきたのだ。
それを三日三晩繰り返し、列車を降りた頃にはヘロヘロだった。
駅舎で落ち着くまでベンチに腰掛けてからゆっくりと立ち上がった彼女はさっそく住み込みで働くことの出来る場所を探し、行動を開始――――
――――したのはよかったが、仕事先が飛び込みで受け入れてくれる場所などほとんどないわけで。
今日から働きたいと言われて『うん、いいよ』となる店は商業都市であるクア=ドルガでもなかなか見つからずに夕方ごろ、途方に暮れながらベンチに腰かけていることとなった。
(甘いというのはわかっているけど…商業都市で労働力が余り気味だなんて聞いてない…)
商業都市と言うことで労働先を求め、出稼ぎでこの街を訪れる人も急増し、首都以上の賑わいを見せているクア=ドルガだが、新しく仕事場を生み出す起業家が不足しており労働力も余り気味だった。
まあ、力仕事ならば需要もあっただろうが、スーヴィエラのようにいかにもか弱い、華奢でスタミナもなさそうな部類の人間にはなかなか飛び込みの仕事のようなものがないわけで。
ベンチで腰かけていると、仕事終わりの時間なのか飲み屋の方へ流れていく人も多くなってきた。
(やっぱり、べラルドとは違う)
パルではほとんど屋敷を出ることがなかったので、故郷と言っても潮の香りさえどこか遠いものだったが、べラルドはヴィンセントがそこまで厳しくなかったのでリアラや護衛と一緒に出掛けてくることもできた。
だが、べラルドは嗅ぎ慣れた潮の香りがない内陸の街であった。
それに対してクア=ドルガは港町であり、落ち着く半面、嫌な思い出も何となく胸をよぎる。
思考の海に沈んでいて警戒心が薄れていたのだろう。
「お嬢ちゃん、一人かい?」
いつの間にか屈強な男が目の前にいて、顔をグイッと近づけ酒臭い息を彼女に吐きかけていた。
「ッ…!?」
屈強な男のほかにもう一人、背が低い爺さんも一緒だったが、その爺さんも赤ら顔であり完全に酔っているようだった。
後ろに飛びのこうとして背もたれが邪魔をする。
できる限り後ろに体をそらしながら男と距離を取ろうとした。
「お嬢ちゃん、どうだい? おれらと飲まないかい?」
「け、結構です…」
スーヴィエラは委縮しながらそう言うと、腕を掴まれた。非力な彼女では押しても引いても離れそうにない。
「やめてください」
絞り出すようにそう言うと、男と爺さんがヘラヘラと笑う。
「可愛いお嬢ちゃん、ほれ、ワシらと一杯ひっかけるだけでいいんだ」
「そうそう。そのあとにちょっと遊ばせてくれるだけでいい」
スーヴィエラが恐怖で目を見開いた直後、声が投げかけられた。
「お嬢さん。少し左に飛びのけるかい?」
慌てて彼女が左に飛びのき、その体当たりでつかまれた左手が解けてベンチに倒れこんだ彼女は屈強な男が何も言わないので恐るおそる目を開けた。
すると、屈強な男の眼前に夕日を受けて夕日色に輝く鋭い剣が突きつけられていた。
「嫌がるレディに無理強いする輩は大嫌いなんだよ。治安レベルを下げるなら街から出ていけ」
爺さんが這う這うの体で逃げ出すが、剣を突き付けられた方は動けないらしく、ガクガクと震えていた。
「…じょ、冗談だよ」
「冗談に聞こえなかったんだが弁明するのか?」
「す、すみませんでした!」
男はあっさりとそう言い、脱兎のごとく逃げ出す。それを見送ったスーヴィエラはゆっくりと起き上がり、杖状の鞘に剣を戻した人物を振り返った。
「助けていただき、ありがとうございます」
すると、その男が小さく微笑んだ。
「偶然通りかかっただけではあるが、なにもされていないかな?」
「はい」
「それはよかった。私でよければ家まで送らせるが?」
「ありがとうございます。でも、…出稼ぎにきたばかりでおうちはないんです。それに、お仕事も決まっていないので路上生活に…」
すると彼は眉尻を下げた。
「それはいけない。若い娘さんが夜に一人、街をぶらついていたら格好の獲物だよ」
「…それは…」
先ほどのことを思い出してシュンと項垂れたスーヴィエラはその男性がしゃがみ込んで視線を合わせてきたので驚いて目を見開いた。
その若い背の高い男は銀髪に薄氷色の瞳を持つ綺麗な顔をした人で、そして、纏っているスーツはかなり仕立てのよさそうな代物で上位階級であると推測できた。
そんな人が目線を合わせるようなことをしてきたので彼女はとても驚いていた。
「ちょうどよかった」
「へ?」
「うちの子供たちの面倒を見てくれるシッターを探していたんだ。ロクな女性がいなくて困っていたんだが、もしよければ協力してくれないだろうか? もちろん、保証はしっかりとする」
「…あの、私でいいのですか? 私があなたの子を狙う人間じゃないとどうして言い切れます…?」
「勘、かな。まあ、信頼できないっていうのもわかるけど、こちら側としては割と人を見る目を養ってきたつもりだよ。――なんて」
悪戯っぽく笑ったその男は立ち上がると彼女に手を差し伸べた。
「私はシリウス。シリウス・ローティクト・ルルカディアだ」
スーヴィエラは慌てて立ち上がると、遠慮がちにその手に軽く触れる。
「す、スーヴィエラ・ルクフォードといいます。あの、よろしく、お願いします…」
「ああ、よろしく」
シリウスはそう言うと、優しく怖がらない程度に彼女の手を握り、エスコートをして黒い烏の紋章が付いている馬車の方へと連れて行った。
一瞬、驚いた顔をした老齢の執事へと声をかける。
「爺や、シッターにスカウトしたスーヴィエラさんだ」
老齢の執事が緩やかにお辞儀をした。
「どうぞよろしくお願いいたします、スーヴィエラさん」
「こちらこそよろしくお願いします」
スーヴィエラが慌てて頭を下げると、先に馬車へと乗り込んだシリウスに再び手を差し出された。
「さあ、どうぞ、お嬢さん」
「ありがとうございます」
馬車へ二人を乗せたあと、御者台に執事長が腰かけて馬を走らせ始めた。
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