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過去編 フェリシアとカミル
#19
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「…ん…」
カミルはおぼろげに目を開けるとどこかの森の中にいた。
傍には潰れてヒキガエルのようになっている巨大な猪の死骸が転がり、自分は岩に凭れかかるようにして座っているようだが、それにしては身動きが取れなかった。
(…骨が何本か折れているな。肋骨も何本かイカれてやがる…)
舌打ちしたカミルは辛うじて動く頭で激痛のする腹部に視線を落とすと、えげつないほど太い牙が腹に突き刺さっていた。
(これじゃあ、…内臓が持っていかれているな…)
意識が次第に霞んできて、カミルは何度も瞬いた。
激痛のせいで感覚が次第に麻痺をしてきて、手の先を動かすことさえできそうにない。
(死ぬんだろうか、俺は…)
そう考えた時、苦笑いが浮かんできた。
(思えば、ロクな人生じゃなかったな。いや、まあ、楽しいことも…結構あったけど。…親が死んで大人ばかりの社会に自分を投げ出さなければ生きていけなくて、…でも、学校だけは行かせてもらって、組織の任務に殉じて、数多の仲間の死を見送って……初めて人を好きになって、でも、叶わなくて、…で、やけになって、何人抱いたかさえ覚えていないくらい最低な男に成り下がって、……幼馴染に喝と称する、拳を…叩き込まれて、……そして、…)
次第に光が失われてきた瞳が愛おしそうに細められた。
(ああ、…フェリシア)
にっこりと笑ったフェリシアの顔が脳裏に浮かんだ。
決して目立つような乙女ではなく、地味と言えば地味だったが、あの優しくて、でも、ちょっと恥ずかしそうな笑顔を見るたびに愛おしさが止まらなくなった。
そして、幼馴染たちと同じくらい、一緒にいて苦痛を感じることもなく、地に足が付いているような絶対的な安堵を噛みしめることができたのだから。
もう、会うことは出来ないだろう彼女に届かない呼び声を投げかける。
(フェリシア。あぁ…フェリシア……)
妄想の中の彼女が戸惑ったような顔をした気がした。
(…フェリシア……会いたい。どうしても君に…会いたいんだ…)
意識がゆっくりと黒く沈んでいく。
崩れ行く意識の中、手放したくないフェリシアの幻影に必死に手を伸ばしたが、その抵抗も実を結ぶことなく意識はぷつんと途絶えてカミルはゆっくりと目を閉じた。
…
………
どれほど時間が経ったのだろうか。
再び意識を取り戻したカミルは何か白いものに包まれていることに気が付いた。
だが、その白いものは恐怖や痛みを与える存在ではなく、ただ痛みがゆっくりと引いて行くのを感じながら安堵に包まれているのを感じていた。
その温もりに包まれながら、今度は穏やかな眠りの世界へと意識を手放した。
☆
寝返りを打ったカミルがハッと目を覚まして起き上がると、ボフッと何かにぶつかってひっくり返った。
よく見ると、巨大な翼のようなものに包まれており、体を丸めた羽毛に覆われている白い尾と共に彼を守るようにして包み込んでくれていた。
その翼の下から這い出たカミルは、体に痛みがないことに気が付いた。
よく見ると牙が突き刺さっていた部分は傷一つない体に戻っており、その部分は破れてしまっているが、怪我をした痕跡さえない。
そして、折れてしまっていたはずの肋骨も、動かなかった手足も自由に動かせるようになっている。
「…これは…」
ゆっくりと振り返ると、身を丸めて寝息を立てている白い羽毛に覆われた龍を見た。
その龍は巨大な翼と前足が一緒になったワイバーンタイプの龍であり、龍の顔に嘴を持っている龍だった。その嘴の隙間から微かにずらりと並んだ牙が見える。
「お前が守ってくれたのか?」
小さく呟いたカミルはそっと手を伸ばしてその龍の巨大な鼻面に触れた。
すると、その龍が弱々しく目を開き、その緑色の瞳が彼を映し出して優しく細められ、その瞳が閉ざされた。
その直後、ふわりと龍の体が光に包まれ、その光が縮んで女性らしい人間のシルエットにまで縮んだ。
光が消えた後、残されたのはぐったりとしているフェリシアの姿。
「ッ!? フェリシア!?」
慌てて彼女の傍に膝をつき、彼女を抱き起すとフェリシアは虚ろに目を開き、カミルをみとめて柔らかく微笑んだ。
だが、目の焦点が次第にズれてきて、彼女の額に手をやるとカミルはギョッとした。
「すごい熱だ…」
とりあえず自分が風邪をひくので、岩の影でインナーだけ汗をかいた時用に持ってきていたものに着替えを済ませ、そしてリュックを抱えてフェリシアの元に戻って二人一緒にぴたりと寄り添う。
寒さでガタガタと震えている彼女のために『山登りは雰囲気だろ!』と豪語して無駄に重たい登山グッズを持たせてくれた先輩に、今は感謝をしつつ二人で一緒に持ってきた毛布を被って手を繋ぐ。
フェリシアの手は驚くほど冷たくなっていたので、少しでも温められるようにと恋人繋ぎで手を繋ぐと、彼女が泣きそうな顔をして握り返してきた。
「……っ」
何か言いたさそうに口を開いて、だが、閉口してしまった彼女が再びぐったりとした顔をしていることに気が付いて、カミルは鞄から水筒を取り出した。
すでに温くなっていたが、牙に貫かれたときにストラップが切れてしまったのか、カミルは岩に叩きつけられて結果的に岩に凭れるように座っていたのに対し、リュックは傍に転がっていただけだった。
しかも、幸運なことに、様々な木に引っかかったことでボロボロではあったが、中身は無事だったのだ。
その幸運な水筒からコップに水を注いで彼女の口元に近づけた。
「水、飲めるか?」
フェリシアがゆっくりと首を横に振り、目を閉じた。
だが、かなり汗をかいて苦しそうなフェリシアは水分補給をした方がいいことは明白で、カミルはしばらく悩んでいたが、フェリシアの顎を軽く持ち上げた。
「フェリシア」
「…?」
うろんな表情で振り返った彼女を見つめ、カミルはカップの水を口に含むと、身を乗り出してフェリシアの唇に唇を重ね、水を流し込んだ。
フェリシアはごくりと大人しく飲み下し、カミルが離れるとキョトンとした顔で彼を見ていた。
カミルはフェリシアの口の端から零れてしまった水を拭ってやり、耳まで赤くなる。
「…ごめんな。彼氏でもないのにキスなんかして。…でも、でもさ。こうしないと…飲んでくれないだろ?」
言い訳がましくそう告げた彼を見ていたフェリシアがクスッと笑った。
「……変な、カミルさん」
フェリシアが虚ろな瞳で彼を見つめ、ニッコリと笑った。
だが、ほんの少し寂しそうな笑顔だった。
「私は見ての通り、普通の女の子じゃないのです。…だから、カミルさんの隣はふさわしくないのですよ」
カミルはたまらずにフェリシアから手を離し、その両手で彼女を抱きしめた。
フェリシアは涙目になっていたが、首を横に振ってカミルの胸を軽く押しやるが、その力はか弱く、カミルは痛めつけない程度にしっかりときつく抱きしめた。
「ふさわしくないだなんて、そんなわけがないだろう」
フェリシアはもう一度首を横に振って少しだけ強くカミルの胸を押しやり、見つめあう。
「レディとしてふさわしくない以上に、…私、長くないんです」
「え?」
キョトンと瞬いたカミルの顔を見ながら、フェリシアは自然と涙が零れた顔を向け、訣別のためにも覚悟を決めた。
すぐ近くで、「いたぞ! こっちだ!」という声と、「カミルさん、無事ですか!」という声、そして、人々の足音の喧騒が近づく中、フェリシアはハッキリとカミルに告げる。
「私、もうじき死ぬんです」
二人の間を風が吹き抜け、カミルが茫然と声を漏らした。
「え?」
それに被せるようにして、駆け寄ってきたウィルの叫び声が響き渡った。
「嘘だ!」
フェリシアは首を横に振ったが、彼女から言葉を発する前にミストの冷静な声がした。
「本当よ」
ミストのカミルを見つめる瞳がいつになく冷たかった。
「それが、私たちの『業』だもの」
カミルはおぼろげに目を開けるとどこかの森の中にいた。
傍には潰れてヒキガエルのようになっている巨大な猪の死骸が転がり、自分は岩に凭れかかるようにして座っているようだが、それにしては身動きが取れなかった。
(…骨が何本か折れているな。肋骨も何本かイカれてやがる…)
舌打ちしたカミルは辛うじて動く頭で激痛のする腹部に視線を落とすと、えげつないほど太い牙が腹に突き刺さっていた。
(これじゃあ、…内臓が持っていかれているな…)
意識が次第に霞んできて、カミルは何度も瞬いた。
激痛のせいで感覚が次第に麻痺をしてきて、手の先を動かすことさえできそうにない。
(死ぬんだろうか、俺は…)
そう考えた時、苦笑いが浮かんできた。
(思えば、ロクな人生じゃなかったな。いや、まあ、楽しいことも…結構あったけど。…親が死んで大人ばかりの社会に自分を投げ出さなければ生きていけなくて、…でも、学校だけは行かせてもらって、組織の任務に殉じて、数多の仲間の死を見送って……初めて人を好きになって、でも、叶わなくて、…で、やけになって、何人抱いたかさえ覚えていないくらい最低な男に成り下がって、……幼馴染に喝と称する、拳を…叩き込まれて、……そして、…)
次第に光が失われてきた瞳が愛おしそうに細められた。
(ああ、…フェリシア)
にっこりと笑ったフェリシアの顔が脳裏に浮かんだ。
決して目立つような乙女ではなく、地味と言えば地味だったが、あの優しくて、でも、ちょっと恥ずかしそうな笑顔を見るたびに愛おしさが止まらなくなった。
そして、幼馴染たちと同じくらい、一緒にいて苦痛を感じることもなく、地に足が付いているような絶対的な安堵を噛みしめることができたのだから。
もう、会うことは出来ないだろう彼女に届かない呼び声を投げかける。
(フェリシア。あぁ…フェリシア……)
妄想の中の彼女が戸惑ったような顔をした気がした。
(…フェリシア……会いたい。どうしても君に…会いたいんだ…)
意識がゆっくりと黒く沈んでいく。
崩れ行く意識の中、手放したくないフェリシアの幻影に必死に手を伸ばしたが、その抵抗も実を結ぶことなく意識はぷつんと途絶えてカミルはゆっくりと目を閉じた。
…
………
どれほど時間が経ったのだろうか。
再び意識を取り戻したカミルは何か白いものに包まれていることに気が付いた。
だが、その白いものは恐怖や痛みを与える存在ではなく、ただ痛みがゆっくりと引いて行くのを感じながら安堵に包まれているのを感じていた。
その温もりに包まれながら、今度は穏やかな眠りの世界へと意識を手放した。
☆
寝返りを打ったカミルがハッと目を覚まして起き上がると、ボフッと何かにぶつかってひっくり返った。
よく見ると、巨大な翼のようなものに包まれており、体を丸めた羽毛に覆われている白い尾と共に彼を守るようにして包み込んでくれていた。
その翼の下から這い出たカミルは、体に痛みがないことに気が付いた。
よく見ると牙が突き刺さっていた部分は傷一つない体に戻っており、その部分は破れてしまっているが、怪我をした痕跡さえない。
そして、折れてしまっていたはずの肋骨も、動かなかった手足も自由に動かせるようになっている。
「…これは…」
ゆっくりと振り返ると、身を丸めて寝息を立てている白い羽毛に覆われた龍を見た。
その龍は巨大な翼と前足が一緒になったワイバーンタイプの龍であり、龍の顔に嘴を持っている龍だった。その嘴の隙間から微かにずらりと並んだ牙が見える。
「お前が守ってくれたのか?」
小さく呟いたカミルはそっと手を伸ばしてその龍の巨大な鼻面に触れた。
すると、その龍が弱々しく目を開き、その緑色の瞳が彼を映し出して優しく細められ、その瞳が閉ざされた。
その直後、ふわりと龍の体が光に包まれ、その光が縮んで女性らしい人間のシルエットにまで縮んだ。
光が消えた後、残されたのはぐったりとしているフェリシアの姿。
「ッ!? フェリシア!?」
慌てて彼女の傍に膝をつき、彼女を抱き起すとフェリシアは虚ろに目を開き、カミルをみとめて柔らかく微笑んだ。
だが、目の焦点が次第にズれてきて、彼女の額に手をやるとカミルはギョッとした。
「すごい熱だ…」
とりあえず自分が風邪をひくので、岩の影でインナーだけ汗をかいた時用に持ってきていたものに着替えを済ませ、そしてリュックを抱えてフェリシアの元に戻って二人一緒にぴたりと寄り添う。
寒さでガタガタと震えている彼女のために『山登りは雰囲気だろ!』と豪語して無駄に重たい登山グッズを持たせてくれた先輩に、今は感謝をしつつ二人で一緒に持ってきた毛布を被って手を繋ぐ。
フェリシアの手は驚くほど冷たくなっていたので、少しでも温められるようにと恋人繋ぎで手を繋ぐと、彼女が泣きそうな顔をして握り返してきた。
「……っ」
何か言いたさそうに口を開いて、だが、閉口してしまった彼女が再びぐったりとした顔をしていることに気が付いて、カミルは鞄から水筒を取り出した。
すでに温くなっていたが、牙に貫かれたときにストラップが切れてしまったのか、カミルは岩に叩きつけられて結果的に岩に凭れるように座っていたのに対し、リュックは傍に転がっていただけだった。
しかも、幸運なことに、様々な木に引っかかったことでボロボロではあったが、中身は無事だったのだ。
その幸運な水筒からコップに水を注いで彼女の口元に近づけた。
「水、飲めるか?」
フェリシアがゆっくりと首を横に振り、目を閉じた。
だが、かなり汗をかいて苦しそうなフェリシアは水分補給をした方がいいことは明白で、カミルはしばらく悩んでいたが、フェリシアの顎を軽く持ち上げた。
「フェリシア」
「…?」
うろんな表情で振り返った彼女を見つめ、カミルはカップの水を口に含むと、身を乗り出してフェリシアの唇に唇を重ね、水を流し込んだ。
フェリシアはごくりと大人しく飲み下し、カミルが離れるとキョトンとした顔で彼を見ていた。
カミルはフェリシアの口の端から零れてしまった水を拭ってやり、耳まで赤くなる。
「…ごめんな。彼氏でもないのにキスなんかして。…でも、でもさ。こうしないと…飲んでくれないだろ?」
言い訳がましくそう告げた彼を見ていたフェリシアがクスッと笑った。
「……変な、カミルさん」
フェリシアが虚ろな瞳で彼を見つめ、ニッコリと笑った。
だが、ほんの少し寂しそうな笑顔だった。
「私は見ての通り、普通の女の子じゃないのです。…だから、カミルさんの隣はふさわしくないのですよ」
カミルはたまらずにフェリシアから手を離し、その両手で彼女を抱きしめた。
フェリシアは涙目になっていたが、首を横に振ってカミルの胸を軽く押しやるが、その力はか弱く、カミルは痛めつけない程度にしっかりときつく抱きしめた。
「ふさわしくないだなんて、そんなわけがないだろう」
フェリシアはもう一度首を横に振って少しだけ強くカミルの胸を押しやり、見つめあう。
「レディとしてふさわしくない以上に、…私、長くないんです」
「え?」
キョトンと瞬いたカミルの顔を見ながら、フェリシアは自然と涙が零れた顔を向け、訣別のためにも覚悟を決めた。
すぐ近くで、「いたぞ! こっちだ!」という声と、「カミルさん、無事ですか!」という声、そして、人々の足音の喧騒が近づく中、フェリシアはハッキリとカミルに告げる。
「私、もうじき死ぬんです」
二人の間を風が吹き抜け、カミルが茫然と声を漏らした。
「え?」
それに被せるようにして、駆け寄ってきたウィルの叫び声が響き渡った。
「嘘だ!」
フェリシアは首を横に振ったが、彼女から言葉を発する前にミストの冷静な声がした。
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心がふんわりするようなエンディングで嬉しくなりました。
番外編も楽しみにしています。
カミルとフェリの出会いとかもよんでみたいです。
コメントありがとうございます。
あまり激しいエロは私のスタイルに合わないみたいで、挑戦しようと思ったこともなきにしもあらずですが、上手くいきませんでした(笑)
ゆるっとふわっとその後のフェリシアたちを書いたら、その後に短編で出会いのエピソードを書いてもいいかもしれません。その辺はおとなのじじょーを加味してではありますが…。
最後までお読みいただきありがとうございました。
やっと二人で幸せを見つけて、ルルーちゃんと言う可愛い子供まで手に入れて、ホント~によかった!
これから三人で、もっと幸せになれるといいですね‼
続き、楽しみに待っています。
頑張って!なんて偉そうなこと言いますが、本当に楽しみなのであえて言います!
頑張ってください!
コメントありがとうございます。
本編は一応、40話を目処にしています。区切りがいいので…。
いくつか番外編を書いて終了としたいですが、ご要望があればプラスしていくつか書くかもしれません。
おとなのつごーも加味して…ですが。
お読みいただきありがとうございますた。
昨夜、こちらの復活に気付き大変嬉しいです‼
旧題の時、突然消えてしまったことが悲しくて悲しくて最後まで今回は読める事を
楽しみにしてます‼
コメントありがとうございます。
旧題版を消して申し訳ございません。
でも、今回は最後まで書ききるよう頑張りますので、最後までお付き合い願えれば光栄の至りでございまする(´;ω;`)
楽しみにしているだなんて、勿体ないお言葉です。ありがとうございます!