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過去編 フェリシアとカミル
#17
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週末、カミルは先輩と、なりゆきで一緒に来ることになったウィルと共に山に登っていた。
何度目かのため息が出る。
誘ってもらって失礼なことだとはわかっていても、フェリシアのことばかり頭の中をぐるぐると回っていく。
あの笑顔も、一緒にご飯を食べて本当に嬉しそうに綻ばせた顔も、一緒に劇を見に行って泣いてしまった顔も、恥ずかしそうにしていた顔も、すべて浮かんでは消える。
(全部が嘘…だったんだろうか)
マーサの親友だから、だから無意識に全幅の信頼を置いてもいいと。
(そんな風に思ってはいなかっただろうか…)
でも、あの表情の一つ一つが嘘だとは到底思えず、思考が堂々巡りする。
山に登っても思ったより体力があったのか、息が切れるほど苦しくないせいなのか、脳内で彼女のことを考えなくて済むほどは空っぽになっていなかった。
「先輩、頂上はまだですか?」
そう尋ねると、先輩が怪訝そうに振り返った。
「…登り始めて10分くらいしか経過していないのに音を上げたのか?」
呆れ顔の先輩にカミルは首を横に振った。
「そうではありませんが…」
「それならいい。…それより、ウィル。お前は情けないぞ。もう息切れを起こして…」
「はひ…」
そう言いつつもゼーゼーと肩で息をしているウィルはかなり辛そうだった。
「大丈夫なのか?」
「…すみません。遅れそうになって全力疾走してきたものですから」
カミルは眉尻を下げて先輩を振り返る。
「とりあえず、一度休憩しませんか? ウィルも落ち着いてからの方がいいでしょうし」
「仕方がないな。まあ、今回はカミルの慰安登山だからな。お前がそう言うならそれでいいか」
「…はい」
ウィルが登山道の端にある大きな石に腰を下ろすと、深く息を吐き出して額の汗をハンカチで拭った。
「…ありがとうございます、カミルさん」
「いや、構わないが…、大丈夫なのか?」
「はい、何とか」
カミルはため息を漏らすと、ウィルの横にある少し低めの石に腰を下ろした。
「無理についてくる必要はなかったんだぞ。山登りなんて俺と先輩が勝手に行くだけなんだから」
「先輩もカミルさんも、お世話になっていますから」
ウィルはそう言うと、立ち上がってズボンについた土埃をぱっぱと払って元気そうに先輩の元へ駆け寄っていった。
「お待たせしました!」
「今度は無駄に元気だな」
カミルも立ち上がって土埃を払い、二人に今度は遅れないようにと歩み寄った。
「行きましょうか」
「おうよ」
3人の男たちは山を登っていく。
とはいえ、一般市民でも普段から出入りできるように整備されている登山道。
それゆえに、整備されていない道を歩くよりははるかに楽な道のりだったが、これは訓練ではなく気分転換なのでのほほんと他愛のない会話をしながら歩き続けていた。
そんな彼らはあっという間に登り切り、眼下に広がる皇宮と、その城下町を見おろしながら、その風景を楽しめるように設置されている展望台の少し後ろのベンチに並んで腰かける。
そして、取り出したのは登山前に買い込んでおいた弁当。
「これがカノジョの手作り弁当だったら嬉しいんだがなぁ」
カミルが遠い目になった。
「傷口に塩を塗り込まないでください」
「おっと、悪い悪い」
「でも、確かにフェリシアの作ってくれた弁当は美味しかったですよ…。もう食べられないですけどね」
ウィルが鞄から先ほど使っていたのとは別のハンカチを取り出してカミルに差し出した。
「カミルさん、泣いてもいいですよ?」
「…その心遣いが今はどうしようもなく痛いんだが…?」
「す、すみません!」
ぺこぺことウィルが謝るが、カミルは顔をひきつらせた。
「…いや、そういうことじゃなくてだな…。…いや、もういいから。放っておいてくれ」
ため息交じりのカミルに、ウィルが少し申し訳なさそうな顔をしながら顔を上げて頷いた。先輩は話題を変えようとカミルに弁当の話題を振る。
「そういやぁ、うまそうな弁当だな」
「から揚げ定食弁当ですよ。先輩は確か…のり弁当って名前の弁当でしたか。…ウィルはクラブサンドか?」
「こういうランチセットを考えたやつは偉いよな。栄養とか、量とか、腹いっぱいになって栄養価もよくて、それを持ち運べるように工夫するなんてすげー奴だよな」
「そうですね」
先輩は楽しそうに笑い、カミルは小さく同意を示した。
一方のウィルは言葉に出さずに頷くに留めざるを得なかったが、それはクラブサンドにかぶりついている最中だったというのもあるのだが。
「こういう場所で何も考えずに弁当を食べるっていいですね…」
しみじみとカミルがそう言うと、先輩はニヤッと笑った。
「だろ?」
「はい。今日はありがとうございます」
「まあ、この調子で明日から頑張れよ」
先輩にバシッと背中を叩かれ、弁当をひっくり返しそうになりながらカミルは先輩につられて笑い、ウィルは不思議そうに小首を傾げた。
フーッフーッ…
そして、荒い鼻息のような声が聞こえ、なんとなくそちらに目を向けてウィルが凍り付いたように身動きを留めた。
顔をそちらに向けたまま必死にカミルの袖口を引っ張る。
「か、カミルさん、カミルさん」
「うるさい」
弁当を食べて顔を綻ばせたカミルはその手を払った。
だが、ウィルは必死にカミルの袖を引く。
「か、カミルさん、アレ」
ゆっくりと獲物を定めるように距離を詰めてくるその巨大な生き物を指さしてそう言ったウィルに、しつこさに負けたカミルが振り返って息をのむ。
「ッ!?」
先輩も振り返り、目を見開いた。
「なんで魔物がここに…」
そう、そこにいたのは巨大な大猪とも呼べる魔物。
この世界では基本的に動物は魔物として分類されるのだが、その中でも凶暴で人を襲う魔物に分類される方の危険な生き物だった。
「まずいな…武器なんて置いてきちまった」
先輩が苦い顔をした時、ふと、懐から連絡石を取り出した。
特殊な魔法が掛けられたその石は通信に使うことができ、魔力をかなり消耗するが、石にあらかじめ魔力を入れておけば何とかなるようだ。
「会社からだ。応援要請を頼んでみる。魔法で時間を稼いでくれ」
「はい」
ウィルはおっかなびっくりと言う顔をしているが、カミルは小さく頷いただけだった。
向かってきた大猪を壁魔法で防ぎ、カミルが時間を稼いでいる間に先輩が繋ぎを付けた。
『レックス、そっちは無事だった!?』
「無事って…魔物のことか?」
『ええ! 密売組織を追跡中に部下がヘマをしてね。猪が山に逃げたって聞いて…あんたらがそっちの山に登るって聞いたから気が気でなかったんだけど…』
「残念ながら、もう目の前にいる」
『ええっ!?』
ウィルが火の玉の魔法をぶつけると、猪がぎろりとウィルを睨んだ。そして、カミルの防護壁の魔法を避けてウィルに向かって猛突進した。
「ウィル!」
カミルがウィルを突き飛ばすと、猪がカミルに衝突した。
そして、その勢いのまま、カミルごと猪は真っ逆さまに展望台から落ちていき、見えなくなった。
「カミル!!」
先輩の叫び声が虚しくこだまし、先輩は顔をしかめてクソッと罵りながらベンチを蹴り、ウィルが茫然とカミルと魔物が消えた方を見ていた。
何度目かのため息が出る。
誘ってもらって失礼なことだとはわかっていても、フェリシアのことばかり頭の中をぐるぐると回っていく。
あの笑顔も、一緒にご飯を食べて本当に嬉しそうに綻ばせた顔も、一緒に劇を見に行って泣いてしまった顔も、恥ずかしそうにしていた顔も、すべて浮かんでは消える。
(全部が嘘…だったんだろうか)
マーサの親友だから、だから無意識に全幅の信頼を置いてもいいと。
(そんな風に思ってはいなかっただろうか…)
でも、あの表情の一つ一つが嘘だとは到底思えず、思考が堂々巡りする。
山に登っても思ったより体力があったのか、息が切れるほど苦しくないせいなのか、脳内で彼女のことを考えなくて済むほどは空っぽになっていなかった。
「先輩、頂上はまだですか?」
そう尋ねると、先輩が怪訝そうに振り返った。
「…登り始めて10分くらいしか経過していないのに音を上げたのか?」
呆れ顔の先輩にカミルは首を横に振った。
「そうではありませんが…」
「それならいい。…それより、ウィル。お前は情けないぞ。もう息切れを起こして…」
「はひ…」
そう言いつつもゼーゼーと肩で息をしているウィルはかなり辛そうだった。
「大丈夫なのか?」
「…すみません。遅れそうになって全力疾走してきたものですから」
カミルは眉尻を下げて先輩を振り返る。
「とりあえず、一度休憩しませんか? ウィルも落ち着いてからの方がいいでしょうし」
「仕方がないな。まあ、今回はカミルの慰安登山だからな。お前がそう言うならそれでいいか」
「…はい」
ウィルが登山道の端にある大きな石に腰を下ろすと、深く息を吐き出して額の汗をハンカチで拭った。
「…ありがとうございます、カミルさん」
「いや、構わないが…、大丈夫なのか?」
「はい、何とか」
カミルはため息を漏らすと、ウィルの横にある少し低めの石に腰を下ろした。
「無理についてくる必要はなかったんだぞ。山登りなんて俺と先輩が勝手に行くだけなんだから」
「先輩もカミルさんも、お世話になっていますから」
ウィルはそう言うと、立ち上がってズボンについた土埃をぱっぱと払って元気そうに先輩の元へ駆け寄っていった。
「お待たせしました!」
「今度は無駄に元気だな」
カミルも立ち上がって土埃を払い、二人に今度は遅れないようにと歩み寄った。
「行きましょうか」
「おうよ」
3人の男たちは山を登っていく。
とはいえ、一般市民でも普段から出入りできるように整備されている登山道。
それゆえに、整備されていない道を歩くよりははるかに楽な道のりだったが、これは訓練ではなく気分転換なのでのほほんと他愛のない会話をしながら歩き続けていた。
そんな彼らはあっという間に登り切り、眼下に広がる皇宮と、その城下町を見おろしながら、その風景を楽しめるように設置されている展望台の少し後ろのベンチに並んで腰かける。
そして、取り出したのは登山前に買い込んでおいた弁当。
「これがカノジョの手作り弁当だったら嬉しいんだがなぁ」
カミルが遠い目になった。
「傷口に塩を塗り込まないでください」
「おっと、悪い悪い」
「でも、確かにフェリシアの作ってくれた弁当は美味しかったですよ…。もう食べられないですけどね」
ウィルが鞄から先ほど使っていたのとは別のハンカチを取り出してカミルに差し出した。
「カミルさん、泣いてもいいですよ?」
「…その心遣いが今はどうしようもなく痛いんだが…?」
「す、すみません!」
ぺこぺことウィルが謝るが、カミルは顔をひきつらせた。
「…いや、そういうことじゃなくてだな…。…いや、もういいから。放っておいてくれ」
ため息交じりのカミルに、ウィルが少し申し訳なさそうな顔をしながら顔を上げて頷いた。先輩は話題を変えようとカミルに弁当の話題を振る。
「そういやぁ、うまそうな弁当だな」
「から揚げ定食弁当ですよ。先輩は確か…のり弁当って名前の弁当でしたか。…ウィルはクラブサンドか?」
「こういうランチセットを考えたやつは偉いよな。栄養とか、量とか、腹いっぱいになって栄養価もよくて、それを持ち運べるように工夫するなんてすげー奴だよな」
「そうですね」
先輩は楽しそうに笑い、カミルは小さく同意を示した。
一方のウィルは言葉に出さずに頷くに留めざるを得なかったが、それはクラブサンドにかぶりついている最中だったというのもあるのだが。
「こういう場所で何も考えずに弁当を食べるっていいですね…」
しみじみとカミルがそう言うと、先輩はニヤッと笑った。
「だろ?」
「はい。今日はありがとうございます」
「まあ、この調子で明日から頑張れよ」
先輩にバシッと背中を叩かれ、弁当をひっくり返しそうになりながらカミルは先輩につられて笑い、ウィルは不思議そうに小首を傾げた。
フーッフーッ…
そして、荒い鼻息のような声が聞こえ、なんとなくそちらに目を向けてウィルが凍り付いたように身動きを留めた。
顔をそちらに向けたまま必死にカミルの袖口を引っ張る。
「か、カミルさん、カミルさん」
「うるさい」
弁当を食べて顔を綻ばせたカミルはその手を払った。
だが、ウィルは必死にカミルの袖を引く。
「か、カミルさん、アレ」
ゆっくりと獲物を定めるように距離を詰めてくるその巨大な生き物を指さしてそう言ったウィルに、しつこさに負けたカミルが振り返って息をのむ。
「ッ!?」
先輩も振り返り、目を見開いた。
「なんで魔物がここに…」
そう、そこにいたのは巨大な大猪とも呼べる魔物。
この世界では基本的に動物は魔物として分類されるのだが、その中でも凶暴で人を襲う魔物に分類される方の危険な生き物だった。
「まずいな…武器なんて置いてきちまった」
先輩が苦い顔をした時、ふと、懐から連絡石を取り出した。
特殊な魔法が掛けられたその石は通信に使うことができ、魔力をかなり消耗するが、石にあらかじめ魔力を入れておけば何とかなるようだ。
「会社からだ。応援要請を頼んでみる。魔法で時間を稼いでくれ」
「はい」
ウィルはおっかなびっくりと言う顔をしているが、カミルは小さく頷いただけだった。
向かってきた大猪を壁魔法で防ぎ、カミルが時間を稼いでいる間に先輩が繋ぎを付けた。
『レックス、そっちは無事だった!?』
「無事って…魔物のことか?」
『ええ! 密売組織を追跡中に部下がヘマをしてね。猪が山に逃げたって聞いて…あんたらがそっちの山に登るって聞いたから気が気でなかったんだけど…』
「残念ながら、もう目の前にいる」
『ええっ!?』
ウィルが火の玉の魔法をぶつけると、猪がぎろりとウィルを睨んだ。そして、カミルの防護壁の魔法を避けてウィルに向かって猛突進した。
「ウィル!」
カミルがウィルを突き飛ばすと、猪がカミルに衝突した。
そして、その勢いのまま、カミルごと猪は真っ逆さまに展望台から落ちていき、見えなくなった。
「カミル!!」
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