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過去編 フェリシアとカミル
#15
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屋上でフェリシアはマーサに尋ねられてキョトンとしていた。
「合コン…ですか?」
「そ。カミル以外の男と遊んでみて慣らしてもいいのかなって、そう思ったんだけど…無理そう? 無理強いはしたくないから、無理に…とは言わないけれど?」
「…うーん…せっかく誘ってもらって申し訳ないですけれど、せっかく恋人に選んでくれたカミルさんを裏切るみたいで嫌です。…あの、ベン君はマーサが合コンに行っても怒らないですか?」
マーサは苦笑した。
「別にそういうのは付き合いで行っているだけだからね。ベン以外の誰かと一緒にそのまま、なんてことは絶対にしないし、彼氏がいるから一線は絶対に引くようにしているし。でも、ベンと顔を突き合わせてばかりだとお互いに飽きちゃうから」
「…そ、そうなのですか…」
「あ、あたしがそう思っているだけだからね? 遊ぶのも今のうちだけって決めているし。恋人期間中じゃなくて、仮にベンと夫婦になったと考えたら、そういうことはしないって決めているから、お互いに時々遊んでもいいよって。――遊びに行って本気になられたら困るけど」
マーサはサラリとそう言ったので、フェリシアは感心したように息を吐き出し、そしてちょっと頬を朱に染めて綻ばせた口元を両手で覆い隠す。
「マーサとベン君はもう、夫婦みたいですね」
「夫婦じゃないけど…彼なら将来、一緒になってもいいなって思っているけどね? ベンは優しいから何も言わないし、遊んできてもいいって言っても、女の子と遊びに行くようなことなんてしないし…。身持ちが固すぎて戸惑う方が多いし、…恋人からグレードアップしてくれるのかわからないけれど」
マーサが口を尖らせてそう言うと、フェリシアは顔を綻ばせた。
「マーサも何やかんやでベン君に一途なのですね」
「だって…ベンみたいに一緒にいて安心できる男っていないんだもん」
そう言ってから、マーサは顔を真っ赤にして両手を顔の前でばたつかせた。
「って、今のナシ! そ、そんなんじゃないもん!」
マーサの様子を見ながら、フェリシアはにっこりと笑った。
「素敵なカップルなのです」
「だーかーらー、そんなんじゃないってば!! もうっ、フェリ! そんなにおちょくらないでよ!」
「えへへ…滅多にマーサをおちょくれないので仕返しなのです」
得意げな顔のフェリシアにマーサは紅潮した頬のまま、拗ねたような顔をしながら尋ねる。
「じゃあ、フェリの方はどうなの? カミルとうまくやっているんでしょ?」
マーサの意地の悪い問いかけに、フェリシアは飄々としていた。
「カミルさんはとても優しい人ですよ。いつも気遣ってくれますし、紳士で素敵な人だなって…。モテるのもわかりますし、私じゃなくても誰かと巡り合って幸せになれるのになって…そう思うんです」
だが、フェリシアが少し切なさそうな笑みを浮かべたので、マーサは瞬いた後に怪訝そうな顔をして彼女の顔を覗き込むように身を乗り出す。
「フェリ、どうしたの? 最近元気ないけれど…?」
「カミルさんがあまりにも優しいから、本気になってしまいそうな気がして…ちょっと怖いだけですよ」
マーサは不思議そうに小首を傾げた。
「…フェリ? 別に本気になってもいいじゃない? フェリはカミルのこと、好きなんでしょ?」
「そういうのは…将来的にも一緒になれる人と楽しんだ方がカミルさんにとって一番いいことだと思うのです。一緒にいてつまらない私みたいな女といるよりも、将来一緒にいて楽しい人と一緒にいた方が、カミルさんは絶対に幸せですし、楽しいでしょうし」
マーサが眉間に皺を寄せた。
「フェリ? 誰かに何か言われた?」
真剣な顔をしているマーサにフェリシアは首を横に振って力のない笑みを浮かべた。
「一般論、なのですよ。交換日記を書いてやり取りしているだけの関係でいるより、もっと刺激的なこともしてあげられる人の方が飽きなくてカミルさんにとって楽しいと思うのです。――そういう人と付き合ってきたのなら、なおさらに」
「どうしたの、フェリ? 何かあった?」
フェリシアは首を横に振った。
「…マーサも私みたいなつまらない人間と無理につるまなくていいと――ふにゅ!?」
フェリシアの言葉を遮るようにマーサがフェリシアの頬をつまみあげて無理やり口角を上げさせた。
「誰かに何か言われたなら、あたしが怒ってあげる。フェリのこと、つまらないなんて思ったことないし、そんなに卑屈になりたくなるほど傷つけられたなら、傍にいてギブアップするまで話を聞いて、仇討ちが必要だったら仇討ちだってする。――フェリこそそんな程度の関係だって思っていたの?」
いつになくムッとしているマーサの顔を見ながら、フェリシアは次第にシュンと落ち込んだ顔をした。
「ごめんなさい…そうじゃなくて…」
フェリシアが泣きそうな顔をしている様子を見て、マーサはそっと手を下ろして指をきちんとハンカチで拭ってから、彼女の頭を優しく撫でた。
「無理に言わなくていいよ。――でも、心の整理がついたらキチンと話してくれるよね?」
「マーサぁ…」
フェリシアの瞳が潤み始め、やがて大粒の涙が目尻から零れ落ちた。
「何かあった? 誰かに何か言われた? それとも、カミルが無意識に他の女の子に声を掛けられて嫌な気持ちになっちゃった?」
首を横に振ったフェリシアはしゃっくりあげながら言葉を紡いだ。
「……そん、な…の、…お似合い、な、…だけ…です」
「そんなわけないでしょ。カミルは今、このあたしでもわかるくらい、何の因果かフェリにゾッコンなんだから。どこかの誰か知らないけれど、そこらの女よりもフェリに本気で恋しているなら、カミルはフェリ以外見ようとしないわよ」
諭すように優しく話しかけたマーサに、フェリシアは唇を真一文字に結んで嗚咽しそうになる声を必死に抑えながら小さくこくんと頷いた。
マーサはそんなフェリシアに力の抜けた笑みを向け、ハンカチを鞄から取り出して差し出した。
「ほら、思い切り泣いていいから泣いちゃいなさいな。鼻水だってそれでかんじゃってもいいから」
「……うん」
フェリシアはしゃっくりあげるように泣き出し、マーサはフェリシアの隣に移動して座り直し、フェリシアの背を優しく撫でていた。
落ち着くまでずっとそうしていてくれたマーサに感謝を告げ、フェリシアは泣き腫らした目を向けて少しだけ吹っ切れたような笑みを浮かべた。
「ごめんなさい。…どうしても辛いことがありまして」
フェリシアの言葉に、マーサは眉尻を下げた。
「そう。話せそう?」
フェリシアはそんなマーサの優しさに元気を分けてもらい、言葉を紡いだ。
「…私、長く生きられないのです」
「…はい?」
怪訝そうな顔をしたマーサの顔を見ながら、フェリシアは曖昧に微笑んだ。
「私、マーサとおばあさんになって、一緒に笑いながら繕い物をして孫の話をしながらお茶をするなんて出来ないみたいなのです」
「…嘘」
そう呟いたマーサにフェリシアは口を開きかけたが、それを遮るように大きくドアが開く音が響き渡り、他に誰もいない屋上の昇降口のドアを大きく開いてカミルが息を切らせながら現れたのが見えた。
「フェリ、シア……無事か?」
マーサは口を閉じてしまったフェリシアを見た後、苛立たし気にカミルを睨む。
そして、手で電球のような何かをひねる動作をした。
「チェンジで」
「はぁ!?」
困惑気味のカミルを見ながらマーサは畳みかけるように告げる。
「せっかく乙女の秘密を聞き出せそうだったのに、カミルのせいで台無し。だから、チェンジで」
「俺は、フェリシアがマーサに怖い話を聞かされて泣かされているって話を聞いてだな…」
「んな話、するわけないでしょ」
冷静にツッコミを入れたマーサがチェンジ要請をしている茶番を見ながら、フェリシアは楽しそうに声を上げて笑った。
涙が目尻から零れ落ちたが、もう悲しい涙ではなかった。
「ありがとう、カミルさん、マーサ」
フェリシアが素直にそういうと、カミルは幸せそうに頷き、マーサはホッとしたように微笑んだ。
「元気出た?」
「はい」
フェリシアは嬉しそうに笑うが、マーサはカミルと見つめあって楽しそうな顔をしているフェリシアを見つめながら、不安そうな顔をしていた。
「…嘘つかないでよ、フェリ…」
笑顔で振り返ったフェリシアの顔で我に返ったマーサも笑顔を浮かべ直した。そのおかげでカミルは気が付かなかったようだが、フェリシアはその言葉を聞いて再び泣きそうな顔をしていたのだった。
(ごめんね、マーサ)
彼女はそっと、心の中で詫びながら、せめてカミルにだけは心配をかけないように笑顔を張り付けていた。
「合コン…ですか?」
「そ。カミル以外の男と遊んでみて慣らしてもいいのかなって、そう思ったんだけど…無理そう? 無理強いはしたくないから、無理に…とは言わないけれど?」
「…うーん…せっかく誘ってもらって申し訳ないですけれど、せっかく恋人に選んでくれたカミルさんを裏切るみたいで嫌です。…あの、ベン君はマーサが合コンに行っても怒らないですか?」
マーサは苦笑した。
「別にそういうのは付き合いで行っているだけだからね。ベン以外の誰かと一緒にそのまま、なんてことは絶対にしないし、彼氏がいるから一線は絶対に引くようにしているし。でも、ベンと顔を突き合わせてばかりだとお互いに飽きちゃうから」
「…そ、そうなのですか…」
「あ、あたしがそう思っているだけだからね? 遊ぶのも今のうちだけって決めているし。恋人期間中じゃなくて、仮にベンと夫婦になったと考えたら、そういうことはしないって決めているから、お互いに時々遊んでもいいよって。――遊びに行って本気になられたら困るけど」
マーサはサラリとそう言ったので、フェリシアは感心したように息を吐き出し、そしてちょっと頬を朱に染めて綻ばせた口元を両手で覆い隠す。
「マーサとベン君はもう、夫婦みたいですね」
「夫婦じゃないけど…彼なら将来、一緒になってもいいなって思っているけどね? ベンは優しいから何も言わないし、遊んできてもいいって言っても、女の子と遊びに行くようなことなんてしないし…。身持ちが固すぎて戸惑う方が多いし、…恋人からグレードアップしてくれるのかわからないけれど」
マーサが口を尖らせてそう言うと、フェリシアは顔を綻ばせた。
「マーサも何やかんやでベン君に一途なのですね」
「だって…ベンみたいに一緒にいて安心できる男っていないんだもん」
そう言ってから、マーサは顔を真っ赤にして両手を顔の前でばたつかせた。
「って、今のナシ! そ、そんなんじゃないもん!」
マーサの様子を見ながら、フェリシアはにっこりと笑った。
「素敵なカップルなのです」
「だーかーらー、そんなんじゃないってば!! もうっ、フェリ! そんなにおちょくらないでよ!」
「えへへ…滅多にマーサをおちょくれないので仕返しなのです」
得意げな顔のフェリシアにマーサは紅潮した頬のまま、拗ねたような顔をしながら尋ねる。
「じゃあ、フェリの方はどうなの? カミルとうまくやっているんでしょ?」
マーサの意地の悪い問いかけに、フェリシアは飄々としていた。
「カミルさんはとても優しい人ですよ。いつも気遣ってくれますし、紳士で素敵な人だなって…。モテるのもわかりますし、私じゃなくても誰かと巡り合って幸せになれるのになって…そう思うんです」
だが、フェリシアが少し切なさそうな笑みを浮かべたので、マーサは瞬いた後に怪訝そうな顔をして彼女の顔を覗き込むように身を乗り出す。
「フェリ、どうしたの? 最近元気ないけれど…?」
「カミルさんがあまりにも優しいから、本気になってしまいそうな気がして…ちょっと怖いだけですよ」
マーサは不思議そうに小首を傾げた。
「…フェリ? 別に本気になってもいいじゃない? フェリはカミルのこと、好きなんでしょ?」
「そういうのは…将来的にも一緒になれる人と楽しんだ方がカミルさんにとって一番いいことだと思うのです。一緒にいてつまらない私みたいな女といるよりも、将来一緒にいて楽しい人と一緒にいた方が、カミルさんは絶対に幸せですし、楽しいでしょうし」
マーサが眉間に皺を寄せた。
「フェリ? 誰かに何か言われた?」
真剣な顔をしているマーサにフェリシアは首を横に振って力のない笑みを浮かべた。
「一般論、なのですよ。交換日記を書いてやり取りしているだけの関係でいるより、もっと刺激的なこともしてあげられる人の方が飽きなくてカミルさんにとって楽しいと思うのです。――そういう人と付き合ってきたのなら、なおさらに」
「どうしたの、フェリ? 何かあった?」
フェリシアは首を横に振った。
「…マーサも私みたいなつまらない人間と無理につるまなくていいと――ふにゅ!?」
フェリシアの言葉を遮るようにマーサがフェリシアの頬をつまみあげて無理やり口角を上げさせた。
「誰かに何か言われたなら、あたしが怒ってあげる。フェリのこと、つまらないなんて思ったことないし、そんなに卑屈になりたくなるほど傷つけられたなら、傍にいてギブアップするまで話を聞いて、仇討ちが必要だったら仇討ちだってする。――フェリこそそんな程度の関係だって思っていたの?」
いつになくムッとしているマーサの顔を見ながら、フェリシアは次第にシュンと落ち込んだ顔をした。
「ごめんなさい…そうじゃなくて…」
フェリシアが泣きそうな顔をしている様子を見て、マーサはそっと手を下ろして指をきちんとハンカチで拭ってから、彼女の頭を優しく撫でた。
「無理に言わなくていいよ。――でも、心の整理がついたらキチンと話してくれるよね?」
「マーサぁ…」
フェリシアの瞳が潤み始め、やがて大粒の涙が目尻から零れ落ちた。
「何かあった? 誰かに何か言われた? それとも、カミルが無意識に他の女の子に声を掛けられて嫌な気持ちになっちゃった?」
首を横に振ったフェリシアはしゃっくりあげながら言葉を紡いだ。
「……そん、な…の、…お似合い、な、…だけ…です」
「そんなわけないでしょ。カミルは今、このあたしでもわかるくらい、何の因果かフェリにゾッコンなんだから。どこかの誰か知らないけれど、そこらの女よりもフェリに本気で恋しているなら、カミルはフェリ以外見ようとしないわよ」
諭すように優しく話しかけたマーサに、フェリシアは唇を真一文字に結んで嗚咽しそうになる声を必死に抑えながら小さくこくんと頷いた。
マーサはそんなフェリシアに力の抜けた笑みを向け、ハンカチを鞄から取り出して差し出した。
「ほら、思い切り泣いていいから泣いちゃいなさいな。鼻水だってそれでかんじゃってもいいから」
「……うん」
フェリシアはしゃっくりあげるように泣き出し、マーサはフェリシアの隣に移動して座り直し、フェリシアの背を優しく撫でていた。
落ち着くまでずっとそうしていてくれたマーサに感謝を告げ、フェリシアは泣き腫らした目を向けて少しだけ吹っ切れたような笑みを浮かべた。
「ごめんなさい。…どうしても辛いことがありまして」
フェリシアの言葉に、マーサは眉尻を下げた。
「そう。話せそう?」
フェリシアはそんなマーサの優しさに元気を分けてもらい、言葉を紡いだ。
「…私、長く生きられないのです」
「…はい?」
怪訝そうな顔をしたマーサの顔を見ながら、フェリシアは曖昧に微笑んだ。
「私、マーサとおばあさんになって、一緒に笑いながら繕い物をして孫の話をしながらお茶をするなんて出来ないみたいなのです」
「…嘘」
そう呟いたマーサにフェリシアは口を開きかけたが、それを遮るように大きくドアが開く音が響き渡り、他に誰もいない屋上の昇降口のドアを大きく開いてカミルが息を切らせながら現れたのが見えた。
「フェリ、シア……無事か?」
マーサは口を閉じてしまったフェリシアを見た後、苛立たし気にカミルを睨む。
そして、手で電球のような何かをひねる動作をした。
「チェンジで」
「はぁ!?」
困惑気味のカミルを見ながらマーサは畳みかけるように告げる。
「せっかく乙女の秘密を聞き出せそうだったのに、カミルのせいで台無し。だから、チェンジで」
「俺は、フェリシアがマーサに怖い話を聞かされて泣かされているって話を聞いてだな…」
「んな話、するわけないでしょ」
冷静にツッコミを入れたマーサがチェンジ要請をしている茶番を見ながら、フェリシアは楽しそうに声を上げて笑った。
涙が目尻から零れ落ちたが、もう悲しい涙ではなかった。
「ありがとう、カミルさん、マーサ」
フェリシアが素直にそういうと、カミルは幸せそうに頷き、マーサはホッとしたように微笑んだ。
「元気出た?」
「はい」
フェリシアは嬉しそうに笑うが、マーサはカミルと見つめあって楽しそうな顔をしているフェリシアを見つめながら、不安そうな顔をしていた。
「…嘘つかないでよ、フェリ…」
笑顔で振り返ったフェリシアの顔で我に返ったマーサも笑顔を浮かべ直した。そのおかげでカミルは気が付かなかったようだが、フェリシアはその言葉を聞いて再び泣きそうな顔をしていたのだった。
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彼女はそっと、心の中で詫びながら、せめてカミルにだけは心配をかけないように笑顔を張り付けていた。
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