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過去編 フェリシアとカミル
#12
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フェリシアはじっと時計を見つめながら公園のベンチに座っていた。
時刻は午前の10時。約束の時間まであと一時間もあるが、落ち着かなくてフェリシアはかなり早い時間に待ち合わせ場所に来ていた。
(どうしよう。デートなんて…したこともないですよ)
実はすでに30分以上もここで待っているのだが、やる気の塊のように思われないか心配で、フェリシアは時間まで家に戻るかどうか悶々と考えているうちに30分経過していた。
でも、遅刻してルーズなように思われたくなくて、じっと待っているのだが。
「フェリシアさん…?」
しばらくして、ぼんやりしているとカミルがやってきた。
まだ時間にして30分ほど早い時刻でまだゆとりはたっぷりある。
だが、30分より前にここにきているということで彼は焦った表情を浮かべた。
「ごめん。30分前に到着するようにしたんだけど、待たせちゃったかな?」
「え? あ、いえ! その、緊張しすぎていたっていうのもあるんですけれど、家の時計が壊れちゃっていて…」
咄嗟にそんな嘘をついてしまったのは、重たくないかなとか、嫌われたくないとか、そういうことを考えないわけもないというわけである。
カミルは眉尻を下げた。
「もしよければ、直そうか? ある程度のことならそれなりに出来ると思うけど…?」
「い、いえ、結構です!」
フェリシアは勢いよくそう言うと、カミルは少しだけ残念そうに笑った。
「それはそれは。…さて、まだ早いけど、行こうか?」
「はい」
フェリシアが大きく頷くと、カミルはニコッと少年のような笑みを浮かべた。
「それにしても、今日は天気がいいよね」
「ええ。日焼けしちゃいそうです」
さすがに木陰で待っていたとはいえ、うっすらと汗ばむほどの陽気だった。
「どこに行きますか?」
「オルフェウス広場だ」
「オルフェウス広場って…デートスポットの名所じゃないですか」
フェリシアが呆れるのも無理はなく、常に人がいっぱいいるその広場はカップルの聖地でもあり、夫婦デートとしても有名なラブラブカップル用の場所のようなものだった。
そもそもは、軍神と呼ばれ、この国の英雄となったオルフェウス将軍を記念して作られたのだが、いつの間にか噴水に願いを込めてコインを投げ込むと願いが叶うと評判となり、気が付けばデートスポットになっていたのだった。
そう言う場所には無縁だと思っていたが、マーサにお勧めされる恋愛小説でもよく出てくる名所中の名所であり、憧れないわけでもなかった。
が、今はカミルと友達同然。恋人には振ってしまったのになれるなんて思わないわけで、フェリシアは恋人ではない自分を誘うのかよくわかっていなかった。
「オルフェウス広場は恋人たちのためじゃないからね」
カミルはフェリシアと並んで歩きながらそう言うと、悪戯っぽく笑った。
「それに、俺はまだ、君のことが好きだから」
「…え?」
フェリシアがキョトンとして足を止めると、カミルは立ち止まってニッコリと笑いながら振り返った。
「本気。まあ、一度振られたくらいで折れているようじゃ、君にふさわしいと思ってもらえないだろうし、君が嫌がっていないんだから、砕けさえしなければ次々ぶつかるのも悪くないと思ったまでのことで」
「…え?」
「それくらい好きってこと…かな」
カミルは柔らかく笑うと、フェリシアが困惑した顔になった。
戸惑っている彼女を余所にカミルは楽しそうに弾んだ笑みを浮かべる。
「狩りの基本は焦らないことってね」
「からかっています!?」
「どうだと思う?」
ここ数日、フェリシアは悶々と悩んでいたことがばかばかしくなり、ムスッと唇を尖らせる。
「むうぅ…」
拗ねてしまったフェリシアはオルフェウス広場に着いても機嫌を損ねたままだったが、一緒に噴水の傍までやってくるとあまりの人の多さに不機嫌さはどこへやら。
周囲の人に出来る限り触れないようにビクビクと挙動不審になっていた。
そんなフェリシアに何か冷たいものが飛んできて、彼女は素っ頓狂な声を上げる。
「ひゃん! 冷たっ!」
身を強張らせた彼女にカミルが悪戯っぽい笑みを向けていた。
「他の人ばかり気にしていないで、お願い事をしなくてもいいのか?」
余裕しゃくしゃくのカミルを見ていると、先日までの慌てふためきっぷりがなくなっていて、フェリシアが逆に慌てさせられる羽目となっていた。
カミルが魔法を使って噴水の水を跳ねさせたことに気が付いたが、それをやり返そうと魔法を練り始めた時、後ろの方で咳ばらいをされてしまった。
ハッと我に返って後ろを見やるとかなりの長蛇の列となっており、フェリシアが耳まで赤くなりながら慌てたように噴水へコインを投げ込み、手を握り合わせる。
(短い人生でも愛し抜いてくれる素敵な人と…夢でもいいから出会えますように)
カミルもコインを投げ入れ、祈るように手を握り合わせて願いごとをしていたようだが、それを聞く前に行こうと促されて彼と共に何とか人ごみを抜けた。
ふと、気が付くと彼に手を握りしめられており、その手を引かれていたのだが、いつもは怖いはずなのにどうしてなのか何一つ怖いと感じなかった。
ただ、今はただ嬉しくてそっと握り返す。
(カミルさんの手…温かい)
フェリシアの緊張感が和らぎ、ふわりと笑う。
カミルが不意に振り返って慌てたように手を離そうとしたので、咄嗟に握り直してしまったフェリシアは彼と視線がかち合い、そっと解いた。
「あ、ごめんなさい…」
「いや、こちらこそ。怖くないのなら、もうちょっと繋いでいてもいいかな?」
我に返ると思い出してしまった緊張感から手汗がとんでもないことになっていて、慌てて手を拭う。
だが、彼に優しく微笑まれてしまっては断ることもしたくなく、遠慮がちにつないだ。
(恋人みたい…に、見えるのですかね?)
ちらりとカミルを見やると、彼は頬を少し朱に染めて嬉しそうに顔を綻ばせていた。
「…カミルさんは緊張していないみたいでずるいです」
そんな彼にぽつりと呟くように告げると、振り返ったカミルが眉尻を下げた。
「上司に相談したら、もう、恋人だと思ってデートした方がいいってアドバイスをもらった。『君は俺のもの』くらいのレベルで、ね?」
「へ!?」
驚いて目を丸くしたフェリシアにクスクスと笑いかけたカミルは微笑んだ。
「デートに誘っても正直、断られると思っていた。けど、早く来てくれていたってことは脈がなくもないのかなって。…なんてね」
二人は続いて公園を歩いていたのだが、彼がふと足を止めたのでフェリシアも足を止める。
「今日のカミルさんはからかってばかりでずるいです」
頬を膨らませたフェリシアの前でカミルがそっと跪いた。
フェリシアが目を点にして周囲を見回し、顔を真っ赤にして慌てふためく。
「か、カミルさん!?」
「結婚してくれとは言わない。それは君を困らせるんだろう? でも、どうだろう? お付き合いからでいい。無理強いなんてする気もないし、ただ、もっと近くで君のことが知りたいんだ」
フェリシアの手をそっと握りながらそう言ったカミルは優しく大人びた笑みを浮かべた。
「どうか、恋人になっていただけませんか?」
フェリシアは目を見開いたまま固まってしまったが、心臓の音がバクバクと激しく耳の奥でこだましていた。
ただ、じっと答えを待っているカミルは逃がしてくれなさそうな雰囲気を感じ、そして、その答えを今、自分が持っていることもわかっている。
「――私でいいというのなら」
か細い声でそう答えたフェリシアがそう言うと、カミルはホッと胸を撫で下ろした後、その場に倒れてしまった。
「カミルさん!?」
慌ててフェリシアが彼の傍に膝をつき、その頬に触れた。
完全に失神している彼の表情は幸せそうだった。
「お、お医者様はいませんかあああぁぁぁ!?」
周囲の人たちが騒ぎに気が付き近づいてきた、そんなガヤガヤした中、フェリシアの大絶叫が響き渡った。
時刻は午前の10時。約束の時間まであと一時間もあるが、落ち着かなくてフェリシアはかなり早い時間に待ち合わせ場所に来ていた。
(どうしよう。デートなんて…したこともないですよ)
実はすでに30分以上もここで待っているのだが、やる気の塊のように思われないか心配で、フェリシアは時間まで家に戻るかどうか悶々と考えているうちに30分経過していた。
でも、遅刻してルーズなように思われたくなくて、じっと待っているのだが。
「フェリシアさん…?」
しばらくして、ぼんやりしているとカミルがやってきた。
まだ時間にして30分ほど早い時刻でまだゆとりはたっぷりある。
だが、30分より前にここにきているということで彼は焦った表情を浮かべた。
「ごめん。30分前に到着するようにしたんだけど、待たせちゃったかな?」
「え? あ、いえ! その、緊張しすぎていたっていうのもあるんですけれど、家の時計が壊れちゃっていて…」
咄嗟にそんな嘘をついてしまったのは、重たくないかなとか、嫌われたくないとか、そういうことを考えないわけもないというわけである。
カミルは眉尻を下げた。
「もしよければ、直そうか? ある程度のことならそれなりに出来ると思うけど…?」
「い、いえ、結構です!」
フェリシアは勢いよくそう言うと、カミルは少しだけ残念そうに笑った。
「それはそれは。…さて、まだ早いけど、行こうか?」
「はい」
フェリシアが大きく頷くと、カミルはニコッと少年のような笑みを浮かべた。
「それにしても、今日は天気がいいよね」
「ええ。日焼けしちゃいそうです」
さすがに木陰で待っていたとはいえ、うっすらと汗ばむほどの陽気だった。
「どこに行きますか?」
「オルフェウス広場だ」
「オルフェウス広場って…デートスポットの名所じゃないですか」
フェリシアが呆れるのも無理はなく、常に人がいっぱいいるその広場はカップルの聖地でもあり、夫婦デートとしても有名なラブラブカップル用の場所のようなものだった。
そもそもは、軍神と呼ばれ、この国の英雄となったオルフェウス将軍を記念して作られたのだが、いつの間にか噴水に願いを込めてコインを投げ込むと願いが叶うと評判となり、気が付けばデートスポットになっていたのだった。
そう言う場所には無縁だと思っていたが、マーサにお勧めされる恋愛小説でもよく出てくる名所中の名所であり、憧れないわけでもなかった。
が、今はカミルと友達同然。恋人には振ってしまったのになれるなんて思わないわけで、フェリシアは恋人ではない自分を誘うのかよくわかっていなかった。
「オルフェウス広場は恋人たちのためじゃないからね」
カミルはフェリシアと並んで歩きながらそう言うと、悪戯っぽく笑った。
「それに、俺はまだ、君のことが好きだから」
「…え?」
フェリシアがキョトンとして足を止めると、カミルは立ち止まってニッコリと笑いながら振り返った。
「本気。まあ、一度振られたくらいで折れているようじゃ、君にふさわしいと思ってもらえないだろうし、君が嫌がっていないんだから、砕けさえしなければ次々ぶつかるのも悪くないと思ったまでのことで」
「…え?」
「それくらい好きってこと…かな」
カミルは柔らかく笑うと、フェリシアが困惑した顔になった。
戸惑っている彼女を余所にカミルは楽しそうに弾んだ笑みを浮かべる。
「狩りの基本は焦らないことってね」
「からかっています!?」
「どうだと思う?」
ここ数日、フェリシアは悶々と悩んでいたことがばかばかしくなり、ムスッと唇を尖らせる。
「むうぅ…」
拗ねてしまったフェリシアはオルフェウス広場に着いても機嫌を損ねたままだったが、一緒に噴水の傍までやってくるとあまりの人の多さに不機嫌さはどこへやら。
周囲の人に出来る限り触れないようにビクビクと挙動不審になっていた。
そんなフェリシアに何か冷たいものが飛んできて、彼女は素っ頓狂な声を上げる。
「ひゃん! 冷たっ!」
身を強張らせた彼女にカミルが悪戯っぽい笑みを向けていた。
「他の人ばかり気にしていないで、お願い事をしなくてもいいのか?」
余裕しゃくしゃくのカミルを見ていると、先日までの慌てふためきっぷりがなくなっていて、フェリシアが逆に慌てさせられる羽目となっていた。
カミルが魔法を使って噴水の水を跳ねさせたことに気が付いたが、それをやり返そうと魔法を練り始めた時、後ろの方で咳ばらいをされてしまった。
ハッと我に返って後ろを見やるとかなりの長蛇の列となっており、フェリシアが耳まで赤くなりながら慌てたように噴水へコインを投げ込み、手を握り合わせる。
(短い人生でも愛し抜いてくれる素敵な人と…夢でもいいから出会えますように)
カミルもコインを投げ入れ、祈るように手を握り合わせて願いごとをしていたようだが、それを聞く前に行こうと促されて彼と共に何とか人ごみを抜けた。
ふと、気が付くと彼に手を握りしめられており、その手を引かれていたのだが、いつもは怖いはずなのにどうしてなのか何一つ怖いと感じなかった。
ただ、今はただ嬉しくてそっと握り返す。
(カミルさんの手…温かい)
フェリシアの緊張感が和らぎ、ふわりと笑う。
カミルが不意に振り返って慌てたように手を離そうとしたので、咄嗟に握り直してしまったフェリシアは彼と視線がかち合い、そっと解いた。
「あ、ごめんなさい…」
「いや、こちらこそ。怖くないのなら、もうちょっと繋いでいてもいいかな?」
我に返ると思い出してしまった緊張感から手汗がとんでもないことになっていて、慌てて手を拭う。
だが、彼に優しく微笑まれてしまっては断ることもしたくなく、遠慮がちにつないだ。
(恋人みたい…に、見えるのですかね?)
ちらりとカミルを見やると、彼は頬を少し朱に染めて嬉しそうに顔を綻ばせていた。
「…カミルさんは緊張していないみたいでずるいです」
そんな彼にぽつりと呟くように告げると、振り返ったカミルが眉尻を下げた。
「上司に相談したら、もう、恋人だと思ってデートした方がいいってアドバイスをもらった。『君は俺のもの』くらいのレベルで、ね?」
「へ!?」
驚いて目を丸くしたフェリシアにクスクスと笑いかけたカミルは微笑んだ。
「デートに誘っても正直、断られると思っていた。けど、早く来てくれていたってことは脈がなくもないのかなって。…なんてね」
二人は続いて公園を歩いていたのだが、彼がふと足を止めたのでフェリシアも足を止める。
「今日のカミルさんはからかってばかりでずるいです」
頬を膨らませたフェリシアの前でカミルがそっと跪いた。
フェリシアが目を点にして周囲を見回し、顔を真っ赤にして慌てふためく。
「か、カミルさん!?」
「結婚してくれとは言わない。それは君を困らせるんだろう? でも、どうだろう? お付き合いからでいい。無理強いなんてする気もないし、ただ、もっと近くで君のことが知りたいんだ」
フェリシアの手をそっと握りながらそう言ったカミルは優しく大人びた笑みを浮かべた。
「どうか、恋人になっていただけませんか?」
フェリシアは目を見開いたまま固まってしまったが、心臓の音がバクバクと激しく耳の奥でこだましていた。
ただ、じっと答えを待っているカミルは逃がしてくれなさそうな雰囲気を感じ、そして、その答えを今、自分が持っていることもわかっている。
「――私でいいというのなら」
か細い声でそう答えたフェリシアがそう言うと、カミルはホッと胸を撫で下ろした後、その場に倒れてしまった。
「カミルさん!?」
慌ててフェリシアが彼の傍に膝をつき、その頬に触れた。
完全に失神している彼の表情は幸せそうだった。
「お、お医者様はいませんかあああぁぁぁ!?」
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