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特別短編集
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しおりを挟む「ところで、スー様。素朴な疑問なんですけど…」
「ん、どうしたの、リアラ?」
「何でスー様はこんなにもお麗しいのに龍人だってバレないんですか?」
「…リアラ? 龍人だってみんな知っていると思うよ? ただ、龍化出来る、出来ないの判断は出来ないし、下手をすると差別になるから口にしないだけで」
「差別?」
「うん。昔はね、龍化出来て当たり前だと思われていて、今じゃあ少なくなった方らしいんだけど、龍化出来ない龍人は、龍の巫女以外は差別の対象だったそうよ」
スーヴィエラはふぅとため息を漏らした。
「まあ、私は龍種を知られたくないだけだけど」
「スー様…」
リアラが悲しそうな顔をした時、スーヴィエラは言った。
「別に気にしないで。私って派手な髪色をしているでしょう? これ、龍の血を引く種族の特徴だから」
この惑星に多いのは、金髪碧眼や、黒髪碧眼、金髪緑眼、茶髪茶眼などだが、龍の血を引く龍人は非常にカラフルな髪色をしている。
バレることが嫌で髪色や目の色を魔法で変化させている人もいるらしいのだが、スーヴィエラは特に隠すつもりもなかった。
「龍種をぱっと見でわかる人はいないし、龍もぱっと見じゃあわからないんだって。気配も、龍の姿になったって、龍っぽい何かが近づいて来ている、その程度らしいわよ。ましてや、人間の時にはわからない」
「ほえぇ。スー様、そんなルールがあったんですね」
感心するリアラにスーヴィエラは肩を竦めた。
「本の受け売りだけど」
「このお屋敷にそんな本があったんですね」
「うん」
スーヴィエラは頷いて続けた。
「ただ、私みたいに人の姿をしていても、龍の特徴である匂いが残る龍人もいるらしいわよ」
「え、それってヤバくないですか?」
「でも、龍は自分が出会ったことのある龍種しか判別できないから、私はギリギリだけどバレていないと思うの」
だって、龍舎に天龍の匂いがしなかったし、と付け加え、彼女は甘く微笑んだ。
「そもそも、天龍は希少種。私みたいに龍人がいたとしても身辺の安全は確保できないから、きっと隠していると思うの」
「…そうですか」
ホッとしたようなリアラの顔を見て、スーヴィエラは随分と心配をかけていたのだと申し訳なくなった。
「心配かけてごめんね。でも、バレるまでは…」
「スー様」
「はい?」
「そう言う時、『ごめんね』じゃなくて『ありがとう』って言うんですよ。謝られてばかりは嫌ですから」
スーヴィエラは驚いたような顔をしたが、やがて優しく微笑んだ。
「うん、いつもありがとう、リアラ!」
リアラが照れたようにほおを掻き、ハイテンションに言った。
「さて、奥様! おかわりの紅茶は入りませんか!?」
「ふふっ、まだ残っているわよ」
スーヴィエラは穏やかにそう言ってニコリと笑った。
「でも、もう少しで飲み干すから、その時は貰おうかな?」
二人は顔を見合わせるとフフッと笑いあった。
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