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夜を斬るアサシン

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アサシンズスクール.1
広大な屋敷の中、乱れた呼吸と慌ただしい足音……そして血の臭いが広がり、周りには大の男達が血を大量に流し転がっている
「誰か…助けてくれ……」
男は助けを求めるが周りには死体と成り果てた部下が転がっているだけだ……
誰も助けてくれない状況の中で男は嘆いた
「なんでこんな事に…」
「それはお前が殺されるだけの事をしたからだ」
「っ!?」
不意に背後から語りかけられ男は腰を抜かし転倒した
そして学生の物であろうブレザーを羽織った制服を血塗れにしている男に命乞いをした
「か…金なら幾らでもあるっ!幾らでもくれてやるから命だけは助けてくれ!」
「……」
だが、血塗れの男は何も答えない……変わりに男は部下達の命を奪ったナイフを腰から出して構えた
男は一歩ずつ血塗れの男が近づいて来るたびに恐怖で顔を歪ませていく
「た、頼む!全額お前にやる!だ…だから助けて!」
「……」
それでも血塗れの男は表情一つ変えずに近づいていく…
「た、助けっ!?……」
そして無慈悲にも男の首をナイフで切り裂いた
「あ……あ…」
首を切られた男の首から噴水のように鮮血が飛び散る
「人から騙し取った金なんていらねぇよ」
と、血塗れの男はナイフに付いた血を拭いながら言う
男は命が徐々に尽きていくのを感じながら血塗れの男に言い放った
「…化け物め……」
血塗れの男は男が死んだことを確認し暗い闇の中へと去って行った……

ーーーーーーーーー


ピピピピピッ
朝、けたたましい目覚ましの音によって“夜斬 蓮”は目覚めた
「…ん……」
目を覚ました俺は眠気覚ましにシャワーを浴びて軽く朝食をとり登校の準備を始める
クロノス学園の制服にスローイングナイフを仕込み、最後に使い込まれたシースナイフを腰に帯刀して寮を出た
いつもの通学路をだらだらと歩いていると
「蓮君!おーはよっ!」
と背中を平手打ちされた
倉石来花。
挨拶と共に平手打ちをかますこの女は俺の幼なじみだ
小学校からの馴染みで昔から元気ハツラツな女の子だった。今では挨拶と共に暴力を振るうほど元気だ…
「おう、おはよう…」
「ん?どうしたの?元気ないね」
ーーいやお前は朝から元気すぎる
「いや…昨日の課題がキツかったからマジで眠い」
「課題?……あぁ暗殺の…」
来花は課題と聞くなり先ほどまでの元気とは打って変わって暗くなってしまった
「課題の話をする度に暗くなるなお前は」
「……だって…人が死んでるんだよ……蓮君の手で…」
そう言うなり悲しそうな目で見つめてくる
…俺は黙るしかなくなった……
「まぁ、暗殺科だもん仕方ないよね」
「……そうだな」
気まずい空気がしばらく流れた後、再び来花の方から話かけてくる
「“クロノス学園”に入学してもう2年経つんだね」
「クロノス学園か…」

「クロノス学園」、そこは関東エリアの陸地から離れた場所に存在する島に建てられている。クロノス学園は法には裁けない悪を始末する「暗殺者」、攫われた人質を奪取またはテロリストなどの犯罪組織の武器などを奪取する「奪取者」、武器の開発や手入れなどをする「武器製造者」、確かな情報を手に入れ味方のバックアップをする「情報収集者」を政府公認で育成する特殊な学園である
この学園に入学するには、入学するのにあたっての希望職種や志望動機の提出、希望職種に沿ってそれぞれ入学時に受ける特殊な試験で合格することが必要となる。そこで合格した者だけ晴れて入学が許される

そんな事を思い出していると少し筋肉質な腕が首に絡みついてきた
「よう!おはよう夜斬!」
こいつは破田龍聖…同じ暗殺科で無駄に正義感が強く無駄に熱い
「絡まってくんなタコかお前」
「タコじゃねぇよ!」
そして無駄に声がデカイ
「おはよう破田君!」
「おう!倉石!おはよう!!奪取科の調子はどうよ?」
「私はまだまだだよ」
「こういう謙虚な心を持った方がいいぞ?破田」
「なんでそこで俺に振る!」
そうこう話をしているうちにクロノス学園に到着した
俺達はいつものように階段を上がり自分達のクラスに向う
自分達の教室の前に着くなり破田は扉を勢いよく開け
「オッス!!おはよう!!!」
と、口にメガホンを搭載しているのではないかと思うほどデカイ声で挨拶をした
「破田!あんた毎日毎日うっさいわね!!」
破田に突っかかっているこのキーキーうるさいのは櫻 彩加
こいつも俺達と同じ暗殺科の生徒だ
こいつは声が高いうえに破田と同じで声が無駄にデカイ
「おぉ悪いなちっこいの!」
「だ、誰がちっこいのよ!!」
「まぁまぁ彩加ちゃん破田君も悪気があったわけじゃないんだから…」
俺は来花と爆音機2体を置いて自分の席に着き窓の外を見た
この島はわりと広く各学科の施設や設備が整っているそれに加え簡易な空港や船場がいくつかある
課題で島の外に出るときはこの乗り物を利用する

ふと時計を見るとあと1分でチャイムがなる時間を針が指していた

キーンコーンカーンコーン

ホームルームの始まりを知らせるチャイムと共に俺の“ターゲット”が憎たらしいほどにこやかな顔で教室に入ってきた
「はーい!みなさーんそろそろホー…」
ホームルームと言いかけたところで止まったのには理由がある
理由は……俺がスローイングナイフを奴にめがけて投げたからだ
だが、こいつは右手の人差し指と中指で表情一つ変えずにスローイングナイフを挟み取った
「はぁ…またですか?夜斬君??いい加減にしてくださいよ??」
俺は続けて2本目を放ち、今度はそれと同時に腰に帯刀していたナイフを構え懐に潜り込んだ
こいつは2本目のナイフを左手の中指と人差し指と挟み取った
……これで両手とも使えない…今なら殺れる
そう思いナイフを心臓めがけて突き刺そうとした瞬間
……いつの間にか俺は組倒されていた…
何が起きたか分からないが、確かな事は俺の首もとにナイフをあてがえられているという事だ

「さすが元暗殺部隊エリート、夜斬 清司の息子ですね!」
「…黙れ……なんで親父を殺した?」
「またそれですか?だから言ってるでしょう?国からあなたのお父さんを殺せって依頼があったからですよ
まぁそれだけの事をあなたに強要しましたからね??」
「……親父は俺が殺すと決めたターゲットだった…お前は俺の獲物を奪ったんだ」
今までにこやかだった顔が威圧感のあるモノに変わった
「…悔しいならクソガキ……喚いてないで俺を殺してみろ…」
その一言だけ言うといつものようににこやかな顔に戻り
「はい!では夜斬君席に戻ってください!
みなさんは夜斬君のように自殺紛いな事はしないように!ではホームルームを始めます!」
あいつが教師らしく連絡事項を俺たちに色々と伝えると最後に
「あっ!夜斬君は昨日の課題のレポートを後で提出してくださいね!ではホームルームを終わります」
そう言い残すとあいつは教室から去って行った
疲労感が残った体で次の授業の準備をしていると
「毎度毎度飽きねぇな」
そう言って破田が声をかけてきた
「うるせぇよタコの刺身にすんぞ」
「いや、だからタコじゃねぇよ!……授業遅れるといけねぇから早く行こうぜ!」
「あぁ、そうだな」
そう言って俺達は暗殺科の教室に向かった
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