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第一章:朝、目が覚めたらお姫様一行の保護者になっていた俺。
第11話「気の操作―コントロール―」
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あれから結局アメリアたち幼馴染3人は戻ってこなかった。
まあ他の2人はともかく、アメリアは家に帰ればいるだろうから問題ない。
となると、三人娘の問題を解決してとっとと家に帰りたいところだが、なかなかそう上手くはいかないようだ。
「ねえ皆、ぬいぐるみさんが何の動物のぬいぐるみなのか当てっこしませんか?
私はネコッタだと思います!」
腹ペコ娘はご気楽極楽まっしぐら。
「あらあら。
さっきの針はどこへやっちゃったの?
あの針は私もなかなか触らせてもらえなかったものなの、ねえ、あなたからヌいたアレ、ちょ・う・だ・い?」
フェイシンの娘は、母親にあこがれて魅力的な女性を目指しているらしいが、正直素のままでいた方がいいのではないだろうか。
「……あの針どうなってるの?
まったく、ぽんぽん人を超えた真似をしないで欲しい。
こんな針で人の精神を操作できるわけがない」
そして、ポポはフェイシンの技にご執心らしい。
俺が何か話をしようとしても無駄。
意図的に無視してるわけじゃなく、それぞれの好奇心が止められない程までに高まった結果なのだろう。
どれどれ、ひとつずつ片付けよう。
「レイア、俺はたぶんどの動物のぬいぐるみでもなく、だれかが創作したものだ。
ところどころ見たことのある動物の特徴が複数種類あるし、間違いないだろう」
「まあ、とってもお得ですね!」
っと、しっぽは何か他とは感覚が違うから、急に触らないでくれ。
「そして、レイア。
針はポポが持っている……今捨てた。
それはお前にやるから、過剰に引っ付こうとするな」
「あらあら。
だめでしょうポポ、床に置いたら汚れてしまうわ」
元々薄汚れてたから、大して変わんないと思うぞ……で、最後はポポか。
人を超えた技か……よし、ここらで若造に講義といくか。
「いいか、超越者とひとくくりにされてはいるが、その性質はそれぞれ異なるんだ」
超越者の能力には様々なものが記録されているが、簡単に言うと三パターンに分類することが出来る。
一つ目は、フェイシンのように自分の魔力をモノを通して相手に影響を与える操作系の力。
二つ目は、モリアナのように、自分の魔力を自身を通して相手に影響を与える干渉系の力。
最後は、俺のように、自分の魔力を自身を通して自分自身に影響を与える、増幅系の力。
「あらあら、お父様たちのお力は、綺麗にわかれているんですね?」
おい、また口調が戻りかけるぞ。
まったく、オリヴィアの振る舞いに関して、モリアナ姉に一度相談しておいたほうが良いかもな。
「まあな、分かれていたからこそ超越したともいえるが……っとと、どうした、ポポ?」
「超越者にはルールがあるのですか!?
教えてください、ぜひ私に教えてくださいっ!!!」
こいつもなんか口調変わってるし、ヴァルキリーってのはこんなのばっかりなのか……って、そうだ、ヴァルキリーの話がまだだった。
「そ、それより、お前たちはヴァルキリーでいいんだよな?
よかったら事情を話してくれないか、何か力になれると思うんだ」
「でしたらぜひっ、私を超越者に……痛いっ!?」
「こーら、せっかくぬいぐるみさんが色々説明してくれてるのに、自分の事ばっかり優先しちゃダメでしょう?」
ほぉ、ただの腹ペコ娘だと思ったが、ちゃんと周りに自分の意見を伝えられたのか。
「……ごめんなさい。
私たちの事情は簡単、私たちはあなたが言う通りヴァルキリーと姫様で合ってる。
あなたと同じ、「魔王」に襲われて逃げだした、終わり」
そこがわからない。
だいたい魔王っていうのは何の事なんだ?
「……魔王とは暴虐の力を手にしたものを指す、古い言い伝えの中の存在。
だけど、本当にいた、あなたもそう」
暴虐の力?
そんなもの、俺は持ってないんだけど。
「あらあら。
力をひけらかさないという美徳も、過ぎれば悪徳になっちゃうのね?」
何のことかまるで分らない。
俺に出来るのは、自分の魔力で自分を強化することくらいだ、こんなふうに……ふっ!
「わぁ、すごいです!
本当にこの前の魔王の人みたいです!!」
へ、まさか……暴虐の力ってこれのこと?
「……やっぱり、怒ってたんだ。
魔王が改心するなんておかしいと思った、辞世の句を考えなきゃ」
いやいや、ちょっと待てって。
「あらあら、力を使っている状態の魔力神経を見たら、目が何も見えなくなっちゃった。
ひょっとして私、ここで殺されちゃうのかしら?」
いや、直接見るなよ、てか、そもそもどうやって見たんだ。
「落ち着けよお前ら、これは別に暴虐の力でもなんでもなくて、ただの気の操作だって。
こんなの多分、誰でもすぐにできるようになるぞ?」
「「「え?」」」
まあ他の2人はともかく、アメリアは家に帰ればいるだろうから問題ない。
となると、三人娘の問題を解決してとっとと家に帰りたいところだが、なかなかそう上手くはいかないようだ。
「ねえ皆、ぬいぐるみさんが何の動物のぬいぐるみなのか当てっこしませんか?
私はネコッタだと思います!」
腹ペコ娘はご気楽極楽まっしぐら。
「あらあら。
さっきの針はどこへやっちゃったの?
あの針は私もなかなか触らせてもらえなかったものなの、ねえ、あなたからヌいたアレ、ちょ・う・だ・い?」
フェイシンの娘は、母親にあこがれて魅力的な女性を目指しているらしいが、正直素のままでいた方がいいのではないだろうか。
「……あの針どうなってるの?
まったく、ぽんぽん人を超えた真似をしないで欲しい。
こんな針で人の精神を操作できるわけがない」
そして、ポポはフェイシンの技にご執心らしい。
俺が何か話をしようとしても無駄。
意図的に無視してるわけじゃなく、それぞれの好奇心が止められない程までに高まった結果なのだろう。
どれどれ、ひとつずつ片付けよう。
「レイア、俺はたぶんどの動物のぬいぐるみでもなく、だれかが創作したものだ。
ところどころ見たことのある動物の特徴が複数種類あるし、間違いないだろう」
「まあ、とってもお得ですね!」
っと、しっぽは何か他とは感覚が違うから、急に触らないでくれ。
「そして、レイア。
針はポポが持っている……今捨てた。
それはお前にやるから、過剰に引っ付こうとするな」
「あらあら。
だめでしょうポポ、床に置いたら汚れてしまうわ」
元々薄汚れてたから、大して変わんないと思うぞ……で、最後はポポか。
人を超えた技か……よし、ここらで若造に講義といくか。
「いいか、超越者とひとくくりにされてはいるが、その性質はそれぞれ異なるんだ」
超越者の能力には様々なものが記録されているが、簡単に言うと三パターンに分類することが出来る。
一つ目は、フェイシンのように自分の魔力をモノを通して相手に影響を与える操作系の力。
二つ目は、モリアナのように、自分の魔力を自身を通して相手に影響を与える干渉系の力。
最後は、俺のように、自分の魔力を自身を通して自分自身に影響を与える、増幅系の力。
「あらあら、お父様たちのお力は、綺麗にわかれているんですね?」
おい、また口調が戻りかけるぞ。
まったく、オリヴィアの振る舞いに関して、モリアナ姉に一度相談しておいたほうが良いかもな。
「まあな、分かれていたからこそ超越したともいえるが……っとと、どうした、ポポ?」
「超越者にはルールがあるのですか!?
教えてください、ぜひ私に教えてくださいっ!!!」
こいつもなんか口調変わってるし、ヴァルキリーってのはこんなのばっかりなのか……って、そうだ、ヴァルキリーの話がまだだった。
「そ、それより、お前たちはヴァルキリーでいいんだよな?
よかったら事情を話してくれないか、何か力になれると思うんだ」
「でしたらぜひっ、私を超越者に……痛いっ!?」
「こーら、せっかくぬいぐるみさんが色々説明してくれてるのに、自分の事ばっかり優先しちゃダメでしょう?」
ほぉ、ただの腹ペコ娘だと思ったが、ちゃんと周りに自分の意見を伝えられたのか。
「……ごめんなさい。
私たちの事情は簡単、私たちはあなたが言う通りヴァルキリーと姫様で合ってる。
あなたと同じ、「魔王」に襲われて逃げだした、終わり」
そこがわからない。
だいたい魔王っていうのは何の事なんだ?
「……魔王とは暴虐の力を手にしたものを指す、古い言い伝えの中の存在。
だけど、本当にいた、あなたもそう」
暴虐の力?
そんなもの、俺は持ってないんだけど。
「あらあら。
力をひけらかさないという美徳も、過ぎれば悪徳になっちゃうのね?」
何のことかまるで分らない。
俺に出来るのは、自分の魔力で自分を強化することくらいだ、こんなふうに……ふっ!
「わぁ、すごいです!
本当にこの前の魔王の人みたいです!!」
へ、まさか……暴虐の力ってこれのこと?
「……やっぱり、怒ってたんだ。
魔王が改心するなんておかしいと思った、辞世の句を考えなきゃ」
いやいや、ちょっと待てって。
「あらあら、力を使っている状態の魔力神経を見たら、目が何も見えなくなっちゃった。
ひょっとして私、ここで殺されちゃうのかしら?」
いや、直接見るなよ、てか、そもそもどうやって見たんだ。
「落ち着けよお前ら、これは別に暴虐の力でもなんでもなくて、ただの気の操作だって。
こんなの多分、誰でもすぐにできるようになるぞ?」
「「「え?」」」
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