上 下
16 / 24
第一章:朝、目が覚めたらお姫様一行の保護者になっていた俺。

第5話「俺、半分と半分を足してみる」

しおりを挟む
 げ、身体がちっせえせいで、うっかり変な所をなぐっちまった……

 はぁ、マジかよ、臭くなったりしてねえだろうな?

「……ば、化け物?!」

「あらあら、これは……私にはどうにもできそうにないわねぇ?
 お父様がいうように、魔王を殺せるくらい鍛えてもらえばよかった」

 くんくん、……おえっ!

 バッチリ臭くなってんじゃねえか!?

 昨日リズのやつが、クソみたいに小せえ手で一生懸命洗ってくれたっていうのに……殺す。

「おらぁ、クソガキ共!
 てめえのせいで俺のボディにくせえ匂いがついちまったぞ!?
 どうしてくれんだ……ああん?」

「ひぃぃぃ!!!?
 あ、アニキ起きてくれでやんす!
 ブサイクなぬいぐるみがこっちにくるでやんすぅ!!!?」

 ああ?

 ブサイクなぬいぐるみって、まさか、俺の事か?

 …………上等だ。

「せっかく、心優しい俺様が穏便に済ませようとしてやったのに、この色男をブサイクと言ったんだ。
 てめえら、覚悟はできてんだろうな?」

「……はっ!?
 お、オレは言ってねえぞ!
 全部こいつが言ったんだ、俺には関係ねえ!!!」

 ふむ?

 ま……それもそうだな。

「そうか、ならお前らを半殺しにしようと思ったけど、やめよう」

 にやり。

 俺は優しく微笑んだ。

「……あの顔……
 やっぱり魔王に違いない。
 空想上の存在ではなかったなんて……あんなのが二人もいるなんて、聞いてない……」

「女として、ちょっとそそられる部分はあるけど……あれは、手を出しちゃダメね」

「……へ?
 なんでみんな、さっきからあのネコッタさんのことを怖がってるんですか?
 あんなに可愛いのに!」

 おお、やっぱわかるやつにはわかるんだな!

 このキュートなボディに、メロメロってわけだ。

 うはは。

「ほっ……そ、そうか?
 助かるぜ……じゃ、じゃあ俺たちはこれで……」

「は?
 何でそいつを連れてくんだ?」

 俺のことをブサイクだと言った張本人を連れて行こうとする男を引き留める。

「なんでって……そりゃ、こいつは俺の連れだから——」

「関係ないって言ったよな?」

「え?」

 確かにこいつは言ったはずだ。

 俺のことをブサイクと言ったのはこっちの男で、だから自分は無関係なのだと。

 言ってること自体は間違ってない。

 だが、それならこっちの男にきっちり落とし前を付けてもらう。

「俺は、お前ら二人とも半殺しで許してやろうと思った。
 だけどな、お前は関係ないからこっちの男に二人分の落とし前を付けてもらうしかない。
 つまり……半分と半分、合わせて「全殺し」ってわけだ」

「ひぃっ!!!
 あ、アニキぃいいい!!!?」

「だ、大丈夫だコビン!
 それなら俺も一緒に謝る!
 半殺しで許してくれるんだろっ、さあ、好きにしてくれ!!!」

 ま、そうくるよな。

 男同士の友情ってやつは、意外と固えもんだ。

 しかし、そういうわけにはいかせない。

「だめだ。
 だってさ、お前には関係ないんだろ?
 なら、俺がこいつに何しようと、お前には……関係ないってわけだ!」

 決まった……

 本当はアメリアをいじめるのに使いたかったが、俺ももう大人だ。

 女はちゃんと大事にしてやらないとな。

 さてさて、あとはリズの頑張りを無駄にした、このクソ生意気なガキどもをまとめてぶっ殺して――

「こらっ。
 弱い者いじめをしてはいけません!!
 あと、これは私のお洋服にイタズラした罰です……えいっ」

 ぽこん!

 ん?

「……終わった。
 魔王に手をあげるなんて、きっと死ぬまで……いいえ、しんでからもずっと拷問を受けることになる」

「あ、あらあら。
 お母様と一緒ならご機嫌をなおしてもらえるかしら……
 すぐに来てもらえたらいいのだけど」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

あの日、さようならと言って微笑んだ彼女を僕は一生忘れることはないだろう

まるまる⭐️
恋愛
僕に向かって微笑みながら「さようなら」と告げた彼女は、そのままゆっくりと自身の体重を後ろへと移動し、バルコニーから落ちていった‥ ***** 僕と彼女は幼い頃からの婚約者だった。 僕は彼女がずっと、僕を支えるために努力してくれていたのを知っていたのに‥

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話

ラララキヲ
恋愛
 長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。  初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。  しかし寝室に居た妻は……  希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──  一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……── <【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました> ◇テンプレ浮気クソ男女。 ◇軽い触れ合い表現があるのでR15に ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾は察して下さい… ◇なろうにも上げてます。 ※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)

捨てられた転生幼女は無自重無双する

紅 蓮也
ファンタジー
スクラルド王国の筆頭公爵家の次女として生を受けた三歳になるアイリス・フォン・アリステラは、次期当主である年の離れた兄以外の家族と兄がつけたアイリスの専属メイドとアイリスに拾われ恩義のある専属騎士以外の使用人から疎まれていた。 アイリスを疎ましく思っている者たちや一部の者以外は知らないがアイリスは転生者でもあった。 ある日、寝ているとアイリスの部屋に誰かが入ってきて、アイリスは連れ去られた。 アイリスは、肌寒さを感じ目を覚ますと近くにその場から去ろうとしている人の声が聞こえた。 去ろうとしている人物は父と母だった。 ここで声を出し、起きていることがバレると最悪、殺されてしまう可能性があるので、寝たふりをして二人が去るのを待っていたが、そのまま本当に寝てしまい二人が去った後に近づいて来た者に気づくことが出来ず、また何処かに連れていかれた。 朝になり起こしに来た専属メイドが、アイリスがいない事を当主に報告し、疎ましく思っていたくせに当主と夫人は騒ぎたて、当主はアイリスを探そうともせずに、その場でアイリスが誘拐された責任として、専属メイドと専属騎士にクビを言い渡した。 クビを言い渡された専属メイドと専属騎士は、何も言わず食堂を出て行き身支度をして、公爵家から出ていった。 しばらく歩いていると、次期当主であるカイルが後を追ってきて、カイルの腕にはいなくなったはずのアイリスが抱かれていた。 アイリスの無事に安心した二人は、カイルの話を聞き、三人は王城に向かった。 王城で、カイルから話を聞いた国王から広大なアイリス公爵家の領地の端にあり、昔の公爵家本邸があった場所の管理と魔の森の開拓をカイルは、国王から命られる。 アイリスは、公爵家の目がなくなったので、無自重でチートし続け管理と開拓を命じられた兄カイルに協力し、辺境の村々の発展や魔の森の開拓をしていった。 ※諸事情によりしばらく連載休止致します。 ※小説家になろう様、カクヨム様でも掲載しております。

あなたの子ですが、内緒で育てます

椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」  突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。  夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。  私は強くなることを決意する。 「この子は私が育てます!」  お腹にいる子供は王の子。  王の子だけが不思議な力を持つ。  私は育った子供を連れて王宮へ戻る。  ――そして、私を追い出したことを後悔してください。 ※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ ※他サイト様でも掲載しております。 ※hotランキング1位&エールありがとうございます!

「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。

桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。 「不細工なお前とは婚約破棄したい」 この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。 ※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。 ※1回の投稿文字数は少な目です。 ※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。 表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年10月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 1ページの文字数は少な目です。 約4500文字程度の番外編です。 バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`) ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑) ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

処理中です...