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第一章:朝、目が覚めたらお姫様一行の保護者になっていた俺。

第4話「俺、紐でシミュレーション」

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「おうおうおう、女のくせに女を買うなんて、この女かなりの好き者らしいな!
 そうだ、ここであったのも何かの縁だ、一緒にお楽しみと行こうぜ?
 もちろん代金は全部俺たちが持つし、お前のこともたっぷりと楽しませてやるよ」

 おい、こっちにまで唾を飛ばすなよ、ばっちぃなぁ。

 てか、俺を盾にすんなよ……えっと、ぺポだっけ?

 あ、それはあっちのちっせえ方か。

「兄貴!?
 そんな金、俺たちにはねえでやんす!
 大体この間のツケだってまだ返して……」

 なんだこいつ、口では嫌がるようなことを言いながら、周りの女の胸ばっかり見てんじゃねえか。

「うるせぇ!!
 この辛気臭え町で、せっかく上玉を見つけたんだ。
 てめえを奴隷商に売り飛ばしてでもこの女共は俺のもんだ!!
 さあ、行くぞ!!!」

「きゃっ、引っ張らないでくださいっ!」

 うわっと、お、おい、胸に埋もれる、埋もれるからあんまり抱きしめるな!

 こんな所アメリアのやつにみられでもしたら、八つ裂きにされちまうじゃねえか。

「……ちょっと待って!
 私が言ったのは、その女の子が抱えているぬいぐるみの事!!
 女の子は関係ないから放して!!!」

 おいおい、ポぺが俺を売ろうとしてたってマジぃ?

 ていうか、そもそもそういう仕事してんだから、さっさと行けよお前ら。

 なんで嫌がってんだよ、むしろ客を探す手間が省けたんだから喜べよ。

「関係ないだぁ?
 じゃあ、俺が何しようといいじゃねえか。
 だってそうだろ?
 この女とお前は関係ないんだから!!!」

 おお、こいつ、顔に似合わず結構うまいこと言うじゃねえか!

 今度俺も使いたいな。

 なんか使えそうなシチュエーションでも考えねえと。

「ひゃひゃひゃ!
 さっすが兄貴!!
 相手の弱みを見つけさせたらピカイチだぁ!
 うまいこと言いくるめて、代金を踏み倒そうってことでやんすね!?」

 なんか手ごろな草でも……あ、これでいいか。

「あ、その紐はとっちゃダメです!
 ひゃん……もう、ちょっとだけですからね?」

 わかってるって、それより、こっちもくれ。

「え、え、え、?
 そっちまで取られたら、服が脱げちゃ……ひぅっ、あ、危なかったぁ」

 なんだよ、今いいとこなんだからじっとしててくれ。

 こっちの長い紐がアメリア、短いほうがリズとかいうガキ。

 まず、短いほうにたらふく飯を用意する。

 すると、ガキはアホばっかだから、こいつもきっと腹がはちきれるまで夢中で
詰め込もうとするはずだ。

 で、腹が膨れたガキは、よだれ垂らしながら朝までおねんね。

 残ったのは長いほう。

 こっちは強敵だが、小さいころから知ってる俺からすれば、決して叶わない相手じゃない。

 さっきの男みたいに上手くやって、決め台詞。

 じゃあいいじゃねえか、あいつとお前は関係ねえんだから。

 ……これだ。

 問題はそのセリフに行くまでの過程。

 さて、どうするかな――

「いいから早く行くぞ、おらぁっ!!!!」

「きゃ、い、今、腕を引っ張られたら服が落ちて……あ」

 はらり。

 ん?

「おい、何でお前こんなところで服脱いでるんだよ?
 そういうのは店についてからやれ……へぶぅうっ!!!!」

「あ、あなたのせいですっ!」

 は?

 なんで俺のせいなんだよ。

 ったく、最近の若いやつっていうのは、都合の悪いことはすぐに他人のせいにしちまう。

 ホント、嘆かわしいもんだよなぁ。

「あ・な・た・の・せ・い・な・ん・で・す!!!」

 わ、わかったって!

 ワルいのは男。

 ズルいのは女ってな。

「ホントにわかったんですかぁ?
 じーっ……」

「なんだよなんだよ、こんなところで服を脱いじまうなんて……ああ、準備万端ってわけだ?
 いいぜ、ちょうど近くに俺たちの拠点がある。
 そこで朝まで楽しもうぜ!」

 ほぉ、よかったじゃねえか。

 この時間から朝までっていったら、相当な金になんだろ。

 女を探した男は欲に、客を探した女は金にまみれて一件落着!

 めでたしめでたし、さあて、今度こそ家に帰りますかね。

「おい、そろそろ放してくれ」

「あっ、ごめんなさい……
 って、あなたのせいで服が脱げてしまったのに、謝罪がまだなのですけど!!!?」

 いいじゃねえか、減るもんじゃねえ。

 若い時間はリリアの満ち欠けよりも短いんだ。

 見たいやつに見せたって何の問題もねえよ。

 うはは。

 さてさて、後のことは若いやつ同士に任せて、おっさんはそろそろ帰るとするか。

 ……

 …………

「って、誰がおっさんじゃっ、このクソガキ共がぁ!!!!」

「ぐぅぇえええええぁあぁああああああ!!!!」

「あ、兄貴ぃぃぃいいいいいいいい!!!!」
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