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43話
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「……、クリストファー。
やっぱりお母様にお土産を買って帰りたいから、お店に寄ってもいいかしら?」
落ち着きを取り戻したマリアンヌが笑顔でクリストファーに言う。
顔に残る涙の跡を気にせず笑顔を見せるマリアンヌに、クリストファーは柔らかく微笑んで承諾する。
「僕も母様に買って帰りたい……」
少し照れながら言うクリストファーにマリアンヌはクリストファーの手を取り、歩行を進める。
「おば様もきっと喜ばれるわ」
「そうかな?」
「そうに決まってわ。
だって、私がおば様ならとっても嬉しいもの!」
クリストファーって本当に優しいのね、とマリアンヌは頬を染めながら小さな声で呟く。
マリアンヌの囁きに気付いたクリストファーが真っ赤な顔で俯き出す。
急にそんな事を言われたら恥ずかしい、と耳朶迄赤く染めるクリストファーが愛おしい。
(本当に優しくて思いやりがあってクリストファーって、本当に素敵!
私、今日の事でクリストファーの事がもっと好きになった。
クリストファーに愛される私は本当に幸せ者だわ……)
うっとりと微笑みながらクリストファーを見詰めるマリアンヌに、クリストファーはなんて心臓に悪いんだ、とドキドキさせる。
全く自分の魅力に無自覚なマリアンヌはクリストファーの欲情を煽る天才だと思っている。
健康的で瑞々しい肌は弾力があって美しく、柔らかな栗色の髪は日に当たるとキラキラと輝く黄金色で。
本人は平凡以下だと言うが気立が良く優しく愛らしい顔立ちのマリアンヌは魅力溢れる素晴らしい女性だとクリストファーは思っている。
実際、自分だけがそう思っているのではない事をクリストファーは知っている。
マリアンヌがピアッチェ家の使用人達に慕われ愛されている事は子供の頃から気付いていた。
普段着を泥だらけにして畑の手伝いとするマリアンヌの眩しい笑顔は見る者を魅了する。
取り澄ました令嬢達の高慢な笑顔とは雲泥の差だとクリストファーはマリアンヌのくるくると変わる愛らしい表情に口元が自然と緩む。
(ああ、早くマリアンヌの全てを僕のモノにしないと。
誰かがマリアンヌの魅力に気付く前に早々と婚姻を結んで、誰の目にも触れさせない様に)
と、段々と怪しくなる思考が恐ろしい。
流石に外出禁止は駄目だろう、マリアンヌに嫌われてしまう、と思いながら、いや、監禁迄はしないから許してくれるだろうか、と思うあたり既にヤンデレ思考に陥っている。
そんな思考の最中にクリストファーとマリアンヌは出会ってしまった。
王太子エドヴァスとコゼット・ケンティフォリアの兄であるエリオット・ケンティフォリアと。
***
(ああ、何故、私はこんなに居た堪れない状況に陥っているのかしら……)
偶然、エドヴァスとエリオットと遭遇したマリアンヌとクリストファーはエドヴァスの強引な誘いによりカフェへと連れられた。
背後にはお忍びとは思えない警備の騎士達。
物々しい警護で街を散策するエドヴァスにクリストファーの口元から溜息が溢れる。
「エドヴァス様。何故にこの様な場所に……」と呆れ口調で尋ねるクリストファーにマリアンヌは隣でハラハラしっぱなしだ。
青褪めるマリアンヌをチラリと見ながらエドヴァスはニヤリと笑いながら言う。
「ああ、ティアが好きな焼き菓子を買いに来た」
けろりと言うエドヴァスにクリストファーの口調は容赦が無い。
「ティアが迷惑がっている事はご存知ですよね」
クリストファーの不遜な発言にマリアンヌはギュッとクリストファーの袖を掴み引っ張る。
急にマリアンヌに袖を引っ張られた事にクリストファーが訝しげにマリアンヌに視線を落とすとマリアンヌが何度も首をぶんぶんと激しく横に振っている。
真っ青な顔で顔を引き攣らせているマリアンヌに、クリストファーは何があったのかとマリアンヌの顔を覗き込む。
「どうかしたの?マリアンヌ」
だらだらと額から汗が流れるマリアンヌにはクリストファーのキョトンとした口調が腹立たしい。
自分はこんなにもハラハラドキドキしてどうにかなりそうなのに、当の本人は自分の発言の重大さに気付いていない。
「だ、駄目でしょう、クリストファー!
お、王太子殿下に、な、何て無礼な発言をするのよ……。
不敬罪で処罰されてもおかしくない事を言って」
半分泣きそうな声で言うマリアンヌに、クリストファーはしれっと言う。
「事実だから」
「クリストファー!!!」
(い、一体、クリストファーはどうなっているのよ!
た、確かにクリスティアーナ様とは姉弟の様に親しみを持たれているとクリストファーから聞いてるけど、でも、こ、これは行き過ぎよ!
エドヴァス殿下がもし本気で気分を害されたら、クリストファーは……。
ああん、も、もう、心臓がおかしくなりそう!)
心の中で発狂するマリアンヌに何事も無く普段と変わらない様子のクリストファー。
クリストファーとマリアンヌやりとりをニヤニヤしてしながら見ているエドヴァスと、騒がしいと密かにため息を吐くエリオット。
ヤキモキするマリアンヌと何故そんなに慌てるのか合点が行かないクリストファーに、エドヴァスが豪快に笑い出す。
(え、な、何事……)
爆笑するエドヴァスに驚くマリアンヌとクリストファー。
目を丸くさせながらエドヴァスに視線を注ぐマリアンヌにエドヴァスは楽しげに声をかける。
「ああ、久々に楽しいモノを見させて貰った。
マリアンヌ嬢、普段のクリストファーは俺にはこんな口調でものを言う」
衝撃的なエドヴァスの発言にマリアンヌは言葉を失う。
「え……」
呆けた口調のマリアンヌにエドヴァスが楽しげに会話を続ける。
「クリストファーはマリアンヌ嬢に伝えていなかったのか。
ああ、そう言う事か……。
ふふふ、俺とクリスティアーナとクリストファーは幼い頃から交流を深めている。
まあ、クリスティアーナと俺が再従兄弟同士でその関係でクリストファーとの縁も深くて、な」
最後の言葉に何か引っ掛かりを感じるのは気のせいだろうか?、とマリアンヌは首を傾げてしまう。
マリアンヌの愛らしい仕草に、エドヴァスが苦笑を漏らす。
「……、ああ、これはクリストファーが隠したがる気持ちが理解出来るな」
エドヴァスの呟きにエリオットが瞬時に言葉を紡ぐ。
「私には到底、理解出来かねます」
エリオットの発言にエドヴァスは肩を軽く窄める。
「もう少し恋情というモノを学べ、エリオット」
「私には不必要な感情です、エドヴァス様」
淡々と言うエリオットにエドヴァスがはあああ、と盛大なため息を吐く。
この朴念仁が、と囁くエドヴァスに常に頭に花が咲いている貴方には言われたくありません、と言うエリオット。
三者三様の様子にマリアンヌの精神はMAXを越えようとしている。
王太子エドヴァスとエリオット・ケンティフォリア、そしてクリストファー。
豪華絢爛とも言える美貌の面々に囲まれたマリアンヌは、早々にこの場から離れたいと切に願っていた。
(ああ、神様。
これは一体、何の拷問ですか?
私にはこの美の祭典に身を置く程、麗しい容姿に恵まれていません。
顔面格差はクリストファーだけで十分です……)
未だにクリストファーとマリアンヌを解放する気配を見せないエドヴァス。
そんなエドヴァスに呆れ果てた表現を見せるエリオット。
マリアンヌとの貴重なデートを潰されたクリストファーのあからさまに見せる不機嫌極まり無い態度。
マリアンヌの苦悩はまだまだ続くのであった……。
やっぱりお母様にお土産を買って帰りたいから、お店に寄ってもいいかしら?」
落ち着きを取り戻したマリアンヌが笑顔でクリストファーに言う。
顔に残る涙の跡を気にせず笑顔を見せるマリアンヌに、クリストファーは柔らかく微笑んで承諾する。
「僕も母様に買って帰りたい……」
少し照れながら言うクリストファーにマリアンヌはクリストファーの手を取り、歩行を進める。
「おば様もきっと喜ばれるわ」
「そうかな?」
「そうに決まってわ。
だって、私がおば様ならとっても嬉しいもの!」
クリストファーって本当に優しいのね、とマリアンヌは頬を染めながら小さな声で呟く。
マリアンヌの囁きに気付いたクリストファーが真っ赤な顔で俯き出す。
急にそんな事を言われたら恥ずかしい、と耳朶迄赤く染めるクリストファーが愛おしい。
(本当に優しくて思いやりがあってクリストファーって、本当に素敵!
私、今日の事でクリストファーの事がもっと好きになった。
クリストファーに愛される私は本当に幸せ者だわ……)
うっとりと微笑みながらクリストファーを見詰めるマリアンヌに、クリストファーはなんて心臓に悪いんだ、とドキドキさせる。
全く自分の魅力に無自覚なマリアンヌはクリストファーの欲情を煽る天才だと思っている。
健康的で瑞々しい肌は弾力があって美しく、柔らかな栗色の髪は日に当たるとキラキラと輝く黄金色で。
本人は平凡以下だと言うが気立が良く優しく愛らしい顔立ちのマリアンヌは魅力溢れる素晴らしい女性だとクリストファーは思っている。
実際、自分だけがそう思っているのではない事をクリストファーは知っている。
マリアンヌがピアッチェ家の使用人達に慕われ愛されている事は子供の頃から気付いていた。
普段着を泥だらけにして畑の手伝いとするマリアンヌの眩しい笑顔は見る者を魅了する。
取り澄ました令嬢達の高慢な笑顔とは雲泥の差だとクリストファーはマリアンヌのくるくると変わる愛らしい表情に口元が自然と緩む。
(ああ、早くマリアンヌの全てを僕のモノにしないと。
誰かがマリアンヌの魅力に気付く前に早々と婚姻を結んで、誰の目にも触れさせない様に)
と、段々と怪しくなる思考が恐ろしい。
流石に外出禁止は駄目だろう、マリアンヌに嫌われてしまう、と思いながら、いや、監禁迄はしないから許してくれるだろうか、と思うあたり既にヤンデレ思考に陥っている。
そんな思考の最中にクリストファーとマリアンヌは出会ってしまった。
王太子エドヴァスとコゼット・ケンティフォリアの兄であるエリオット・ケンティフォリアと。
***
(ああ、何故、私はこんなに居た堪れない状況に陥っているのかしら……)
偶然、エドヴァスとエリオットと遭遇したマリアンヌとクリストファーはエドヴァスの強引な誘いによりカフェへと連れられた。
背後にはお忍びとは思えない警備の騎士達。
物々しい警護で街を散策するエドヴァスにクリストファーの口元から溜息が溢れる。
「エドヴァス様。何故にこの様な場所に……」と呆れ口調で尋ねるクリストファーにマリアンヌは隣でハラハラしっぱなしだ。
青褪めるマリアンヌをチラリと見ながらエドヴァスはニヤリと笑いながら言う。
「ああ、ティアが好きな焼き菓子を買いに来た」
けろりと言うエドヴァスにクリストファーの口調は容赦が無い。
「ティアが迷惑がっている事はご存知ですよね」
クリストファーの不遜な発言にマリアンヌはギュッとクリストファーの袖を掴み引っ張る。
急にマリアンヌに袖を引っ張られた事にクリストファーが訝しげにマリアンヌに視線を落とすとマリアンヌが何度も首をぶんぶんと激しく横に振っている。
真っ青な顔で顔を引き攣らせているマリアンヌに、クリストファーは何があったのかとマリアンヌの顔を覗き込む。
「どうかしたの?マリアンヌ」
だらだらと額から汗が流れるマリアンヌにはクリストファーのキョトンとした口調が腹立たしい。
自分はこんなにもハラハラドキドキしてどうにかなりそうなのに、当の本人は自分の発言の重大さに気付いていない。
「だ、駄目でしょう、クリストファー!
お、王太子殿下に、な、何て無礼な発言をするのよ……。
不敬罪で処罰されてもおかしくない事を言って」
半分泣きそうな声で言うマリアンヌに、クリストファーはしれっと言う。
「事実だから」
「クリストファー!!!」
(い、一体、クリストファーはどうなっているのよ!
た、確かにクリスティアーナ様とは姉弟の様に親しみを持たれているとクリストファーから聞いてるけど、でも、こ、これは行き過ぎよ!
エドヴァス殿下がもし本気で気分を害されたら、クリストファーは……。
ああん、も、もう、心臓がおかしくなりそう!)
心の中で発狂するマリアンヌに何事も無く普段と変わらない様子のクリストファー。
クリストファーとマリアンヌやりとりをニヤニヤしてしながら見ているエドヴァスと、騒がしいと密かにため息を吐くエリオット。
ヤキモキするマリアンヌと何故そんなに慌てるのか合点が行かないクリストファーに、エドヴァスが豪快に笑い出す。
(え、な、何事……)
爆笑するエドヴァスに驚くマリアンヌとクリストファー。
目を丸くさせながらエドヴァスに視線を注ぐマリアンヌにエドヴァスは楽しげに声をかける。
「ああ、久々に楽しいモノを見させて貰った。
マリアンヌ嬢、普段のクリストファーは俺にはこんな口調でものを言う」
衝撃的なエドヴァスの発言にマリアンヌは言葉を失う。
「え……」
呆けた口調のマリアンヌにエドヴァスが楽しげに会話を続ける。
「クリストファーはマリアンヌ嬢に伝えていなかったのか。
ああ、そう言う事か……。
ふふふ、俺とクリスティアーナとクリストファーは幼い頃から交流を深めている。
まあ、クリスティアーナと俺が再従兄弟同士でその関係でクリストファーとの縁も深くて、な」
最後の言葉に何か引っ掛かりを感じるのは気のせいだろうか?、とマリアンヌは首を傾げてしまう。
マリアンヌの愛らしい仕草に、エドヴァスが苦笑を漏らす。
「……、ああ、これはクリストファーが隠したがる気持ちが理解出来るな」
エドヴァスの呟きにエリオットが瞬時に言葉を紡ぐ。
「私には到底、理解出来かねます」
エリオットの発言にエドヴァスは肩を軽く窄める。
「もう少し恋情というモノを学べ、エリオット」
「私には不必要な感情です、エドヴァス様」
淡々と言うエリオットにエドヴァスがはあああ、と盛大なため息を吐く。
この朴念仁が、と囁くエドヴァスに常に頭に花が咲いている貴方には言われたくありません、と言うエリオット。
三者三様の様子にマリアンヌの精神はMAXを越えようとしている。
王太子エドヴァスとエリオット・ケンティフォリア、そしてクリストファー。
豪華絢爛とも言える美貌の面々に囲まれたマリアンヌは、早々にこの場から離れたいと切に願っていた。
(ああ、神様。
これは一体、何の拷問ですか?
私にはこの美の祭典に身を置く程、麗しい容姿に恵まれていません。
顔面格差はクリストファーだけで十分です……)
未だにクリストファーとマリアンヌを解放する気配を見せないエドヴァス。
そんなエドヴァスに呆れ果てた表現を見せるエリオット。
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