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閑話 白薔薇の溜息 その1
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(ああ、煩わしい。
お祖母様の愚痴が止まらない。
何時迄続くのかしら…)
クリスティアーナの口元から自然と溜息が零れる。
先程からクリスティアーナの部屋にて、現当主でありクリスティアーナの祖母であるマルグリットがソファに腰掛け、クリスティアーナに向かって延々と小言を言う。
部屋中に響き渡るマルグリットの甲高い声に、クリスティアーナはいい加減、辟易としていた。
(お祖母様もクリストファーの事を諦めたらいいのに…。
クリストファーが私との婚約を受け入れる事なんて、皆無に等し事だと、何故、気付かないのかしら。
マリアンヌ嬢に愛を捧げているクリストファーがマリアンヌ嬢と婚約破棄をするなんて、ある訳無いでしょう。
全く、愚かなお祖母様…)
今日、何度目の溜息だろうか。
クリスティアーナは、すうと目を細め、祖母を見詰めた。
嘗ては王国随一の美貌を誇っていた、王女殿下であった祖母。
その美貌は今もなお、色濃く残っている。
マルグリットの心情をクリスティアーナなりに、理解はしている。
孫娘であるクリスティアーナに愛情があっての事も、そして、その孫娘が呪いの保持者である事に対しての絶望と、怒りと、そして憎しみと激しい嫉妬。
そう。
根本にあるのは、対なる君になり得なかった自身への憐憫と。
そして、恋の敗北者に陥った哀れな女の末路…。
気高くて美しい王女殿下。
自尊心が高く傅かれる事が当たり前だと思い生きてきたクリスティアーナの祖母が愛を希ったのは、レガーリス公爵家の後継者であったクリスティアーナの祖父の兄である、リオネル・レガーリスだった。
対なる君の呪いの保持者であったリオネル・レガーリス。
リオネルが呪いの保持者とは知らず、マルグリットはリオネルを一眼見て恋に落ちた。
白銀の髪に黄金の瞳を持つ貴公子であるリオネル。
冴え冴えとした月の如く凛とした美貌を放つリオネルに、マルグリットの心は激しく揺さぶられる。
口元から自然と零される言葉。
リオネルの全てが欲しい、と。
気高くて美しい王女である己が望めば、全ての貴公子は己を心酔し、愛を捧げるとマルグリットは信じて疑っていなかった。
己の手の甲を取り恭しく口付けをし、愛を囁く事は当然の事柄。
だが、リオネルからの返答に、マルグリットは今までに無い、激しい衝撃に襲われた。
マルグリットとの婚約は、否である、と。
「貴女様との婚約を受け入れる事は出来ない…」
一瞬、何を言われたか理解に苦しんだ。
私の愛を受け入れられない?
私が拒絶された?
この国、随一の美貌を謳われ、美の化身でもある私が、王女である私が、臣下から婚約を断られた?
ワナワナと身体中が震えて収まらない。
臣下の分際で、何をこの男は言っている。
この、私が、臣下に軽んじられるなんて、決してあってはならない事。
リオネルに婚約を拒まれたマルグリットの怒りは収まる気配は無く、臣下であるリオネルに屈辱を与えられたと国王に強く訴える。
マルグリットの心情に理解を示しながらも、国王は、リオネルの事情を知っているが故に、強く婚姻を勧める事は出来なかった。
国家機密である「レガーリス家の呪い」
その呪いが保持者に与える無惨で残酷な忌まわしい、壮絶な最後。
身体中が壊死し腐敗していく様に、正常な精神は混乱を極み、狂気の中自ら命を断つ…。
唯一、呪いを解放する術は、対なる君を得る事。
呪いを中和させる対なる君との交わりが、レガーリス家の呪いを緩和させる…。
マルグリットの苛烈な想いを知っても尚、対なる君しか受け入れる事が出来ない己の性質を深く理解していたリオネルは頑なにマルグリットとの婚姻を拒んだ。
だが、国王の勅命によってマルグリットとリオネルの婚約は強引に結ばれた。
唯一の姫君であるマルグリットを溺愛していた国王は、愛娘の涙ながらの訴えを哀れと想い、最後にはリオネルの元へ降嫁する事を定めた。
夢のようだとマルグリットは心を弾ませた。
愛するリオネルとの婚約。
数ヶ月後にはリオネルの妻となる。
愛するリオネルとの蜜月を心待ちにしていたマルグリットの儚い夢を一瞬に砕く、「現実」
リオネルは、出会ってしまった…。
対なる相手である女性と。
子爵家の未亡人である、シンシア・シェイラーズ。
幼い息子を連れ亡き夫の墓地へと向かうシンシアと偶然、出会ったリオネルの衝撃。
一瞬にて彼女の虜となった。
ああ、彼女が私の対なる君…。
(何て言う芳香だ。
全身に駆け巡る、痺れる様な甘美な香り。
これが、対なる君の、呪い)
思考を蕩かせ、全てを欲してしまう甘美な香りを放つ対なる君と出会い。
どくどくと激しく心臓が鳴る。
この女は私だけのモノ。
誰にも渡さない…。
狂気に満ちた瞳。
理性など存在しない、今すぐにこの女が欲しい。
対なる呪いの定めに抗う事が出来なかったリオネルはマルグリットと即座に婚約破棄し、呪いの導きによって対なる相手である子爵家の未亡人であるシンシアと強引に婚姻を結んだ。
亡き夫への愛を心に秘めたシンシアを子爵家から強引に奪う様に、リオネルは辺境地へと連れ去ったと言う。
幼き息子との永遠な別れを余儀無くされたシンシアの絶望。
愛してもいない男からの一方的な愛と心身を求められ奪われる日々。
そして事の顛末を呆然としか受け入れる事が出来ない、哀れな王女マルグリット。
リオネルからの一方的な婚約破棄と、そして未亡人であるシンシアとの婚姻。
マルグリットの自尊心はズタズタに引き裂かれ、惨めな思いに堕とされたマルグリットの心に灯った、リオネルとシンシアに対する激しい憎悪。
(許さない!
決してあの二人を許すものか…)
その後、風の便りにてリオネルとシンシアの死をマルグリットは知る事となる。
レガーリス家の呪いから逃れる事が出来なかったリオネルは、十数年後、自我を狂わせシンシアを道連れに自害した。
リオネルの訃報にマルグリットの感情がすうと消える。
彼の方への、狂おしまでの恋情がずっと心の奥底に燻っている。
消える事なき激しい恋情。
(悲しい女の性。
哀れな、お祖母様…)
祖母は未だにリオネル様を愛している。
数十年の時を経ても色褪せる事無い、リオネル様への恋慕。
亡き祖父ではなく、レガーリス家の廃嫡となったリオネル様を未だに深く愛している。
愛は人を狂わす。
幼き頃、リオネル様の事を語られる祖父の口調が、何処か物悲しげに聞こえた。
穏やかで優しい祖父であった。
王女殿下である祖母に心から大切に想い、祖母を尊重した。
祖父は多分、祖母を愛していた。
政略結婚であったが、幼き日から見知った祖母に心惹かれていた。
だが、祖母の愛は祖父の兄君に向けられていた。
元婚約者であったリオネル様に、祖母はずっと初恋を募らせている…。
「クリスティアーナ!」
マルグリットの一際甲高い声に、思い出に心を巡らせていたクリスティーナは、ふと我に戻る。
マルグリットと一瞬、視線が交わる。
未だに色褪せる事ない美貌。
気高く麗しい王女殿下であった、お祖母様…。
「貴女は悔しくないの?
あんな下賤な女が産んだ娘にクリストファーを奪われるのよ!
貴女の忌々しい呪いを解く鍵を握るクリストファーが、あの女の娘に!」
マルグリットの憎悪に満ちた瞳にクリスティアーナは心の中でマルグリットに問う。
今、貴女の目に映っているのは私なの?
(お祖母様、貴女は本当に私を見詰めているの?
孫娘である私では無く、対なる君を得た私を貴女は見詰めているの?
いいえ、違う…。
お祖母様、貴女は。
貴女が見詰めているのは、対なる君の相手であるマリアンヌ嬢、シャンペトル伯爵夫人、ピアッチェ伯爵夫人、愛するリオネル様を奪ったシンシア・シェイラーズ子爵夫人…)
貴女が望んでも得る事が出来なかった、対なる君への渇望。
リオネル様の対なる君へとなり得なかった…。
クリスティアーナの頬に自然と涙が伝っていた。
哀しい女の恋の残り香。
自分を捨てた男に未だに囚われている、哀れな祖母。
でも、何故か貴女の恋情を愛おしく感じている…。
私も貴女と同じ。
恋の狂気に陥った哀れな女。
あの方を喪って、私の心はずっと彷徨っている。
フランシス・シェイラーズ様。
レガーリス家の末端であるシェイラーズ家の後継者であり、対なる君の呪いの保持者である、フランシス様。
私の対なる君。
そう、私達は互いが対なる君の呪いの保持者であり、対なる君同士でも、あった…。
お祖母様の愚痴が止まらない。
何時迄続くのかしら…)
クリスティアーナの口元から自然と溜息が零れる。
先程からクリスティアーナの部屋にて、現当主でありクリスティアーナの祖母であるマルグリットがソファに腰掛け、クリスティアーナに向かって延々と小言を言う。
部屋中に響き渡るマルグリットの甲高い声に、クリスティアーナはいい加減、辟易としていた。
(お祖母様もクリストファーの事を諦めたらいいのに…。
クリストファーが私との婚約を受け入れる事なんて、皆無に等し事だと、何故、気付かないのかしら。
マリアンヌ嬢に愛を捧げているクリストファーがマリアンヌ嬢と婚約破棄をするなんて、ある訳無いでしょう。
全く、愚かなお祖母様…)
今日、何度目の溜息だろうか。
クリスティアーナは、すうと目を細め、祖母を見詰めた。
嘗ては王国随一の美貌を誇っていた、王女殿下であった祖母。
その美貌は今もなお、色濃く残っている。
マルグリットの心情をクリスティアーナなりに、理解はしている。
孫娘であるクリスティアーナに愛情があっての事も、そして、その孫娘が呪いの保持者である事に対しての絶望と、怒りと、そして憎しみと激しい嫉妬。
そう。
根本にあるのは、対なる君になり得なかった自身への憐憫と。
そして、恋の敗北者に陥った哀れな女の末路…。
気高くて美しい王女殿下。
自尊心が高く傅かれる事が当たり前だと思い生きてきたクリスティアーナの祖母が愛を希ったのは、レガーリス公爵家の後継者であったクリスティアーナの祖父の兄である、リオネル・レガーリスだった。
対なる君の呪いの保持者であったリオネル・レガーリス。
リオネルが呪いの保持者とは知らず、マルグリットはリオネルを一眼見て恋に落ちた。
白銀の髪に黄金の瞳を持つ貴公子であるリオネル。
冴え冴えとした月の如く凛とした美貌を放つリオネルに、マルグリットの心は激しく揺さぶられる。
口元から自然と零される言葉。
リオネルの全てが欲しい、と。
気高くて美しい王女である己が望めば、全ての貴公子は己を心酔し、愛を捧げるとマルグリットは信じて疑っていなかった。
己の手の甲を取り恭しく口付けをし、愛を囁く事は当然の事柄。
だが、リオネルからの返答に、マルグリットは今までに無い、激しい衝撃に襲われた。
マルグリットとの婚約は、否である、と。
「貴女様との婚約を受け入れる事は出来ない…」
一瞬、何を言われたか理解に苦しんだ。
私の愛を受け入れられない?
私が拒絶された?
この国、随一の美貌を謳われ、美の化身でもある私が、王女である私が、臣下から婚約を断られた?
ワナワナと身体中が震えて収まらない。
臣下の分際で、何をこの男は言っている。
この、私が、臣下に軽んじられるなんて、決してあってはならない事。
リオネルに婚約を拒まれたマルグリットの怒りは収まる気配は無く、臣下であるリオネルに屈辱を与えられたと国王に強く訴える。
マルグリットの心情に理解を示しながらも、国王は、リオネルの事情を知っているが故に、強く婚姻を勧める事は出来なかった。
国家機密である「レガーリス家の呪い」
その呪いが保持者に与える無惨で残酷な忌まわしい、壮絶な最後。
身体中が壊死し腐敗していく様に、正常な精神は混乱を極み、狂気の中自ら命を断つ…。
唯一、呪いを解放する術は、対なる君を得る事。
呪いを中和させる対なる君との交わりが、レガーリス家の呪いを緩和させる…。
マルグリットの苛烈な想いを知っても尚、対なる君しか受け入れる事が出来ない己の性質を深く理解していたリオネルは頑なにマルグリットとの婚姻を拒んだ。
だが、国王の勅命によってマルグリットとリオネルの婚約は強引に結ばれた。
唯一の姫君であるマルグリットを溺愛していた国王は、愛娘の涙ながらの訴えを哀れと想い、最後にはリオネルの元へ降嫁する事を定めた。
夢のようだとマルグリットは心を弾ませた。
愛するリオネルとの婚約。
数ヶ月後にはリオネルの妻となる。
愛するリオネルとの蜜月を心待ちにしていたマルグリットの儚い夢を一瞬に砕く、「現実」
リオネルは、出会ってしまった…。
対なる相手である女性と。
子爵家の未亡人である、シンシア・シェイラーズ。
幼い息子を連れ亡き夫の墓地へと向かうシンシアと偶然、出会ったリオネルの衝撃。
一瞬にて彼女の虜となった。
ああ、彼女が私の対なる君…。
(何て言う芳香だ。
全身に駆け巡る、痺れる様な甘美な香り。
これが、対なる君の、呪い)
思考を蕩かせ、全てを欲してしまう甘美な香りを放つ対なる君と出会い。
どくどくと激しく心臓が鳴る。
この女は私だけのモノ。
誰にも渡さない…。
狂気に満ちた瞳。
理性など存在しない、今すぐにこの女が欲しい。
対なる呪いの定めに抗う事が出来なかったリオネルはマルグリットと即座に婚約破棄し、呪いの導きによって対なる相手である子爵家の未亡人であるシンシアと強引に婚姻を結んだ。
亡き夫への愛を心に秘めたシンシアを子爵家から強引に奪う様に、リオネルは辺境地へと連れ去ったと言う。
幼き息子との永遠な別れを余儀無くされたシンシアの絶望。
愛してもいない男からの一方的な愛と心身を求められ奪われる日々。
そして事の顛末を呆然としか受け入れる事が出来ない、哀れな王女マルグリット。
リオネルからの一方的な婚約破棄と、そして未亡人であるシンシアとの婚姻。
マルグリットの自尊心はズタズタに引き裂かれ、惨めな思いに堕とされたマルグリットの心に灯った、リオネルとシンシアに対する激しい憎悪。
(許さない!
決してあの二人を許すものか…)
その後、風の便りにてリオネルとシンシアの死をマルグリットは知る事となる。
レガーリス家の呪いから逃れる事が出来なかったリオネルは、十数年後、自我を狂わせシンシアを道連れに自害した。
リオネルの訃報にマルグリットの感情がすうと消える。
彼の方への、狂おしまでの恋情がずっと心の奥底に燻っている。
消える事なき激しい恋情。
(悲しい女の性。
哀れな、お祖母様…)
祖母は未だにリオネル様を愛している。
数十年の時を経ても色褪せる事無い、リオネル様への恋慕。
亡き祖父ではなく、レガーリス家の廃嫡となったリオネル様を未だに深く愛している。
愛は人を狂わす。
幼き頃、リオネル様の事を語られる祖父の口調が、何処か物悲しげに聞こえた。
穏やかで優しい祖父であった。
王女殿下である祖母に心から大切に想い、祖母を尊重した。
祖父は多分、祖母を愛していた。
政略結婚であったが、幼き日から見知った祖母に心惹かれていた。
だが、祖母の愛は祖父の兄君に向けられていた。
元婚約者であったリオネル様に、祖母はずっと初恋を募らせている…。
「クリスティアーナ!」
マルグリットの一際甲高い声に、思い出に心を巡らせていたクリスティーナは、ふと我に戻る。
マルグリットと一瞬、視線が交わる。
未だに色褪せる事ない美貌。
気高く麗しい王女殿下であった、お祖母様…。
「貴女は悔しくないの?
あんな下賤な女が産んだ娘にクリストファーを奪われるのよ!
貴女の忌々しい呪いを解く鍵を握るクリストファーが、あの女の娘に!」
マルグリットの憎悪に満ちた瞳にクリスティアーナは心の中でマルグリットに問う。
今、貴女の目に映っているのは私なの?
(お祖母様、貴女は本当に私を見詰めているの?
孫娘である私では無く、対なる君を得た私を貴女は見詰めているの?
いいえ、違う…。
お祖母様、貴女は。
貴女が見詰めているのは、対なる君の相手であるマリアンヌ嬢、シャンペトル伯爵夫人、ピアッチェ伯爵夫人、愛するリオネル様を奪ったシンシア・シェイラーズ子爵夫人…)
貴女が望んでも得る事が出来なかった、対なる君への渇望。
リオネル様の対なる君へとなり得なかった…。
クリスティアーナの頬に自然と涙が伝っていた。
哀しい女の恋の残り香。
自分を捨てた男に未だに囚われている、哀れな祖母。
でも、何故か貴女の恋情を愛おしく感じている…。
私も貴女と同じ。
恋の狂気に陥った哀れな女。
あの方を喪って、私の心はずっと彷徨っている。
フランシス・シェイラーズ様。
レガーリス家の末端であるシェイラーズ家の後継者であり、対なる君の呪いの保持者である、フランシス様。
私の対なる君。
そう、私達は互いが対なる君の呪いの保持者であり、対なる君同士でも、あった…。
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