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閑話(後日談)
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***
薄らと部屋に光が差し込んでいる。
昨日、雨の音に包まれて薄暗い光に閉ざされた部屋だった筈なのに……。
ぼんやりとした思考で考えてしまう。
昨日の雨で、部屋が薄暗いって。
ここは一体、何処なんだろう……。
(やだ、私、身体が重くて頭に靄が掛かった様にはっきりとしない)
と身体をもぞもぞと動かそうとしても思う様に動かす事が出来ない。
何故?と一瞬、首を傾げて隣を見るとクリストファーが居て。
(え、な、なんでクリストファーが側にいるの……)
……。
今、自分が置かれている状況に気付いてマリアンヌは思わず叫びそうになってしまった。
(わ、私、もしかしてクリストファーと……)
一気に身体の体温が下がってしまう。
さああ、と血の気が引いていく。
何も纏っていない、自分もクリストファーも。
何があったかは一目瞭然で。
ちらりと上目遣いで間近にいるクリストファーを見詰める。
さらさらとした手触りの良さそうな髪質に少し、いや、かなり嫉妬してしまう。
ふわふわの癖っ毛である自分の髪の毛とは大違いで上質な絹糸の様な質感だ。
そっと手で触れてさらりとした髪の毛の感触に、ふっと息を吐く。
(いいな~、クリストファーの髪質っておば様に似て凄くサラサラで艶があって綺麗で。
どんなお手入れをしているのか教えて欲しい程、綺麗なストレートヘアで凄く羨ましい!)
そして輝くばかりの美貌ときた。
ああ、顔面格差を間近で見せ付けないでと出そうになる言葉をグッと我慢する。
言っても仕方がない、事実だから。
でも……。
(やっぱり美の化身であるクリストファーも生身の男性なのね。
あ、喉仏に、意外に逞しい腕に、それに……)
「……、いい加減、じっくりと観察されるのも恥ずかしいのだけど)
頭上から聴こえる声に、マリアンヌははっとし、顔を上げる。
薄らと頬を染めてじっと自分を見詰めるクリストファーと視線が交わり……。
「お、おはよう、く、クリストファー」
「……、おはよう、マリアンヌ」
「……」
「……」
微妙な空気が流れている。
昨日、互いの想いが重なってクリストファーの愛を全身に受け止めて。
自分を見詰めるクリストファーの目が蕩ける様に甘くて思わず眼を伏せてしまう。
(わ、私、クリストファーに、じゅ、純潔を捧げたの?
もう、処女ではないの……)
その割には下腹部に鈍い痛みが、無い。
純潔を失うと身体が引き裂かれる程の激痛に見舞われると侍女であるエマから聞かされていた。
既に恋人とそんな関係になっているエマから聞いた生々しい、男女の営み。
途中から恥ずかしさで聞くのが耐え難くなって思わず耳を塞いでしまった。
純真な乙女に何を言うのとキッと睨んでエマに向かって叫ぶと、お嬢様もいつかは体験する事なのでクリストファー様を受け入れる時の覚悟を、今から決めないといけませんと、懇々と、逆にエマに説教されてしまった。
「え、エマあああ……。
どうしてそんなに意地悪なのよ!
し、信じられない」
涙ぐむマリアンヌにエマが真実を申し上げた迄ですとキッパリとした口調でマリアンヌに告げる。
マリアンヌ至上主義者であるエマにとって恋人であるフレデリックとの語らいも触れ合いも、全てはマリアンヌの教育の一貫として自身は体験していると自負している。
フレデリックが知れば悲惨な話であるとしか思えるが、恋人でありピアッチェ家の侍従であるフレデリックはそんなエマを侍女の鏡だと褒め称えて心酔している。
(ど、どうしよう……。
そんなに怖い事を体験する事になるの?
な、なんて凄まじい話なの!
私、クリストファーと最後まで結ばれる事が出来るのかしら……)
心臓がバクバクとして収まりが付かない。
純潔を失う時の、想像を絶する痛みの話にマリアンヌは既に恐怖しか抱く事が出来ない。
マリアンヌも夢見がちな純朴な乙女である。
クリストファーとの初夜にそれなりの夢もあるし理想もある。
目眩く官能の世界が広がる恋愛小説を好むマリアンヌは密かにクリストファーと結ばれる時の自分の痴態を想像し、頬を赤く染めた事も数知れない。
(わ、私、クリストファーとどんな風に結ばれるのかしら?
クリストファーは優しく私を愛してくれるのかしら……)
と、愛されても無い自分がクリストファーが優しく抱いてくれると想像する事自体、あり得ない事なのに、と心の中で深く落胆して。
その時から無意識に求めていた。
クリストファーの愛を。
「……、わ、私、そ、その、クリストファーに……」
な、何を急に言い出すの私と、マリアンヌは出た言葉に思わず口を閉ざしてしまう。
マリアンヌの言わんとした言葉に今度はクリストファーが頬を赤く染め出す始末。
ぽりぽりと頬を掻く仕草にクリストファーの躊躇いを察した。
(こ、こんな事を、ど、どうして聞いてしまうのよ!
も、もう、恥ずかしくて死んでしまいたい……)
「……、そ、その、最後迄は奪っていないから。
だから安心していいから」
「……」
「マリアンヌ?」
「……、は、恥ずかしくて死んでしまうわ、私」と急にそっぽを向き、クリストファーの視界から逃れる様に身体を捻り離れようとするマリアンヌの腹に腕を回し、マリアンヌを強く抱き締める。
急なクリストファーの抱擁にマリアンヌはドキドキと心臓が騒ついて抑えが効かない。
「く、クリストファーっ!」
「どうして僕から逃れようとするの?」
ワザと弱々しい声音で問うクリストファーが腹立たしい。
マリアンヌの羞恥を知っての言動にマリアンヌはむすっとし黙り込む。
「ねえ、マリアンヌ?」
耳元で甘く囁かれる。
密着した身体に互いの熱が伝わって。
そして臀部に感じるクリストファーの……。
「し、知らないっ!
く、クリストファーの意地悪っ!
大っ嫌い……」
最後の語尾が自然と小さくなっていく。
クリストファーが自分の胸を愛撫している。
昨日、散々、クリストファーに胸の形が変わる程揉まれ、ぷっくりと孕んだ先端を指先で悪戯され、舌先で感触を確かめる様に舐られて。
今もその名残が残っているのか、クリストファーに愛撫される度にジンジンと痛みを伴う熱を感じてしまう。
そしてじんわりと下腹部が濡れ始めて……。
(や、やだああ。
こ、こんなにはしたない自分が恥ずかしい……)
「や、止めて、クリストファー……」
「止めない」
甘く耳朶を喰み囁くクリストファーの艶やかな声にマリアンヌの肌がぞわりと粟立つ。
ぞっとする程の蠱惑的な声に、普段のクリストファーとは思えない言動。
もしかしてまた対なる君の呪いに惑わされているのではと思い焦って振り返るとクリストファーと一瞬、視線が交わってホッと安堵の息を吐く。
(よ、良かった。
紫色に瞳が変化していない……)
「……、マリアンヌ」
急に自分の頤に手を添えクリストファーが近づいてくる。
キスされると眼を伏せるタイミングを逃してしまい、じっとクリストファーの瞳に魅入ってしまう。
綺麗な紺碧の瞳。
サファイアブルーの様に煌めく、神秘的な蒼玉の瞳に囚われて。
「マリアンヌ、愛している……」
深みのある声。
真摯な愛を告げてくれるクリストファーの声の魔力に全てを奪われてしまう。
羞恥に震える心も、ささやかな抵抗も、クリストファーを求める想いも、全て……。
「私も、クリストファーを愛して……」
それ以上の言葉をクリストファーの口付けによって奪われてしまう。
艶かしいクリストファーとの口付け。
もう、何度も経験している。
クリストファーとの大人の口付けを。
明け方から乱される。
優しく髪を梳き甘い口付けを、額に、頬に、口元にクリストファーはマリアンヌに落としていく。
「マリアンヌが好きだ。
君が愛しくておかしくなってしまう……」
クリストファーが与える快楽にマリアンヌはただただ嬌声を上げる事しか出来ない。
柔らかい髪を掴みクリストファーが与える愛撫に身体が悶えてしまう。
「あ、ああ、クリストファーああ……」
自然と漏れる甘い声。
クリストファーの愛撫を強請る女の声にマリアンヌは一瞬、羞恥に囚われる。
自然と涙を滲ますマリアンヌにそっとクリストファーが唇で涙を拭う。
「泣かないで、マリアンヌ……。
君が僕を欲しがっている事に恥じらいなんて抱かなくて、いい」
「クリストファー……」
すうと優しく唇に触れる。
愛しさを込めたクリストファーの口付けにマリアンヌの視界が涙で緩む。
「クリストファーが好き……」
クリストファーの首に腕を回し甘える様にクリストファーの唇を求める。
マリアンヌの可愛らしい仕草にクリストファーがマリアンヌを抱き締める腕の力を強めていく。
「ああ、僕の唯一の女性。
僕のマリアンヌ……」
互いの熱を求め合い愛を深める2人に咲き綻ぶ、薄紫の薔薇の花弁がふらりと揺れ動いて……。
いつの間にか見事な大輪が花開いている事に2人は気付いていない。
この、艶やかに咲き綻ぶ紫の薔薇が運命の扉を開く薔薇とは。
愛し合う2人には知る由も無かった……。
薄らと部屋に光が差し込んでいる。
昨日、雨の音に包まれて薄暗い光に閉ざされた部屋だった筈なのに……。
ぼんやりとした思考で考えてしまう。
昨日の雨で、部屋が薄暗いって。
ここは一体、何処なんだろう……。
(やだ、私、身体が重くて頭に靄が掛かった様にはっきりとしない)
と身体をもぞもぞと動かそうとしても思う様に動かす事が出来ない。
何故?と一瞬、首を傾げて隣を見るとクリストファーが居て。
(え、な、なんでクリストファーが側にいるの……)
……。
今、自分が置かれている状況に気付いてマリアンヌは思わず叫びそうになってしまった。
(わ、私、もしかしてクリストファーと……)
一気に身体の体温が下がってしまう。
さああ、と血の気が引いていく。
何も纏っていない、自分もクリストファーも。
何があったかは一目瞭然で。
ちらりと上目遣いで間近にいるクリストファーを見詰める。
さらさらとした手触りの良さそうな髪質に少し、いや、かなり嫉妬してしまう。
ふわふわの癖っ毛である自分の髪の毛とは大違いで上質な絹糸の様な質感だ。
そっと手で触れてさらりとした髪の毛の感触に、ふっと息を吐く。
(いいな~、クリストファーの髪質っておば様に似て凄くサラサラで艶があって綺麗で。
どんなお手入れをしているのか教えて欲しい程、綺麗なストレートヘアで凄く羨ましい!)
そして輝くばかりの美貌ときた。
ああ、顔面格差を間近で見せ付けないでと出そうになる言葉をグッと我慢する。
言っても仕方がない、事実だから。
でも……。
(やっぱり美の化身であるクリストファーも生身の男性なのね。
あ、喉仏に、意外に逞しい腕に、それに……)
「……、いい加減、じっくりと観察されるのも恥ずかしいのだけど)
頭上から聴こえる声に、マリアンヌははっとし、顔を上げる。
薄らと頬を染めてじっと自分を見詰めるクリストファーと視線が交わり……。
「お、おはよう、く、クリストファー」
「……、おはよう、マリアンヌ」
「……」
「……」
微妙な空気が流れている。
昨日、互いの想いが重なってクリストファーの愛を全身に受け止めて。
自分を見詰めるクリストファーの目が蕩ける様に甘くて思わず眼を伏せてしまう。
(わ、私、クリストファーに、じゅ、純潔を捧げたの?
もう、処女ではないの……)
その割には下腹部に鈍い痛みが、無い。
純潔を失うと身体が引き裂かれる程の激痛に見舞われると侍女であるエマから聞かされていた。
既に恋人とそんな関係になっているエマから聞いた生々しい、男女の営み。
途中から恥ずかしさで聞くのが耐え難くなって思わず耳を塞いでしまった。
純真な乙女に何を言うのとキッと睨んでエマに向かって叫ぶと、お嬢様もいつかは体験する事なのでクリストファー様を受け入れる時の覚悟を、今から決めないといけませんと、懇々と、逆にエマに説教されてしまった。
「え、エマあああ……。
どうしてそんなに意地悪なのよ!
し、信じられない」
涙ぐむマリアンヌにエマが真実を申し上げた迄ですとキッパリとした口調でマリアンヌに告げる。
マリアンヌ至上主義者であるエマにとって恋人であるフレデリックとの語らいも触れ合いも、全てはマリアンヌの教育の一貫として自身は体験していると自負している。
フレデリックが知れば悲惨な話であるとしか思えるが、恋人でありピアッチェ家の侍従であるフレデリックはそんなエマを侍女の鏡だと褒め称えて心酔している。
(ど、どうしよう……。
そんなに怖い事を体験する事になるの?
な、なんて凄まじい話なの!
私、クリストファーと最後まで結ばれる事が出来るのかしら……)
心臓がバクバクとして収まりが付かない。
純潔を失う時の、想像を絶する痛みの話にマリアンヌは既に恐怖しか抱く事が出来ない。
マリアンヌも夢見がちな純朴な乙女である。
クリストファーとの初夜にそれなりの夢もあるし理想もある。
目眩く官能の世界が広がる恋愛小説を好むマリアンヌは密かにクリストファーと結ばれる時の自分の痴態を想像し、頬を赤く染めた事も数知れない。
(わ、私、クリストファーとどんな風に結ばれるのかしら?
クリストファーは優しく私を愛してくれるのかしら……)
と、愛されても無い自分がクリストファーが優しく抱いてくれると想像する事自体、あり得ない事なのに、と心の中で深く落胆して。
その時から無意識に求めていた。
クリストファーの愛を。
「……、わ、私、そ、その、クリストファーに……」
な、何を急に言い出すの私と、マリアンヌは出た言葉に思わず口を閉ざしてしまう。
マリアンヌの言わんとした言葉に今度はクリストファーが頬を赤く染め出す始末。
ぽりぽりと頬を掻く仕草にクリストファーの躊躇いを察した。
(こ、こんな事を、ど、どうして聞いてしまうのよ!
も、もう、恥ずかしくて死んでしまいたい……)
「……、そ、その、最後迄は奪っていないから。
だから安心していいから」
「……」
「マリアンヌ?」
「……、は、恥ずかしくて死んでしまうわ、私」と急にそっぽを向き、クリストファーの視界から逃れる様に身体を捻り離れようとするマリアンヌの腹に腕を回し、マリアンヌを強く抱き締める。
急なクリストファーの抱擁にマリアンヌはドキドキと心臓が騒ついて抑えが効かない。
「く、クリストファーっ!」
「どうして僕から逃れようとするの?」
ワザと弱々しい声音で問うクリストファーが腹立たしい。
マリアンヌの羞恥を知っての言動にマリアンヌはむすっとし黙り込む。
「ねえ、マリアンヌ?」
耳元で甘く囁かれる。
密着した身体に互いの熱が伝わって。
そして臀部に感じるクリストファーの……。
「し、知らないっ!
く、クリストファーの意地悪っ!
大っ嫌い……」
最後の語尾が自然と小さくなっていく。
クリストファーが自分の胸を愛撫している。
昨日、散々、クリストファーに胸の形が変わる程揉まれ、ぷっくりと孕んだ先端を指先で悪戯され、舌先で感触を確かめる様に舐られて。
今もその名残が残っているのか、クリストファーに愛撫される度にジンジンと痛みを伴う熱を感じてしまう。
そしてじんわりと下腹部が濡れ始めて……。
(や、やだああ。
こ、こんなにはしたない自分が恥ずかしい……)
「や、止めて、クリストファー……」
「止めない」
甘く耳朶を喰み囁くクリストファーの艶やかな声にマリアンヌの肌がぞわりと粟立つ。
ぞっとする程の蠱惑的な声に、普段のクリストファーとは思えない言動。
もしかしてまた対なる君の呪いに惑わされているのではと思い焦って振り返るとクリストファーと一瞬、視線が交わってホッと安堵の息を吐く。
(よ、良かった。
紫色に瞳が変化していない……)
「……、マリアンヌ」
急に自分の頤に手を添えクリストファーが近づいてくる。
キスされると眼を伏せるタイミングを逃してしまい、じっとクリストファーの瞳に魅入ってしまう。
綺麗な紺碧の瞳。
サファイアブルーの様に煌めく、神秘的な蒼玉の瞳に囚われて。
「マリアンヌ、愛している……」
深みのある声。
真摯な愛を告げてくれるクリストファーの声の魔力に全てを奪われてしまう。
羞恥に震える心も、ささやかな抵抗も、クリストファーを求める想いも、全て……。
「私も、クリストファーを愛して……」
それ以上の言葉をクリストファーの口付けによって奪われてしまう。
艶かしいクリストファーとの口付け。
もう、何度も経験している。
クリストファーとの大人の口付けを。
明け方から乱される。
優しく髪を梳き甘い口付けを、額に、頬に、口元にクリストファーはマリアンヌに落としていく。
「マリアンヌが好きだ。
君が愛しくておかしくなってしまう……」
クリストファーが与える快楽にマリアンヌはただただ嬌声を上げる事しか出来ない。
柔らかい髪を掴みクリストファーが与える愛撫に身体が悶えてしまう。
「あ、ああ、クリストファーああ……」
自然と漏れる甘い声。
クリストファーの愛撫を強請る女の声にマリアンヌは一瞬、羞恥に囚われる。
自然と涙を滲ますマリアンヌにそっとクリストファーが唇で涙を拭う。
「泣かないで、マリアンヌ……。
君が僕を欲しがっている事に恥じらいなんて抱かなくて、いい」
「クリストファー……」
すうと優しく唇に触れる。
愛しさを込めたクリストファーの口付けにマリアンヌの視界が涙で緩む。
「クリストファーが好き……」
クリストファーの首に腕を回し甘える様にクリストファーの唇を求める。
マリアンヌの可愛らしい仕草にクリストファーがマリアンヌを抱き締める腕の力を強めていく。
「ああ、僕の唯一の女性。
僕のマリアンヌ……」
互いの熱を求め合い愛を深める2人に咲き綻ぶ、薄紫の薔薇の花弁がふらりと揺れ動いて……。
いつの間にか見事な大輪が花開いている事に2人は気付いていない。
この、艶やかに咲き綻ぶ紫の薔薇が運命の扉を開く薔薇とは。
愛し合う2人には知る由も無かった……。
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