30 / 59
30話
しおりを挟む
(な、何なの?
く、クリストファーったら急に唇を奪って……)
激しい口付けの嵐にマリアンヌの思考は混乱し始める。
マリアンヌの胸を愛撫する指の力も強まっていき、マリアンヌは混乱の中にどろりと蠢く感情が潜んでいる事に気付く。
「あ、ああん、く、クリストファー!
そ、そんなに激しくしない……」
明らかにクリストファーの様子がおかしいと思いながらも流される様にクリストファーの愛撫に身を委ねる。
一瞬、クリストファーと視線が交わる。
どろりと濃い紫色の瞳。
以前も紺碧の瞳が濃い紫に変化していって……。
マリアンヌに愛を囁く時にいつも変化する瞳の色。
艶やかさの中に潜む狂気の……。
(も、もしかしてクリストファー。
り、理性を失っている?)
推測と思われるが普段のクリストファーとは思えない。
一瞬、普段のクリストファーとはどんな様子だったかと心の中で疑問を投じるが。
「マリアンヌ」
唇を離し、マリアンヌの頸に顔を埋める。
ふわりとクリストファーの身体から立ち上がる薔薇の薫り。
濃厚で官能的で薫りが強くマリアンヌの思考は薔薇の薫りに包まれ奪われそうになるが、ぐっと気持ちを引き締め保たせるのに必死になっていた。
(だ、駄目!
クリストファーが一方的に私の事を求めている。
こ、こんなの、だ、駄目よ!)
ずっと心に秘めていた想い。
触れたくても触れられないもどかしさ。
好きだと素直に言えていればまた違っていたのかも知れない。
クリストファーに歪んだ想いを募らせた事にマリアンヌは心が曇る。
(嫌われても、跪いて、あ、愛を乞えば受け入れられると、ほ、本当に思っていたの?
クリストファー、ど、どうして、そこまで私を……。
欲しいからそう思ったの?
性的衝動が思考を奪って私が欲しいとずっと思っていたの?
愛しているからでしょう?
愛しているから私が欲しいとずっと願っていたのでしょう?
それなのに、今の告白は……)
頸を甘く噛みながら何度も舌を這わせるクリストファーの髪の毛を掴む。
引っ張る様に掴むマリアンヌにクリストファーは顔を上げマリアンヌの顔を覗き込む。
マリアンヌの目に大粒な涙が浮かび上がっていて、クリストファーは一瞬、言葉を失う。
「く、クリストファーなんて、き、嫌い!
大っ嫌いよ、馬鹿!」
マリアンヌから急に言われる言葉に失っていた理性が甦り、クリストファーは目を大きく見開く。
「ま、マリアンヌ?」
ボロボロ涙を流しながら喚くマリアンヌにクリストファーはおろおろし始め顔を真っ青にさせる始末。
クリストファーの動揺にやっと正気に戻ったのねとマリアンヌは心の中で悪態を吐く。
「マリアンヌ」
しゅんと顔を曇らすクリストファーに、マリアンヌはうううと言葉を詰まらせるが、ぐっと拳を握り、かぶりを振ってクリストファーをキッと睨む。
「も、もう、クリストファーの馬鹿!
ど、どうして、私に嫌われても跪いて愛を乞うたら受け入れると思う訳?
私が優しいから流されると思ってたの?
ずっとそんな風に思っていたの?
わ、私は……」
「ち、違う!
そ、そんな意味合いで言った訳では無い!
ただ、僕は……」
「そんな意味合いにしか取れないわよ!
わ、私、傷付いたのよ、すごく!
だって、私の事をそんな目で見ていたなんて不誠実で、不潔よ、クリストファー!」
マリアンヌの最後の言葉にクリストファーはむっとし始める。
明らかに不機嫌さを醸し出したクリストファーに今度はマリアンヌが目を瞬く。
「……、マリアンヌこそ僕に失礼だと思わないの?」
「く、クリストファー?」
上半身裸体で胸を晒している状態にマリアンヌは気付かぬままクリストファーと対峙している。
気付けば失神ものだと思うのだが、生憎、今のマリアンヌにはそこまで気が回らない。
クリストファーの豹変にただただ呆然としていた。
「いつも思うんだけど、マリアンヌは僕をどう捉えている訳?
なんか僕がマリアンヌの事が欲しいと思う事が不潔だと言うけど、僕だって健全な男だよ。
好きな女の子にはムラムラするし欲情だってする。
マリアンヌの全てを暴いて愛したいって思うのは自然の摂理だよ、それなのに……」
「クリストファー?」
完全に目が逝っている。
普段の冷静さがなりを潜めている。
これが本来のクリストファーなの?とマリアンヌは心の中で呟いていた。
「女みたいな顔だと子供の頃から周りに揶揄われて、マリアンヌには母親似だと言う言う理由で嫌われて。
僕だってね、好きでこの顔に生まれた訳では無い!
もっと男らしい、父様に似ればまた違っていたかも知れないけど、生憎、僕の顔はこれなの!
代わりようが無いのに、僕の心情を知らずに君には嫌われて。
僕の繊細な心に深い傷を負わせて、マリアンヌだって酷いと思わないの?」
目が血走り懇々と言い出すクリストファーにマリアンヌは目を丸くさせる。
クリストファーの知らなかった一面に直視して思考が追いつかない。
ただ間抜けな声でしか応える事が出来ない。
「え?」
「それにさっきから胸が小さいとか、コゼット・ケンティフォリアの事を引き合いに出して散々、僕に言うけど、僕はあの女の事なんか全然、いや、一切、興味なんて無い!
あんな化粧お化けの、品の無い嫌らしい女に何故、僕が興味を抱く訳?
マリアンヌこそ僕を何だと思っているんだ!
失言だよ、僕に対して。
僕はね。
胸が大きかろうが小さかろうが全然、興味が無いしどうでもいい!
僕はマリアンヌだから触れたいし、興味があるんだよ、それをマリアンヌは……」
捲し立てるクリストファーにマリアンヌは顔を引き攣らせる事しか出来ない。
一体、誰がクリストファーの事を高潔で孤高な精神を抱く男性だと言っているの?
いや、マリアンヌもずっとそう思っていた。
今の今までずっとクリストファーの事をそうだと決めつけて思っていた。
人間離れした美貌を持つクリストファーも血の通った普通の男性で。
普通、と言う言葉に今も多少なりの違和感を持つが、でも……。
「クリストファー……」
「僕はずっと不安なんだよ、マリアンヌ。
君が好き過ぎて、欲しくて欲しくて堪らなくて。
なのに触れる事が許される年齢では無い、それに。
今だって触れても最後までは奪わない、ただ……」
「……」
「君を感じたいんだ……。
ずっと君の愛を乞う事を躊躇って、君に想いを伝える勇気が持てなくて。
情けないし不甲斐ない自分に嫌気を抱きながら、でも。
どうしようもなくマリアンヌが好きだ。
愛している、君が欲しい。
これが不誠実とか不潔とか思われても僕の本心なんだ。
マリアンヌと一つになり結ばれたい、僕は君を愛したいんだ」
ボロボロと泣き出すクリストファーにマリアンヌはふっと息を吐く。
繊細で少し子供っぽくて純粋で、そして。
偽りない想いを抱いてマリアンヌを愛している。
「クリストファー……」
ふっと唇に触れる。
急にマリアンヌからキスをされてクリストファーは頬を赤く染めて。
「バカね、クリストファー。
そんなにボロボロ涙を流して泣かないで。
嫌いなんて嘘よ、言葉の綾に決まっているでしょう?
クリストファーの事が好き、愛している……」
「マリアンヌ」
ああ、今、目の前にいるクリストファーの瞳は紺碧のままだとマリアンヌは心の中で思った。
何故、瞳が変化するのかは知らない、だけど。
今のクリストファーは本来のクリストファーであると確信できる。
だから……。
「私を愛して、クリストファー……。
貴方に触れられたいの」
と言って、クリストファーの手を掴み自分の胸へと導いた。
く、クリストファーったら急に唇を奪って……)
激しい口付けの嵐にマリアンヌの思考は混乱し始める。
マリアンヌの胸を愛撫する指の力も強まっていき、マリアンヌは混乱の中にどろりと蠢く感情が潜んでいる事に気付く。
「あ、ああん、く、クリストファー!
そ、そんなに激しくしない……」
明らかにクリストファーの様子がおかしいと思いながらも流される様にクリストファーの愛撫に身を委ねる。
一瞬、クリストファーと視線が交わる。
どろりと濃い紫色の瞳。
以前も紺碧の瞳が濃い紫に変化していって……。
マリアンヌに愛を囁く時にいつも変化する瞳の色。
艶やかさの中に潜む狂気の……。
(も、もしかしてクリストファー。
り、理性を失っている?)
推測と思われるが普段のクリストファーとは思えない。
一瞬、普段のクリストファーとはどんな様子だったかと心の中で疑問を投じるが。
「マリアンヌ」
唇を離し、マリアンヌの頸に顔を埋める。
ふわりとクリストファーの身体から立ち上がる薔薇の薫り。
濃厚で官能的で薫りが強くマリアンヌの思考は薔薇の薫りに包まれ奪われそうになるが、ぐっと気持ちを引き締め保たせるのに必死になっていた。
(だ、駄目!
クリストファーが一方的に私の事を求めている。
こ、こんなの、だ、駄目よ!)
ずっと心に秘めていた想い。
触れたくても触れられないもどかしさ。
好きだと素直に言えていればまた違っていたのかも知れない。
クリストファーに歪んだ想いを募らせた事にマリアンヌは心が曇る。
(嫌われても、跪いて、あ、愛を乞えば受け入れられると、ほ、本当に思っていたの?
クリストファー、ど、どうして、そこまで私を……。
欲しいからそう思ったの?
性的衝動が思考を奪って私が欲しいとずっと思っていたの?
愛しているからでしょう?
愛しているから私が欲しいとずっと願っていたのでしょう?
それなのに、今の告白は……)
頸を甘く噛みながら何度も舌を這わせるクリストファーの髪の毛を掴む。
引っ張る様に掴むマリアンヌにクリストファーは顔を上げマリアンヌの顔を覗き込む。
マリアンヌの目に大粒な涙が浮かび上がっていて、クリストファーは一瞬、言葉を失う。
「く、クリストファーなんて、き、嫌い!
大っ嫌いよ、馬鹿!」
マリアンヌから急に言われる言葉に失っていた理性が甦り、クリストファーは目を大きく見開く。
「ま、マリアンヌ?」
ボロボロ涙を流しながら喚くマリアンヌにクリストファーはおろおろし始め顔を真っ青にさせる始末。
クリストファーの動揺にやっと正気に戻ったのねとマリアンヌは心の中で悪態を吐く。
「マリアンヌ」
しゅんと顔を曇らすクリストファーに、マリアンヌはうううと言葉を詰まらせるが、ぐっと拳を握り、かぶりを振ってクリストファーをキッと睨む。
「も、もう、クリストファーの馬鹿!
ど、どうして、私に嫌われても跪いて愛を乞うたら受け入れると思う訳?
私が優しいから流されると思ってたの?
ずっとそんな風に思っていたの?
わ、私は……」
「ち、違う!
そ、そんな意味合いで言った訳では無い!
ただ、僕は……」
「そんな意味合いにしか取れないわよ!
わ、私、傷付いたのよ、すごく!
だって、私の事をそんな目で見ていたなんて不誠実で、不潔よ、クリストファー!」
マリアンヌの最後の言葉にクリストファーはむっとし始める。
明らかに不機嫌さを醸し出したクリストファーに今度はマリアンヌが目を瞬く。
「……、マリアンヌこそ僕に失礼だと思わないの?」
「く、クリストファー?」
上半身裸体で胸を晒している状態にマリアンヌは気付かぬままクリストファーと対峙している。
気付けば失神ものだと思うのだが、生憎、今のマリアンヌにはそこまで気が回らない。
クリストファーの豹変にただただ呆然としていた。
「いつも思うんだけど、マリアンヌは僕をどう捉えている訳?
なんか僕がマリアンヌの事が欲しいと思う事が不潔だと言うけど、僕だって健全な男だよ。
好きな女の子にはムラムラするし欲情だってする。
マリアンヌの全てを暴いて愛したいって思うのは自然の摂理だよ、それなのに……」
「クリストファー?」
完全に目が逝っている。
普段の冷静さがなりを潜めている。
これが本来のクリストファーなの?とマリアンヌは心の中で呟いていた。
「女みたいな顔だと子供の頃から周りに揶揄われて、マリアンヌには母親似だと言う言う理由で嫌われて。
僕だってね、好きでこの顔に生まれた訳では無い!
もっと男らしい、父様に似ればまた違っていたかも知れないけど、生憎、僕の顔はこれなの!
代わりようが無いのに、僕の心情を知らずに君には嫌われて。
僕の繊細な心に深い傷を負わせて、マリアンヌだって酷いと思わないの?」
目が血走り懇々と言い出すクリストファーにマリアンヌは目を丸くさせる。
クリストファーの知らなかった一面に直視して思考が追いつかない。
ただ間抜けな声でしか応える事が出来ない。
「え?」
「それにさっきから胸が小さいとか、コゼット・ケンティフォリアの事を引き合いに出して散々、僕に言うけど、僕はあの女の事なんか全然、いや、一切、興味なんて無い!
あんな化粧お化けの、品の無い嫌らしい女に何故、僕が興味を抱く訳?
マリアンヌこそ僕を何だと思っているんだ!
失言だよ、僕に対して。
僕はね。
胸が大きかろうが小さかろうが全然、興味が無いしどうでもいい!
僕はマリアンヌだから触れたいし、興味があるんだよ、それをマリアンヌは……」
捲し立てるクリストファーにマリアンヌは顔を引き攣らせる事しか出来ない。
一体、誰がクリストファーの事を高潔で孤高な精神を抱く男性だと言っているの?
いや、マリアンヌもずっとそう思っていた。
今の今までずっとクリストファーの事をそうだと決めつけて思っていた。
人間離れした美貌を持つクリストファーも血の通った普通の男性で。
普通、と言う言葉に今も多少なりの違和感を持つが、でも……。
「クリストファー……」
「僕はずっと不安なんだよ、マリアンヌ。
君が好き過ぎて、欲しくて欲しくて堪らなくて。
なのに触れる事が許される年齢では無い、それに。
今だって触れても最後までは奪わない、ただ……」
「……」
「君を感じたいんだ……。
ずっと君の愛を乞う事を躊躇って、君に想いを伝える勇気が持てなくて。
情けないし不甲斐ない自分に嫌気を抱きながら、でも。
どうしようもなくマリアンヌが好きだ。
愛している、君が欲しい。
これが不誠実とか不潔とか思われても僕の本心なんだ。
マリアンヌと一つになり結ばれたい、僕は君を愛したいんだ」
ボロボロと泣き出すクリストファーにマリアンヌはふっと息を吐く。
繊細で少し子供っぽくて純粋で、そして。
偽りない想いを抱いてマリアンヌを愛している。
「クリストファー……」
ふっと唇に触れる。
急にマリアンヌからキスをされてクリストファーは頬を赤く染めて。
「バカね、クリストファー。
そんなにボロボロ涙を流して泣かないで。
嫌いなんて嘘よ、言葉の綾に決まっているでしょう?
クリストファーの事が好き、愛している……」
「マリアンヌ」
ああ、今、目の前にいるクリストファーの瞳は紺碧のままだとマリアンヌは心の中で思った。
何故、瞳が変化するのかは知らない、だけど。
今のクリストファーは本来のクリストファーであると確信できる。
だから……。
「私を愛して、クリストファー……。
貴方に触れられたいの」
と言って、クリストファーの手を掴み自分の胸へと導いた。
0
お気に入りに追加
677
あなたにおすすめの小説
【完結】私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね
江崎美彩
恋愛
王太子殿下の婚約者候補を探すために開かれていると噂されるお茶会に招待された、伯爵令嬢のミンディ・ハーミング。
幼馴染のブライアンが好きなのに、当のブライアンは「ミンディみたいなじゃじゃ馬がお茶会に出ても恥をかくだけだ」なんて揶揄うばかり。
「私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね! 王太子殿下に見染められても知らないんだから!」
ミンディはブライアンに告げ、お茶会に向かう……
〜登場人物〜
ミンディ・ハーミング
元気が取り柄の伯爵令嬢。
幼馴染のブライアンに揶揄われてばかりだが、ブライアンが自分にだけ向けるクシャクシャな笑顔が大好き。
ブライアン・ケイリー
ミンディの幼馴染の伯爵家嫡男。
天邪鬼な性格で、ミンディの事を揶揄ってばかりいる。
ベリンダ・ケイリー
ブライアンの年子の妹。
ミンディとブライアンの良き理解者。
王太子殿下
婚約者が決まらない事に対して色々な噂を立てられている。
『小説家になろう』にも投稿しています

家出したとある辺境夫人の話
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』
これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。
※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。
※他サイトでも掲載します。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます
おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」
そう書き残してエアリーはいなくなった……
緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。
そう思っていたのに。
エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて……
※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。

記憶がないなら私は……
しがと
恋愛
ずっと好きでようやく付き合えた彼が記憶を無くしてしまった。しかも私のことだけ。そして彼は以前好きだった女性に私の目の前で抱きついてしまう。もう諦めなければいけない、と彼のことを忘れる決意をしたが……。 *全4話

蔑ろにされた王妃と見限られた国王
奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています
国王陛下には愛する女性がいた。
彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。
私は、そんな陛下と結婚した。
国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。
でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。
そしてもう一つ。
私も陛下も知らないことがあった。
彼女のことを。彼女の正体を。
【完結】忘れてください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
愛していた。
貴方はそうでないと知りながら、私は貴方だけを愛していた。
夫の恋人に子供ができたと教えられても、私は貴方との未来を信じていたのに。
貴方から離婚届を渡されて、私の心は粉々に砕け散った。
もういいの。
私は貴方を解放する覚悟を決めた。
貴方が気づいていない小さな鼓動を守りながら、ここを離れます。
私の事は忘れてください。
※6月26日初回完結
7月12日2回目完結しました。
お読みいただきありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる