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22話
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***
「如何でしょうか?マリアンヌ様」
背後から侍女のエマから感想を問われる。
鏡に映る自分の姿にマリアンヌはにっこりと微笑む。
今日は昼からクリストファーとのデート。
朝から浮立つ気持ちに歯止めが効かず思わず頬が緩んでしまい、皆から生暖かい目で見守られている。
(だって、嬉しくて嬉しくて仕方がないもの。
余りに嬉しくて、つい、お母様直伝のクッキーを朝から作ってしまったわ。
クリストファーに渡したくて。
喜ぶ顔が見たくて)
ふふふ、とマリアンヌはクリストファーの顔を思い浮かべて微笑んだ。
昨日、ベッドに深く身体を沈めて眠った割には、朝日が部屋に差す前に目が覚めてしまい、キョロキョロと周りを見渡し部屋を抜け出して台所に足を運んだ。
そろりと中を覗き込むと料理長であるトマスと目が合い、マリアンヌの動向を察したトマスが軽く会釈する。
トマスの了承を得たマリアンヌは少し調理場のスペースを空けてもらい、クリストファーの好きなクッキーの材料を揃え作り始める。
「おや?マリアンヌ様。
今朝は随分と早起きなんですね?」
揶揄いを含んだ声音にマリアンヌは自然と頬を赤らめる。
皆、気付いている。
今日、クリストファーとのデートだと言う事を。
それを知ってのトマスの言葉にマリアンヌはつい顔を逸らしてしまう。
照れている事を悟られたくない、そんな可愛らしいマリアンヌの仕草にトマスは苦笑を漏らす。
「も、もうトマスったら、揶揄わないで」
顔を俯かせ耳朶まで赤く染めるマリアンヌにトマスの笑みが深くなる。
(ふふふ、本当に可愛らしい方だ、マリアンヌ様は。
素直で愛らしいピアッチェ家自慢のお嬢様。
私達、ピアッチェ家に奉公している者達は皆、お嬢様の事が大好きですよ。
高慢で我儘な令嬢が多い貴族社会でマリアンヌ様は伸びやかで素直で優しい令嬢に成長された。
奥様のご教育の賜物とは言え、マリアンヌ様の元々の性質だろう、きっと)
パシパシと頬を軽く叩いて、マリアンヌは気を引き締めてクッキー作りに取り掛かる。
幼い頃から母親と一緒にお菓子作りに励んだ。
特にこのチョコレートと胡桃のクッキーはセシリアにとって、とても思い入れのあるお菓子であるとマリアンヌに淡く微笑みながら語っていた。
今は亡き祖母との思い出のお菓子。
母親を早く亡くしたセシリアにとって祖父母は大切な家族で、ありかけがえのない存在でもあった。
その祖母が幼いセシリアの為に焼いてくれたクッキー。
ウキウキとしながらオーブンを見詰め、焼き上がるのを楽しみに待っているセシリアに注がれる祖母の慈愛に満ちた微笑み。
幸せな時間だったと幼い頃の事を語りながら作る母親の微笑みが何処か寂しそうで、幼いマリアンヌは悲しくなって、つい、セシリアの腰にぎゅっと抱き付いた。
「母様、泣いちゃいや」と目に涙を溜めるマリアンヌにセシリアはそっとマリアンヌの涙をハンカチで拭い、優しく抱き締める。
「ごめんね、マリアンヌを泣かせてしまったわね」と困惑げに微笑むセシリアの瞳が揺らいでいたのを幼いマリアンヌは気付いていなかった。
***
簡素なワンピースにエプロンをつけ、髪の毛をシニヨンにしマリアンヌは先にオーブンを温めて、ボウルの中のバターに視線を注ぐ。
(えっと、バターは指で押さえて凹む程、柔らかくなったかしら?)
そっとボウルの中に入っているバターをそっと指先で軽く押さえる。
ほうと息を吐いてボウルの中のバターを混ぜていく。
クリーム状になったバターに砂糖を入れて混ぜ、解いた卵を数回に分けて入れて混ぜる。
振るった小麦粉を入れてざっくりヘラで切る様に混ぜて、そこに刻んだチョコレートや胡桃を入れ、スプーンで形を整える。
オーブンに入れて、焼き具合をドキドキしながら見ているとオーブンから焼き立ての香ばしいクッキーの匂いが漂ってくる。
香ばしい匂いに思わず口元が緩んでしまう。
綺麗に焼き上がったクッキー。
このクッキーが好きだってクリストファーは私に言ってくれたわ。
初めて貰った時、本当は少しずつ味わって食べたかったと告白された時、恥ずかしかった。
シャンペトル家の丘の上でのランチで、このクッキーを焼いてくれた事が嬉しかったと少し照れながら言ってくれたクリストファーの表情に思わず見惚れてしまって。
(クリストファーの好きなモノをもっと知りたい。
クリストファーの口から直に聞きたいの、だから、今日は)
色んな場所を一緒に行くの。
美味しい焼き菓子のお店や雑貨屋や、クリストファーの為に何かプレゼントしたいから。
(ああ、早く時間が過ぎないかしら。
で、でも、だ、駄目よマリアンヌ。
今から支度に時間がかかってしまうわ、だって……)
今日のデートの時に、クリストファーに綺麗だと言われたい。
クリストファーの側にいても恥ずかしく無い女性として見られたい。
***
「ああん、も、もう直ぐクリストファーが来るわ。
ど、どうしよう」
そわそわして気持ちが落ち着かない。
今日の装いは首元まであるシフォンのワンピース。
エマにじっと見られて指先で触れられた時には顔から火が出る程、恥ずかしかった。
私の狼狽えぶりを察して首元を隠せる装いにしてくれたけど、でも。
「今日のデートでこれ以上の事にならなければ良いのですが……」と、エマから意味不明な言葉をぶつぶつと言われてしまって。
咄嗟に、「あ、ある訳無いでしょう、もう!」と軽く言い返したけど、本当は。
少し、ほ、ほんの少しだけど、期待していたりして……。
(や、やだ、マリアンヌったら、淑女らしく無い妄想を抱いてはしたない。
で、でも、クリストファーがいけないのよ!
こんな事をするから)
すうと指先で首元を確かめる。
ぴくんと反応してしまう。
ここに口付けされて艶かしい舌先でなぞられて……。
……。
(だ、駄目よ、マリアンヌ!
これ以上の想像は絶対に、禁止!
健全なデートに、な、なんて不埒な事を考えるのよ!
も、もう、エマが悪いんだから、う、ううん、違うわ。
く、クリストファーがいけないんだから!
純情可憐な処女に、こ、こんな淫らな事をするから……)
「……、マリアンヌ」
背後から名を呼ばれる。
いつの間にかクリストファーが到着していて部屋まで来ていた事に気づかなかった。
「マリアンヌ」
少し低音で有りながら艶のある、クリストファーの。
「く、クリストファーっ」
(や、やだ、急に背後から呼ばないで!
こ、心の準備が……)
ドキドキと心臓が騒がしい。
何時もとは違う、ううん。
これが本来のクリストファーの声。
私の名を呼ぶクリストファーの……。
「待ち遠しかったよ、今日が……」
ふわりと抱き締められる。
急な抱擁に更に心臓の音が騒がしくなって。
「く、クリストファーあああ」
思わず上擦った声でクリストファーの名を呼んでしまう。
や、やめてよ、こ、こんな心臓に悪い。
動揺が隠せないじゃないの!
こんな不意打ち、わ、私……。
「嬉しいな、マリアンヌとこうして触れる事が出来て。
気持ちを素直に伝える事がどれだけ嬉しいか、君に伝わるかな……」
とくとくと規則正しい心音が少し早くなっている?
顔を見るとほんのり頬に赤みが差していて。
照れているの?
「クリストファー」
「マリアンヌ」
とくん。
どちらの心臓の音なの?
「う、ん」
唇に触れられる。
甘く蕩ける様なクリストファーとのキス。
「マリアンヌ、好きだよ…」
キスの合間に伝えてくれる、クリストファーの気持ちを。
「私もクリストファーの事が好き……」
そう答えるとクリストファー目を細め私の上唇を含んで。
自然と口元が緩んでしまう、だって、こうなる事を何処かで期待していたから。
既に知っている、どう応えればいいのか。
クリストファーとの大人のキスをどう受け入ればいいのか。
「僕の愛しい人……」
そう言って私の唇を奪って……。
互いの熱を求め合う。
夢中になって互いの唇を貪りあって。
私はクリストファーとのキスに酔いしれていた。
「如何でしょうか?マリアンヌ様」
背後から侍女のエマから感想を問われる。
鏡に映る自分の姿にマリアンヌはにっこりと微笑む。
今日は昼からクリストファーとのデート。
朝から浮立つ気持ちに歯止めが効かず思わず頬が緩んでしまい、皆から生暖かい目で見守られている。
(だって、嬉しくて嬉しくて仕方がないもの。
余りに嬉しくて、つい、お母様直伝のクッキーを朝から作ってしまったわ。
クリストファーに渡したくて。
喜ぶ顔が見たくて)
ふふふ、とマリアンヌはクリストファーの顔を思い浮かべて微笑んだ。
昨日、ベッドに深く身体を沈めて眠った割には、朝日が部屋に差す前に目が覚めてしまい、キョロキョロと周りを見渡し部屋を抜け出して台所に足を運んだ。
そろりと中を覗き込むと料理長であるトマスと目が合い、マリアンヌの動向を察したトマスが軽く会釈する。
トマスの了承を得たマリアンヌは少し調理場のスペースを空けてもらい、クリストファーの好きなクッキーの材料を揃え作り始める。
「おや?マリアンヌ様。
今朝は随分と早起きなんですね?」
揶揄いを含んだ声音にマリアンヌは自然と頬を赤らめる。
皆、気付いている。
今日、クリストファーとのデートだと言う事を。
それを知ってのトマスの言葉にマリアンヌはつい顔を逸らしてしまう。
照れている事を悟られたくない、そんな可愛らしいマリアンヌの仕草にトマスは苦笑を漏らす。
「も、もうトマスったら、揶揄わないで」
顔を俯かせ耳朶まで赤く染めるマリアンヌにトマスの笑みが深くなる。
(ふふふ、本当に可愛らしい方だ、マリアンヌ様は。
素直で愛らしいピアッチェ家自慢のお嬢様。
私達、ピアッチェ家に奉公している者達は皆、お嬢様の事が大好きですよ。
高慢で我儘な令嬢が多い貴族社会でマリアンヌ様は伸びやかで素直で優しい令嬢に成長された。
奥様のご教育の賜物とは言え、マリアンヌ様の元々の性質だろう、きっと)
パシパシと頬を軽く叩いて、マリアンヌは気を引き締めてクッキー作りに取り掛かる。
幼い頃から母親と一緒にお菓子作りに励んだ。
特にこのチョコレートと胡桃のクッキーはセシリアにとって、とても思い入れのあるお菓子であるとマリアンヌに淡く微笑みながら語っていた。
今は亡き祖母との思い出のお菓子。
母親を早く亡くしたセシリアにとって祖父母は大切な家族で、ありかけがえのない存在でもあった。
その祖母が幼いセシリアの為に焼いてくれたクッキー。
ウキウキとしながらオーブンを見詰め、焼き上がるのを楽しみに待っているセシリアに注がれる祖母の慈愛に満ちた微笑み。
幸せな時間だったと幼い頃の事を語りながら作る母親の微笑みが何処か寂しそうで、幼いマリアンヌは悲しくなって、つい、セシリアの腰にぎゅっと抱き付いた。
「母様、泣いちゃいや」と目に涙を溜めるマリアンヌにセシリアはそっとマリアンヌの涙をハンカチで拭い、優しく抱き締める。
「ごめんね、マリアンヌを泣かせてしまったわね」と困惑げに微笑むセシリアの瞳が揺らいでいたのを幼いマリアンヌは気付いていなかった。
***
簡素なワンピースにエプロンをつけ、髪の毛をシニヨンにしマリアンヌは先にオーブンを温めて、ボウルの中のバターに視線を注ぐ。
(えっと、バターは指で押さえて凹む程、柔らかくなったかしら?)
そっとボウルの中に入っているバターをそっと指先で軽く押さえる。
ほうと息を吐いてボウルの中のバターを混ぜていく。
クリーム状になったバターに砂糖を入れて混ぜ、解いた卵を数回に分けて入れて混ぜる。
振るった小麦粉を入れてざっくりヘラで切る様に混ぜて、そこに刻んだチョコレートや胡桃を入れ、スプーンで形を整える。
オーブンに入れて、焼き具合をドキドキしながら見ているとオーブンから焼き立ての香ばしいクッキーの匂いが漂ってくる。
香ばしい匂いに思わず口元が緩んでしまう。
綺麗に焼き上がったクッキー。
このクッキーが好きだってクリストファーは私に言ってくれたわ。
初めて貰った時、本当は少しずつ味わって食べたかったと告白された時、恥ずかしかった。
シャンペトル家の丘の上でのランチで、このクッキーを焼いてくれた事が嬉しかったと少し照れながら言ってくれたクリストファーの表情に思わず見惚れてしまって。
(クリストファーの好きなモノをもっと知りたい。
クリストファーの口から直に聞きたいの、だから、今日は)
色んな場所を一緒に行くの。
美味しい焼き菓子のお店や雑貨屋や、クリストファーの為に何かプレゼントしたいから。
(ああ、早く時間が過ぎないかしら。
で、でも、だ、駄目よマリアンヌ。
今から支度に時間がかかってしまうわ、だって……)
今日のデートの時に、クリストファーに綺麗だと言われたい。
クリストファーの側にいても恥ずかしく無い女性として見られたい。
***
「ああん、も、もう直ぐクリストファーが来るわ。
ど、どうしよう」
そわそわして気持ちが落ち着かない。
今日の装いは首元まであるシフォンのワンピース。
エマにじっと見られて指先で触れられた時には顔から火が出る程、恥ずかしかった。
私の狼狽えぶりを察して首元を隠せる装いにしてくれたけど、でも。
「今日のデートでこれ以上の事にならなければ良いのですが……」と、エマから意味不明な言葉をぶつぶつと言われてしまって。
咄嗟に、「あ、ある訳無いでしょう、もう!」と軽く言い返したけど、本当は。
少し、ほ、ほんの少しだけど、期待していたりして……。
(や、やだ、マリアンヌったら、淑女らしく無い妄想を抱いてはしたない。
で、でも、クリストファーがいけないのよ!
こんな事をするから)
すうと指先で首元を確かめる。
ぴくんと反応してしまう。
ここに口付けされて艶かしい舌先でなぞられて……。
……。
(だ、駄目よ、マリアンヌ!
これ以上の想像は絶対に、禁止!
健全なデートに、な、なんて不埒な事を考えるのよ!
も、もう、エマが悪いんだから、う、ううん、違うわ。
く、クリストファーがいけないんだから!
純情可憐な処女に、こ、こんな淫らな事をするから……)
「……、マリアンヌ」
背後から名を呼ばれる。
いつの間にかクリストファーが到着していて部屋まで来ていた事に気づかなかった。
「マリアンヌ」
少し低音で有りながら艶のある、クリストファーの。
「く、クリストファーっ」
(や、やだ、急に背後から呼ばないで!
こ、心の準備が……)
ドキドキと心臓が騒がしい。
何時もとは違う、ううん。
これが本来のクリストファーの声。
私の名を呼ぶクリストファーの……。
「待ち遠しかったよ、今日が……」
ふわりと抱き締められる。
急な抱擁に更に心臓の音が騒がしくなって。
「く、クリストファーあああ」
思わず上擦った声でクリストファーの名を呼んでしまう。
や、やめてよ、こ、こんな心臓に悪い。
動揺が隠せないじゃないの!
こんな不意打ち、わ、私……。
「嬉しいな、マリアンヌとこうして触れる事が出来て。
気持ちを素直に伝える事がどれだけ嬉しいか、君に伝わるかな……」
とくとくと規則正しい心音が少し早くなっている?
顔を見るとほんのり頬に赤みが差していて。
照れているの?
「クリストファー」
「マリアンヌ」
とくん。
どちらの心臓の音なの?
「う、ん」
唇に触れられる。
甘く蕩ける様なクリストファーとのキス。
「マリアンヌ、好きだよ…」
キスの合間に伝えてくれる、クリストファーの気持ちを。
「私もクリストファーの事が好き……」
そう答えるとクリストファー目を細め私の上唇を含んで。
自然と口元が緩んでしまう、だって、こうなる事を何処かで期待していたから。
既に知っている、どう応えればいいのか。
クリストファーとの大人のキスをどう受け入ればいいのか。
「僕の愛しい人……」
そう言って私の唇を奪って……。
互いの熱を求め合う。
夢中になって互いの唇を貪りあって。
私はクリストファーとのキスに酔いしれていた。
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