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14話
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***
「セシリア」
そっと扉を閉め自室に戻ろうとしたセシリアの背後から名を呼ばれる。
不意に呼ばれる声にセシリアはちらりと視線を向ける。
夫であるロベルトが淡く微笑みながら近寄ってくる。
「マリアンヌの様子は?」
「……、落ち着いているわ」
「そうか」
ふふふ、と意味ありげな微笑みにセシリアはロベルトを訝しげに見詰める。
目を細めゆったりと笑うロベルトに、セシリアは虫唾が走る思いに駆られ思わず心の中で言葉を吐き捨てる。
(全く、何を含んでの笑みかしら。
本当に解らない、あの男の思考が)
一瞬のだんまりにロベルトが苦笑を洩らす。
セシリアの感情を察しながら穏やかに尋ねる。
「何をそんなに考えている?」
知りながら問うロベルトの性格の悪さにセシリアはつい口を噤んでしまう。
「……」
「セシリア?」
不機嫌さを露わにしながらセシリアが尋ねる。
「貴方にとってマリアンヌはどんな存在なの?」
セシリアの問いにロベルトの笑みが濃くなる。
「僕にとってマリアンヌは大切な愛娘だよ」
穏やかに答えるロベルトにセシリアの機嫌が益々悪くなる。
模範的な言葉だが心が籠っていないと心の中で悪態を吐く。
「まあ、そうなの?
初めて知ったわ」
不機嫌極まり無いセシリアの声音にロベルトが眉間に皺を寄せる。
そんな姿まで優美で洗練されているとセシリアはロベルトを見て思う。
自分とは生きる世界が違う貴人だとセシリアはまざまざと思い知らされていた。
「セシリア」
「貴方にとって、対なる君以外の存在に、そんな感情を抱くとは思わなかったわ」
「セシリア?」
「ふふふ、貴方は狂っているわ。
貴方には普通の、いいえ、人としての感情が欠如している。
表向きは穏やかで優しくて慈悲深いと囁かれる。
マリアンヌに対しても愛情を抱いている様に接しているわ。
でも、本心は娘の事なんてどうでもいいのよ。
貴方にとっては」
止まる事を知らないセシリアの暴言に流石のロベルトも流す事が出来なくなっていた。
妻の自分に対する批判的な感情はずっと気付いていた。
その原因も何から起因しているかも、全ては知ってのセシリアの発言を。
「どうして君は何時も僕に対して辛辣なんだ?
君を誰よりも愛しているのに」
少し哀しげな口調に一瞬、セシリアは違和感を感じる。
多分、これも自分を欺く為の演技である。
今までずっと騙されている。
愛しても無い夫と強引に婚姻をさせられて、抵抗しても愉悦を含んだ目で自分の身体を暴いていった。
愛されての婚姻では、無い。
私が夫の対なる君である。
ただそれだけの理由で。
(だからマリアンヌには自分の二の舞を演じさせたくは無かった。
マリアンヌには普通に恋愛して愛し愛される相手との婚姻を結んで欲しかった)
だがマリアンヌも……。
「セシリア」
近づいてくるロベルトにセシリアは、怯まずにロベルトと対峙する。
何時も自分の思考を奪う気怠い甘さを含んだ官能的な薔薇の薫り。
ロベルトの性質を物語っている……。
「貴方が憎いわ、ロベルト。
いいえ、貴方だけでは無い、対なる君として生まれた自分の運命にも憎しみを抱いている」
(ああ、抑える事が出来ない。
この男の存在で私の運命は狂わされたと思うと荒ぶる感情を抑える事なんて出来ない!)
「……」
「どんな気持ちなの?
愛してもいない女を抱くのは。
ただ自分に流れる血の宿命に翻弄されて定められた女と婚姻をするのは。
ふふふ、正常な思考を伴わない貴方にはこれが愛のかたちだと訴る訳?
私には到底理解出来ない、そんな愛なんて!」
「どうしてそう考えるんだ……」
一瞬、怒りを滲ませたロベルトの声音にセシリアは目を見開く。
何時もとは違うロベルトの雰囲気にセシリアは身体を震わせる。
「い、嫌よ。
また私の自由を奪って身体を弄ぶの?」
後退さろうとするセシリアの腕を掴み、ロベルトは自分の元へと引き寄せる。
容赦ないロベルトの腕の力の強さに一瞬、セシリアは顔を歪ませる。
感情の読み取れないロベルトの目に剣呑の光が宿っている事に気付いたセシリアは暴れて抵抗するがそれすらも許さない。
底冷えするロベルトの冷ややかな怒りにセシリアの感情が昂り、思わず悲鳴を上げそうになるがそれすらもロベルトに遮られて。
「……」
「い、」
強引に抱き締められて言葉を奪うがの如くロベルトがセシリアの唇を塞ぐ。
激しい夫の口付けにセシリアの思考が一瞬、真っ白に染まる。
何時もとは違う、余裕の無いロベルトの口付け。
まるで自分の怒りを訴る様な。
自分の想いを理解しないセシリアを追い詰める様なロベルトの口付けにセシリアは感情を乱してしまう。
(な、何をそんなに怒っているの?
事実を語っただけでしょう。
貴方の本心を代弁しただけで、何をそんなに感情を乱す訳?
こんなの有り得ない。
ロベルトが私の事を愛していると錯覚してしまう。
そんな訳、無いでしょう?
初夜の日、あれだけ涙を流して抵抗しても聞き入れず自分の身体を奪った。
僕の対なる君と呟きながら恍惚な目で私を見詰めて)
私自身を抱いていた訳では無い。
ただ自分の血が理性を狂わせ私を抱いたに過ぎない。
私を愛しての行為では、無い。
「セシリア……」
口付けの合間に呼ばれる声にセシリアは混乱する。
ロベルトの激情に翻弄され抵抗する事さえ赦されず、セシリアはロベルトの嵐の様な激しい口付けを受け入れていた。
***
マリアンヌが目覚めた夜、自室に戻ったクリストファーはソファに深く座り項垂れていた。
マリアンヌからの突然の婚約破棄を言い渡されて目の前が赤く染まり、感情の赴くまま激情に走ってしまった。
(マリアンヌを傷付けてしまった。
涙を流し哀しみの目で僕を見詰めて。
僕はそんなマリアンヌの気持ち気付かず強引に唇を奪ってしまった。
どうして急にそんな事を言い出したんだ?
マリアンヌは僕の事を……)
僕の事を好きだと。
僕に惹かれていると知って僕は君に。
互いの気持ちがやっと一つになった、そう思った僕は君の唇に触れた。
今までに無い幸福感。
どう表現したら分からない位気持ちが舞い上がって。
浮立つ気持ちを抑える事なんて出来なかった。
(なのに君は僕から離れようとした。
僕の事を好きなのに、愛しはじめているのに)
理性なんて無かった。
マリアンヌが僕から離れようとしていると言う言葉が僕を狂わせて……。
一瞬、頭の中に過った。
どうして対なる君である、マリアンヌが僕から離れようとするんだ、と。
身体中の血が怒りで沸騰してまともな思考なんて保てなかった。
これが今まで抑えていた感情だと知って恐ろしくなった。
今まで細心の注意を払ってきた。
自分の感情を乱さない様に、何事にも動じ無い様に己を律してきたのは、自分の中に流れる血に翻弄されたくは無かったから。
マリアンヌを愛している。
それが僕の唯一。
その気持ちが僕にとっての真実だから。
僕は自分の宿命に翻弄されたくは無かった。
マリアンヌが対なる君だから惹かれている。
それがマリアンヌを愛する要因だとは思いたくは無かった。
だから僕は……。
(ごめん、マリアンヌ。
君を傷付けてしまった。
僕が暴走した為に君に哀しみを抱かせて)
君を愛しているのに。
誰よりも愛しているのに、君に愛を囁く事が出来ない。
君が知れば疑ってしまう。
僕が君に愛を抱くのは、君が対なる君だから、と。
(僕はどうしたら……)
どうしたら君を幸せに出来る?
君の事を誰よりも愛しているから君には幸せになって欲しい。
君の笑顔を絶やしたく無い、君には何時も微笑んで欲しい。
君に哀しみの感情なんて抱いて欲しくは、無い。
ああ、僕は。
(僕は君を傷付けてしまう。
君が僕の本性に気付く前に、本当は僕から……)
僕から婚約破棄を告げれば良かった。
君を対なる君の宿命から解放すれば、良かった。
そうすれば君は相思相愛な相手に出会って結ばれて……。
(ああ、心が張り裂けそうに苦しいな。
ふふふ、こんな狂わしい感情。
この気持ちは君が対なる君だからとは思いたく、無い……)
君を失ってしまったら僕は生きていけない。
こんな狂気な愛を君が知ればどう思うだろう?
君を誰にも渡したくない、本当の僕は君を……。
君を愛している。
僕は君に恋焦がれ愛しているんだと。
僕は君に愛を告げたいんだ……。
「セシリア」
そっと扉を閉め自室に戻ろうとしたセシリアの背後から名を呼ばれる。
不意に呼ばれる声にセシリアはちらりと視線を向ける。
夫であるロベルトが淡く微笑みながら近寄ってくる。
「マリアンヌの様子は?」
「……、落ち着いているわ」
「そうか」
ふふふ、と意味ありげな微笑みにセシリアはロベルトを訝しげに見詰める。
目を細めゆったりと笑うロベルトに、セシリアは虫唾が走る思いに駆られ思わず心の中で言葉を吐き捨てる。
(全く、何を含んでの笑みかしら。
本当に解らない、あの男の思考が)
一瞬のだんまりにロベルトが苦笑を洩らす。
セシリアの感情を察しながら穏やかに尋ねる。
「何をそんなに考えている?」
知りながら問うロベルトの性格の悪さにセシリアはつい口を噤んでしまう。
「……」
「セシリア?」
不機嫌さを露わにしながらセシリアが尋ねる。
「貴方にとってマリアンヌはどんな存在なの?」
セシリアの問いにロベルトの笑みが濃くなる。
「僕にとってマリアンヌは大切な愛娘だよ」
穏やかに答えるロベルトにセシリアの機嫌が益々悪くなる。
模範的な言葉だが心が籠っていないと心の中で悪態を吐く。
「まあ、そうなの?
初めて知ったわ」
不機嫌極まり無いセシリアの声音にロベルトが眉間に皺を寄せる。
そんな姿まで優美で洗練されているとセシリアはロベルトを見て思う。
自分とは生きる世界が違う貴人だとセシリアはまざまざと思い知らされていた。
「セシリア」
「貴方にとって、対なる君以外の存在に、そんな感情を抱くとは思わなかったわ」
「セシリア?」
「ふふふ、貴方は狂っているわ。
貴方には普通の、いいえ、人としての感情が欠如している。
表向きは穏やかで優しくて慈悲深いと囁かれる。
マリアンヌに対しても愛情を抱いている様に接しているわ。
でも、本心は娘の事なんてどうでもいいのよ。
貴方にとっては」
止まる事を知らないセシリアの暴言に流石のロベルトも流す事が出来なくなっていた。
妻の自分に対する批判的な感情はずっと気付いていた。
その原因も何から起因しているかも、全ては知ってのセシリアの発言を。
「どうして君は何時も僕に対して辛辣なんだ?
君を誰よりも愛しているのに」
少し哀しげな口調に一瞬、セシリアは違和感を感じる。
多分、これも自分を欺く為の演技である。
今までずっと騙されている。
愛しても無い夫と強引に婚姻をさせられて、抵抗しても愉悦を含んだ目で自分の身体を暴いていった。
愛されての婚姻では、無い。
私が夫の対なる君である。
ただそれだけの理由で。
(だからマリアンヌには自分の二の舞を演じさせたくは無かった。
マリアンヌには普通に恋愛して愛し愛される相手との婚姻を結んで欲しかった)
だがマリアンヌも……。
「セシリア」
近づいてくるロベルトにセシリアは、怯まずにロベルトと対峙する。
何時も自分の思考を奪う気怠い甘さを含んだ官能的な薔薇の薫り。
ロベルトの性質を物語っている……。
「貴方が憎いわ、ロベルト。
いいえ、貴方だけでは無い、対なる君として生まれた自分の運命にも憎しみを抱いている」
(ああ、抑える事が出来ない。
この男の存在で私の運命は狂わされたと思うと荒ぶる感情を抑える事なんて出来ない!)
「……」
「どんな気持ちなの?
愛してもいない女を抱くのは。
ただ自分に流れる血の宿命に翻弄されて定められた女と婚姻をするのは。
ふふふ、正常な思考を伴わない貴方にはこれが愛のかたちだと訴る訳?
私には到底理解出来ない、そんな愛なんて!」
「どうしてそう考えるんだ……」
一瞬、怒りを滲ませたロベルトの声音にセシリアは目を見開く。
何時もとは違うロベルトの雰囲気にセシリアは身体を震わせる。
「い、嫌よ。
また私の自由を奪って身体を弄ぶの?」
後退さろうとするセシリアの腕を掴み、ロベルトは自分の元へと引き寄せる。
容赦ないロベルトの腕の力の強さに一瞬、セシリアは顔を歪ませる。
感情の読み取れないロベルトの目に剣呑の光が宿っている事に気付いたセシリアは暴れて抵抗するがそれすらも許さない。
底冷えするロベルトの冷ややかな怒りにセシリアの感情が昂り、思わず悲鳴を上げそうになるがそれすらもロベルトに遮られて。
「……」
「い、」
強引に抱き締められて言葉を奪うがの如くロベルトがセシリアの唇を塞ぐ。
激しい夫の口付けにセシリアの思考が一瞬、真っ白に染まる。
何時もとは違う、余裕の無いロベルトの口付け。
まるで自分の怒りを訴る様な。
自分の想いを理解しないセシリアを追い詰める様なロベルトの口付けにセシリアは感情を乱してしまう。
(な、何をそんなに怒っているの?
事実を語っただけでしょう。
貴方の本心を代弁しただけで、何をそんなに感情を乱す訳?
こんなの有り得ない。
ロベルトが私の事を愛していると錯覚してしまう。
そんな訳、無いでしょう?
初夜の日、あれだけ涙を流して抵抗しても聞き入れず自分の身体を奪った。
僕の対なる君と呟きながら恍惚な目で私を見詰めて)
私自身を抱いていた訳では無い。
ただ自分の血が理性を狂わせ私を抱いたに過ぎない。
私を愛しての行為では、無い。
「セシリア……」
口付けの合間に呼ばれる声にセシリアは混乱する。
ロベルトの激情に翻弄され抵抗する事さえ赦されず、セシリアはロベルトの嵐の様な激しい口付けを受け入れていた。
***
マリアンヌが目覚めた夜、自室に戻ったクリストファーはソファに深く座り項垂れていた。
マリアンヌからの突然の婚約破棄を言い渡されて目の前が赤く染まり、感情の赴くまま激情に走ってしまった。
(マリアンヌを傷付けてしまった。
涙を流し哀しみの目で僕を見詰めて。
僕はそんなマリアンヌの気持ち気付かず強引に唇を奪ってしまった。
どうして急にそんな事を言い出したんだ?
マリアンヌは僕の事を……)
僕の事を好きだと。
僕に惹かれていると知って僕は君に。
互いの気持ちがやっと一つになった、そう思った僕は君の唇に触れた。
今までに無い幸福感。
どう表現したら分からない位気持ちが舞い上がって。
浮立つ気持ちを抑える事なんて出来なかった。
(なのに君は僕から離れようとした。
僕の事を好きなのに、愛しはじめているのに)
理性なんて無かった。
マリアンヌが僕から離れようとしていると言う言葉が僕を狂わせて……。
一瞬、頭の中に過った。
どうして対なる君である、マリアンヌが僕から離れようとするんだ、と。
身体中の血が怒りで沸騰してまともな思考なんて保てなかった。
これが今まで抑えていた感情だと知って恐ろしくなった。
今まで細心の注意を払ってきた。
自分の感情を乱さない様に、何事にも動じ無い様に己を律してきたのは、自分の中に流れる血に翻弄されたくは無かったから。
マリアンヌを愛している。
それが僕の唯一。
その気持ちが僕にとっての真実だから。
僕は自分の宿命に翻弄されたくは無かった。
マリアンヌが対なる君だから惹かれている。
それがマリアンヌを愛する要因だとは思いたくは無かった。
だから僕は……。
(ごめん、マリアンヌ。
君を傷付けてしまった。
僕が暴走した為に君に哀しみを抱かせて)
君を愛しているのに。
誰よりも愛しているのに、君に愛を囁く事が出来ない。
君が知れば疑ってしまう。
僕が君に愛を抱くのは、君が対なる君だから、と。
(僕はどうしたら……)
どうしたら君を幸せに出来る?
君の事を誰よりも愛しているから君には幸せになって欲しい。
君の笑顔を絶やしたく無い、君には何時も微笑んで欲しい。
君に哀しみの感情なんて抱いて欲しくは、無い。
ああ、僕は。
(僕は君を傷付けてしまう。
君が僕の本性に気付く前に、本当は僕から……)
僕から婚約破棄を告げれば良かった。
君を対なる君の宿命から解放すれば、良かった。
そうすれば君は相思相愛な相手に出会って結ばれて……。
(ああ、心が張り裂けそうに苦しいな。
ふふふ、こんな狂わしい感情。
この気持ちは君が対なる君だからとは思いたく、無い……)
君を失ってしまったら僕は生きていけない。
こんな狂気な愛を君が知ればどう思うだろう?
君を誰にも渡したくない、本当の僕は君を……。
君を愛している。
僕は君に恋焦がれ愛しているんだと。
僕は君に愛を告げたいんだ……。
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