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13話
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身体がふわふわと浮いている様な感じがする。
誰かが私の身体を抱き上げている?
頭に靄がかかった様な感じでぼんやりして深く考える事が出来ない。
ふと、鼻腔を擽る薔薇の薫り。
クールでありながら少し甘みのある清涼感漂う上品な薫り。
この薫り、知っている。
(クリストファー?)
「……マリアンヌ」
(私の名前を呼んでいる……)
「……」
(え、クリストファー?
何を言っている?
よく聞こえない。
何を私に……)
クリストファーから漂う薔薇の薫りに包まれて身体が深く沈んでいく。
意識が遠退いて、そして。
それ以上の思考がぷっつりと途切れてしまった。
***
「マリアンヌ?」
(誰かが私の名前を呼んでいる……。
さっきから誰が?)
「気が付いた?マリアンヌ」
「……、お母様?
え、わ、私、一体……」
お母様がどうして私の名前を呼んでいるの?
私は今、何処にいるの?
「クリストファーとの散策中に倒れたのよ。
一昨日からずっと寝て無かったでしょう?無理が祟ったのね、きっと」
ふふふ、優しげに微笑むお母様に、ぼんやりとした意識が覚醒して目を見開き辺りを見回す。
「ベッドで寝ていたの?
い、今、何時なの?
クリストファーは何処に居るの?」
「もう夜よ、マリアンヌ。
クリストファーはね。
貴女が気を失って眠っている間ずっと側に居たのだけど、夕刻には帰ったわ。
……。
クリストファーったら、貴女をここまで連れて来た時、心ここに在らずな様子だったの。
顔が青褪めてとても思い詰めた表情でじっと眠っている貴女を見詰めていたわ。
……、何かあったの?、クリストファーと」
一瞬、お母様の言葉にピクリと身体に緊張が走る。
庭園での出来事が一気に蘇り……。
(ま、まってマリアンヌ!
今の言葉は一体どんな風に受け止めたらいいの?
お母様にどう、答えたらいいの?
あんな……、事を……)
頬が急に熱を帯び出して、つい、口元に手を当ててしまった。
だ、だって、あんな……。
クリストファーには他に愛する女性が存在するから、私からクリストファーに婚約解消を願い出た。
だって、私が言わなければクリストファーはずっと心に秘めたまま私と結婚して……。
愛のない婚約だと思い知らされた、ううん、それだけでは無い。
クリストファーには愛する女性と結ばれて欲しかったから。
誰よりも幸せになって欲しかった。
だから自分の感情を押し殺してまでクリストファーに婚約解消を言ったのに!
なのにクリストファーから意外な、ううん、言葉に絶する事をされて。
急に抱き締められて、ディ、ディープキスをされてしまった!
予想をはるかに上回る出来事に私は……。
(今、思い出しても顔が真っ赤に染まってしまう。
あんなに濃厚な口付けなんて、一体、何を考えてるの?
ど、何処であんな大人のキスを覚えたの!
体験済みでは無いわよね!クリストファー!
もしそうなら嫉妬で狂いそうって、気持ちが混乱して……)
婚約解消を願っても私はクリストファーがあんなキスをした事に怒りと嫉妬で頭が真っ白になって。
感情を乱されてしまって本来の思いなんて、頭から消し去っていた。
クリストファーに愛する女性がいて、その女性と結ばれて幸せになって欲しいと願っても、本当の私は……。
言葉を取り繕っても本心はクリストファーとは婚約解消をなんてしたくない。
クリストファーが好きなの……。
愛して、いるの。
「ふふふ、マリアンヌ。
急に泣き出して」
「う、うええ、ひっく。
だ、だって、私…」
ボロボロと涙を流して泣いている私をお母様が優しく抱き止めてくれた。
ふわりとお母様から漂ってくる薫り。
気怠い甘さを含んだ濃厚な薔薇の……。
「クリストファーと喧嘩でも、と言ってもクリストファーは無口だから痴話喧嘩にはならないわね。
何かマリアンヌを怒らす事をしたのね?」
意味ありげなお母様の言葉に出ていた涙が一瞬、止まってしまう。
「マリアンヌ?」
優しげでありながら何処か揶揄いを含んだお母様の声音に、戸惑いながらもぽつぽつと話していく。
「く、クリストファーにはずっと、心に秘めた、じょ、女性がいて。
なのに、私との婚約を強いられていると思ったら、クリストファーが可哀想になって。
ううん、違う。
私が惨めだと思ったの。
クリストファーに愛される、事がないのに、クリストファーと結婚するのが、辛くて……。
わ、私、クリストファーの事が好きなのに、な、なのに、クリストファーには愛される事が無いと知って、だから」
「……」
「だから、私から婚約破棄を言ったの。
そうしたら、クリストファーったら、急に……」
「うふふふ。
ま、まあ、マリアンヌったら」
私の言葉に急に笑い出すお母様に私は言葉を失ってしまう。
な、何が可笑しいの?
どうして急にお母様は笑い出すの?
「お、お母様ったら、どうして笑い出すの!
私がどれだけ思い詰めて言ったと思っているの?
わ、私、クリストファーが不憫で可哀想で、ううん、ずっと愛されないと分かったら自分が惨めになって……。
断腸の思いで婚約解消を言ったのに、クリストファーは……」
あんな事を……。
「あらら、クリストファーったら、可哀想ね。
全然、マリアンヌに気持ちが伝わっていないんだから……。
まあ、自業自得と言えばそれまでだけど。
うふふふ」
「お母様?」
「ねえ、マリアンヌはクリストファーの事が好きなんでしょう?」
急に真剣な表情でお母様から問われる。
クリストファーに対する気持ちを。
「……、好き」
素直に言葉が出る。
「……、。ふふふ、マリアンヌもいつの間にか大人になっていたのね」
「お母様?」
キョトンとする私に目を細めて私を見詰める。
慈愛に満ちた目で。
「貴女には幸せになって欲しかったから、正直、クリストファーとの婚約は反対だったの。
今も気持ちは複雑よ、だけど……」
「お母様」
「貴女の気持ちをクリストファーには伝えないの?」
「え?」
「クリストファーに貴女から告白はしないの?
マリアンヌ」
「え?
お、お母様、わ、私から。
だ、だって、クリストファーには愛する女性がいて」
「それはクリストファーが言ったの?
マリアンヌに」
「……」
「マリアンヌ?」
「……、クリストファーからは聞いて、いない」
「なら、貴女から問う事は出来ないの?
クリストファーに聞く事が怖いの?」
「そ、それは」
「クリストファーに想いを伝える事が怖い?」
お母様の問いに言葉に窮して返答が出来ない。
(クリストファーに私から告白、する?)
「マリアンヌ」
「お母様」
「自分の気持ちに正直、向き合いなさい。
自分の本当の願いを、想いを。
クリストファーの気持ちとか考えない、周りの事は考えずによ。
マリアンヌ、貴女はクリストファーとどうしたいのか」
「……」
「もう、気付いているでしょう?
なら、自分の気持ちに素直になりなさい」
そう言ってお母様は部屋から出て行く。
お母様の言葉が心の中で漣の様に広がって。
(私からクリストファーに告白する……)
もし言ってクリストファーに気持ちを否定されたら。
クリストファーから愛する女性がいると言われたら、私は……。
(正直、怖い。
クリストファーに気持ちを伝える事が怖い、だけど)
それ以上に気持ちを抑える事が出来ない。
クリストファーから急に抱き締められて濃厚なキスをされた時、既に経験していると思った時の自分の気持ち。
愛されていないのに激情をぶつけられて、嫉妬と怒りと哀しみで混乱して。
嫌だと思った。
クリストファーを誰にも渡したく無い!
だ、だって好きだから。
クリストファーの事を愛している。
綺麗事を言っても私は、クリストファーと別れたく無い!
ずっと側にいたい、だけど。
クリストファーの気持ちを思ったら、愛しているから幸せになって欲しいと。
その気持ちも本心、そして、クリストファーと婚約破棄をしたく無いと言う気持ちも、本心で……。
(私は……)
クリストファーもう一度、対峙しないといけない。
自分の想いを伝える事がどんな結果を招くのか。
分かりきっている、でも、私は……。
(ごめんなさい、クリストファー。
諦めの悪い、私で……)
私は、貴方に気持ちを伝えたい。
クリストファー、貴方が好き。
貴方を、誰よりも愛していると……。
誰かが私の身体を抱き上げている?
頭に靄がかかった様な感じでぼんやりして深く考える事が出来ない。
ふと、鼻腔を擽る薔薇の薫り。
クールでありながら少し甘みのある清涼感漂う上品な薫り。
この薫り、知っている。
(クリストファー?)
「……マリアンヌ」
(私の名前を呼んでいる……)
「……」
(え、クリストファー?
何を言っている?
よく聞こえない。
何を私に……)
クリストファーから漂う薔薇の薫りに包まれて身体が深く沈んでいく。
意識が遠退いて、そして。
それ以上の思考がぷっつりと途切れてしまった。
***
「マリアンヌ?」
(誰かが私の名前を呼んでいる……。
さっきから誰が?)
「気が付いた?マリアンヌ」
「……、お母様?
え、わ、私、一体……」
お母様がどうして私の名前を呼んでいるの?
私は今、何処にいるの?
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一昨日からずっと寝て無かったでしょう?無理が祟ったのね、きっと」
ふふふ、優しげに微笑むお母様に、ぼんやりとした意識が覚醒して目を見開き辺りを見回す。
「ベッドで寝ていたの?
い、今、何時なの?
クリストファーは何処に居るの?」
「もう夜よ、マリアンヌ。
クリストファーはね。
貴女が気を失って眠っている間ずっと側に居たのだけど、夕刻には帰ったわ。
……。
クリストファーったら、貴女をここまで連れて来た時、心ここに在らずな様子だったの。
顔が青褪めてとても思い詰めた表情でじっと眠っている貴女を見詰めていたわ。
……、何かあったの?、クリストファーと」
一瞬、お母様の言葉にピクリと身体に緊張が走る。
庭園での出来事が一気に蘇り……。
(ま、まってマリアンヌ!
今の言葉は一体どんな風に受け止めたらいいの?
お母様にどう、答えたらいいの?
あんな……、事を……)
頬が急に熱を帯び出して、つい、口元に手を当ててしまった。
だ、だって、あんな……。
クリストファーには他に愛する女性が存在するから、私からクリストファーに婚約解消を願い出た。
だって、私が言わなければクリストファーはずっと心に秘めたまま私と結婚して……。
愛のない婚約だと思い知らされた、ううん、それだけでは無い。
クリストファーには愛する女性と結ばれて欲しかったから。
誰よりも幸せになって欲しかった。
だから自分の感情を押し殺してまでクリストファーに婚約解消を言ったのに!
なのにクリストファーから意外な、ううん、言葉に絶する事をされて。
急に抱き締められて、ディ、ディープキスをされてしまった!
予想をはるかに上回る出来事に私は……。
(今、思い出しても顔が真っ赤に染まってしまう。
あんなに濃厚な口付けなんて、一体、何を考えてるの?
ど、何処であんな大人のキスを覚えたの!
体験済みでは無いわよね!クリストファー!
もしそうなら嫉妬で狂いそうって、気持ちが混乱して……)
婚約解消を願っても私はクリストファーがあんなキスをした事に怒りと嫉妬で頭が真っ白になって。
感情を乱されてしまって本来の思いなんて、頭から消し去っていた。
クリストファーに愛する女性がいて、その女性と結ばれて幸せになって欲しいと願っても、本当の私は……。
言葉を取り繕っても本心はクリストファーとは婚約解消をなんてしたくない。
クリストファーが好きなの……。
愛して、いるの。
「ふふふ、マリアンヌ。
急に泣き出して」
「う、うええ、ひっく。
だ、だって、私…」
ボロボロと涙を流して泣いている私をお母様が優しく抱き止めてくれた。
ふわりとお母様から漂ってくる薫り。
気怠い甘さを含んだ濃厚な薔薇の……。
「クリストファーと喧嘩でも、と言ってもクリストファーは無口だから痴話喧嘩にはならないわね。
何かマリアンヌを怒らす事をしたのね?」
意味ありげなお母様の言葉に出ていた涙が一瞬、止まってしまう。
「マリアンヌ?」
優しげでありながら何処か揶揄いを含んだお母様の声音に、戸惑いながらもぽつぽつと話していく。
「く、クリストファーにはずっと、心に秘めた、じょ、女性がいて。
なのに、私との婚約を強いられていると思ったら、クリストファーが可哀想になって。
ううん、違う。
私が惨めだと思ったの。
クリストファーに愛される、事がないのに、クリストファーと結婚するのが、辛くて……。
わ、私、クリストファーの事が好きなのに、な、なのに、クリストファーには愛される事が無いと知って、だから」
「……」
「だから、私から婚約破棄を言ったの。
そうしたら、クリストファーったら、急に……」
「うふふふ。
ま、まあ、マリアンヌったら」
私の言葉に急に笑い出すお母様に私は言葉を失ってしまう。
な、何が可笑しいの?
どうして急にお母様は笑い出すの?
「お、お母様ったら、どうして笑い出すの!
私がどれだけ思い詰めて言ったと思っているの?
わ、私、クリストファーが不憫で可哀想で、ううん、ずっと愛されないと分かったら自分が惨めになって……。
断腸の思いで婚約解消を言ったのに、クリストファーは……」
あんな事を……。
「あらら、クリストファーったら、可哀想ね。
全然、マリアンヌに気持ちが伝わっていないんだから……。
まあ、自業自得と言えばそれまでだけど。
うふふふ」
「お母様?」
「ねえ、マリアンヌはクリストファーの事が好きなんでしょう?」
急に真剣な表情でお母様から問われる。
クリストファーに対する気持ちを。
「……、好き」
素直に言葉が出る。
「……、。ふふふ、マリアンヌもいつの間にか大人になっていたのね」
「お母様?」
キョトンとする私に目を細めて私を見詰める。
慈愛に満ちた目で。
「貴女には幸せになって欲しかったから、正直、クリストファーとの婚約は反対だったの。
今も気持ちは複雑よ、だけど……」
「お母様」
「貴女の気持ちをクリストファーには伝えないの?」
「え?」
「クリストファーに貴女から告白はしないの?
マリアンヌ」
「え?
お、お母様、わ、私から。
だ、だって、クリストファーには愛する女性がいて」
「それはクリストファーが言ったの?
マリアンヌに」
「……」
「マリアンヌ?」
「……、クリストファーからは聞いて、いない」
「なら、貴女から問う事は出来ないの?
クリストファーに聞く事が怖いの?」
「そ、それは」
「クリストファーに想いを伝える事が怖い?」
お母様の問いに言葉に窮して返答が出来ない。
(クリストファーに私から告白、する?)
「マリアンヌ」
「お母様」
「自分の気持ちに正直、向き合いなさい。
自分の本当の願いを、想いを。
クリストファーの気持ちとか考えない、周りの事は考えずによ。
マリアンヌ、貴女はクリストファーとどうしたいのか」
「……」
「もう、気付いているでしょう?
なら、自分の気持ちに素直になりなさい」
そう言ってお母様は部屋から出て行く。
お母様の言葉が心の中で漣の様に広がって。
(私からクリストファーに告白する……)
もし言ってクリストファーに気持ちを否定されたら。
クリストファーから愛する女性がいると言われたら、私は……。
(正直、怖い。
クリストファーに気持ちを伝える事が怖い、だけど)
それ以上に気持ちを抑える事が出来ない。
クリストファーから急に抱き締められて濃厚なキスをされた時、既に経験していると思った時の自分の気持ち。
愛されていないのに激情をぶつけられて、嫉妬と怒りと哀しみで混乱して。
嫌だと思った。
クリストファーを誰にも渡したく無い!
だ、だって好きだから。
クリストファーの事を愛している。
綺麗事を言っても私は、クリストファーと別れたく無い!
ずっと側にいたい、だけど。
クリストファーの気持ちを思ったら、愛しているから幸せになって欲しいと。
その気持ちも本心、そして、クリストファーと婚約破棄をしたく無いと言う気持ちも、本心で……。
(私は……)
クリストファーもう一度、対峙しないといけない。
自分の想いを伝える事がどんな結果を招くのか。
分かりきっている、でも、私は……。
(ごめんなさい、クリストファー。
諦めの悪い、私で……)
私は、貴方に気持ちを伝えたい。
クリストファー、貴方が好き。
貴方を、誰よりも愛していると……。
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